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第十章 冒険編 反撃の狼煙
伝説の実力
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「じゃあ取り敢えず最初は、アクションゲームからにしようか。“シャイニングフレア”」
コウスケが左手を上に掲げると、掌から金色の巨大な火球が生み出される。そしてそのまま真っ直ぐと、真緒目掛けて放り投げられる。
「っ!!」
それを見た真緒は全速力でその場から離れる。床に着弾した巨大な火球は大爆発を起こし、周囲を巻き込んだ。
「あんなのをまともに受けたら、瞬く間に丸焦げになっちゃう……」
何とか避ける事には成功したが、予想以上の高い火力に冷や汗を覚える。
「良い反応速度だね。それじゃあ、これならどうかな? “シャイニングアロー”」
「!!?」
その瞬間、真緒の頭上から無数の光の矢が降り注いで来た。先程とは違い、避ける事は不可能。遮る物も見当たらない事から、このままでは確実に当たってしまう。
「スキル“乱激斬”!!」
迫り来る無数の矢に対して、真緒は無数の斬激で対抗する。しかし、重力に従って尋常じゃない速さで落下して来る矢と、人間が出せる限界の速さでの剣捌きでは、全てを落とし切る事は出来ない。現に何本か、真緒の体に突き刺さってしまった。
「あぐっ……ぁああ!!」
焼ける様な痛み。魔法で作り上げただけの矢では無い。本物の矢とは比べ物にならない程の激痛が全身を駆け巡る。
「痛みで気が散ったね」
それまで動き出すタイミングを見計らっていた真緒だが、負った傷の痛みから気を反らしてしまった。その隙をコウスケは見逃さなかった。一瞬で間合いを詰め、真緒目掛けて剣を振るう。
「っ!! “ライト”!!」
「おっ!?」
目の前まで接近して来たコウスケに対して、真緒は左手を突き出し、魔法を唱える。すると突き出した掌から、目映い光を放つ玉が生成された。あまりの眩しさに思わず目を細めるコウスケ。視界が狭くなった事で命中率が下がり、攻撃はギリギリの所で外れた。
「(今だ!!)スキル“ロストブレイク”!!」
目映い光の影響で視界が悪くなり、更に剣が空振りになった事で、今のコウスケは隙だらけだった。このチャンスを逃す訳にはいかない。真緒は渾身の一撃をコウスケ目掛けて叩き込んだ。
「危ない危ない」
「なっ!!?」
が、それはコウスケにとって致命傷にはならなかった。何故なら……。
「ひ、左腕を犠牲に……!?」
文字通り、コウスケの左肘から先が消し飛んでいた。血が止めどなく溢れ出る。真緒の渾身の一撃を左腕を犠牲にする事で、致命傷を避けたのだ。
「おとと、止血しないと……“ファイア”」
痛がる素振りを見せず、コウスケは平然と残った右手から炎を生成し、血が溢れ出る傷口を焼いて止血した。
「しょ、正気ですか!!?」
「勿論だよ。戦いに犠牲は付き物だからね。腕の二、三本は覚悟しなくちゃね」
「…………」
言葉が出なかった。さも当たり前の様に語るコウスケが異常なのか、それとも腕を犠牲に致命傷を避ける事を可笑しいと語る真緒が異常なのか。
「それじゃあ仕切り直しと行こうか。スキル“セイクリッドウェーブ”」
「!!?」
するとコウスケは、持っていた剣を床に勢い良く突き刺した。その瞬間、剣を中心に黄色い波紋が周囲に広がる。
「うっ!!?」
その波紋に触れた途端、凄まじい衝撃を受け、真緒は部屋の壁まで吹き飛ばされた。
「さてと、ここからはシューティングゲームの時間だ。何処まで避けられるかな?」
