笑顔の絶えない世界 season2 ~道楽の道化師の遺産~

マーキ・ヘイト

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第五章 冒険編 幸運の巣窟

夢と希望の街

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 眩しい。それが第一印象であった。ある民家は壁を全て黄金にしていた。またある民家は黄金に宝石を付け加えていた。街の入口にさえも無数の宝石が付けられており、太陽の光によってより光輝いていた。



 「ここが……“オーロ”……」



 真緒達はそのあまりの豪華絢爛さに圧倒されていた。行き交う人々は皆、きらびやかな服装に身を包み、手や首には漏れ無く巨大な宝石付のアクセサリーが付いていた。



 「何だか……ギラギラした街ですね」



 「うん、何と言うかここまで金持ちアピールされてると、鬱陶しく感じるね」



 「オラ、目がヂガヂガずるだぁ……」



 「無理も無い。こう眩しくては、まともに目を開けられない」



 今も細目にしなければ、街を見る事が出来ない。慣れるまでは時間が掛かりそうだった。



 「と、とにかくこの街にあるカジノに行こう」



 片腕で影を作りながら、光輝く街の中へと足を踏み入れる。



 「お、お前ら旅人だな!?」



 その瞬間、真緒達の目の前に汚ならしい格好をした男が現れた。



 「そ、そうですけど……何か御用ですか?」



 「か、金を出せ!!」



 「「「「!!!」」」」



 男は刃物を取り出し、真緒達に向けた。しかし慣れていないのか、刃先が震えていた。



 「いったい何の真似ですか……」



 「う、うるせぇ!! さっさと金を出せ!!」



 刃物を向けた男は、じりじりと足を動かして真緒達に近付く。



 「すみませんがお金を渡す事は出来ません。お引き取り下さい」



 「わ、渡さないって言うなら刺すぞ!!」



 「私達は行かなければならない所があるので、これで失礼します」



 「ほ、本気だぞ!! 本当に刺すぞ!!」



 「どうぞご自由に」



 真緒達は、刃物を向ける男を無視して歩き出した。



 「う、うわぁあああああ!!!」



 男は錯乱しながら、真緒目掛けて刃物を突き刺そうとした。



 「…………」



 男の攻撃に真緒はサッと身をかわした。男はバランスを崩し、前のめりに倒れる。



 「く、くそ……」



 「諦めて下さい」



 「うるせぇ……俺は……俺はまだ……まだ負けてないんだ!!」



 「…………」



 男はゆっくりと立ち上がると、刃物を振り上げ真緒目掛けて振り下ろそうとする。流石の真緒も腰に携えている純白の剣に手を掛ける。



 「うわぁあああああ!!! ……あっ……」



 「「「「!!?」」」」



 その時突然、男は糸の切れたマリオネットの様に、その場に崩れ落ちた。



 「いったい何が……?」



 「お、おい……大丈夫か?」



 男に意識は無かった。どうやら完全に気を失っている様だった。



 「お怪我はありませんか?」



 「だ、誰!!?」



 声のした方向に顔を向けると、逆光を浴びながら人影が近づいて来た。



 「ようこそいらっしゃいませ!! 夢と希望の街オーロへ!!」



 「あ、あなたは……?」



 目を凝らして確認すると、そこにはバニースーツを着た金髪の女性が立っていた。



 「私はこのオーロにおける案内人です!!」



 「お前がこの男を気絶させたのか?」



 「はい、この街には『何人たりとも他人を傷つけてはならない』という規則があります。この男はその規則を破ろうとした為、強引ながら気絶して頂きました」



 「そうか……今の攻撃、見えたか?」



 「いえ、逆光のせいで何も……」



 真緒達が警戒する中、バニースーツを着た女性が咳払いをする。



 「おほん!! それでは改めましてようこそ夢と希望の街オーロへ!! 皆さんがこの街に来た目的は勿論、カジノですよね!!」



 「あっ、えっと、そうです」



 「そうでしょそうでしょ。それでは早速、街自慢のカジノへとご案内させて頂きます!!」



 そう言うとバニースーツの女性は光輝く街の奥へと歩き出した。



 「こちらです!! ついて来て下さい!!」



 大きく両手を広げ、オーバーリアクションして手招きするバニースーツの女性。真緒達は周りに注意しながら、その後を追い掛ける。



 「…………」



 「…………」



 「…………」



 「……気が付いたか?」



 バニースーツの女性に案内されている中、フォルスが問い掛ける。それに対して全員が静かに頷いた。



 「えぇ、見張られていますね」



 「街の入口がらずっど視線を感じるだぁ……」



 「三……いや、五人以上いますね……」



 眩しさから視界はボヤけているが、確りと感じ取っていた。街の入口からずっと見張られている。ありとあらゆる場所から視線を感じる。



 「ご心配はいりません。これらの視線は敗者達による嫉妬なのです」



 「敗者?」



 「嫉妬?」



 「はい、カジノと言えど所詮はギャンブル……勝つ者がいれば負ける者もいるのです。負けた者達は全てを失い、勝った者達に嫉妬の目線を送るしか無いのです」



 「ま、まさかさっきの男は……」



 「えぇ、恐らくはカジノの敗北者……嫉妬に駆られて金を奪おうとしたのでしょう。しかし気に留めてはいけません。彼らもまた負ける覚悟を持ってカジノに挑んだのです。自業自得というやつですよ」



 「「「「…………」」」」



 確かに同情は出来ない。破滅するまで止められなかった。自己責任なのだ。しかしそれを平然と言う目の前の女性に、真緒達は少なからず恐怖を抱いた。



 「……見えて来ましたよ」



 バニースーツを着た女性が向ける目線の先には、一際目立つ建物が建っていた。



 「あれは……」



 「あれこそがこの街を救った巨大カジノ……“オーロカジノ”です!!」



 それはまるで宮殿。大理石で作られた柱が何本も立ち並び、余計な装飾は一切施されていない。壁を黄金にしている建物と比べると豪華に欠けるが、何故か他の建物よりも美しく感じた。



 「そうか……他の建物がしつこい位に豪華だったのは、このカジノの純粋な美しさを際立たせる為……」



 「このカジノのお陰でオーロは救われました。全ては“ギャブラー”様のお陰なのです」



 「“ギャブラー”様?」



 「ギャブラー様はオーロカジノにおける総支配人なのです。一年前、まだこの街の犯罪が謳歌する無法地帯だった頃、ギャブラー様は民衆の娯楽施設としてオーロカジノを建てました。それから一年、今では貴族や王族までも通う一大エンターテイメント施設になったのです!! 街には活気が溢れ、瞬く間に栄えて行きました。街が栄える一方、ギャブラー様は建物の設計や街の規則にも携わりました。そのお陰で街のありとあらゆる犯罪は無くなりました。ギャブラー様のお陰でこの街は救われたのです」



 「成る程……となると、ロストマジックアイテムを持っているのはそのギャブラーという人物の可能性が高いな」



 「そうですね……あのー、因みにそのギャブラーさんという方にはどうやったら会えるのでしょうか?」



 「心配ございません。直ぐに会えますよ」



 「えっ、それってどう言う……」



 「さぁさぁ、ここで立ち話していても仕方がありません!! 中の方をご案内させて頂きます!!」



 バニースーツの女性は有無を言わさず、カジノの中へと入る様に急かす。



 「と、取り敢えず中に入りましょう……遅かれ早かれ中に入らないといけないんですから……」



 「そ、そうだね……」



 バニースーツを着た女性に急かされながら、真緒達は目的であるカジノの中へと入るのであった。
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