271 / 300
最終章 笑顔の絶えない世界
信じていれば
しおりを挟む
両腕を大砲に変形させたエジタスは、真緒とサタニアに、変形させた両腕を向ける。
「た、大砲!?」
「あ、あんなの形だけだよ!!本当に玉が出る筈が無い!!」
出る筈が無い。例え骨肉魔法が全てを可能とする魔法だとしても、大砲の様に鉄の玉を発射出来る筈が無い。真緒とサタニアの額から、緊張の汗が流れ落ちる。
「本当にそう思うか?」
「「!!?」」
すると、右腕の空洞の奥が赤く光輝き始める。そして次の瞬間、真緒とサタニア目掛けて赤く丸い物体が、勢い良く放たれた。
「避けて!!」
「……っ!!」
真緒の掛け声に反応して、真緒とサタニアの二人は咄嗟に避ける。放たれた赤く丸い物体は、そのまま壁に激突してめり込んだ。
「あ、あれって……」
「肉の……塊!?」
二人が振り返ると、壁には赤い血が滴る肉の塊がめり込んでいた。
「確かに鉄の玉は発射出来ない……だが、体内の肉を凝縮させて発射すれば、鉄の玉に酷似した物……もしくはそれ以上の物にして、発射させる事が出来るのさ」
「体内の肉を……鉄の玉の代わりにした……?」
「本当に……全てを可能とする魔法の様だね……」
これで実質、剣VS大砲の構図が出来上がってしまった。禁じられた魔法に対して、上手く立ち回れると感じた矢先、二人は再び窮地に立たされる結果となった。
「それじゃあ、どんどん行くぞ!!」
「「!!!」」
すると右腕の奥の空洞が、再び赤く光輝き始める。そして、先程と同様に凝縮された肉の塊が発射された。
「「…………っ!!」」
真緒とサタニアは、迫り来る肉の塊に対してそれぞれが、左右に分かれて回避した。
「まだだ!!」
続けざまにエジタスは、右側に避けたサタニア目掛けて肉の塊を発射した。
「残念だけど、もう見切ったよ!!」
するとサタニアは、迫り来る肉の塊を容易く避けて見せた。
「隙ありです!!」
「…………」
肉の塊が発射されたと同時に、左側に避けた真緒が飛び出し、エジタス目掛けて剣で斬り掛かる。するとエジタスは、左腕を迫り来る真緒に向けた。次の瞬間、左腕の空洞の奥が白く光輝き始める。そして、白く丸い物体が放たれた。
「サタニアの言う通り、もう見切りました!!その攻撃、威力は高い様ですが今までの攻撃に比べれば、かなり遅い……簡単に避けられます!!」
そう言うと、真緒もサタニアの時と同じ様に、迫り来る白く丸い物体を容易く避けて見せた。そして、隙の出来たエジタス目掛けて剣を振り上げる。
「はぁあああああ!!!」
「…………この俺が、何の対策もしてないと思っているのか?」
「!!?」
その時、放たれた白く丸い物体が壁にぶつかった。その瞬間、白く丸い物体は弾け飛び、いくつもの白い突起物が真緒の背中に突き刺さった。
「マオ!!!」
「が……ぁああ……!!?」
「……骨肉魔法は全てを可能とする……俺が操れるのは肉だけじゃない……骨も同様に操れるのさ」
「「骨!?」」
エジタスの左腕から放たれた白く丸い物体は、体内の骨が凝縮された物だった。肉と違って、骨は上手く凝縮されない。それを無理矢理凝縮させて放つ。放たれた骨の塊に、外部から衝撃を与える事で、風船が破裂する様に凝縮された骨が一斉に弾け飛ぶ仕組みである。その弾け飛んだ骨の一部が、真緒の背中に刺さったのだ。
「残念だが、骨肉魔法は無敵だ」
「「…………」」
威力のある肉の塊と、弾け飛ぶ骨の塊。二つの塊を自在に操る事で、エジタスは無敵になった。単に避けるだけでは、先程の様に痛手を負ってしまう。
「“ブラックファンタジア”」
「!!!」
サタニアが魔法を唱えると、エジタスを囲う様に無数の黒い玉が生成された。黒い玉は、まるで踊っているかの様にエジタスを中心に、上下に揺れながら回り始めた。
「そっちが遠距離なら、こっちも遠距離で対応するだけだ!!」
「成る程……だが、そちらのマオ……“さん”は遠距離攻撃が扱えないと、記憶しているが?」
「…………」
真緒、最大の弱点。これまでの旅で、様々なスキルや魔法を扱える様になった真緒。しかし、それらはどれも近距離専用の攻撃、良くても中距離が限界であった。とても遠距離とは言い難い。
