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第十章 冒険編 反撃の狼煙
空の支配者
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「こ……こは……?」
知らない天井が目の前に広がっている。目を覚ましたフォルスは、上半身を起こして辺りを確認する。どうやらベッドの上にいるみたいだった。しかし近くに人の気配はしない。
「俺は死んだ筈じゃ……っ!!?」
そう言いながらベッドから出ようとするフォルスは気が付いた。負傷していた自身の体が“改造”されている事に。回復や修理では無い。“改造”されていたのだ。
ボロボロだった羽の一部が細かい糸で繋ぎ合わされており、先が欠けていたくちばしには、上から覆い被せる様に鉄製のペストマスクが付けられ、根元までポッキリと折れてしまっていた鉤爪は、元の形状と酷似しているナイフを埋め込まれていた。
「な、何だよこれ!?」
何が何だか状況が飲み込めないフォルス。突然の体の変化に戸惑いを隠せない。
「……と、兎に角外に出ないと……」
フォルスは出口を探しに、部屋の扉を開ける。その先は教会となっており、壁には十字架が掛けられていた。
「教会……って事は俺を治してくれたのは、神父さんなのか? いや、だとしても俺がいたのは海のど真ん中だった訳だし……うーん」
悩んでも一向に答えが出てこない。フォルスが助かった理由を考えていると、外の方が何やら騒がしかった。
「何なんだいったい……」
フォルスが外に出ると、そこには血塗れで倒れているオークと、それに泣きながらすがり付く子供達の姿があった。
「こ、これは!!?」
「オークさん!! オークさん!!」
「オークさん、死なないで!!」
「死んじゃ嫌だよー!! うぇえええええん!!」
よく見るとオークの体には複数の矢が突き刺さっており、地面にも何本か突き刺さっていた。そして残酷な現実と言うべきか、オークは既に事切れている様だった。
「……おい、ここでいったい何があったんだ?」
泣いている子供達には悪いが、一部始終を聞いてみる事にした。子供達は鼻をすすりながら、フォルスの方を振り返る。
「あっ、鳥のおじさん……目……覚ましたんだね……」
「俺の事を知っているのか?」
「うん……だって……おじさんには前にオークさんを……助けて……貰ったから……」
「助けて……まさかお前達は!?」
そこでフォルスは思い出した。オーク、そして身寄りの無い子供達の事を。
「そうか……お前達が俺を助けてくれたのか……」
「違うよ、助けたのはドラゴンのお姉ちゃんだよ」
「ドラゴンのお姉ちゃん?」
「うん……だけど……そのお姉ちゃんも……うぅ……」
今にも泣き出しそうな子供達。フォルスは慌てて子供達を宥める。
「落ち着け。俺が寝ている間、何があったのか話してくれないか?」
「ぐすっ……あれは……おじさんがここに運ばれて直ぐの事だった……」
そして子供達はゆっくりと口を開き、語り始めた。あの悪夢の様な出来事を……。
***
重症を負ったフォルスは、オークに担ぎ上げられながら教会に運ばれる。その直ぐ後をシーラが追い掛ける。そんな二人を庭先で遊んでいた子供達が出迎える。
「あっ、オークさん。お帰りなさい!!」
「オークさん、遊んで遊んで!!」
「オークさん、その人誰?」
ワラワラと集まって教会への道を塞ぐ子供達。思わぬ邪魔が入り、シーラは苛立ちを覚える。そんなシーラの殺気を感じ取り、オークは子供達を言い聞かせる。
「すまん、急いでいるのだ。我々はこの人の手当てをしなくてはならない。だから道を開けてくれ!!」
「「「はーい!!」」」
すると子供達は無邪気な笑顔を見せながら、道を開けた。
「全く……この忙しい時に……」
「落ち着きなさい。あの子達に他意は無い。それで怒るのは筋違いだぞ」
「……ちぃ!!」
