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第二章 冒険編 不治の村
必ず帰って来る(後編)
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「……さて、取り敢えずこの辺に作るとしましょうかね~」
「ミー?」
四度目となる景色の移り変わり。目の前には、目を見張る程の大きさをした土の壁があった。彼は掴んでいた僕の前足を離し、目の前にある土の壁を触り始めた。
「う~ん、ここですかね~」
すると彼は、何かに納得した様に頷き、土の壁と距離を取り始めた。
「ミー?」
「ほらほら、そこにいたら危ないですよ。もう少し離れて下さ~い」
「ミー、ミー!!」
彼は僕に対して、片手で追い払う様に指示をした。人間の言葉は、まだ上手く理解出来ないけれど……伝えたい事は何となく分かる。僕は彼の言う通り、土の壁から少し離れた。
「……さて、やるか……」
そう言うと彼は、被っていた仮面を取り外し、地面に落とした。そして次の瞬間、彼の右腕が何倍にも膨れ上がる。彼の右腕は、ミチミチという音を立てながら膨れ上がって行き、体の三倍近い大きさへと膨れ上がった。右腕に浮き出て来た赤黒い血管が非常に生々しく、作り物では無いと証明していた。
「そ~れっと!!」
体の三倍近く膨れ上がった右腕を、彼は何の苦も無く操り、目の前にある土の壁目掛けて殴り付けた。凄まじい衝撃が、壁全体に伝わって行く。
「…………」
「ミー、ミー?」
彼は、壁に殴り付けた右腕を静かに引っ込める。すると壁には拳型の後が、ハッキリと残っていた。
「よし……程好い固さだ。これなら、地盤沈下や落石の心配は無いだろう……さて、一気に行くとするか」
満足のいく結果を得られた様だった。彼は左腕の方も膨れ上がらせ、右腕と同じ大きさにした。そして右腕、左腕と交互に何度も何度も、土の壁を殴り続けて行く。
「よいしょっと、あらよっと、どっこいしょ!!」
激しい爆音が周囲に鳴り響く中、彼は両拳で土の壁を掘り進める。僕は唖然としながら、見守る事しか出来なかった。
***
彼が掘り進めて行く内に、辺りはすっかり暗くなり、青空があった場所には綺麗に輝く“点”の様な物が、一面に広がっていた。
「ミー……」
そんな光輝く綺麗な点に、見惚れていると、掘り進めた事で出来上がった穴の中から、彼の声が聞こえて来た。
「……まぁ、こんな処か……おい!! 終わったぞ!! 入って来い!!」
「ミー?」
何となく、彼に呼ばれている様な気がした僕は、首を傾げながらも彼が掘り進めた穴の中へと入って行った。
「さぁ、見るが良い。今日からここが、俺とお前が供に暮らす“家”だ!!」
「……ミー!! ミー!!」
するとそこには、幾つもの道が作られていた。先程まで何の変哲も無い土の壁だったのが、物の数時間で複雑な構造をした洞窟に変わっていた。
「夜目の効くドラゴンなら問題無いが……流石に暗過ぎるな。近い内に、光を放つマジックアイテムを買いに行くとするか。それまでは我慢するしか無い」
「ミー、ミー」
「お前には、この腕輪を託すのに相応しい実力を付けて貰う。だからお前には…………あぁ、一々“お前”って言うのも面倒臭いな……まず先に名前を付ける事にするか……」
「ミー?」
「どんな名前にするべきか……」
様変わりした洞窟に驚いていると、彼は僕の側へと近付いて来た。すると彼は僕の頭に手をそっと乗せると、突然何かを考え始めた。無言の時間が続き、僕が首を傾げて不思議がっていると、彼はゆっくりと口を開いた。
「……ミーミー鳴くドラゴン……お前の名前は“ミルドラ”だ」
「ミー?」
