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「……あの、どうして退職を?」
「いつでも一緒にいたい。それに場合によってはアメリカに行くことがあるかもしれない。そのとき諒を家に置いて行きたくない」
「あ……」
嫌な予感は当たっていたということだろうか。
「その、具体的にあるんですか?アメリカに行くって」
「いや、今はない。しかしいつかはある。親にもケリをつけないといけないしな」
「ケリって……」
「もう俺にとっての家族は諒だ。結婚したら諒が最優先になる。当たり前だろう」
「……でも、せっかく家族がいるんですから」
「……そうだな、だが別に嫌うわけではない。最優先が仕事から諒に変わって、順位が変わっただけだ」
それは元から家族より仕事ということか。
「……諒。ダメか」
「……僕……僕、本当に篠崎のこと……愛してます。けれど、自信がなくて」
「自信なんてなくていい。ただ一緒にいるだけだ。ずっと一緒にいるという約束をするだけだ」
「ずっと一緒……」
「そうだよ」
ふわ、と篠崎の空気が柔らかくなった。口調もだ。篠崎も緊張していたのか、と思ったらなんだかほっとしてしまった。完璧な篠崎だけれど、人間なのだ。安西にプロポーズをしてくれるのに、緊張してくれる程大切に思ってくれている。
「ずっと、ずっと一緒にいてください」
きちんと目を見て言えば、篠崎が嬉しそうに笑った。
(あぁ、僕の大好きな笑顔だ……)
「幸せにする。絶対に泣かせない」
そう言いながら篠崎は指輪を嵌めてくれた。薬指にシンプルな銀色のリングが映える。
「……僕今泣きそうなんですけど」
笑って言った。だって、嬉しいって伝えたくて。篠崎と一緒ならずっと笑っていられるって。
「……篠崎」
「うん」
「……ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ宜しく」
嬉しくて嬉しくて。ここが室内だったら抱き着いていた。
「……篠崎」
「うん」
「ホテル、戻りましょう」
「あぁ」
流しのタクシーはいくらでもいた。車内、恥ずかしくてずっと窓の外を見ていた。でも意識はずっと左手にあった。
「いつでも一緒にいたい。それに場合によってはアメリカに行くことがあるかもしれない。そのとき諒を家に置いて行きたくない」
「あ……」
嫌な予感は当たっていたということだろうか。
「その、具体的にあるんですか?アメリカに行くって」
「いや、今はない。しかしいつかはある。親にもケリをつけないといけないしな」
「ケリって……」
「もう俺にとっての家族は諒だ。結婚したら諒が最優先になる。当たり前だろう」
「……でも、せっかく家族がいるんですから」
「……そうだな、だが別に嫌うわけではない。最優先が仕事から諒に変わって、順位が変わっただけだ」
それは元から家族より仕事ということか。
「……諒。ダメか」
「……僕……僕、本当に篠崎のこと……愛してます。けれど、自信がなくて」
「自信なんてなくていい。ただ一緒にいるだけだ。ずっと一緒にいるという約束をするだけだ」
「ずっと一緒……」
「そうだよ」
ふわ、と篠崎の空気が柔らかくなった。口調もだ。篠崎も緊張していたのか、と思ったらなんだかほっとしてしまった。完璧な篠崎だけれど、人間なのだ。安西にプロポーズをしてくれるのに、緊張してくれる程大切に思ってくれている。
「ずっと、ずっと一緒にいてください」
きちんと目を見て言えば、篠崎が嬉しそうに笑った。
(あぁ、僕の大好きな笑顔だ……)
「幸せにする。絶対に泣かせない」
そう言いながら篠崎は指輪を嵌めてくれた。薬指にシンプルな銀色のリングが映える。
「……僕今泣きそうなんですけど」
笑って言った。だって、嬉しいって伝えたくて。篠崎と一緒ならずっと笑っていられるって。
「……篠崎」
「うん」
「……ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ宜しく」
嬉しくて嬉しくて。ここが室内だったら抱き着いていた。
「……篠崎」
「うん」
「ホテル、戻りましょう」
「あぁ」
流しのタクシーはいくらでもいた。車内、恥ずかしくてずっと窓の外を見ていた。でも意識はずっと左手にあった。
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