「だとしても……僕がマオの代わりに遠距離攻撃を仕掛ける!!」
エジタスを囲んでいた無数の黒い玉が、一斉に襲い掛かる。エジタスは避ける素振りも見せず、立ち尽くしていた。そして、無数の黒い玉がエジタスに全弾命中する。当たった衝撃で、黒い煙が立ち込める。
「どうなった!?」
「…………!!サタニア!!避けて!!」
「!!?」
黒い煙が立ち込める中、突如煙の中から巨大な肉の塊が飛んで来た。
「げぼっ!!!」
「サタニア!!」
反応が遅れ、飛んで来た肉の塊をまともに食らってしまったサタニア。勢いのまま、肉の塊と供に壁に激突した。
「ど、ど……うして……?」
「遠距離攻撃……確かに良い手だ……特に“ブラックファンタジア”の様な、回避が不可能な魔法は有効だ。だがな……さっきも言った通り……」
立ち込めていた黒い煙が、徐々に晴れていく。それによって、エジタスの状態も明らかとなる。
「……俺が何の対策もしていないと思っているのか?」
「「!!!」」
エジタスの全身は、白い鎧に覆われていた。白い鎧、それは紛れもない骨だった。骨を鎧の様に着込んでいた。それにより、エジタスは全く傷を負っていなかった。
「骨自体に痛覚は存在しない……痛みを感じる骨膜さえ取り除いてしまえば、それなりの鎧に早変わり……という訳だ」
一説によれば、骨は強化プラスチックに匹敵すると言われている。また、普通の鎧と違って非常に軽い。結果エジタスは、軽くて硬い鎧を身に付けているという事となる。
「そんな……遠距離でも……駄目だなんて……」
「くそっ!!」
真緒は歯を食い縛り、持っていた純白の剣を握り直すと、一心不乱にエジタス目掛けて走り出した。
「だ、駄目だマオ……闇雲に行っちゃ……」
「そう言う事だ……好奇心は猫を殺す……いくら俺が変わっているからって、やたらめったら攻撃を仕掛けるのは、得策とは言えないぞ?」
そう言いながらエジタスは、右腕、左腕の両方を、迫り来る真緒に向ける。すると、右腕の空洞と左腕の空洞のそれぞれが赤、白と光輝き始める。そして次の瞬間、右腕からは肉の塊、左腕からは骨の塊が発射される。
「当たっても傷を負う。避けても傷を負う。どっちに転んでも、俺の勝利は確実だ!!」
「本当にそうかな?」
「「「!!?」」」
三人とは別の声が聞こえる。声のした方向に目線を向けると、そこにはハナコ、リーマ、フォルスの三人が立っていた。
「み、皆!!?」
「マオぢゃん!!助太刀に来だだよぉ!!」
「その二つの玉は俺達に任せて、お前は前だけ見てろ!!」
「皆……ありがとう!!」
真緒は、助太刀に来てくれた三人を信頼して、迫り来る肉の塊と骨の塊をそれぞれ避けた。真緒を通り過ぎた二つの玉はハナコ、リーマ、フォルスの元へと飛んで行く。
「行くだよぉ!!スキル“鋼鉄化”!!」
「“ウォーターボール”!!」
すると、ハナコは全身を鋼鉄に変化させて、迫り来る肉の塊を受け止めた。対してリーマは、巨大な水の塊を生成して迫り来る骨の塊を、優しく包み受け止めた。
「ごの位の攻撃だっだら、オラでも受げ止められるだぁ」
「衝撃を与えると弾けてしまう……それなら、衝撃を与えずに受け止めてしまえば、問題ありませんね」
ハナコとリーマは、余裕の笑みを見せながら二つの玉を持ち上げる。
「う、受け止めただと……下手を打てば自身が死ぬかもしれないのに……何故、そんな博打みたいな真似が出来るんだ…………?」
「信じているからです」
「…………何だと?」
気が付くと、真緒が近くまで迫って来ていた。
「友達を……仲間を……信じているからこそ、体を張って動く事が出来る……信じていれば、いつか必ず願いは叶う!!私が……私が必ず師匠を止めて見せます!!」
そう言うと真緒は、走りながら跳び上がり、エジタス目掛けて剣を振り上げる。
「…………」
エジタスは理解出来なかった。信頼、それはエジタスに欠落している感情の一つだった。最も信じていた家族に裏切られたエジタスにとって、信頼という言葉は未知の言語に等しい。またエジタスは真緒の言葉、その中のある言葉に激しい怒りを覚えた。
“信じていれば、いつか必ず願いは叶う!!”