そう言うとコウスケは、突き刺していた剣を引き抜き、縦に素早く振る。すると振った筋に合わせて、鋭い風の刃が生まれた。そしてそのまま真緒目掛けて勢い良く飛んでいく。
「っ!!!」
咄嗟に避ける真緒。風の刃は壁に当たり、綺麗な斬り込みを残した。もしまともに食らえば、スライスハムが出来上がるだろう。
「ほらほら、早く体制を立て直さないと当たっちゃうよ」
「!!?」
壁に出来た傷に気を取られ、後から飛ばされた複数の風の刃に気付かず、若干反応が遅れてしまった。慌てて体制を立て直し、避けようとするが、複数の内の一発が真緒の右腕にかすってしまった。
「ああああ!!!」
それは紙で指を切ってしまった時の痛みに近かった。但し、痛みは数千倍に羽上がっていた。衣服が傷口に触れる度、激痛が全身を駆け巡る。
「痛がってる場合じゃないよ。このままだと、ゲームオーバーになっちゃうよ」
「くっ……うぅ……!!」
痛みを押し殺し、体を動かす真緒。迫り来る風の刃に向かって走り出し、紙一重で避けていく。段々とコウスケとの距離が縮まる。
「おっ、良いね良いね。頑張るね」
「(完全に戦いをゲーム感覚で楽しんでる。こんなのが伝説の勇者だったなんて……)」
コウスケに対してのフラストレーションが溜まる中、遂に目の前まで近付く事に成功した真緒は、コウスケの左腕が無い事を利用し、直前で左側へと移動する。
「あっ、左腕が無いから防御出来ない」
「(スキルや魔法じゃ、予備動作が入るから避けられる可能性がある。なら、直接剣で物理的に斬った方が確実!!)」
そう考えた真緒は左側に移動した後、流れる様に剣をコウスケ目掛けて突き出した。
「貰った!!」
「まぁ、そう来るよね。けど……スキル“物理無効”」
「!!?」
確実に当たる筈だった真緒の攻撃は、物理法則を無視して弾かれてしまった。
「よいしょっと」
「がはぁ!!!」
それにより生まれた隙を突いて、コウスケが真緒の腹に蹴りを入れる。重たい一撃を貰った真緒は両膝から、その場に倒れ込む。
「ぐっ……うっ……うぐぅ……」
腹を蹴られ、今にも吐きそうだった。目がチカチカする。呼吸も辛く感じていた。そんな真緒に、哀れみの目線を向けながら見下ろすコウスケ。
「忘れちゃった? 僕には物理は効かない。ダメージを与えるのなら、魔法かスキルじゃないと」
「はぁ……はぁ……そう言えば、そうでした……」
すっかり忘れていた。初代勇者のチートスキル“物理無効”。魔法、スキルを除く全ての物理的ダメージを無効にする能力。一年前、エジタスとの戦いで当時死体だったコウスケが多用して来た技だ。
「ありゃりゃ、もう動けない感じ? エジタスさんを倒したって聞いてたから、楽しみにしてたのに……ちょっとガッカリだな」
「はぁ……はぁ……あなたは……」
「ん?」
「あなたはどうして……エジタスに従っているんですか?」
「あぁ、それはね……楽しいからだよ」
「へ?」
「知っての通り、僕はこの世界に転移する前は、日本で高校生として生活してたんだ。頭はそれなりによかった、運動もそれなりに出来た。けど、そこまでだった。上には上がいる。僕は何をやっても中の上止まりだった」
初めて語られるコウスケの高校生活。
「友達は……いない訳じゃないけど、少なかった。特に異性の友達は全くいなかった。朝、軽く挨拶を交わす事も無い。そのせいか、放課後は友達とは遊ばず家でアニメやゲームばかりだった」
「…………」
「そんな生活を続けているとさ、自然とこう思うんだ。『あぁ、アニメやゲームの世界に行きたい……』ってね。僕はさ、刺激が欲しかったんだ。平和で退屈な日本では決して味わえない快感が。そしてある日、その夢は叶った……“キュアオール”」
その瞬間、コウスケの体をドームの形をしたピンクの半透明が包み込む。そして瞬く間に傷が癒え、失った筈の左腕も再生した。