軽い舌打ちを鳴らしながら、二人はフォルスを部屋のベッドに寝かせる。そんなフォルスの様子を子供達が伺いに来た。
「あぁー、この人!! 鳥のおじさんだ!!」
「ほんとだ!! 鳥のおじさん、酷い怪我してる!!」
「分かっただろう。今からフォルス殿を治すから、皆は外で遊んでいるのだ」
「「「はーい」」」
そう言うと子供達は、そそくさとその場を後にした。シーラは子供達が外で遊ぶ様子を窓から見ながら、フォルスの治療を始めようとするオークに問い掛ける。
「ここにはいつから?」
「二週間程前だ。あの日はいつも通りの朝を迎えた。だが、外の様子がいつもと少し異なっていた」
パラディースアイランドに来る前の事を話ながら、オークは棚から様々な工具を取り出していく。
「そう……エジタス殿がいたのだ」
「エジタスと会ったのか!?」
「あぁ、一年振りの再会に歓喜すると同時に警戒した。何せエジタス殿が世界を作り替えようとした事は有名だからな。そしてエジタス殿は言った。『私の島に来ませんか?』……とな」
「それでお前は付いて行ったのか」
「いや、無論最初は断った。しかし、エジタス殿は言った。『あなたの様に他種族同士が仲良く暮らしているのは、平和と幸せの証。是非、島のシンボルとして暮らして欲しい。了承して下されば、一生お金に困らない生活をさせてあげますよ』っと……正直、島のシンボルなどに興味は無かった。だが、一生お金に困らない生活は……我にとっても……子供達にとっても願ってもない条件だった。そして結局……」
「エジタスの勧誘を受け入れ、今に至るって訳か」
「そう言う事だ」
一通り話終えるとオークは工具を用いて、フォルスに治療という名の改造を施し始めた。ギギギ、ガコガコ、キューンなど、機械的な音が鳴り響く。
「……おい、さっきから治療とは思えない音が鳴っているんだが?」
「すまない。我は回復させる術を持っていない。だからこうして応急手当レベルしかしてやれない」
「……なら、私はそろそろ行かせて貰う」
「む? フォルス殿を置いて何処に行かれる気だ?」
「決まっているだろう。エジタスの奴をぶっ飛ばしに行くんだよ」
「そうか……それでは気を付けて行かれるが良い」
「意外だな。てっきり止めると思ったんだがな」
「我とて馬鹿では無い。死んだ筈のエジタス殿による島の勧誘、フォルス殿の怪我……そして貴殿の並々ならぬ殺意……最早説明は不要だ」
「そりゃあ面倒事が減って助かる」
「もし……もしエジタス殿を殺るつもりなら、出来る限り苦しまずにあの世へと送ってくれないだろうか。あれでも我等にとっては、助けて貰った恩人の一人なのだからな……」
「心配するな。感じる前に逝かせてやるよ」
その言葉を最後に、シーラは部屋を後にした。教会を抜け、外に出ると子供達が再びワラワラと集まって来る。
「あー、ドラゴンのお姉ちゃんだ!!」
「ねぇねぇ、一緒に遊んで!!」
「ドラゴンって空飛べるんでしょ? 背中乗せて!!」
「おい、ガキども。私は忙しいんだ。さっさと道を開け……っ!!?」
その時、シーラと子供達目掛けて、空から複数の矢が勢い良く飛んで来た。咄嗟に気が付いたシーラは、空に飛び上がって避けようと考えるが、そうなればここにいる子供達が犠牲になってしまう。自分か、見ず知らずの子供か。選択が迫られたシーラ。
「くそっ!! どけっ!!」
「うわぁ!!?」
シーラは子供を押し退け、身代わりになった。両手を広げ、出来るだけ子供達に矢が当たらない様にする。漆黒の鎧である程度は防げたが、初めから防具の薄い箇所を狙っていたらしく、数本矢が突き刺さってしまった。
「ぐっ……!!」
「ドラゴンのお姉ちゃん!!」
両膝を付くシーラを心配する子供達。そんな中、上空から矢を飛ばした人物が姿を現す。
「天災竜が殺られたと聞いて来て見れば……まさか白き龍の末裔に会えるとはな」
全身真っ赤な羽に覆われた鳥人。そのあまりの神々しさにシーラは息を飲んだ。