「ふ……ふ……ふざけるなぁああああああああああああああああ!!!」
「!!?」
その瞬間、エジタスは真緒に向けて大きく胸を張った。すると、胸の中心が盛り上がり大砲の様な形状に変形した。第三の大砲である。
「(“信じていれば、いつか必ず願いは叶う!!”だと!!?それじゃあ、ババァの……誰よりも世界の平和を信じていたババァの……いつか必ず笑顔の絶えない世界が訪れると信じていたババァの願いは……何故叶わなかったぁああああああああああああああああ!!!)」
胸に出来た大砲の空洞の奥が、黒く光輝き始める。その輝きは、今までの輝きと比べ物にならなかった。
「肉と骨を掛け合わせたミックスだ!!この玉は、正真正銘誰にも受け止められ無いぞ!!」
「マオぢゃん!!」
「マオさん!!」
「!!!」
空中を跳んでしまった真緒には、避ける術が無い。手詰まり。真緒は死を覚悟した。
「おいおい、諦めるのは早過ぎるんじゃないか?」
「フォ、フォルスさん!?」
その時、空中に飛び上がっていたフォルスが、エジタスの胸に出来た大砲目掛けて矢を放った。放たれた矢は、大砲から玉が発射される直前に、空洞の中へと入り込んだ。
「ぐっ!!?」
エジタスは、フォルスの矢が大砲の中に入り込んだのを確認すると、慌てて発射を中止した。今、玉を発射してしまえば暴発する危険性がある。ハナコやリーマの様に、博打みたいな真似は出来なかった。
「今だ!!叩き込め!!」
「し、しまった!!!」
「はぁあああああ!!!スキル“ロストブレイク”!!」
発射を中止した事で、隙が生まれた。真緒は勢い良く、エジタスの頭目掛けて渾身のスキルを叩き込むのであった。
「た、大砲!?」
「あ、あんなの形だけだよ!!本当に玉が出る筈が無い!!」
出る筈が無い。例え骨肉魔法が全てを可能とする魔法だとしても、大砲の様に鉄の玉を発射出来る筈が無い。真緒とサタニアの額から、緊張の汗が流れ落ちる。
「本当にそう思うか?」
「「!!?」」
すると、右腕の空洞の奥が赤く光輝き始める。そして次の瞬間、真緒とサタニア目掛けて赤く丸い物体が、勢い良く放たれた。
「避けて!!」
「……っ!!」
真緒の掛け声に反応して、真緒とサタニアの二人は咄嗟に避ける。放たれた赤く丸い物体は、そのまま壁に激突してめり込んだ。
「あ、あれって……」
「肉の……塊!?」
二人が振り返ると、壁には赤い血が滴る肉の塊がめり込んでいた。
「確かに鉄の玉は発射出来ない……だが、体内の肉を凝縮させて発射すれば、鉄の玉に酷似した物……もしくはそれ以上の物にして、発射させる事が出来るのさ」
「体内の肉を……鉄の玉の代わりにした……?」
「本当に……全てを可能とする魔法の様だね……」
これで実質、剣VS大砲の構図が出来上がってしまった。禁じられた魔法に対して、上手く立ち回れると感じた矢先、二人は再び窮地に立たされる結果となった。
「それじゃあ、どんどん行くぞ!!」
「「!!!」」
すると右腕の奥の空洞が、再び赤く光輝き始める。そして、先程と同様に凝縮された肉の塊が発射された。
「「…………っ!!」」
真緒とサタニアは、迫り来る肉の塊に対してそれぞれが、左右に分かれて回避した。
「まだだ!!」
続けざまにエジタスは、右側に避けたサタニア目掛けて肉の塊を発射した。
「残念だけど、もう見切ったよ!!」
するとサタニアは、迫り来る肉の塊を容易く避けて見せた。
「隙ありです!!」
「…………」
肉の塊が発射されたと同時に、左側に避けた真緒が飛び出し、エジタス目掛けて剣で斬り掛かる。するとエジタスは、左腕を迫り来る真緒に向けた。次の瞬間、左腕の空洞の奥が白く光輝き始める。そして、白く丸い物体が放たれた。
「サタニアの言う通り、もう見切りました!!その攻撃、威力は高い様ですが今までの攻撃に比べれば、かなり遅い……簡単に避けられます!!」