「“ミルドラ”だ。ミ・ル・ド・ラ……安直だが、無駄に捻って変な名前になるよりは、ずっと良いだろう」
「ミー……ミー!! ミー!!」
「おぉ、気に入ったかミルドラ。それは良かった」
ミルドラ。今まで“失敗作”としか呼ばれて来なかった自分の新しい名前。ずっと側にいたいと思っている彼から、名付けて貰った名前。僕はこの時の嬉しさを一生忘れないだろう。
「そう言えば、自己紹介がまだだったな……俺は道楽の道……いや、“エジタス”だ」
「ミー?」
「エジタスだ。エ・ジ・タ・ス……確りと覚えておけよ」
「ミー、ミー!!」
エジタス。それが彼の名前!! 自分の名前だけでは無く、ずっと側にいたいと思っている人の名前も知る事が出来た僕は、あまりの嬉しさに彼に飛び付いた。
「おおっと、嬉しいのか? 全く……動物的な思考だな……まぁ、それが長所なのかもしれないが……」
エジタスは、飛び付いた僕を抱き締めて、優しく撫でてくれた。とても暖かいエジタスの手……僕はこの温もりを一生忘れない。
「ミー……ミー……」
エジタスに撫でられていると、何だかとても眠くなって来てしまった。僕は重たくなる目蓋が閉じない様、必死になって堪える。
「ん? 眠くなって来たのか? なら今日は早く寝ると良い。明日から、本格的な稽古を開始する。ミルドラ、お前にはこの腕輪を託すのに相応しいドラゴンへと成長して貰う……それまで……確りと……体……休め……」
寝ると良いというエジタスの言葉を聞いた途端、眠けが一気に襲い掛かって来た。薄れていく意識の中、エジタスが何か喋っているが、最後まで聞き取れず、僕は眠りに着いてしまった。
***
「さぁ、今日も稽古を始めるぞ!!」
「ミー!!」
あれから数日が経った。エジタスは、僕が一人前のドラゴンになる為、稽古を付けてくれている。正直、エジタスとの稽古はとても楽しい。
「いいかミルドラ。お前の舌は、他のドラゴンと比べてもかなり強力だ。これを生かさない手は無い。舌を伸ばした際、相手に避けられたとしても諦めず、舌の方向を曲げて追跡したり…………」
今まで僕が気付けなかった事に対して、適切なアドバイスをくれたり……
「お前の手足は、他のドラゴンと比べても弱々しく細長い。しかしそれは短所では無い。寧ろかなりの長所と言える。その細長い手足のリーチを使えば、離れた場所から攻撃する事が出来る」
短所だと思っていた箇所が、長所に置き換わるなど、エジタスとの稽古はまだ見ぬ自分の発見の様で、とても楽しい。
***
「今日の稽古はここまでだ。飯の準備をしてくる」
「ミー!!」
やった!! ご飯だ!! エジタスの作るご飯は、とても美味しいんだ。僕はある筈の無い尻尾を振りたい気分だった。すると洞窟内の壁から、何かが落ちて来た。
「ミー?」
キラキラと光輝くそれは、生まれて初めて見る物だった。僕は興味本意で、そのはじめて見る物体に近付いて、恐る恐る臭いを嗅ぐ。無臭。何も臭わない。続いてその物体を口へと運んだ。
「待たせたな……今日の飯を持って来たぞ……って、何を食べてるんだ!?」
「ミー? ミー!!」
美味しい!! エジタスの作るご飯程では無いけれど、果実の様な甘味が口いっぱいに広がる。
「ちょっと見せてくれるか?」
「ミー?」
「これは……“鉱石”か? とするとここは、未発見の炭鉱だったのか?」
「ミー?」
エジタスは、僕が食べていた物を見つめながら、ぶつぶつと独り言を喋り始めた。よく理解出来ない僕は、首を傾げる事しか出来ない。
「しかし……まさか鉱石を食べるとはな……美味しかったのか?」
「ミー!!」
「そうか……ミルドラの非常食代わりに集めておくか……」
