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最終章 少女と道化師の物語
振り出し
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「これって、もしかして……!?」
エジタスが真緒達の前に現れた事により、もしやと考えられていた一つの可能性。その疑問が確信に変わった。
「何故ですか!? サトウマオ達ならいざ知らず、何故本物である私が攻撃されているのですか!?」
自分で生み出した筈の存在に攻撃を食らい、納得がいかないロスト。何度も動かそうとするが、偽物達はうんともすんとも言わない。
「こ、こんな事が!? いったいどうして!?」
『くははは、魂を持たない癖に焦った演技は一人前だな。拍手を送りたい気分だ』
「あなたは!!?」
それはロストの傷口から聞こえて来た。声はこれまでのエジタスと全く同じなのだが、口調や性格はまるで違った。そして真緒達は、この喋り方をする人物に心当たりがあった。化物のエジタス。エジタスの中に眠るもう一つの人格が、真緒達を助けてくれた。
『全く、あいつがあんまりに不甲斐ないから、うっかり出て来てしまった』
『え~、そんな言い方はあんまりじゃないですか~?』
「成る程、そう言う事ですか。まさかあなたまで彼女達に手を貸すとは……化物がどういう風の吹き回しですか?」
化物のエジタスと道化師のエジタスが交互に喋り、訳が分からなくなる中、逸早くロストが状況を理解し、落ち着きを取り戻した。
『よく言うだろ、化物相手には化物ってな。お前みたいな化物に相手が務まるのは、化物である俺位しかいないだろ』
「よく見ればこの偽物達……私が生み出した物ではありませんね」
『大正解。あの時……お前が周囲を暗闇で覆った瞬間、俺はお前に気付かれない様、お前にそっくりな人形を骨肉魔法で生成した。そしてマオ達と戦う振りをしながら、お前が生み出した偽物達を始末したって訳さ』
「随分と手の込んだ事をしてくれましたね。しかし、種が分かればどうって事はありません」
するとロストは片手で、化物のエジタスが作った人形達を振り払った。次の瞬間、人形達は跡形も無くミンチになってしまった。
『さすがに強いな。まさか片手で俺の作った人形を消し飛ばすとはな』
「あ、あの……」
『ん、あぁ、お前らか……いったい何の用だ?』
ロストの規格外の強さを実感していると、真緒が恐る恐る声を掛けた。対して化物のエジタスは興味が無さそうな返事を返した。
「あの、助けてくれてありがとうございました」
『別に礼はいらない。俺が勝手にやった事だからな。それにお前らに死なれたら困るんだよ』
「えっ……?」
『もう気付いていると思うが、俺達はこいつの中に閉じ込められている。外に出る為にはこいつを倒さなければならない。だから、それが出来る唯一の可能性であるお前達に死んで貰っては困るんだよ』
「…………」
エジタスが手を貸す理由。それは自由を手に入れる為。例え、ロストを倒す事が出来たとしても、今度は自由になったエジタス達と戦う事を余儀無くさせられるだろう。しかし……。
「それでも……それでも私達は師匠を信じる!!」
「仮にも心から愛した相手だからね。僕達が信じなくて、誰が信じるって言うの」
「エジタス、魔王様の心遣い感謝するんだな!!」
『……まぁ、そう言うならそう言う事にしておいてやるよ』
「お喋りは済みましたか?」
「「「!!!」」」
真緒達が化物のエジタスと、気の抜けた会話をしていると、下半身が埋め込まれているとは思えない速さで、ロストが間合いを詰めて来た。そして両腕を鋭い針に変化させ、真緒とサタニア目掛けて突き刺そうとする。
『中々良い攻撃だが、やるならもっと静かにするべきだったな』
「!!?」
