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最終章 少女と道化師の物語
人類 VS 神(後編)
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一斉に動き出した真緒達は、左右をサタニアとフォルスの二人、背後をシーラ、そして正面は真緒という具合に、エジタスを中心に周りを取り囲んだ。
『いったい何を相談していたのか分からぬが、そなた達が何を企もうが我ら神の前では全てが無駄となるであろう。だからという訳では無いが力加減を誤り、殺めてしまったそなた達の仲間の後追いは辞めなさい』
「すみませんね、私達は諦めが悪いんですよ。それにこれは後追いなんかじゃありません」
「死んでしまった皆の想いを背負って、ここに立っているんだ」
「全てはこの戦いに勝つ為に……」
「エジタス、僕達は君を倒す!!」
四人の言葉を聞いたエジタスは、一度空を見上げ、深い溜め息を漏らした。
『何とも情けない光景ではないか。圧倒的な存在を前にし、仲間の死を乗り越えて立ち向かう者達。そして最後には奇跡の勝利を収める。そんなのは絵本などのおとぎ話に過ぎない。現実は常に残酷なのだよ』
「そんなのやってみないと分からない。シーラさん!!」
「“ギガフレイム”!!」
するとシーラがいつもの様に、口から巨大な火の玉を勢い良く吐き出した。巨大な火の玉は真っ直ぐエジタス目掛けて飛んでいく。
『龍の子よ、学習能力という物を身に付けた方が良いぞ』
そう言いながらエジタスは振り返り、四本の内の一本の腕だけで、迫り来る巨大な火の玉を掻き消そうとした。
『!!?』
しかし、それは叶わなかった。何故なら、巨大な火の玉はエジタスに当たらずその手前、一メートル先の場所に着弾したのだ。爆音が鳴り響き、土煙と黒煙が舞い上がる。それにより、真緒達の姿が見えなくなってしまった。
『成る程、目眩ましという訳か。だが悲しいかな、我らには意味を成さない。“サーモアイ”』
その瞬間、エジタスの目がオレンジ色に輝き始めた。土煙と黒煙が周囲を覆っているが、エジタスの目にはハッキリと真緒達の姿が確認出来た。
『体温を見分ける“サーモアイ”がある限り、我らはそなた達の位置が分かるという訳だ』
「“ライト”!!」
『!!?』
すると真緒は、掌から眩い光を放つ玉を生成した。その瞬間、エジタスの視界が真っ赤に染まり、何も見えなくなってしまった。
『小賢しい真似を!!』
目をやられ、口調が少し乱れるエジタス。“サーモアイ”を解除し、肉眼で真緒達の位置を特定しようとするが、やはり舞い上がっている土煙と黒煙のせいで分からなかった。
『これ位、何の苦でも無い。例え、我らの目を封じたとしても、我らの体に傷を負わせる事は不可能。時期にこの目眩ましも収まる。その時がそなた達の最後となるであろう』
『…………』
返事が無い。いつもなら何かしらの反論があるのだが、今回は何も反応が返って来なかった。
『(逃げた……? 否、気配は感じている。では何故、何も仕掛けて来ない? この目眩ましは何処から攻撃が飛んでくるのか、分からなくする為の物では無いのか? わざわざ光属性魔法を使用してまで、自分達の位置を把握させまいという徹底した目眩まし……まさか他の目的が?)』
真緒達の目的が分からないエジタスは、どう行動するべきなのか分からず、思考を巡らせていた。
その時だった。土煙と黒煙が舞い上がる中、向こう側からこちら側に走って来る足音が聞こえて来た。
『ふん、やっと来たか。随分と時間を掛けるではないか。だが、所詮は人類の浅知恵。容易く葬り去ってくれよう』
そう言いながらエジタスは、四本の腕を大きく広げ、来るであろう攻撃に備えた。走る足音はどんどんと大きくなり、遂にエジタスの前にその姿を現した。
「うぉおおおおおお!!!」
現れたのは真緒だった。エジタスと正面からの真っ向勝負。そのあまりにも真っ直ぐな姿にエジタスは鼻で笑ったが、直ぐに違和感に気が付いた。