「丁度良い。どちらが真の空の支配者か、決めようじゃないか!!」
それは紛れもない。フォルスを直接海に叩き落とした人物。鳥人界の伝説的英雄、フェニクスだった。
知らない天井が目の前に広がっている。目を覚ましたフォルスは、上半身を起こして辺りを確認する。どうやらベッドの上にいるみたいだった。しかし近くに人の気配はしない。
「俺は死んだ筈じゃ……っ!!?」
そう言いながらベッドから出ようとするフォルスは気が付いた。負傷していた自身の体が“改造”されている事に。回復や修理では無い。“改造”されていたのだ。
ボロボロだった羽の一部が細かい糸で繋ぎ合わされており、先が欠けていたくちばしには、上から覆い被せる様に鉄製のペストマスクが付けられ、根元までポッキリと折れてしまっていた鉤爪は、元の形状と酷似しているナイフを埋め込まれていた。
「な、何だよこれ!?」
何が何だか状況が飲み込めないフォルス。突然の体の変化に戸惑いを隠せない。
「……と、兎に角外に出ないと……」
フォルスは出口を探しに、部屋の扉を開ける。その先は教会となっており、壁には十字架が掛けられていた。
「教会……って事は俺を治してくれたのは、神父さんなのか? いや、だとしても俺がいたのは海のど真ん中だった訳だし……うーん」
悩んでも一向に答えが出てこない。フォルスが助かった理由を考えていると、外の方が何やら騒がしかった。
「何なんだいったい……」
フォルスが外に出ると、そこには血塗れで倒れているオークと、それに泣きながらすがり付く子供達の姿があった。
「こ、これは!!?」
「オークさん!! オークさん!!」
「オークさん、死なないで!!」
「死んじゃ嫌だよー!! うぇえええええん!!」
よく見るとオークの体には複数の矢が突き刺さっており、地面にも何本か突き刺さっていた。そして残酷な現実と言うべきか、オークは既に事切れている様だった。
「……おい、ここでいったい何があったんだ?」
泣いている子供達には悪いが、一部始終を聞いてみる事にした。子供達は鼻をすすりながら、フォルスの方を振り返る。
「あっ、鳥のおじさん……目……覚ましたんだね……」
「俺の事を知っているのか?」
「うん……だって……おじさんには前にオークさんを……助けて……貰ったから……」
「助けて……まさかお前達は!?」
そこでフォルスは思い出した。オーク、そして身寄りの無い子供達の事を。
「そうか……お前達が俺を助けてくれたのか……」
「違うよ、助けたのはドラゴンのお姉ちゃんだよ」
「ドラゴンのお姉ちゃん?」
「うん……だけど……そのお姉ちゃんも……うぅ……」
今にも泣き出しそうな子供達。フォルスは慌てて子供達を宥める。
「落ち着け。俺が寝ている間、何があったのか話してくれないか?」
「ぐすっ……あれは……おじさんがここに運ばれて直ぐの事だった……」
そして子供達はゆっくりと口を開き、語り始めた。あの悪夢の様な出来事を……。
***
重症を負ったフォルスは、オークに担ぎ上げられながら教会に運ばれる。その直ぐ後をシーラが追い掛ける。そんな二人を庭先で遊んでいた子供達が出迎える。
「あっ、オークさん。お帰りなさい!!」
「オークさん、遊んで遊んで!!」
「オークさん、その人誰?」
ワラワラと集まって教会への道を塞ぐ子供達。思わぬ邪魔が入り、シーラは苛立ちを覚える。そんなシーラの殺気を感じ取り、オークは子供達を言い聞かせる。
「すまん、急いでいるのだ。我々はこの人の手当てをしなくてはならない。だから道を開けてくれ!!」
「「「はーい!!」」」
すると子供達は無邪気な笑顔を見せながら、道を開けた。
「全く……この忙しい時に……」
「落ち着きなさい。あの子達に他意は無い。それで怒るのは筋違いだぞ」
「……ちぃ!!」
軽い舌打ちを鳴らしながら、二人はフォルスを部屋のベッドに寝かせる。そんなフォルスの様子を子供達が伺いに来た。