それから何日かした後、彼は両手に数え切れない程の鉱石を抱えて来た。僕は嬉しくなって、鉱石に飛び付こうとしたけど、エジタスに止められてしまった。この鉱石は、いざという時の食料として取っておけって……残念という気持ちで一杯だけど、僕はエジタスの言う事を聞いて、なるべく食べない様に心掛けた。
***
月日は巡り、僕はかなり大きくなった。やっぱり、ご飯をいっぱい食べたからかな。そんな事を考えながら、今日もエジタスに稽古を付けて貰う。
「ミー!!」
「おっと!?」
まだまだエジタスには敵わないけど、エジタスのお陰でかなり強くなったと実感している。エジタスの動きにも付いて行ける様になったし、舌だって今じゃ自由自在に動かす事が出来る。それでもエジタスには、一発も当てられないんだけどね……。
「ふぅ……今日の稽古はここまでにしよう……」
「ミー」
今日の分の稽古が終わり、僕は頑張った自分へのご褒美として、貯めてある鉱石を一つ頬張った。
「ミー、ミー」
「(……ミルドラも、かなり強くなった。流石にラクウン程では無いが、充分な力は付いたと思う……そろそろ“潮時”か……)」
僕が鉱石を頬張るのに夢中になっていると、エジタスが側に歩み寄って来た。
「ミルドラ……」
「ミー?」
「お前に託す物がある……」
そう言うと彼は、僕の角に錆びた腕輪を付けた。
「いいか、ミルドラ。お前にこの“腕輪”を託す……今は何の変哲も無い只の腕輪だが……いつの日か、そう……万が一俺の計画が失敗して亡くなった時、腕輪に秘められた本来の力が目覚める。そして世界中の奴等が腕輪を狙ってやって来るだろう。その時は、腕輪を全力で守れ……だが、もしその中に腕輪を渡しても良いと思える人物が現れたら、その人物に腕輪を渡すんだ……もしかしたら、その人物が俺の“もう一つの計画”を実行してくれるかもしれない……分かったな?」
「ミー?」
何となく伝えたい事は分かったけど、話が長過ぎて理解が追い付かなかった。要するに、この腕輪を全力で守れって事だよね? 任せて!!
「ミー!!」
「よし、分かったのなら良い……それとミルドラ……俺はもう二度と、ここには帰って来ない……」
「ミー?」
「俺にはやる事がある……俺はこの世界を……“笑顔の絶えない世界”にしなくてはならない……だからこれ以上、お前に構ってやる事は出来ない」
「ミー、ミー」
「ちゃんと理解しているのか? いや、恐らくしてないだろうな……今になって思えば、何故俺はお前に構っているんだろうな……お前の純粋無垢な心に惹かれ、ここまで育て……大事な“ロストマジックアイテム”まで渡した……まぁ、暇潰し程度にはなったのかな……」
「ミー? ミー、ミー」
するとエジタスは、洞窟の外へと歩き始めた。あれ? もう帰っちゃうの? 晩御飯がまだだよ?
「それじゃあな、ミルドラ……」
まぁ、エジタスも忙しい身だからね。一日位、晩御飯抜きでも僕は大丈夫だよ。またねエジタス。また明日も一緒に稽古しようね!!
「ミー、ミー!!」
「…………」
今になって思えば、あの時のエジタスは何処か寂しそうな表情を浮かべていた。そんなエジタスの心情も読み取れず、僕は去って行くエジタスに前足を必死に上げて、送り出していた。
***
「……ミー、ミー」
静寂な洞窟内に、僕の鳴き声が空しく響き渡る。エジタスが去って行ってから、一日が経った。エジタス……今日は帰って来てくれないのかな……? でもしょうがないよね。エジタスだって忙しいんだ。一日位、帰って来れない時があるよ。そうだ……明日になれば、帰って来てくれる……そう信じながら、僕は静かに目を閉じた。
***
「……ミー、ミー」
あれから三日が経った。エジタスはまだ帰って来ない。どうしたんだろう……もしかして、何かトラブルに巻き込まれたのかもしれない!! 今すぐ助けに行かなくちゃ!!