『(剣を……抜いていない!!?)』
先程まで構えていた二本のブレイブソード。しかし今の真緒は、その二本を鞘に収め、手ぶらの状態で突っ込んで来ていた。エジタスが動揺した一瞬の隙を突き、真緒はエジタスの懐に入り込んだ。
「だぁああああああ!!!」
その勢いのまま、真緒はエジタスを強く押し込んだ。それにより、エジタスは“一歩”後ろに下がった。そして……真緒とエジタスは足場から落下した。
『!!?』
何が起こったのか、まるで分からなかった。後ろには充分スペースがあった。一歩下がっただけじゃ、決して落ちる事は無い。にも関わらず、エジタスと真緒は現在進行中で落下している。その時、エジタスは気が付いた、自分が何故落下したのか。
『そういう事か……何故、そなた達があそこまで目眩ましにこだわったのか。死角から我らを攻撃する為でも、ましてや逃げる為でも無い。それは……』
やがてエジタスが立っていた場所の土煙と黒煙が収まり、その姿が明らかとなる。そこに広がっていたのは、足場の一部が抉れている光景だった。
『足場を削る為だった!!』
そう言いながらエジタスは、今も尚体に抱きついている真緒に目を向ける。
『そして我らを確実に落とす為、そなたが犠牲になる事を選んだ。何とも愚かな決断であったな』
「…………」
『我らの背中には翼がある。それを使わせない為には、抱きついて押さえ付ける必要がある。しかし、残念だがそなた達の作戦は失敗だ』
「…………」
『例え足場から地上に落下しようが、我らの体には傷一つ付かないのだよ。つまり、落下の衝撃で死ぬのはそなただけとなる』
「…………」
『悔やむ事は無いぞ。力無き人類が何とか導き出した攻撃方法なのだからな。新世界を作る際は、そなた達の事を文献に記して後世まで語り継いでおこう。タイトルは……「愚かな旧人類の悪足掻き」』
「……別に悔やんではいませんよ。これ位の事をしなければ、あなたを追い詰める事は出来ませんから。それに……まだ私達の攻撃は終わっていません」
『何? っ!!?』
その時、エジタスは目を疑った。それは真緒が見せた勝利の笑みにでは無く、足場の根っこの部分を崩しているシーラの姿に。
「マオ、行くぞ!!」
「お願いします!!」
真緒の抱き締める力が強くなった。そして次の瞬間、根っこの部分が削られ、バランスが崩れた足場をシーラが、エジタスと真緒目掛けて勢い良く倒した。エジタスの目の前に広がるのは、迫り来る超巨大な土塊。
『ま、まさか最初からこれが狙いだったのか!!?』
「確かに……人類が力を合わせてもあなたには勝てないかもしれません。でも、この世界なら……あなたが壊そうとしている今の世界の力なら、あなたを倒す事だって出来る筈です!!」
『ぐぅ!! 離せ!! 離せ!!』
翼を広げてその場から逃げ出す為に、抱きついている真緒を振りほどこうと、体を勢い良く振るエジタス。
「離しません!! 絶対に離さない!!」
『離せと言ってるだろう、小娘が!!!』
「きゃあああああ!!!」
中々、手を離さない真緒に苛立ちを覚え、遂に口調が汚くなったエジタス。拳で真緒を殴り、無理矢理遠くへと吹き飛ばした。
『残念だったな!! これで貴様らの作戦は失敗だ!! “我”の完全なる勝利だ!!』
「ぐっ……皆、作戦Bに変更!!」
『何だと!!?』
すると次の瞬間、エジタスの四本の腕それぞれに矢が突き刺さった。
『こ、これは!!?』
更に矢羽の部分には、ロープがくくりつけられており、その先を地上にいるフォルスとサタニアが左右の離れた位置から引っ張っていた。
『ぐぉおおおおおお!!!』
左右から同じ力で引っ張られている為、身動きが取れないエジタス。
『こうなったら、あの土塊を破壊するまで!!』
すると突然、エジタスの胸に穴が空き、中で青白い光が集まっていた。
「不味い!! あの光線を胸から放つつもりだ!!」
「そんな!!? 今から止めようにも、間に合わない!!」
