笑顔の絶えない世界 season2 ~道楽の道化師の遺産~

マーキ・ヘイト

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第一章 新たなる旅立ち

真緒パーティー VS ヘッラアーデ13支部

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 「な、何を言っているんですか……? 私の名前はサトウマオじゃ無くて、ソルトです……」



 「あらあら、言い訳とは見苦しいですよ。こちらには、あなたがサトウマオだという事を証明する人物がいます……ほら、出て来なさい」



 「「…………」」



 ずっと隠れていたのだろう。ノーフェイスの後ろから、二人の人物が前に出て来た。



 「そ、そんな……どうして……」



 それはあまりにも信じがたい光景だった。目の前に現れた二人の人物に、真緒は驚きの表情を隠せなかった。



 「“ジョージ”おじさん、“マクラノ”おばさん…………」



 そこに現れたのは、ジョージおじさんとマクラノおばさんの二人だった。二人供、いつものタキシードやエプロン姿では無く、エイリスと同じ修道服を着ていた。



 「マオちゃん……残念だよ……君が大人しく仲介役を続けていれば、こんな事にはならなかったのに……」



 「これ以上、あたし達の心の拠り所を奪わないでおくれ」



 「ジョージおじさん……マクラノおばさん……」



 「……あなたはエジタス様を殺した……それによって大勢の人達が絶望に苛まれた……その内の二人がここにいるジョージとマクラノ……二人は本部から派遣された人材として、ずっとあなたの監視を命じていたのよ……サトウマオ……」



 「そんな……嘘……」



 部屋の扉で盗み見ていたのは、ジョージとマクラノの二人だった。そんな事実を受け止められず、真緒は床に膝を付いた。



 「大罪人サトウマオ……あなたの悪行もここまで……エジタス様の仇……取らせて頂きます……あら?」



 その時、斜め上からエイリス目掛けて鋭い矢が放たれた。しかし、当たる直前にノーフェイスが片手で上手にキャッチした。



 「マオ!! 早く起き上がれ!! ここから脱出するぞ!!」



 「フォルスさん……」



 見上げると、いつの間にか変化の指輪を外し、元の姿に戻っていたフォルスが高く舞い上がり、上空からエイリスを攻撃していた。



 「行きましょうマオさん。バレてしまった以上、仕方がありません。取り敢えず今は、ここから逃げ切る事を考えましょう」



 「リーマ……」



 「スキル“インパクト・ベア”!!」



 「「「「「「ぐぁああああああああああ!!!」」」」」」



 「逃げ道を確保じだだぁ!! マオぢゃん、行ごう!!」



 フォルスと同じく指輪を外し、元の姿に戻ったリーマに抱き起こされる中、同じく指輪を外し、元の姿に戻ったハナコが教団員達をスキルで吹き飛ばし、逃げ道を確保した。



 「ハナちゃん……うん、分かったよ!! 行こう!!」



 真緒は指輪を外し、元の姿に戻るとハナコ、リーマ、フォルスの三人と一緒に走り出した。



 「逃がすな!! 追え!! このヘッラアーデ13支部から、生きて帰すな!!」



 逃げ去る真緒達を追う様に、ジンクス司教が声を荒げながら教団員達に指示を出した。すると一斉に教団員達は、真緒達の後を追い掛け始める。その後に続き、ジンクス司教も追い掛け始めた。