「…………!!」
しかし僕はその歩みを止めた。エジタスが言っていた。ここは、僕とエジタスが供に暮らす“家”だって……その家を勝手に空ける訳にはいかない。大丈夫、エジタスならすぐに帰って来てくれる……だって、ここは僕とエジタスの家なんだから……そうだ……信じて待つんだ。エジタスは、必ず帰って来てくれる……きっと……。
***
「…………」
あれから一年が経った。エジタスはまだ帰って来ない。エジタス……何処に行っちゃったの? 僕、寂しいよ……お願いだよ……一人にしないで……。
***
「…………」
あれから何年経ったのだろうか。最近時間の感覚が失くなって来た。太陽の光が届かないこの洞窟内では、時間の定義が存在しない。だから、あれから何年経ったのか分からない……でも僕は、信じて待ち続けるんだ……エジタスは、必ず帰って来てくれる……絶対に……。
***
「…………」
何も感じない。暑さも冷たさも、感覚が無くなってしまったのか。そう言えば最近、エジタスに貰った“腕輪”が光輝いた。見て見ると、錆びていた筈の腕輪は金色に変化していた。真ん中に嵌められた赤い宝石が、とても綺麗だった。だけど、エジタスはまだ帰って来ない。エジタスに伝えたいな……エジタスがくれた腕輪、金色に輝いたんだよって……エジタス……早く帰って来てよ……。
「よーし、今日もガンガン掘り進めて働くぞ!!」
「!!?」
声が聞こえる!? もしかしてエジタス!!? そう思った僕は、慌てて声のした方向に顔を向けた。だけど……。
「その後は勿論、キンキンに冷えた酒だよな兄ちゃん?」
「おっ、分かってるじゃないかタール。仕事終わりの酒が堪らないんだな、これが!!」
「あぁ、もう今から待ちきれない!! 早く掘り進めて仕事を終わらせようぜ!!」
「そうだな!! よし、昨日の続きから掘り進めて行くぞ、分かったか!?」
「「おぉ!!!」」
違った。エジタスじゃ無かった。全く見た事も無い。初めて見る生き物。三人組で、手には鋭い何かを持っていた。いったい何しに来たんだろうと思っていた矢先、三人組が持っていた鋭い何かが、洞窟内の壁を傷付けた。
止めろ!!
「…………グォオオ……」
僕は唸り声を上げて、三人組を追い払おうとした。でも、久し振りに声を出すから、上手く声が出せない。三人組は、気にせず洞窟内の壁を傷付ける。
止めろ!! ここは僕とエジタスの家だぞ!!
「……グォオオオオ……」
さっきよりは声が出た。それでも三人組は、手を休めずに壁を傷付ける。
止めろって言ってるのが、聞こえないのか!!?
「……グォオオオオオオ……」
すると三人組は、壁を傷付けるのを止めてくれた。良いぞ、そのまま出てって貰おう。だってここは、僕とエジタスの家なんだから、帰って来る家が無くなったら、エジタスだって悲しいもんね。
「……グォオオオオオオ」
先程よりも、ハッキリとした唸り声を上げる事が出来た。これならあの三人組も、出てってくれるよね。そう思っていたら……。
ヒュー、ガスッ!!
僕の体に石が当たった。その時、それまで感じて来なかった感覚が思い起こされる。痛み。どうして……どうして……悪いのはあいつらなのに……人の家に勝手に侵入して来て……大切な家を壊している……許せない……許せない……許せない……許せない……!!
絶対に許さない!! 許してやるもんかぁあああああ!!!