吹き飛ばされた真緒は勿論、エジタスを拘束しているサタニアとフォルスも不可能。そして足場を崩していたシーラも、今からではとても間に合わない。誰もエジタスの攻撃を止める事は出来ない。
「ここまで来たのに……もう駄目なの……ごめん、皆……」
『ははははは!!! 吹き飛ぶがいい!! “ジャッジメン……っ!!?”』
その時、エジタスの攻撃を妨害するかの様に、何かがエジタスの上に勢い良く落ちて来た。それにより、エジタスの攻撃は未然に防がれた。
「「あ、あれは!!!」」
真緒とサタニアの声が重なる。エジタスの上に落ちて来た物体。それは二種類あった。一つは巨大な石の塊、もう一つはローブを来た魔法使いの死体だった。
「リーマ!!」
「ゴルガ!!」
死して尚、真緒達の為に活躍したリーマとゴルガ。二人の重さが加わり、エジタスは勢い良く地上へと落下した。
『この!! この!! この!!』
直ぐ様逃げようと試みるが、両腕をサタニアとフォルスに引っ張られ、上にはゴルガとリーマの死体が乗っかっている為、脱出する事は出来なかった。
『くっ……そぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』
エジタスの叫び声と共に、超巨大な土塊がエジタスの上に落下する。凄まじい爆音が鳴り響き、衝撃波と土煙が周囲に広がる。
「「「「…………」」」」
やがて土煙も収まった。真緒達の目の前に広がるのは、巨大な土塊の山だった。しばらく誰も声が出なかった。そして誰かがボソリと呟いた。
「勝った……」
「勝った……勝った……」
「「「「やっ……たぁああああああ!!!」」」」
皆で抱き合い、喜び合った。ある者は喜びのあまり涙を流し、ある者は疲れからかその場に寝転がった。
「僕達、勝ったんだね……」
「うん……皆のお陰だよ……皆がいなかったら、勝てなかった……」
「リーマとゴルガも頑張ってくれたな」
「そうだね、死者復活の紙で蘇らせたら、真っ先にお礼を言わなきゃ」
「後、弾になってくれたハナコにもな」
「「「「あはははははは」」」」
笑い合う真緒達。長きに渡る戦いは、遂に終わりを迎えるのであった。
そんな真緒達の背後で、土塊の山が僅かに動いた。
『いったい何を相談していたのか分からぬが、そなた達が何を企もうが我ら神の前では全てが無駄となるであろう。だからという訳では無いが力加減を誤り、殺めてしまったそなた達の仲間の後追いは辞めなさい』
「すみませんね、私達は諦めが悪いんですよ。それにこれは後追いなんかじゃありません」
「死んでしまった皆の想いを背負って、ここに立っているんだ」
「全てはこの戦いに勝つ為に……」
「エジタス、僕達は君を倒す!!」
四人の言葉を聞いたエジタスは、一度空を見上げ、深い溜め息を漏らした。
『何とも情けない光景ではないか。圧倒的な存在を前にし、仲間の死を乗り越えて立ち向かう者達。そして最後には奇跡の勝利を収める。そんなのは絵本などのおとぎ話に過ぎない。現実は常に残酷なのだよ』
「そんなのやってみないと分からない。シーラさん!!」
「“ギガフレイム”!!」
するとシーラがいつもの様に、口から巨大な火の玉を勢い良く吐き出した。巨大な火の玉は真っ直ぐエジタス目掛けて飛んでいく。
『龍の子よ、学習能力という物を身に付けた方が良いぞ』
そう言いながらエジタスは振り返り、四本の内の一本の腕だけで、迫り来る巨大な火の玉を掻き消そうとした。
『!!?』
しかし、それは叶わなかった。何故なら、巨大な火の玉はエジタスに当たらずその手前、一メートル先の場所に着弾したのだ。爆音が鳴り響き、土煙と黒煙が舞い上がる。それにより、真緒達の姿が見えなくなってしまった。
『成る程、目眩ましという訳か。だが悲しいかな、我らには意味を成さない。“サーモアイ”』
その瞬間、エジタスの目がオレンジ色に輝き始めた。土煙と黒煙が周囲を覆っているが、エジタスの目にはハッキリと真緒達の姿が確認出来た。
『体温を見分ける“サーモアイ”がある限り、我らはそなた達の位置が分かるという訳だ』