「あぁー、この人!! 鳥のおじさんだ!!」
「ほんとだ!! 鳥のおじさん、酷い怪我してる!!」
「分かっただろう。今からフォルス殿を治すから、皆は外で遊んでいるのだ」
「「「はーい」」」
そう言うと子供達は、そそくさとその場を後にした。シーラは子供達が外で遊ぶ様子を窓から見ながら、フォルスの治療を始めようとするオークに問い掛ける。
「ここにはいつから?」
「二週間程前だ。あの日はいつも通りの朝を迎えた。だが、外の様子がいつもと少し異なっていた」
パラディースアイランドに来る前の事を話ながら、オークは棚から様々な工具を取り出していく。
「そう……エジタス殿がいたのだ」
「エジタスと会ったのか!?」
「あぁ、一年振りの再会に歓喜すると同時に警戒した。何せエジタス殿が世界を作り替えようとした事は有名だからな。そしてエジタス殿は言った。『私の島に来ませんか?』……とな」
「それでお前は付いて行ったのか」
「いや、無論最初は断った。しかし、エジタス殿は言った。『あなたの様に他種族同士が仲良く暮らしているのは、平和と幸せの証。是非、島のシンボルとして暮らして欲しい。了承して下されば、一生お金に困らない生活をさせてあげますよ』っと……正直、島のシンボルなどに興味は無かった。だが、一生お金に困らない生活は……我にとっても……子供達にとっても願ってもない条件だった。そして結局……」
「エジタスの勧誘を受け入れ、今に至るって訳か」
「そう言う事だ」
一通り話終えるとオークは工具を用いて、フォルスに治療という名の改造を施し始めた。ギギギ、ガコガコ、キューンなど、機械的な音が鳴り響く。
「……おい、さっきから治療とは思えない音が鳴っているんだが?」
「すまない。我は回復させる術を持っていない。だからこうして応急手当レベルしかしてやれない」
「……なら、私はそろそろ行かせて貰う」
「む? フォルス殿を置いて何処に行かれる気だ?」
「決まっているだろう。エジタスの奴をぶっ飛ばしに行くんだよ」
「そうか……それでは気を付けて行かれるが良い」
「意外だな。てっきり止めると思ったんだがな」
「我とて馬鹿では無い。死んだ筈のエジタス殿による島の勧誘、フォルス殿の怪我……そして貴殿の並々ならぬ殺意……最早説明は不要だ」
「そりゃあ面倒事が減って助かる」
「もし……もしエジタス殿を殺るつもりなら、出来る限り苦しまずにあの世へと送ってくれないだろうか。あれでも我等にとっては、助けて貰った恩人の一人なのだからな……」
「心配するな。感じる前に逝かせてやるよ」
その言葉を最後に、シーラは部屋を後にした。教会を抜け、外に出ると子供達が再びワラワラと集まって来る。
「あー、ドラゴンのお姉ちゃんだ!!」
「ねぇねぇ、一緒に遊んで!!」
「ドラゴンって空飛べるんでしょ? 背中乗せて!!」
「おい、ガキども。私は忙しいんだ。さっさと道を開け……っ!!?」
その時、シーラと子供達目掛けて、空から複数の矢が勢い良く飛んで来た。咄嗟に気が付いたシーラは、空に飛び上がって避けようと考えるが、そうなればここにいる子供達が犠牲になってしまう。自分か、見ず知らずの子供か。選択が迫られたシーラ。
「くそっ!! どけっ!!」
「うわぁ!!?」
シーラは子供を押し退け、身代わりになった。両手を広げ、出来るだけ子供達に矢が当たらない様にする。漆黒の鎧である程度は防げたが、初めから防具の薄い箇所を狙っていたらしく、数本矢が突き刺さってしまった。
「ぐっ……!!」
「ドラゴンのお姉ちゃん!!」
両膝を付くシーラを心配する子供達。そんな中、上空から矢を飛ばした人物が姿を現す。
「天災竜が殺られたと聞いて来て見れば……まさか白き龍の末裔に会えるとはな」
全身真っ赤な羽に覆われた鳥人。そのあまりの神々しさにシーラは息を飲んだ。
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