笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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最終章 笑顔の絶えない世界

平和へのカウントダウン

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 リーマ、ゴルガ、フォルス、シーラ、ハナコ、アルシアの六人が合流を果たす約十分程前、真緒、サタニア、アーメイデの三人は薄暗い廊下を突き進んでいた。



 「薄暗いね……いったい何処に続いているんだろう?」



 「分からない……僕もこんな廊下があっただなんて、今の今まで知らなかったよ」



 アーメイデを牢屋から救出した後、三人は地下牢の扉から別の部屋へと向かおうとしていた。しかし扉を開けると、そこは見た事の無い薄暗い廊下であった。



 「気を付けなさい二人供、妙な気配を感じる……」



 「「妙な気配?」」



 「この廊下……いえ、空間が固定されているのを感じる……」



 二千年間、魔法について研究を重ねて来たアーメイデだからこそ、感じる事の出来る魔力の痕跡。



 「つまり……この廊下だけは、特定の扉からじゃないと、入れないという事ですか?」



 「空間の固定……そんな事が出来るのは……」



 「「「!!!」」」



 特定箇所の空間を固定する。そんな離れた芸当が出来るのは一人しかいない。三人は、一人の人物を頭に思い浮かべると歩きを走りに変えて先へと進んだ。すると、その突き当たりに入口と同じ位の大きさをした、巨大な扉が見えて来た。



 「まさかあそこが……!!」



 「エジタス……」



 「突入するよ!!」



 巨大な扉を発見した三人は、そのまま勢いを緩める事無く、巨大な扉を蹴破った。真緒とサタニア、二人の脚力が巨大な扉を見事に粉砕した。







***







 「いや~、良かった良かった。無事に辿り着いてくれたみたいですね~」



 新魔王城玉座の間。三人の目線の先、玉座の前には見慣れた人物が立っていた。いやらしく細みがかった目、口角を限界まで伸ばしたにやけた口、一度見たら忘れられない仮面を付けた人物が立っていた。



 「「「エジタス!!!」」」



 「どうせ会う事になるのだったら、勇者と魔王であるお二人が良いですからね~。ですが……約一名、余計なのが混じっている様ですが……」



 「…………」



 「どうやら、運良く真緒さんとサタニアさんに出会えた様ですね~。これを機に筋力も鍛えたらどうですか~?」



 「アドバイスをどうも……」



 エジタスの皮肉を込めた言葉に、アーメイデは一言述べると、眉間にシワを寄せて睨み付けた。



 「それで……念の為にお聞きしますが、皆さんは何しに来たのですか~?」



 「お願いします師匠!!どうか考え直して下さい!!」



 「自分とは違うから、皆惹かれ合うんだ。種族や個性が統一された世界なんて…………僕は嫌だよ」



 「成る程……アーメイデさんから聞きましたか……残念ですが、私の考えは揺るぎませ~ん」



 「師匠!!」



 「エジタス!!」



 真緒とサタニアの必死な想いは、エジタスには届かなかった。



 「それよりも見て下さいよ~。漸く完成したんですよ~」



 そう言うとエジタスは、三人に御披露目する様に、両手で指し示しながら玉座の前から少し横に移動した。エジタスが退いた事によって、玉座がより明確に見える様になった。



 「「「!!!」」」



 そんな玉座には、一人の女性が座っていた。麗しい黒いドレスに身を包み、頭にはワールドクラウンを被っていた。



 「クロウト!!」



 その女性はクロウトだった。クロウトの存在に気がついたサタニアは、大声で玉座に座るクロウトに向けて呼び掛ける。



 「……サタニア様?」



 「クロウト、大丈夫なの!?」



 「はい……私なら……この通り元気ですよ……」



 クロウトの目は虚ろで、そこに光は灯っていない。まるで感情の無い人形の様だった。



 「クロウト……エジタス、何をしたの!?」



 「何をしたって……人聞きの悪い……私は洗脳を施しただけですよ~。まぁ、只の洗脳では無いんですけどね~」



 洗脳の時点で只もへったくれも無いと思われるが、エジタスはクロウトの側へと歩み寄る。



 「クロウトさんクロウトさん」



 「……んっ……何でしょうか?」



 エジタスが声を掛けると、クロウトは少しムッとした表情を浮かべた。



 「実は、あなたに言っておきたい事があるのですよ~」



 「言っておきたい事……?」



 「その頭に被っているワールドクラウンの力を使って、種族の統一や個性の統一をしないで下さいね~。それをされると……私は非常に困ってしまうのですよ~」



 「「「えっ!?」」」



 エジタスのまさかの発言、人類統一を目論んでいた本人が、統一しないで欲しいと申し出たのだ。三人は、あまりの驚きに思わず声を上げてしまった。



 「…………いえ、お断りします。種族及び個性を統一させます……」



 「「「!!?」」」



 クロウトのまさかの返答に、今度は言葉にならない程に驚いた。



 「あぁ~、そんな~、止めて下さい!!人類統一なんて馬鹿げていますよ!!」



 「止めません、人類を統一します……」



 その瞬間、クロウトが被っているワールドクラウンが光を放ち始めた。



 「エ、エジタス!!これはいったいどう言う事なの!?」



 クロウトの異常な行動に、アーメイデがエジタスに向けて、声を荒げながら問い掛けた。



 「そんなに声を荒げなくても、ちゃんと教えてあげますよ~。クロウトさんには私のお願いに対して、反対の行動を取る様に洗脳しました」



 「反対の行動ですって……?」



 「人は誰でも、“やれ”と命令されたら素直に従いたくありません。それが嫌いな人物なら尚更ね。私の命令を忠実に実行する様に洗脳しても良かったのですが…………万が一、サタニアさんの声に反応して止めてしまったら、全てが水の泡ですからね。だからこうして、自主的に行動する様に洗脳したのですよ~」



 「そんな……クロウト!!エジタスの言う事を聞いちゃ駄目だよ!!」



 「はい、サタニア様。勿論そのつもりです。エジタスの言う事を聞かずに、人類を統一します……」



 「あっ!!えっと!!そ、そうじゃなくて……エジタスの言う事を聞いて……あれ?」



 自分で何を言っているのか、訳が分からなくなってしまったサタニア。頭が酷く混乱してしまった。



 「人類統一まで……三十分……」



 「そんな~、このままでは人類が統一されてしまう~。お願いですクロウトさん、人類統一を止めて下さい」



 「いえ……絶対に止めません……何があろうとも……人類は統一させます……」



 「…………という訳で、残り三十分で人類は統一されます。残念でしたね~」



 「ど、どうしましょう……?」



 ワールドクラウンは、より一層強い光を放ち始めた。



 「どうするも何も……止めるしかないでしょ!!」



 「種族や個性まで作り変えてしまうワールドクラウン……ワールドクラウンをあの子から取り外す事が出来れば、エジタスの計画を阻止出来る筈だよ!!」



 アーメイデの言葉と共に、武器を構えて戦闘体制に入る三人。



 「いいですね~。さぁ、始めましょうか……世界の平和を掛けた……ラストバトルを!!」
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