「“ライト”!!」
『!!?』
すると真緒は、掌から眩い光を放つ玉を生成した。その瞬間、エジタスの視界が真っ赤に染まり、何も見えなくなってしまった。
『小賢しい真似を!!』
目をやられ、口調が少し乱れるエジタス。“サーモアイ”を解除し、肉眼で真緒達の位置を特定しようとするが、やはり舞い上がっている土煙と黒煙のせいで分からなかった。
『これ位、何の苦でも無い。例え、我らの目を封じたとしても、我らの体に傷を負わせる事は不可能。時期にこの目眩ましも収まる。その時がそなた達の最後となるであろう』
『…………』
返事が無い。いつもなら何かしらの反論があるのだが、今回は何も反応が返って来なかった。
『(逃げた……? 否、気配は感じている。では何故、何も仕掛けて来ない? この目眩ましは何処から攻撃が飛んでくるのか、分からなくする為の物では無いのか? わざわざ光属性魔法を使用してまで、自分達の位置を把握させまいという徹底した目眩まし……まさか他の目的が?)』
真緒達の目的が分からないエジタスは、どう行動するべきなのか分からず、思考を巡らせていた。
その時だった。土煙と黒煙が舞い上がる中、向こう側からこちら側に走って来る足音が聞こえて来た。
『ふん、やっと来たか。随分と時間を掛けるではないか。だが、所詮は人類の浅知恵。容易く葬り去ってくれよう』
そう言いながらエジタスは、四本の腕を大きく広げ、来るであろう攻撃に備えた。走る足音はどんどんと大きくなり、遂にエジタスの前にその姿を現した。
「うぉおおおおおお!!!」
現れたのは真緒だった。エジタスと正面からの真っ向勝負。そのあまりにも真っ直ぐな姿にエジタスは鼻で笑ったが、直ぐに違和感に気が付いた。
『(剣を……抜いていない!!?)』
先程まで構えていた二本のブレイブソード。しかし今の真緒は、その二本を鞘に収め、手ぶらの状態で突っ込んで来ていた。エジタスが動揺した一瞬の隙を突き、真緒はエジタスの懐に入り込んだ。
「だぁああああああ!!!」
その勢いのまま、真緒はエジタスを強く押し込んだ。それにより、エジタスは“一歩”後ろに下がった。そして……真緒とエジタスは足場から落下した。
『!!?』
何が起こったのか、まるで分からなかった。後ろには充分スペースがあった。一歩下がっただけじゃ、決して落ちる事は無い。にも関わらず、エジタスと真緒は現在進行中で落下している。その時、エジタスは気が付いた、自分が何故落下したのか。
『そういう事か……何故、そなた達があそこまで目眩ましにこだわったのか。死角から我らを攻撃する為でも、ましてや逃げる為でも無い。それは……』
やがてエジタスが立っていた場所の土煙と黒煙が収まり、その姿が明らかとなる。そこに広がっていたのは、足場の一部が抉れている光景だった。
『足場を削る為だった!!』
そう言いながらエジタスは、今も尚体に抱きついている真緒に目を向ける。
『そして我らを確実に落とす為、そなたが犠牲になる事を選んだ。何とも愚かな決断であったな』
「…………」
『我らの背中には翼がある。それを使わせない為には、抱きついて押さえ付ける必要がある。しかし、残念だがそなた達の作戦は失敗だ』
「…………」
『例え足場から地上に落下しようが、我らの体には傷一つ付かないのだよ。つまり、落下の衝撃で死ぬのはそなただけとなる』
「…………」
『悔やむ事は無いぞ。力無き人類が何とか導き出した攻撃方法なのだからな。新世界を作る際は、そなた達の事を文献に記して後世まで語り継いでおこう。タイトルは……「愚かな旧人類の悪足掻き」』
「……別に悔やんではいませんよ。これ位の事をしなければ、あなたを追い詰める事は出来ませんから。それに……まだ私達の攻撃は終わっていません」
『何? っ!!?』
その時、エジタスは目を疑った。それは真緒が見せた勝利の笑みにでは無く、足場の根っこの部分を崩しているシーラの姿に。
「マオ、行くぞ!!」
「お願いします!!」
真緒の抱き締める力が強くなった。そして次の瞬間、根っこの部分が削られ、バランスが崩れた足場をシーラが、エジタスと真緒目掛けて勢い良く倒した。エジタスの目の前に広がるのは、迫り来る超巨大な土塊。
『ま、まさか最初からこれが狙いだったのか!!?』
「確かに……人類が力を合わせてもあなたには勝てないかもしれません。でも、この世界なら……あなたが壊そうとしている今の世界の力なら、あなたを倒す事だって出来る筈です!!」
『ぐぅ!! 離せ!! 離せ!!』
翼を広げてその場から逃げ出す為に、抱きついている真緒を振りほどこうと、体を勢い良く振るエジタス。
「離しません!! 絶対に離さない!!」
『離せと言ってるだろう、小娘が!!!』
「きゃあああああ!!!」
中々、手を離さない真緒に苛立ちを覚え、遂に口調が汚くなったエジタス。拳で真緒を殴り、無理矢理遠くへと吹き飛ばした。
『残念だったな!! これで貴様らの作戦は失敗だ!! “我”の完全なる勝利だ!!』
「ぐっ……皆、作戦Bに変更!!」
『何だと!!?』
すると次の瞬間、エジタスの四本の腕それぞれに矢が突き刺さった。
『こ、これは!!?』
更に矢羽の部分には、ロープがくくりつけられており、その先を地上にいるフォルスとサタニアが左右の離れた位置から引っ張っていた。
『ぐぉおおおおおお!!!』
左右から同じ力で引っ張られている為、身動きが取れないエジタス。
『こうなったら、あの土塊を破壊するまで!!』
すると突然、エジタスの胸に穴が空き、中で青白い光が集まっていた。
「不味い!! あの光線を胸から放つつもりだ!!」
「そんな!!? 今から止めようにも、間に合わない!!」
吹き飛ばされた真緒は勿論、エジタスを拘束しているサタニアとフォルスも不可能。そして足場を崩していたシーラも、今からではとても間に合わない。誰もエジタスの攻撃を止める事は出来ない。
「ここまで来たのに……もう駄目なの……ごめん、皆……」
『ははははは!!! 吹き飛ぶがいい!! “ジャッジメン……っ!!?”』
その時、エジタスの攻撃を妨害するかの様に、何かがエジタスの上に勢い良く落ちて来た。それにより、エジタスの攻撃は未然に防がれた。
「「あ、あれは!!!」」
真緒とサタニアの声が重なる。エジタスの上に落ちて来た物体。それは二種類あった。一つは巨大な石の塊、もう一つはローブを来た魔法使いの死体だった。
「リーマ!!」
「ゴルガ!!」
死して尚、真緒達の為に活躍したリーマとゴルガ。二人の重さが加わり、エジタスは勢い良く地上へと落下した。
『この!! この!! この!!』
直ぐ様逃げようと試みるが、両腕をサタニアとフォルスに引っ張られ、上にはゴルガとリーマの死体が乗っかっている為、脱出する事は出来なかった。
『くっ……そぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』
エジタスの叫び声と共に、超巨大な土塊がエジタスの上に落下する。凄まじい爆音が鳴り響き、衝撃波と土煙が周囲に広がる。
「「「「…………」」」」
やがて土煙も収まった。真緒達の目の前に広がるのは、巨大な土塊の山だった。しばらく誰も声が出なかった。そして誰かがボソリと呟いた。
「勝った……」
「勝った……勝った……」
「「「「やっ……たぁああああああ!!!」」」」
皆で抱き合い、喜び合った。ある者は喜びのあまり涙を流し、ある者は疲れからかその場に寝転がった。
「僕達、勝ったんだね……」
「うん……皆のお陰だよ……皆がいなかったら、勝てなかった……」
「リーマとゴルガも頑張ってくれたな」
「そうだね、死者復活の紙で蘇らせたら、真っ先にお礼を言わなきゃ」
「後、弾になってくれたハナコにもな」
「「「「あはははははは」」」」
笑い合う真緒達。長きに渡る戦いは、遂に終わりを迎えるのであった。
そんな真緒達の背後で、土塊の山が僅かに動いた。
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