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竜之介の正義 《海里》
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竜之介が父にどんな話をしたのか詳しくは知らないが、あの日以来、父は俺たちに接触してこない。
だからだいたい予想はつく。
竜之介は自分を差し出して父を脅したんだろう。
竜之介はしたたかに賢い。
けれど、有栖を守るためには手段を選ばないような危なっかしさがあるから、なんとか俺がストッパーになれたら…。
いつかまだ有栖も竜之介も中学に上がったばかりだった頃、有栖が数人の上級生にちょっかいを出されて困っている時に、竜之介が自分よりひとまわり以上大きい中学生にいきなり飛びかかっていって、運悪くバランスを崩した生徒の1人が尻もちをついて手首を捻って怪我をしてしまい、母親が学校に呼び出されたことがあった。
いきなり飛びかかったらダメだろと、俺は、兄貴面をしたけれど、竜之介は
「ちびの自分が、口で注意して通用する相手に見えなかった。俺が飛び出さなきゃ有栖が引っ張られて行った」とふくれて反論していた。
でも、愛する人を本気で守るために手段を選ぶ必要などあるか?
愛する人のために、狡くも非情にもなって、なりふり構わず突っ込んでいける竜之介の勇気とがむしゃらさがうらやましくもあった。
竜之介の判断は正しいかどうかじゃない。守れるかどうかだ。
有栖には竜之介のような奴が必要なんだ。
だからだいたい予想はつく。
竜之介は自分を差し出して父を脅したんだろう。
竜之介はしたたかに賢い。
けれど、有栖を守るためには手段を選ばないような危なっかしさがあるから、なんとか俺がストッパーになれたら…。
いつかまだ有栖も竜之介も中学に上がったばかりだった頃、有栖が数人の上級生にちょっかいを出されて困っている時に、竜之介が自分よりひとまわり以上大きい中学生にいきなり飛びかかっていって、運悪くバランスを崩した生徒の1人が尻もちをついて手首を捻って怪我をしてしまい、母親が学校に呼び出されたことがあった。
いきなり飛びかかったらダメだろと、俺は、兄貴面をしたけれど、竜之介は
「ちびの自分が、口で注意して通用する相手に見えなかった。俺が飛び出さなきゃ有栖が引っ張られて行った」とふくれて反論していた。
でも、愛する人を本気で守るために手段を選ぶ必要などあるか?
愛する人のために、狡くも非情にもなって、なりふり構わず突っ込んでいける竜之介の勇気とがむしゃらさがうらやましくもあった。
竜之介の判断は正しいかどうかじゃない。守れるかどうかだ。
有栖には竜之介のような奴が必要なんだ。
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