「剣、魔法、スキル!! 一度は夢見た異世界ライフ!! 僕はこうゆうのをずっと待っていたんだ!!」
「じゃ、じゃああなたは……エジタスの考えに共感した訳じゃ無く、異世界での生活が続けられるから協力している訳ですか!!?」
「うん、そうだよ」
「その為に多くの人が犠牲になっても、構わないんですか!!?」
「別に良いじゃない。異世界なんだ、人だって簡単に死ぬよ」
「あなたは……勇者じゃない。勇者の風上にも置けない!!」
「いや、僕は勇者だ。その証拠に一度、魔王と戦っているからね。これは紛れもない勇者の証だよ」
「違う!! 本当の勇者って言うのは、自分で名乗る者じゃなくて、周囲から認められて自然に……」
『自然に呼ばれる者……そうじゃないの?』
「!!?」
声のした方向に顔を向けると、そこにいたのは、何とアーメイデだった。
「やっと来た。遅いぞ、エジタスさんから必ず二人で行動する様に言われているだろう?」
「ごめんなさいね。ちょっと野暮用で……それで終わったの?」
「うん、これからトドメを刺す所」
「アーメイデさん……」
最悪だ。コウスケだけでも辛いのに、パートナーであるアーメイデまでもが加勢に来てしまった。最早、真緒に残された勝ち筋は無い。
「ねぇ、私にトドメを刺させてくれない?」
「別に良いよ」
「ありがとう」
そう言うとアーメイデは、真緒に杖を向ける。
「マオ、ごめんなさいね。こんな事になって……一生恨んでくれて構わないわ」
「アーメイデさん……」
「…………さようなら、“クリスタルランス”!!」
そしてアーメイデは、杖の先から結晶の槍を勢い良く放出した。真緒……ではなく“コウスケ”に。
「「え?」」
コウスケはそのまま勢い良く吹き飛ばされ、壁に激突した。腹には結晶の槍が突き刺さっている。いったい何が起こったのか、コウスケと真緒の二人は理解出来なかった。そんな二人にアーメイデが口を開く。
「さようなら、私の愛する人……」
コウスケが左手を上に掲げると、掌から金色の巨大な火球が生み出される。そしてそのまま真っ直ぐと、真緒目掛けて放り投げられる。
「っ!!」
それを見た真緒は全速力でその場から離れる。床に着弾した巨大な火球は大爆発を起こし、周囲を巻き込んだ。
「あんなのをまともに受けたら、瞬く間に丸焦げになっちゃう……」
何とか避ける事には成功したが、予想以上の高い火力に冷や汗を覚える。
「良い反応速度だね。それじゃあ、これならどうかな? “シャイニングアロー”」
「!!?」
その瞬間、真緒の頭上から無数の光の矢が降り注いで来た。先程とは違い、避ける事は不可能。遮る物も見当たらない事から、このままでは確実に当たってしまう。
「スキル“乱激斬”!!」
迫り来る無数の矢に対して、真緒は無数の斬激で対抗する。しかし、重力に従って尋常じゃない速さで落下して来る矢と、人間が出せる限界の速さでの剣捌きでは、全てを落とし切る事は出来ない。現に何本か、真緒の体に突き刺さってしまった。
「あぐっ……ぁああ!!」
焼ける様な痛み。魔法で作り上げただけの矢では無い。本物の矢とは比べ物にならない程の激痛が全身を駆け巡る。
「痛みで気が散ったね」
それまで動き出すタイミングを見計らっていた真緒だが、負った傷の痛みから気を反らしてしまった。その隙をコウスケは見逃さなかった。一瞬で間合いを詰め、真緒目掛けて剣を振るう。
「っ!! “ライト”!!」
「おっ!?」
目の前まで接近して来たコウスケに対して、真緒は左手を突き出し、魔法を唱える。すると突き出した掌から、目映い光を放つ玉が生成された。あまりの眩しさに思わず目を細めるコウスケ。視界が狭くなった事で命中率が下がり、攻撃はギリギリの所で外れた。