そう言うと、真緒もサタニアの時と同じ様に、迫り来る白く丸い物体を容易く避けて見せた。そして、隙の出来たエジタス目掛けて剣を振り上げる。
「はぁあああああ!!!」
「…………この俺が、何の対策もしてないと思っているのか?」
「!!?」
その時、放たれた白く丸い物体が壁にぶつかった。その瞬間、白く丸い物体は弾け飛び、いくつもの白い突起物が真緒の背中に突き刺さった。
「マオ!!!」
「が……ぁああ……!!?」
「……骨肉魔法は全てを可能とする……俺が操れるのは肉だけじゃない……骨も同様に操れるのさ」
「「骨!?」」
エジタスの左腕から放たれた白く丸い物体は、体内の骨が凝縮された物だった。肉と違って、骨は上手く凝縮されない。それを無理矢理凝縮させて放つ。放たれた骨の塊に、外部から衝撃を与える事で、風船が破裂する様に凝縮された骨が一斉に弾け飛ぶ仕組みである。その弾け飛んだ骨の一部が、真緒の背中に刺さったのだ。
「残念だが、骨肉魔法は無敵だ」
「「…………」」
威力のある肉の塊と、弾け飛ぶ骨の塊。二つの塊を自在に操る事で、エジタスは無敵になった。単に避けるだけでは、先程の様に痛手を負ってしまう。
「“ブラックファンタジア”」
「!!!」
サタニアが魔法を唱えると、エジタスを囲う様に無数の黒い玉が生成された。黒い玉は、まるで踊っているかの様にエジタスを中心に、上下に揺れながら回り始めた。
「そっちが遠距離なら、こっちも遠距離で対応するだけだ!!」
「成る程……だが、そちらのマオ……“さん”は遠距離攻撃が扱えないと、記憶しているが?」
「…………」
真緒、最大の弱点。これまでの旅で、様々なスキルや魔法を扱える様になった真緒。しかし、それらはどれも近距離専用の攻撃、良くても中距離が限界であった。とても遠距離とは言い難い。
「だとしても……僕がマオの代わりに遠距離攻撃を仕掛ける!!」
エジタスを囲んでいた無数の黒い玉が、一斉に襲い掛かる。エジタスは避ける素振りも見せず、立ち尽くしていた。そして、無数の黒い玉がエジタスに全弾命中する。当たった衝撃で、黒い煙が立ち込める。
「どうなった!?」
「…………!!サタニア!!避けて!!」
「!!?」
黒い煙が立ち込める中、突如煙の中から巨大な肉の塊が飛んで来た。
「げぼっ!!!」
「サタニア!!」
反応が遅れ、飛んで来た肉の塊をまともに食らってしまったサタニア。勢いのまま、肉の塊と供に壁に激突した。
「ど、ど……うして……?」
「遠距離攻撃……確かに良い手だ……特に“ブラックファンタジア”の様な、回避が不可能な魔法は有効だ。だがな……さっきも言った通り……」
立ち込めていた黒い煙が、徐々に晴れていく。それによって、エジタスの状態も明らかとなる。
「……俺が何の対策もしていないと思っているのか?」
「「!!!」」
エジタスの全身は、白い鎧に覆われていた。白い鎧、それは紛れもない骨だった。骨を鎧の様に着込んでいた。それにより、エジタスは全く傷を負っていなかった。
「骨自体に痛覚は存在しない……痛みを感じる骨膜さえ取り除いてしまえば、それなりの鎧に早変わり……という訳だ」
一説によれば、骨は強化プラスチックに匹敵すると言われている。また、普通の鎧と違って非常に軽い。結果エジタスは、軽くて硬い鎧を身に付けているという事となる。
「そんな……遠距離でも……駄目だなんて……」
「くそっ!!」
真緒は歯を食い縛り、持っていた純白の剣を握り直すと、一心不乱にエジタス目掛けて走り出した。
「だ、駄目だマオ……闇雲に行っちゃ……」
「そう言う事だ……好奇心は猫を殺す……いくら俺が変わっているからって、やたらめったら攻撃を仕掛けるのは、得策とは言えないぞ?」
そう言いながらエジタスは、右腕、左腕の両方を、迫り来る真緒に向ける。すると、右腕の空洞と左腕の空洞のそれぞれが赤、白と光輝き始める。そして次の瞬間、右腕からは肉の塊、左腕からは骨の塊が発射される。