ロストの針が真緒とサタニアに突き刺さりそうになった次の瞬間、超巨大なエジタスの体から分厚い肉の壁が両者の間に割り込む形で現れ、ロストの攻撃を防いで見せた。
『悪いがこの体の半分は、俺がコントロールさせて貰った』
「小癪な真似を!!」
そう言いながらロストは、化物のエジタスが作り出した肉の壁を破壊した。
「い、いない!!?」
しかし、そこに真緒達の姿は無かった。慌てて周囲を見回すロストだが、何処にも真緒達の姿は無かった。
「こっちですよ!!」
「!!!」
すると突然、背後から声が聞こえて来た。目線を後ろに向けると、そこには真緒とサタニアが剣を構え、ロスト目掛けて突き刺そうとしていた。
『油断しましたね~、エジタスはあの人だけじゃないんですよ~』
転移魔法。化物のエジタスによる肉の壁で視界が遮られた。その隙を突いて、道化師のエジタスが転移魔法で、その場から真緒達を一瞬で消してしまったのだ。しかし、この状況に何故かロストは余裕の表情を見せる。
「……先程の静かにするべきだったという言葉、脳に深く刻み込んでおきましょう。だからこそ言わせて貰います。やるならもっと静かにするべきでしたね」
「「!!!」」
真緒とサタニアがロストを攻撃しようとしたその瞬間、ロストの背中の一部が鋭く細長い針に変化し、真緒とサタニア目掛けて勢い良く伸びた。そして何と二人の頭を貫いた。貫いた針を伝って、血が流れ落ちる。
「よく頑張りましたが、これで終わ……っ!!?」
そう思った次の瞬間、真上から真緒とサタニアの二人による剣がロストの体を勢い良く貫いた。
「なっ!!?」
「サタニア!!」
「マオ!!」
「「はぁああああああ!!!」」
そして真緒は右方向に、サタニアは左方向にそれぞれ剣を振り払った。それにより、ロストの体は真っ二つに切り裂かれた。
「(な、何故!!? 確かにこの手で殺した筈なのに……いったいどうして!!?)」
海面へと落下する中、ロストは何故こんな事になったのか、その原因を探ろうとした。そして落下しながら、視界の端で捉えたのは……。
「(あ、あれは……!!?)」
それはロストが殺したと思っていた真緒とサタニアの姿が、肉の人形へと変わっていく光景だった。
『だから言ったでしょ~、油断しましたねって~』
『お前の敗因は圧倒的な戦闘経験不足だ。悪いがこちらは、二千年間ずっと動き回っていたんだ。何もせず、只じっと待っていたお前とは違う』
「そんな……そんな……私が負けるなんて……認めない……認めない……認めないぞぉおおおおおおおお!!!」
ロストは自身の片腕を、真緒とサタニア目掛けて勢い良く伸ばした。しかしその攻撃はあまりにも単調であり、一直線であった為、真緒とサタニアは簡単に避ける事が出来た。
『おい、何避けてるんだ!!?』
「「え?」」
すると何故か化物のエジタスに叱られる真緒とサタニア。その時、避けたロストの片腕は、超巨大なエジタスの体に突き刺さった。
『早くその腕を切り落とせ!!』
「えっ、あっ、はい!!」
言われるがまま、真緒は突き刺さったロストの片腕を剣で切り落とした。そしてそれを最後にロストは海面に落ち、そのまま海中へと沈んで行った。
『くそっ、遅かったか!!』
「ど、どう言う意味ですか?」
「こう言う意味ですよ。サトウマオさん」
「「!!?」」
声のした方向に振り返るとそこには、海中に沈んだ筈のロストがいた。
「ど、どうして!!? 確かに今、この目で海に沈んだのを確かめたのに!!?」
「言いましたよね。私は魂を持たない存在。つまり“器”さえあれば、意識を移し変える事も可能なのです」
「そんな……」
真緒達が勝利を納めたかに思えたが、ロストの悪足掻きにより、戦いは振り出しに戻ってしまった。否、振り出しというのは正しい表現では無い。真緒達の体はかなり疲労している。状況はかなり劣勢だと言わざるを得ないだろう。