「(今だ!!)スキル“ロストブレイク”!!」
目映い光の影響で視界が悪くなり、更に剣が空振りになった事で、今のコウスケは隙だらけだった。このチャンスを逃す訳にはいかない。真緒は渾身の一撃をコウスケ目掛けて叩き込んだ。
「危ない危ない」
「なっ!!?」
が、それはコウスケにとって致命傷にはならなかった。何故なら……。
「ひ、左腕を犠牲に……!?」
文字通り、コウスケの左肘から先が消し飛んでいた。血が止めどなく溢れ出る。真緒の渾身の一撃を左腕を犠牲にする事で、致命傷を避けたのだ。
「おとと、止血しないと……“ファイア”」
痛がる素振りを見せず、コウスケは平然と残った右手から炎を生成し、血が溢れ出る傷口を焼いて止血した。
「しょ、正気ですか!!?」
「勿論だよ。戦いに犠牲は付き物だからね。腕の二、三本は覚悟しなくちゃね」
「…………」
言葉が出なかった。さも当たり前の様に語るコウスケが異常なのか、それとも腕を犠牲に致命傷を避ける事を可笑しいと語る真緒が異常なのか。
「それじゃあ仕切り直しと行こうか。スキル“セイクリッドウェーブ”」
「!!?」
するとコウスケは、持っていた剣を床に勢い良く突き刺した。その瞬間、剣を中心に黄色い波紋が周囲に広がる。
「うっ!!?」
その波紋に触れた途端、凄まじい衝撃を受け、真緒は部屋の壁まで吹き飛ばされた。
「さてと、ここからはシューティングゲームの時間だ。何処まで避けられるかな?」
そう言うとコウスケは、突き刺していた剣を引き抜き、縦に素早く振る。すると振った筋に合わせて、鋭い風の刃が生まれた。そしてそのまま真緒目掛けて勢い良く飛んでいく。
「っ!!!」
咄嗟に避ける真緒。風の刃は壁に当たり、綺麗な斬り込みを残した。もしまともに食らえば、スライスハムが出来上がるだろう。
「ほらほら、早く体制を立て直さないと当たっちゃうよ」
「!!?」
壁に出来た傷に気を取られ、後から飛ばされた複数の風の刃に気付かず、若干反応が遅れてしまった。慌てて体制を立て直し、避けようとするが、複数の内の一発が真緒の右腕にかすってしまった。
「ああああ!!!」
それは紙で指を切ってしまった時の痛みに近かった。但し、痛みは数千倍に羽上がっていた。衣服が傷口に触れる度、激痛が全身を駆け巡る。
「痛がってる場合じゃないよ。このままだと、ゲームオーバーになっちゃうよ」
「くっ……うぅ……!!」
痛みを押し殺し、体を動かす真緒。迫り来る風の刃に向かって走り出し、紙一重で避けていく。段々とコウスケとの距離が縮まる。
「おっ、良いね良いね。頑張るね」
「(完全に戦いをゲーム感覚で楽しんでる。こんなのが伝説の勇者だったなんて……)」
コウスケに対してのフラストレーションが溜まる中、遂に目の前まで近付く事に成功した真緒は、コウスケの左腕が無い事を利用し、直前で左側へと移動する。
「あっ、左腕が無いから防御出来ない」
「(スキルや魔法じゃ、予備動作が入るから避けられる可能性がある。なら、直接剣で物理的に斬った方が確実!!)」
そう考えた真緒は左側に移動した後、流れる様に剣をコウスケ目掛けて突き出した。
「貰った!!」
「まぁ、そう来るよね。けど……スキル“物理無効”」
「!!?」
確実に当たる筈だった真緒の攻撃は、物理法則を無視して弾かれてしまった。
「よいしょっと」
「がはぁ!!!」
それにより生まれた隙を突いて、コウスケが真緒の腹に蹴りを入れる。重たい一撃を貰った真緒は両膝から、その場に倒れ込む。
「ぐっ……うっ……うぐぅ……」
腹を蹴られ、今にも吐きそうだった。目がチカチカする。呼吸も辛く感じていた。そんな真緒に、哀れみの目線を向けながら見下ろすコウスケ。