 「ソルトさん、ハラコさん、マリーさん、ルフォスさん……信じていたのに……信じていたのに……」



 そんな様子を悲しそうな表情で見つめるヴォイス団長。他の教団員達の様に、後を追い掛けたりはしなかった。



 「あらあら、若い方は元気があって羨ましいですね」



 「そうですね……」



 「それでは大司教様、そろそろあたし達は本部の方へと戻らせて頂きます」



 「あらそう……気を付けて帰ってね」



 エイリスが別れの言葉を告げると、ジョージとマクラノは軽く会釈を済まして、その場を離れて行った。



 「……あぁ……やっと始まるのね……エジタス……お姉ちゃんが迎えに行くからね……もう少しの辛抱よ……」



 そう言いながらエイリスは、手元にある日記を優しく撫でる。そこには、深い愛情が感じられた。



 「…………ノーフェイス」



 エイリスの言葉に反応して、ノーフェイスは一歩前に出る。



 「……行きなさい……大罪人に相応しい裁きを下すのよ」



 その瞬間、ノーフェイスの姿が消える。目にも止まらぬ速さで、真緒達の後を追い掛けて行くのだった。







***







 「スキル“乱激斬”!!」



 「「「ぐわぁあああああ!!!」」」



 真緒は、目にも止まらぬ斬激を繰り出す。行く手を遮る教団員達が、次々と倒れていく。



 「死ね!! サトウマオ!!」



 「マオぢゃん、危ない!! スキル“鋼鉄化(腕)”!!」



 真緒に斬り掛かろうと、背後から攻撃を繰り出す教団員。そんな教団員の一撃をハナコが鋼鉄化させた右腕で防ぎ、そのまま鋼鉄化させた左腕で殴り飛ばした。



 「ありがとうハナちゃん!!」



 「無事で良がっだだぁ」



 「「「死ねぇえええええ!!!」」」



 助かった事に安堵していると、三人の教団員達が真緒とハナコの二人に、襲い掛かって来た。



 「貫け!! “ブースト”!!」



 「「「がはぁ!!!」」」



 その直後、フォルスから放たれた矢が加速して、三人の教団員達の横腹を貫いた。



 「フォルスさん!!」



 「油断するな!!」



 「「はい!!」」



 気を引き締め直し、周りを取り囲む教団員達を対処する真緒とハナコ。一方フォルスは、上空から真緒達を援護する。



 「この魔法使い野郎!! 死ねぇえええええ!!」



 「“スネークフレイム”!!」



 リーマの魔導書から、炎で形成された蛇が生み出され、教団員目掛けて放たれる。



 「ぐわぁあああああ!!!」



 炎の蛇を食らい、全身が燃え上がる。



 「魔法使い野郎じゃありません!! 私にはリーマって名前があるんです!!」



 「死ね!! 魔法使い野郎!!」



 「だから……魔法使い野郎じゃ無いって言ってるでしょうが!! “ウインドカッター”!!」



 リーマの魔導書から、目に見えない風の刃が生み出され、教団員目掛けて放たれた。



 「ぎゃあああああ!!!」



 「次から次へと……切りが無いです……それなら……皆さん、今から広範囲の魔法を放ちます!!」



 「リーマ……分かったよ!!」



 リーマの言葉に、三人は一斉にその場から離れた。



 「馬鹿な奴だ。この大人数に対して、一人になりやがった。絶好の機会だ、畳み掛けろ!!」



 「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」



 一人になったリーマを狙い、大勢の教団員達が一気に押し寄せる。



 「全てを焼き尽くせ“フレイムテンペスト”!!!」



 風と炎、二つの魔法が混じり合い部屋全体に炎を纏った巨大な炎の嵐が巻き起こった。



 「「「「「「ぐわぁああああああああああああああああ!!!」」」」」」



 巨大な炎の嵐に巻き込まれ、教団員達が次々と吹き飛ばされていく。



 「よし!! 今の内だ!!」



 リーマが放った魔法のお陰で、教団員の人数が減り、再び逃げ道を確保する事が出来た。勢いのまま、真緒達は脱出しようとする。



 「待て!! そこまでだ!!」



 「……ジンクス司教」



 しかしその行く手には、鋭く尖らせた爪を構えるジンクス司教が待ち構えていた。



 「すみませんが、そこを退いて下さい……」



 「そうはいかない。お前達はエジタス様の仇だ。ここで死んで貰う!!」



 そう言うとジンクス司教は、爪を立てながら真緒に勢い良く襲い掛かる。



 「くっ……はぁあああ!!!」



 襲い掛かるジンクス司教の爪を、真緒は純白の剣で弾き返す。



 「やるな……だが、これならどうだ!?」



 するとジンクス司教は四つん這いになり、まるで獣の様に動き始めた。



 「速い!!」



 「死ねぇえええええ!!!」



 「…………でも」



 俊敏に動くジンクス司教。真緒の背後に回り込み、死角から襲い掛かる。しかしその時、真緒の持つ純白の剣が光輝いているのに、ジンクス司教は気付かなかった。



 「そこだ!! スキル“ロストブレイク”!!」



 「な、何だと!!? がはぁ!!!」



 真緒は振り返り、襲い掛かるジンクス司教目掛けて、強烈な一撃を叩き込んだ。勢い良く吹き飛ばされ、倒れるジンクス司教。



 「……師匠の方が圧倒的に速いです」



 「くそっ……こんな……こんな筈では……まだ……まだ俺はやれるぞ……」



 満身創痍になりながらも、ジンクス司教はゆっくりと立ち上がる。



 「行くぞマオ。もう戦う意味は無い」



 「……そうですね……」



 哀れむ様な眼差しで、ジンクス司教を見る真緒達は、そのままヘッラアーデ13支部から脱出しようとする。



 「ぐわぁあああああ!!!」



 「「「「!!?」」」」



 しかし次の瞬間、背後からジンクス司教の悲鳴が上がる。真緒達は、慌てて振り返る。



 「ど……うし……て……」



 倒れるジンクス司教。その後ろには、返り血で真っ赤に染め上がったノーフェイスの姿があった。右手に握られた剣が、血で怪しく輝いていた。



 「おいおい、嘘だろ……仲間じゃ無いのかよ……」



 「今までの相手とは、明らかに違いますね。まるで殺意を感じません……」



 「震えが止まらないだぁ……」



 「皆、逃げるよ!!」



 真緒の掛け声と同時に、一斉に走り出した。しかし、ノーフェイスはその場から動かず、追い掛けようとはしない。



 「……お、追い掛けて来ない?」



 そう思った矢先、ノーフェイスは一瞬で真緒達との距離を縮めた。明らかに、人間の動きを凌駕していた。



 「し、しまった!!」



 「マオぢゃん!!」



 「マオさん!!」



 「マオ!!」



 追い掛けて来ないという安心と、一瞬で距離を縮められた驚きが、真緒の動きを遅らせてしまった。振り返るよりも早く、ノーフェイスの鋭い斬激が真緒目掛けて襲い掛かる。



 「(や、殺られる!!)」



 死を覚悟した。真緒は目を瞑り、痛みが来るのを待った。しかし、いつまで経っても痛みは来なかった。恐る恐る目を開けると…………。



 「ふぅ……何とか間に合ったね」



 「えっ……どうしてここに……?」



 そこには、ノーフェイスの剣を受け止める者がいた。



 「待たせたね……マオ!!」



 「「「「サタニア!!?」」」」



 サタニア・クラウン・ヘラトス三世。勇者の真緒と同じ位、エジタスの事を心の底から愛していた魔王である。
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