エジタスが真緒達の前に現れた事により、もしやと考えられていた一つの可能性。その疑問が確信に変わった。
「何故ですか!? サトウマオ達ならいざ知らず、何故本物である私が攻撃されているのですか!?」
自分で生み出した筈の存在に攻撃を食らい、納得がいかないロスト。何度も動かそうとするが、偽物達はうんともすんとも言わない。
「こ、こんな事が!? いったいどうして!?」
『くははは、魂を持たない癖に焦った演技は一人前だな。拍手を送りたい気分だ』
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それはロストの傷口から聞こえて来た。声はこれまでのエジタスと全く同じなのだが、口調や性格はまるで違った。そして真緒達は、この喋り方をする人物に心当たりがあった。化物のエジタス。エジタスの中に眠るもう一つの人格が、真緒達を助けてくれた。
『全く、あいつがあんまりに不甲斐ないから、うっかり出て来てしまった』
『え~、そんな言い方はあんまりじゃないですか~?』
「成る程、そう言う事ですか。まさかあなたまで彼女達に手を貸すとは……化物がどういう風の吹き回しですか?」
化物のエジタスと道化師のエジタスが交互に喋り、訳が分からなくなる中、逸早くロストが状況を理解し、落ち着きを取り戻した。
『よく言うだろ、化物相手には化物ってな。お前みたいな化物に相手が務まるのは、化物である俺位しかいないだろ』
「よく見ればこの偽物達……私が生み出した物ではありませんね」
『大正解。あの時……お前が周囲を暗闇で覆った瞬間、俺はお前に気付かれない様、お前にそっくりな人形を骨肉魔法で生成した。そしてマオ達と戦う振りをしながら、お前が生み出した偽物達を始末したって訳さ』
「随分と手の込んだ事をしてくれましたね。しかし、種が分かればどうって事はありません」
するとロストは片手で、化物のエジタスが作った人形達を振り払った。次の瞬間、人形達は跡形も無くミンチになってしまった。
『さすがに強いな。まさか片手で俺の作った人形を消し飛ばすとはな』
「あ、あの……」
『ん、あぁ、お前らか……いったい何の用だ?』
ロストの規格外の強さを実感していると、真緒が恐る恐る声を掛けた。対して化物のエジタスは興味が無さそうな返事を返した。
「あの、助けてくれてありがとうございました」
『別に礼はいらない。俺が勝手にやった事だからな。それにお前らに死なれたら困るんだよ』
「えっ……?」
『もう気付いていると思うが、俺達はこいつの中に閉じ込められている。外に出る為にはこいつを倒さなければならない。だから、それが出来る唯一の可能性であるお前達に死んで貰っては困るんだよ』
「…………」
エジタスが手を貸す理由。それは自由を手に入れる為。例え、ロストを倒す事が出来たとしても、今度は自由になったエジタス達と戦う事を余儀無くさせられるだろう。しかし……。
「それでも……それでも私達は師匠を信じる!!」
「仮にも心から愛した相手だからね。僕達が信じなくて、誰が信じるって言うの」
「エジタス、魔王様の心遣い感謝するんだな!!」
『……まぁ、そう言うならそう言う事にしておいてやるよ』
「お喋りは済みましたか?」
「「「!!!」」」
真緒達が化物のエジタスと、気の抜けた会話をしていると、下半身が埋め込まれているとは思えない速さで、ロストが間合いを詰めて来た。そして両腕を鋭い針に変化させ、真緒とサタニア目掛けて突き刺そうとする。
『中々良い攻撃だが、やるならもっと静かにするべきだったな』
「!!?」
ロストの針が真緒とサタニアに突き刺さりそうになった次の瞬間、超巨大なエジタスの体から分厚い肉の壁が両者の間に割り込む形で現れ、ロストの攻撃を防いで見せた。