「忘れちゃった? 僕には物理は効かない。ダメージを与えるのなら、魔法かスキルじゃないと」
「はぁ……はぁ……そう言えば、そうでした……」
すっかり忘れていた。初代勇者のチートスキル“物理無効”。魔法、スキルを除く全ての物理的ダメージを無効にする能力。一年前、エジタスとの戦いで当時死体だったコウスケが多用して来た技だ。
「ありゃりゃ、もう動けない感じ? エジタスさんを倒したって聞いてたから、楽しみにしてたのに……ちょっとガッカリだな」
「はぁ……はぁ……あなたは……」
「ん?」
「あなたはどうして……エジタスに従っているんですか?」
「あぁ、それはね……楽しいからだよ」
「へ?」
「知っての通り、僕はこの世界に転移する前は、日本で高校生として生活してたんだ。頭はそれなりによかった、運動もそれなりに出来た。けど、そこまでだった。上には上がいる。僕は何をやっても中の上止まりだった」
初めて語られるコウスケの高校生活。
「友達は……いない訳じゃないけど、少なかった。特に異性の友達は全くいなかった。朝、軽く挨拶を交わす事も無い。そのせいか、放課後は友達とは遊ばず家でアニメやゲームばかりだった」
「…………」
「そんな生活を続けているとさ、自然とこう思うんだ。『あぁ、アニメやゲームの世界に行きたい……』ってね。僕はさ、刺激が欲しかったんだ。平和で退屈な日本では決して味わえない快感が。そしてある日、その夢は叶った……“キュアオール”」
その瞬間、コウスケの体をドームの形をしたピンクの半透明が包み込む。そして瞬く間に傷が癒え、失った筈の左腕も再生した。
「剣、魔法、スキル!! 一度は夢見た異世界ライフ!! 僕はこうゆうのをずっと待っていたんだ!!」
「じゃ、じゃああなたは……エジタスの考えに共感した訳じゃ無く、異世界での生活が続けられるから協力している訳ですか!!?」
「うん、そうだよ」
「その為に多くの人が犠牲になっても、構わないんですか!!?」
「別に良いじゃない。異世界なんだ、人だって簡単に死ぬよ」
「あなたは……勇者じゃない。勇者の風上にも置けない!!」
「いや、僕は勇者だ。その証拠に一度、魔王と戦っているからね。これは紛れもない勇者の証だよ」
「違う!! 本当の勇者って言うのは、自分で名乗る者じゃなくて、周囲から認められて自然に……」
『自然に呼ばれる者……そうじゃないの?』
「!!?」
声のした方向に顔を向けると、そこにいたのは、何とアーメイデだった。
「やっと来た。遅いぞ、エジタスさんから必ず二人で行動する様に言われているだろう?」
「ごめんなさいね。ちょっと野暮用で……それで終わったの?」
「うん、これからトドメを刺す所」
「アーメイデさん……」
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「ねぇ、私にトドメを刺させてくれない?」
「別に良いよ」
「ありがとう」
そう言うとアーメイデは、真緒に杖を向ける。
「マオ、ごめんなさいね。こんな事になって……一生恨んでくれて構わないわ」
「アーメイデさん……」
「…………さようなら、“クリスタルランス”!!」
そしてアーメイデは、杖の先から結晶の槍を勢い良く放出した。真緒……ではなく“コウスケ”に。
「「え?」」
コウスケはそのまま勢い良く吹き飛ばされ、壁に激突した。腹には結晶の槍が突き刺さっている。いったい何が起こったのか、コウスケと真緒の二人は理解出来なかった。そんな二人にアーメイデが口を開く。
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