「当たっても傷を負う。避けても傷を負う。どっちに転んでも、俺の勝利は確実だ!!」
「本当にそうかな?」
「「「!!?」」」
三人とは別の声が聞こえる。声のした方向に目線を向けると、そこにはハナコ、リーマ、フォルスの三人が立っていた。
「み、皆!!?」
「マオぢゃん!!助太刀に来だだよぉ!!」
「その二つの玉は俺達に任せて、お前は前だけ見てろ!!」
「皆……ありがとう!!」
真緒は、助太刀に来てくれた三人を信頼して、迫り来る肉の塊と骨の塊をそれぞれ避けた。真緒を通り過ぎた二つの玉はハナコ、リーマ、フォルスの元へと飛んで行く。
「行くだよぉ!!スキル“鋼鉄化”!!」
「“ウォーターボール”!!」
すると、ハナコは全身を鋼鉄に変化させて、迫り来る肉の塊を受け止めた。対してリーマは、巨大な水の塊を生成して迫り来る骨の塊を、優しく包み受け止めた。
「ごの位の攻撃だっだら、オラでも受げ止められるだぁ」
「衝撃を与えると弾けてしまう……それなら、衝撃を与えずに受け止めてしまえば、問題ありませんね」
ハナコとリーマは、余裕の笑みを見せながら二つの玉を持ち上げる。
「う、受け止めただと……下手を打てば自身が死ぬかもしれないのに……何故、そんな博打みたいな真似が出来るんだ…………?」
「信じているからです」
「…………何だと?」
気が付くと、真緒が近くまで迫って来ていた。
「友達を……仲間を……信じているからこそ、体を張って動く事が出来る……信じていれば、いつか必ず願いは叶う!!私が……私が必ず師匠を止めて見せます!!」
そう言うと真緒は、走りながら跳び上がり、エジタス目掛けて剣を振り上げる。
「…………」
エジタスは理解出来なかった。信頼、それはエジタスに欠落している感情の一つだった。最も信じていた家族に裏切られたエジタスにとって、信頼という言葉は未知の言語に等しい。またエジタスは真緒の言葉、その中のある言葉に激しい怒りを覚えた。
“信じていれば、いつか必ず願いは叶う!!”
「ふ……ふ……ふざけるなぁああああああああああああああああ!!!」
「!!?」
その瞬間、エジタスは真緒に向けて大きく胸を張った。すると、胸の中心が盛り上がり大砲の様な形状に変形した。第三の大砲である。
「(“信じていれば、いつか必ず願いは叶う!!”だと!!?それじゃあ、ババァの……誰よりも世界の平和を信じていたババァの……いつか必ず笑顔の絶えない世界が訪れると信じていたババァの願いは……何故叶わなかったぁああああああああああああああああ!!!)」
胸に出来た大砲の空洞の奥が、黒く光輝き始める。その輝きは、今までの輝きと比べ物にならなかった。
「肉と骨を掛け合わせたミックスだ!!この玉は、正真正銘誰にも受け止められ無いぞ!!」
「マオぢゃん!!」
「マオさん!!」
「!!!」
空中を跳んでしまった真緒には、避ける術が無い。手詰まり。真緒は死を覚悟した。
「おいおい、諦めるのは早過ぎるんじゃないか?」
「フォ、フォルスさん!?」
その時、空中に飛び上がっていたフォルスが、エジタスの胸に出来た大砲目掛けて矢を放った。放たれた矢は、大砲から玉が発射される直前に、空洞の中へと入り込んだ。
「ぐっ!!?」
エジタスは、フォルスの矢が大砲の中に入り込んだのを確認すると、慌てて発射を中止した。今、玉を発射してしまえば暴発する危険性がある。ハナコやリーマの様に、博打みたいな真似は出来なかった。
「今だ!!叩き込め!!」
「し、しまった!!!」
「はぁあああああ!!!スキル“ロストブレイク”!!」
発射を中止した事で、隙が生まれた。真緒は勢い良く、エジタスの頭目掛けて渾身のスキルを叩き込むのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる