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第二章 冒険編 不治の村
酔い潰れている男性
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「あのー、すみませーん……」
“不治の村”に足を踏み入れる為、真緒達は“不治の村”からまともに帰って来たとされる、酒場の端っこのテーブルで酔い潰れている男性の下へと歩み寄り、恐る恐る声を掛ける。
「…………」
「「「…………」」」
しかし、酔い潰れている男性は真緒の呼び掛けに全く反応を示さなかった。
「寝ている……?」
「まぁ、これだけ酒を飲んでいたら……ね……」
「だが、寝ているからと言って起こさない訳にはいかない。俺達にも俺達の事情がある」
「そうですね……ちょっと強引ですけど……すみませーん!! 起きて下さーい!!」
真緒は酔い潰れている男性の両肩を掴み、勢い良く揺らし始めた。
「ぐわぁ!!? な、何だ!? 地震か!?」
体全体を無理矢理揺り動かされた事で、酔い潰れていた男性も目を覚まし、寝惚けながら慌てて立ち上がる。
「うわっ!! 酒臭い!!」
慌てて立ち上がった男性の体や口からは、強烈な酒の臭いが漂って来た。そのあまりの臭さに、思わず声に出してしまう真緒達。
「……あぁ? 地震じゃねぇのか……気持ち良く寝てたのに……台無しじゃねぇか。また酒を補充しないとな……」
まだ状況が飲み込めていないのか。真緒の呼び掛けを無視して、再び座り直して酒ビンを手に取ると、ワイルドに直で飲み始めた。
「えっ、ちょっとすみません!?」
「ぷはぁー!! あぁ? 誰だあんたら?」
目を覚ましたばかりにも関わらず、いきなり酒を飲み始めた男性に、真緒が慌てて声を掛ける。すると、漸く真緒達の存在に気が付いた。
「す、すみません、急に起こしてしまって……実はお聞きしたい事がありまして……」
「あんたらか!? 人が気持ち良く寝ているのに叩き起こしたのは!!?」
「す、すみません!!」
「…………まぁ、良い。過ぎた事は“酒”に流す。それで? この飲んだくれのおっさんに何を聞きたいんだ?」
“水”に流すという言葉を、わざわざ“酒”に流すと置き換えて話す。相当な酒好きだというのが見て取れた。男性は酒を飲みながら、真緒の話を聞き始める。
「あ、あの実は私達、町からずっと西にある“不治の村”という場所に行きたいんですけど……」
「…………」
真緒の口から“不治の村”という言葉が出た瞬間、酒を飲んでいた男性の口が止まった。飲む口が止まったせいで、ビンから流れ出る酒は男性の顔に掛かる。
「…………」
「「「…………」」」
沈黙が流れる。飲んでいた酒が底を突くと、男性はゆっくりと酒ビンをテーブルの上に置いた。
「“不治の村”か……」
「はい、あなただけが“不治の村”からまともに帰って来れたと、店主から聞きました」
「……口は災いの元だな……酔った勢いで話すんじゃ無かった……」
男性は両手で頭を抱える。
「お願いです。私達どうしても“不治の村”に行かなければならないんです!!」
「どうしても……か……その理由は話せるのか?」
「そ、それは……」
男性の問いに、口を閉ざす真緒。説明するのは簡単だが、下手に情報を漏らしてヘッラアーデ以外の敵を増やす訳にはいかない。
「……分かった。教えようじゃないか、“不治の村”への入り方を」
「ほ、本当ですか!?」
「あぁ、事情があるみたいだからな……無理矢理聞くのは野暮ってもんだ」
「ありがとうございま……「但し!!」……え?」
お礼を述べようとした真緒に、男性が口を挟んで来た。
「俺と勝負して勝ったら、“不治の村”への入り方を教えてやるよ」
「勝負……ですか?」
「あぁ、勝負方法は一対一のガチンコバトルだ」
「ちょ、ちょっと待って下さい!! 一度皆と相談してもいいですか?」
「いいぜ。決まるまで、俺は酒を飲んでるからよ」
そう言うと男性は、まだ蓋を開けていない酒ビンを取り出して、勢い良く直で飲み始めた。男性の厚意に甘えて、真緒は側にいるリーマとフォルスに相談する。
「ど、どうする?」
「どうするも何も、勝負して勝ってしまえば良いんですよ」
「勝負して勝てば、“不治の村”への入り方を教えてくれると言うのだから、勝つ以外に方法は無い」
「勝てるでしょうか……」
「何言っているんですか。マオさんは、あの“魔王”と互角に渡り合ったんですよ? 負ける方が難しいですよ」
「リーマの言う通りだ。もっと自信を持て。慎重過ぎるのは、お前の悪い癖だぞ」
「そ、そうですかね……分かりました。勝負して勝ちます!!」
「うん、その意気だ」
「マオさん、軽く捻ってやりましょう」
仲間達に押されて、真緒は意気揚々と酒を飲んでいる男性との勝負を受ける。
「お待たせしました。その勝負、受けましょう」
「おっ、そう来なくっちゃなぁ。場所は……店の外でやるとするか」
そう言って男性は席を立ち上がる。
「おとと!!?……危ない危ない、ちょっと酔い過ぎたか?」
しかしその直後、酔いが回って来た事により、その場で転びそうになるも、驚異的なバランス感覚で持ち直す。
「これは楽勝ですね。見て下さい、あの千鳥足」
「酒を飲んで判断力が鈍っている今日、勝負するとは……マオの事を只の女性と侮っているな」
千鳥足で酒場を出る男性。真緒達はその様子に勝利を確信しながら、後を追い掛ける。因みに、ハナコはこの間もずっと出された三品の料理を食べ続けていた。
***
「うぃー、ここでいいかな? よし、それじゃあサクッと終わらせるか」
外に出た男性と真緒達。すると男性は酒場の前の通り道で、ストレッチを開始する。
「えっ、ここで戦うんですか?」
そこそこ人が通る道のど真ん中での戦闘に、真緒は驚きを隠せなかった。
「ん、何か問題か?」
「いや、他の人まで巻き込んでしまいますよ!!?」
「そうでも無いさ。ほら、見てみろ」
「…………?」
男性が顎を動かし、真緒の視線を促す。真緒が男性の向けた方向に視線を向ける。するとそこには…………
「おっ、何だ何だ? “今日”は誰と誰の喧嘩だ?」
「おい皆見ろよ!! 今日はあの“酒乱のショウ”が戦うぞ!!」
「マジか!!? 相手は!? 相手は誰だよ!?」
「女の子だよ。可愛い女の子だ」
「嘘、マジで!? 本当だ……あちゃー、こりゃ早く終わるかもしれないな……」
「私、女の子の方を応援する!!」
「俺も俺も!! おまえはどうする?」
「勿論、ショウに決まっているだろ? この西の大陸で五本指に入る実力者……あんな小娘に負ける訳がねぇよ」
通りを行き交う人々が足を止めて、真緒達の勝負を見学しようと人集りが出来ていた。
「な、何ですかこの集まりは?」
「あんたら、この町に来たのは初めてだろう? この町には東の大陸、西の大陸、二つの大陸からの旅人が多く行き交っている。その為、大陸同士による考えの違いから、喧嘩が日常茶飯事に行われている。最初こそ、止めに入る人もいたが……今じゃこの通り、見学する様になったのさ」
「俺、女の子に“銀一枚”!!」
「私はショウに“銀二枚”!!」
「俺もショウに“銀四枚”!!」
そんな中、町の人々が次々と通貨のやり取りをし始めた。
「こ、これって……」
「“賭け勝負”……」
「何も驚く事じゃない。この町では当たり前の事だ。それに……賭けの金額と俺達の勝負は、全く関係が無い……そうだろう?」
「……そうですね。賭けたい人は勝手に賭ければいい。私は、私の為に戦うだけです」
そう言うと真緒は、懐に添えてあった“純白の剣”を勢い良く引き抜き、構えた。
「良いね。俺とあんたは気が合いそうだ。どうだ? 勝敗関係無く、終わったら一緒に一杯飲まねぇか?」
「ごめんなさい。私、未成年なんです」
「へぇー、そうだったのか……そりゃあ、残念……うんじゃまぁ、ぼちぼち始めるとするか」
そう言うと両拳を構え、ファイティングポーズを取る。
「そう言えば自己紹介がまだだったな……俺は“ショウ”、町の連中からは“酒乱のショウ”なんて呼ばれている」
「ショウさん……私の名前はマオ……“サトウマオ”です」
「それじゃあマオ……最早言葉は不要、あんたの全力を俺にぶつけてみろ!!」
こうして“不治の村”への入り方を賭けた、真緒とショウの戦いが行われるのであった。
“不治の村”に足を踏み入れる為、真緒達は“不治の村”からまともに帰って来たとされる、酒場の端っこのテーブルで酔い潰れている男性の下へと歩み寄り、恐る恐る声を掛ける。
「…………」
「「「…………」」」
しかし、酔い潰れている男性は真緒の呼び掛けに全く反応を示さなかった。
「寝ている……?」
「まぁ、これだけ酒を飲んでいたら……ね……」
「だが、寝ているからと言って起こさない訳にはいかない。俺達にも俺達の事情がある」
「そうですね……ちょっと強引ですけど……すみませーん!! 起きて下さーい!!」
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「うわっ!! 酒臭い!!」
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「……あぁ? 地震じゃねぇのか……気持ち良く寝てたのに……台無しじゃねぇか。また酒を補充しないとな……」
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「えっ、ちょっとすみません!?」
「ぷはぁー!! あぁ? 誰だあんたら?」
目を覚ましたばかりにも関わらず、いきなり酒を飲み始めた男性に、真緒が慌てて声を掛ける。すると、漸く真緒達の存在に気が付いた。
「す、すみません、急に起こしてしまって……実はお聞きしたい事がありまして……」
「あんたらか!? 人が気持ち良く寝ているのに叩き起こしたのは!!?」
「す、すみません!!」
「…………まぁ、良い。過ぎた事は“酒”に流す。それで? この飲んだくれのおっさんに何を聞きたいんだ?」
“水”に流すという言葉を、わざわざ“酒”に流すと置き換えて話す。相当な酒好きだというのが見て取れた。男性は酒を飲みながら、真緒の話を聞き始める。
「あ、あの実は私達、町からずっと西にある“不治の村”という場所に行きたいんですけど……」
「…………」
真緒の口から“不治の村”という言葉が出た瞬間、酒を飲んでいた男性の口が止まった。飲む口が止まったせいで、ビンから流れ出る酒は男性の顔に掛かる。
「…………」
「「「…………」」」
沈黙が流れる。飲んでいた酒が底を突くと、男性はゆっくりと酒ビンをテーブルの上に置いた。
「“不治の村”か……」
「はい、あなただけが“不治の村”からまともに帰って来れたと、店主から聞きました」
「……口は災いの元だな……酔った勢いで話すんじゃ無かった……」
男性は両手で頭を抱える。
「お願いです。私達どうしても“不治の村”に行かなければならないんです!!」
「どうしても……か……その理由は話せるのか?」
「そ、それは……」
男性の問いに、口を閉ざす真緒。説明するのは簡単だが、下手に情報を漏らしてヘッラアーデ以外の敵を増やす訳にはいかない。
「……分かった。教えようじゃないか、“不治の村”への入り方を」
「ほ、本当ですか!?」
「あぁ、事情があるみたいだからな……無理矢理聞くのは野暮ってもんだ」
「ありがとうございま……「但し!!」……え?」
お礼を述べようとした真緒に、男性が口を挟んで来た。
「俺と勝負して勝ったら、“不治の村”への入り方を教えてやるよ」
「勝負……ですか?」
「あぁ、勝負方法は一対一のガチンコバトルだ」
「ちょ、ちょっと待って下さい!! 一度皆と相談してもいいですか?」
「いいぜ。決まるまで、俺は酒を飲んでるからよ」
そう言うと男性は、まだ蓋を開けていない酒ビンを取り出して、勢い良く直で飲み始めた。男性の厚意に甘えて、真緒は側にいるリーマとフォルスに相談する。
「ど、どうする?」
「どうするも何も、勝負して勝ってしまえば良いんですよ」
「勝負して勝てば、“不治の村”への入り方を教えてくれると言うのだから、勝つ以外に方法は無い」
「勝てるでしょうか……」
「何言っているんですか。マオさんは、あの“魔王”と互角に渡り合ったんですよ? 負ける方が難しいですよ」
「リーマの言う通りだ。もっと自信を持て。慎重過ぎるのは、お前の悪い癖だぞ」
「そ、そうですかね……分かりました。勝負して勝ちます!!」
「うん、その意気だ」
「マオさん、軽く捻ってやりましょう」
仲間達に押されて、真緒は意気揚々と酒を飲んでいる男性との勝負を受ける。
「お待たせしました。その勝負、受けましょう」
「おっ、そう来なくっちゃなぁ。場所は……店の外でやるとするか」
そう言って男性は席を立ち上がる。
「おとと!!?……危ない危ない、ちょっと酔い過ぎたか?」
しかしその直後、酔いが回って来た事により、その場で転びそうになるも、驚異的なバランス感覚で持ち直す。
「これは楽勝ですね。見て下さい、あの千鳥足」
「酒を飲んで判断力が鈍っている今日、勝負するとは……マオの事を只の女性と侮っているな」
千鳥足で酒場を出る男性。真緒達はその様子に勝利を確信しながら、後を追い掛ける。因みに、ハナコはこの間もずっと出された三品の料理を食べ続けていた。
***
「うぃー、ここでいいかな? よし、それじゃあサクッと終わらせるか」
外に出た男性と真緒達。すると男性は酒場の前の通り道で、ストレッチを開始する。
「えっ、ここで戦うんですか?」
そこそこ人が通る道のど真ん中での戦闘に、真緒は驚きを隠せなかった。
「ん、何か問題か?」
「いや、他の人まで巻き込んでしまいますよ!!?」
「そうでも無いさ。ほら、見てみろ」
「…………?」
男性が顎を動かし、真緒の視線を促す。真緒が男性の向けた方向に視線を向ける。するとそこには…………
「おっ、何だ何だ? “今日”は誰と誰の喧嘩だ?」
「おい皆見ろよ!! 今日はあの“酒乱のショウ”が戦うぞ!!」
「マジか!!? 相手は!? 相手は誰だよ!?」
「女の子だよ。可愛い女の子だ」
「嘘、マジで!? 本当だ……あちゃー、こりゃ早く終わるかもしれないな……」
「私、女の子の方を応援する!!」
「俺も俺も!! おまえはどうする?」
「勿論、ショウに決まっているだろ? この西の大陸で五本指に入る実力者……あんな小娘に負ける訳がねぇよ」
通りを行き交う人々が足を止めて、真緒達の勝負を見学しようと人集りが出来ていた。
「な、何ですかこの集まりは?」
「あんたら、この町に来たのは初めてだろう? この町には東の大陸、西の大陸、二つの大陸からの旅人が多く行き交っている。その為、大陸同士による考えの違いから、喧嘩が日常茶飯事に行われている。最初こそ、止めに入る人もいたが……今じゃこの通り、見学する様になったのさ」
「俺、女の子に“銀一枚”!!」
「私はショウに“銀二枚”!!」
「俺もショウに“銀四枚”!!」
そんな中、町の人々が次々と通貨のやり取りをし始めた。
「こ、これって……」
「“賭け勝負”……」
「何も驚く事じゃない。この町では当たり前の事だ。それに……賭けの金額と俺達の勝負は、全く関係が無い……そうだろう?」
「……そうですね。賭けたい人は勝手に賭ければいい。私は、私の為に戦うだけです」
そう言うと真緒は、懐に添えてあった“純白の剣”を勢い良く引き抜き、構えた。
「良いね。俺とあんたは気が合いそうだ。どうだ? 勝敗関係無く、終わったら一緒に一杯飲まねぇか?」
「ごめんなさい。私、未成年なんです」
「へぇー、そうだったのか……そりゃあ、残念……うんじゃまぁ、ぼちぼち始めるとするか」
そう言うと両拳を構え、ファイティングポーズを取る。
「そう言えば自己紹介がまだだったな……俺は“ショウ”、町の連中からは“酒乱のショウ”なんて呼ばれている」
「ショウさん……私の名前はマオ……“サトウマオ”です」
「それじゃあマオ……最早言葉は不要、あんたの全力を俺にぶつけてみろ!!」
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