『悪いがこの体の半分は、俺がコントロールさせて貰った』
「小癪な真似を!!」
そう言いながらロストは、化物のエジタスが作り出した肉の壁を破壊した。
「い、いない!!?」
しかし、そこに真緒達の姿は無かった。慌てて周囲を見回すロストだが、何処にも真緒達の姿は無かった。
「こっちですよ!!」
「!!!」
すると突然、背後から声が聞こえて来た。目線を後ろに向けると、そこには真緒とサタニアが剣を構え、ロスト目掛けて突き刺そうとしていた。
『油断しましたね~、エジタスはあの人だけじゃないんですよ~』
転移魔法。化物のエジタスによる肉の壁で視界が遮られた。その隙を突いて、道化師のエジタスが転移魔法で、その場から真緒達を一瞬で消してしまったのだ。しかし、この状況に何故かロストは余裕の表情を見せる。
「……先程の静かにするべきだったという言葉、脳に深く刻み込んでおきましょう。だからこそ言わせて貰います。やるならもっと静かにするべきでしたね」
「「!!!」」
真緒とサタニアがロストを攻撃しようとしたその瞬間、ロストの背中の一部が鋭く細長い針に変化し、真緒とサタニア目掛けて勢い良く伸びた。そして何と二人の頭を貫いた。貫いた針を伝って、血が流れ落ちる。
「よく頑張りましたが、これで終わ……っ!!?」
そう思った次の瞬間、真上から真緒とサタニアの二人による剣がロストの体を勢い良く貫いた。
「なっ!!?」
「サタニア!!」
「マオ!!」
「「はぁああああああ!!!」」
そして真緒は右方向に、サタニアは左方向にそれぞれ剣を振り払った。それにより、ロストの体は真っ二つに切り裂かれた。
「(な、何故!!? 確かにこの手で殺した筈なのに……いったいどうして!!?)」
海面へと落下する中、ロストは何故こんな事になったのか、その原因を探ろうとした。そして落下しながら、視界の端で捉えたのは……。
「(あ、あれは……!!?)」
それはロストが殺したと思っていた真緒とサタニアの姿が、肉の人形へと変わっていく光景だった。
『だから言ったでしょ~、油断しましたねって~』
『お前の敗因は圧倒的な戦闘経験不足だ。悪いがこちらは、二千年間ずっと動き回っていたんだ。何もせず、只じっと待っていたお前とは違う』
「そんな……そんな……私が負けるなんて……認めない……認めない……認めないぞぉおおおおおおおお!!!」
ロストは自身の片腕を、真緒とサタニア目掛けて勢い良く伸ばした。しかしその攻撃はあまりにも単調であり、一直線であった為、真緒とサタニアは簡単に避ける事が出来た。
『おい、何避けてるんだ!!?』
「「え?」」
すると何故か化物のエジタスに叱られる真緒とサタニア。その時、避けたロストの片腕は、超巨大なエジタスの体に突き刺さった。
『早くその腕を切り落とせ!!』
「えっ、あっ、はい!!」
言われるがまま、真緒は突き刺さったロストの片腕を剣で切り落とした。そしてそれを最後にロストは海面に落ち、そのまま海中へと沈んで行った。
『くそっ、遅かったか!!』
「ど、どう言う意味ですか?」
「こう言う意味ですよ。サトウマオさん」
「「!!?」」
声のした方向に振り返るとそこには、海中に沈んだ筈のロストがいた。
「ど、どうして!!? 確かに今、この目で海に沈んだのを確かめたのに!!?」
「言いましたよね。私は魂を持たない存在。つまり“器”さえあれば、意識を移し変える事も可能なのです」
「そんな……」
真緒達が勝利を納めたかに思えたが、ロストの悪足掻きにより、戦いは振り出しに戻ってしまった。否、振り出しというのは正しい表現では無い。真緒達の体はかなり疲労している。状況はかなり劣勢だと言わざるを得ないだろう。
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