「キシャラブラァアアアアア!!!」
その時、僕の体から何かが溢れ出した。今まで感じた事の無い感情……それは“怒り”。大切な家に勝手に侵入され、あまつさえ傷つけられた。その怒りが、エジタスから貰った腕輪に強く反応する。すると僕の体から溢れ出る怒りは、深い霧状の物質に変化した。
『おまえら“ばい菌”だ……僕の大切な家に不法侵入するばい菌だ……ばい菌は駆除しなければならない。この家に侵入する奴等は、皆駆除してやる!! エジタスは必ず帰って来る……それまでこの家は、僕が守って見せる!!』
それから一年後、僕はエジタスが亡くなった現実を知る事となる。
「ミー?」
四度目となる景色の移り変わり。目の前には、目を見張る程の大きさをした土の壁があった。彼は掴んでいた僕の前足を離し、目の前にある土の壁を触り始めた。
「う~ん、ここですかね~」
すると彼は、何かに納得した様に頷き、土の壁と距離を取り始めた。
「ミー?」
「ほらほら、そこにいたら危ないですよ。もう少し離れて下さ~い」
「ミー、ミー!!」
彼は僕に対して、片手で追い払う様に指示をした。人間の言葉は、まだ上手く理解出来ないけれど……伝えたい事は何となく分かる。僕は彼の言う通り、土の壁から少し離れた。
「……さて、やるか……」
そう言うと彼は、被っていた仮面を取り外し、地面に落とした。そして次の瞬間、彼の右腕が何倍にも膨れ上がる。彼の右腕は、ミチミチという音を立てながら膨れ上がって行き、体の三倍近い大きさへと膨れ上がった。右腕に浮き出て来た赤黒い血管が非常に生々しく、作り物では無いと証明していた。
「そ~れっと!!」
体の三倍近く膨れ上がった右腕を、彼は何の苦も無く操り、目の前にある土の壁目掛けて殴り付けた。凄まじい衝撃が、壁全体に伝わって行く。
「…………」
「ミー、ミー?」
彼は、壁に殴り付けた右腕を静かに引っ込める。すると壁には拳型の後が、ハッキリと残っていた。
「よし……程好い固さだ。これなら、地盤沈下や落石の心配は無いだろう……さて、一気に行くとするか」
満足のいく結果を得られた様だった。彼は左腕の方も膨れ上がらせ、右腕と同じ大きさにした。そして右腕、左腕と交互に何度も何度も、土の壁を殴り続けて行く。
「よいしょっと、あらよっと、どっこいしょ!!」
激しい爆音が周囲に鳴り響く中、彼は両拳で土の壁を掘り進める。僕は唖然としながら、見守る事しか出来なかった。
***
彼が掘り進めて行く内に、辺りはすっかり暗くなり、青空があった場所には綺麗に輝く“点”の様な物が、一面に広がっていた。
「ミー……」
そんな光輝く綺麗な点に、見惚れていると、掘り進めた事で出来上がった穴の中から、彼の声が聞こえて来た。
「……まぁ、こんな処か……おい!! 終わったぞ!! 入って来い!!」
「ミー?」
何となく、彼に呼ばれている様な気がした僕は、首を傾げながらも彼が掘り進めた穴の中へと入って行った。
「さぁ、見るが良い。今日からここが、俺とお前が供に暮らす“家”だ!!」
「……ミー!! ミー!!」
するとそこには、幾つもの道が作られていた。先程まで何の変哲も無い土の壁だったのが、物の数時間で複雑な構造をした洞窟に変わっていた。
「夜目の効くドラゴンなら問題無いが……流石に暗過ぎるな。近い内に、光を放つマジックアイテムを買いに行くとするか。それまでは我慢するしか無い」
「ミー、ミー」
「お前には、この腕輪を託すのに相応しい実力を付けて貰う。だからお前には…………あぁ、一々“お前”って言うのも面倒臭いな……まず先に名前を付ける事にするか……」
「ミー?」
「どんな名前にするべきか……」
様変わりした洞窟に驚いていると、彼は僕の側へと近付いて来た。すると彼は僕の頭に手をそっと乗せると、突然何かを考え始めた。無言の時間が続き、僕が首を傾げて不思議がっていると、彼はゆっくりと口を開いた。
「……ミーミー鳴くドラゴン……お前の名前は“ミルドラ”だ」
「ミー?」
「“ミルドラ”だ。ミ・ル・ド・ラ……安直だが、無駄に捻って変な名前になるよりは、ずっと良いだろう」
「ミー……ミー!! ミー!!」
「おぉ、気に入ったかミルドラ。それは良かった」
ミルドラ。今まで“失敗作”としか呼ばれて来なかった自分の新しい名前。ずっと側にいたいと思っている彼から、名付けて貰った名前。僕はこの時の嬉しさを一生忘れないだろう。
「そう言えば、自己紹介がまだだったな……俺は道楽の道……いや、“エジタス”だ」
「ミー?」
「エジタスだ。エ・ジ・タ・ス……確りと覚えておけよ」
「ミー、ミー!!」
エジタス。それが彼の名前!! 自分の名前だけでは無く、ずっと側にいたいと思っている人の名前も知る事が出来た僕は、あまりの嬉しさに彼に飛び付いた。
「おおっと、嬉しいのか? 全く……動物的な思考だな……まぁ、それが長所なのかもしれないが……」
エジタスは、飛び付いた僕を抱き締めて、優しく撫でてくれた。とても暖かいエジタスの手……僕はこの温もりを一生忘れない。
「ミー……ミー……」
エジタスに撫でられていると、何だかとても眠くなって来てしまった。僕は重たくなる目蓋が閉じない様、必死になって堪える。
「ん? 眠くなって来たのか? なら今日は早く寝ると良い。明日から、本格的な稽古を開始する。ミルドラ、お前にはこの腕輪を託すのに相応しいドラゴンへと成長して貰う……それまで……確りと……体……休め……」
寝ると良いというエジタスの言葉を聞いた途端、眠けが一気に襲い掛かって来た。薄れていく意識の中、エジタスが何か喋っているが、最後まで聞き取れず、僕は眠りに着いてしまった。
***
「さぁ、今日も稽古を始めるぞ!!」
「ミー!!」
あれから数日が経った。エジタスは、僕が一人前のドラゴンになる為、稽古を付けてくれている。正直、エジタスとの稽古はとても楽しい。
「いいかミルドラ。お前の舌は、他のドラゴンと比べてもかなり強力だ。これを生かさない手は無い。舌を伸ばした際、相手に避けられたとしても諦めず、舌の方向を曲げて追跡したり…………」
今まで僕が気付けなかった事に対して、適切なアドバイスをくれたり……
「お前の手足は、他のドラゴンと比べても弱々しく細長い。しかしそれは短所では無い。寧ろかなりの長所と言える。その細長い手足のリーチを使えば、離れた場所から攻撃する事が出来る」
短所だと思っていた箇所が、長所に置き換わるなど、エジタスとの稽古はまだ見ぬ自分の発見の様で、とても楽しい。
***
「今日の稽古はここまでだ。飯の準備をしてくる」
「ミー!!」
やった!! ご飯だ!! エジタスの作るご飯は、とても美味しいんだ。僕はある筈の無い尻尾を振りたい気分だった。すると洞窟内の壁から、何かが落ちて来た。
「ミー?」
キラキラと光輝くそれは、生まれて初めて見る物だった。僕は興味本意で、そのはじめて見る物体に近付いて、恐る恐る臭いを嗅ぐ。無臭。何も臭わない。続いてその物体を口へと運んだ。
「待たせたな……今日の飯を持って来たぞ……って、何を食べてるんだ!?」
「ミー? ミー!!」
美味しい!! エジタスの作るご飯程では無いけれど、果実の様な甘味が口いっぱいに広がる。
「ちょっと見せてくれるか?」
「ミー?」
「これは……“鉱石”か? とするとここは、未発見の炭鉱だったのか?」
「ミー?」
エジタスは、僕が食べていた物を見つめながら、ぶつぶつと独り言を喋り始めた。よく理解出来ない僕は、首を傾げる事しか出来ない。
「しかし……まさか鉱石を食べるとはな……美味しかったのか?」
「ミー!!」
「そうか……ミルドラの非常食代わりに集めておくか……」
それから何日かした後、彼は両手に数え切れない程の鉱石を抱えて来た。僕は嬉しくなって、鉱石に飛び付こうとしたけど、エジタスに止められてしまった。この鉱石は、いざという時の食料として取っておけって……残念という気持ちで一杯だけど、僕はエジタスの言う事を聞いて、なるべく食べない様に心掛けた。
***
月日は巡り、僕はかなり大きくなった。やっぱり、ご飯をいっぱい食べたからかな。そんな事を考えながら、今日もエジタスに稽古を付けて貰う。
「ミー!!」
「おっと!?」
まだまだエジタスには敵わないけど、エジタスのお陰でかなり強くなったと実感している。エジタスの動きにも付いて行ける様になったし、舌だって今じゃ自由自在に動かす事が出来る。それでもエジタスには、一発も当てられないんだけどね……。
「ふぅ……今日の稽古はここまでにしよう……」
「ミー」
今日の分の稽古が終わり、僕は頑張った自分へのご褒美として、貯めてある鉱石を一つ頬張った。
「ミー、ミー」
「(……ミルドラも、かなり強くなった。流石にラクウン程では無いが、充分な力は付いたと思う……そろそろ“潮時”か……)」
僕が鉱石を頬張るのに夢中になっていると、エジタスが側に歩み寄って来た。
「ミルドラ……」
「ミー?」
「お前に託す物がある……」
そう言うと彼は、僕の角に錆びた腕輪を付けた。
「いいか、ミルドラ。お前にこの“腕輪”を託す……今は何の変哲も無い只の腕輪だが……いつの日か、そう……万が一俺の計画が失敗して亡くなった時、腕輪に秘められた本来の力が目覚める。そして世界中の奴等が腕輪を狙ってやって来るだろう。その時は、腕輪を全力で守れ……だが、もしその中に腕輪を渡しても良いと思える人物が現れたら、その人物に腕輪を渡すんだ……もしかしたら、その人物が俺の“もう一つの計画”を実行してくれるかもしれない……分かったな?」
「ミー?」
何となく伝えたい事は分かったけど、話が長過ぎて理解が追い付かなかった。要するに、この腕輪を全力で守れって事だよね? 任せて!!
「ミー!!」
「よし、分かったのなら良い……それとミルドラ……俺はもう二度と、ここには帰って来ない……」
「ミー?」
「俺にはやる事がある……俺はこの世界を……“笑顔の絶えない世界”にしなくてはならない……だからこれ以上、お前に構ってやる事は出来ない」
「ミー、ミー」
「ちゃんと理解しているのか? いや、恐らくしてないだろうな……今になって思えば、何故俺はお前に構っているんだろうな……お前の純粋無垢な心に惹かれ、ここまで育て……大事な“ロストマジックアイテム”まで渡した……まぁ、暇潰し程度にはなったのかな……」
「ミー? ミー、ミー」
するとエジタスは、洞窟の外へと歩き始めた。あれ? もう帰っちゃうの? 晩御飯がまだだよ?
「それじゃあな、ミルドラ……」
まぁ、エジタスも忙しい身だからね。一日位、晩御飯抜きでも僕は大丈夫だよ。またねエジタス。また明日も一緒に稽古しようね!!
「ミー、ミー!!」
「…………」
今になって思えば、あの時のエジタスは何処か寂しそうな表情を浮かべていた。そんなエジタスの心情も読み取れず、僕は去って行くエジタスに前足を必死に上げて、送り出していた。
***
「……ミー、ミー」
静寂な洞窟内に、僕の鳴き声が空しく響き渡る。エジタスが去って行ってから、一日が経った。エジタス……今日は帰って来てくれないのかな……? でもしょうがないよね。エジタスだって忙しいんだ。一日位、帰って来れない時があるよ。そうだ……明日になれば、帰って来てくれる……そう信じながら、僕は静かに目を閉じた。
***
「……ミー、ミー」
あれから三日が経った。エジタスはまだ帰って来ない。どうしたんだろう……もしかして、何かトラブルに巻き込まれたのかもしれない!! 今すぐ助けに行かなくちゃ!!
「…………!!」
しかし僕はその歩みを止めた。エジタスが言っていた。ここは、僕とエジタスが供に暮らす“家”だって……その家を勝手に空ける訳にはいかない。大丈夫、エジタスならすぐに帰って来てくれる……だって、ここは僕とエジタスの家なんだから……そうだ……信じて待つんだ。エジタスは、必ず帰って来てくれる……きっと……。
***
「…………」
あれから一年が経った。エジタスはまだ帰って来ない。エジタス……何処に行っちゃったの? 僕、寂しいよ……お願いだよ……一人にしないで……。
***
「…………」
あれから何年経ったのだろうか。最近時間の感覚が失くなって来た。太陽の光が届かないこの洞窟内では、時間の定義が存在しない。だから、あれから何年経ったのか分からない……でも僕は、信じて待ち続けるんだ……エジタスは、必ず帰って来てくれる……絶対に……。
***
「…………」
何も感じない。暑さも冷たさも、感覚が無くなってしまったのか。そう言えば最近、エジタスに貰った“腕輪”が光輝いた。見て見ると、錆びていた筈の腕輪は金色に変化していた。真ん中に嵌められた赤い宝石が、とても綺麗だった。だけど、エジタスはまだ帰って来ない。エジタスに伝えたいな……エジタスがくれた腕輪、金色に輝いたんだよって……エジタス……早く帰って来てよ……。
「よーし、今日もガンガン掘り進めて働くぞ!!」
「!!?」
声が聞こえる!? もしかしてエジタス!!? そう思った僕は、慌てて声のした方向に顔を向けた。だけど……。
「その後は勿論、キンキンに冷えた酒だよな兄ちゃん?」
「おっ、分かってるじゃないかタール。仕事終わりの酒が堪らないんだな、これが!!」
「あぁ、もう今から待ちきれない!! 早く掘り進めて仕事を終わらせようぜ!!」
「そうだな!! よし、昨日の続きから掘り進めて行くぞ、分かったか!?」
「「おぉ!!!」」
違った。エジタスじゃ無かった。全く見た事も無い。初めて見る生き物。三人組で、手には鋭い何かを持っていた。いったい何しに来たんだろうと思っていた矢先、三人組が持っていた鋭い何かが、洞窟内の壁を傷付けた。
止めろ!!
「…………グォオオ……」
僕は唸り声を上げて、三人組を追い払おうとした。でも、久し振りに声を出すから、上手く声が出せない。三人組は、気にせず洞窟内の壁を傷付ける。
止めろ!! ここは僕とエジタスの家だぞ!!
「……グォオオオオ……」
さっきよりは声が出た。それでも三人組は、手を休めずに壁を傷付ける。
止めろって言ってるのが、聞こえないのか!!?
「……グォオオオオオオ……」
すると三人組は、壁を傷付けるのを止めてくれた。良いぞ、そのまま出てって貰おう。だってここは、僕とエジタスの家なんだから、帰って来る家が無くなったら、エジタスだって悲しいもんね。
「……グォオオオオオオ」
先程よりも、ハッキリとした唸り声を上げる事が出来た。これならあの三人組も、出てってくれるよね。そう思っていたら……。
ヒュー、ガスッ!!
僕の体に石が当たった。その時、それまで感じて来なかった感覚が思い起こされる。痛み。どうして……どうして……悪いのはあいつらなのに……人の家に勝手に侵入して来て……大切な家を壊している……許せない……許せない……許せない……許せない……!!
絶対に許さない!! 許してやるもんかぁあああああ!!!
「キシャラブラァアアアアア!!!」
その時、僕の体から何かが溢れ出した。今まで感じた事の無い感情……それは“怒り”。大切な家に勝手に侵入され、あまつさえ傷つけられた。その怒りが、エジタスから貰った腕輪に強く反応する。すると僕の体から溢れ出る怒りは、深い霧状の物質に変化した。
『おまえら“ばい菌”だ……僕の大切な家に不法侵入するばい菌だ……ばい菌は駆除しなければならない。この家に侵入する奴等は、皆駆除してやる!! エジタスは必ず帰って来る……それまでこの家は、僕が守って見せる!!』
それから一年後、僕はエジタスが亡くなった現実を知る事となる。
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毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
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仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
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夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
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異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
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父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
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幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
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タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
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剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
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安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
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「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
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初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
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