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しおりを挟む遠くから男の声がする。何人もの足音が、急速に近づいてくる。
「君!大丈夫か?!」
力の入らないイヌの体を、一人の男が優しく仰向けに転がした。しかし体を伸ばすことに慣れぬ体はすぐに丸まってしまう。それでも男たちはイヌの身体を見ようとした。腕を引かれ、体を広げさせられる。
「これっ…」
男たちが言葉を失った。
「こんな…」
男たちはどこを見ているのか。あばらの浮いた胸なのか、ピアスの光る乳首やペニスなのか。そもそも裸でいることなのか、首輪なのか。
「もう、大丈夫だからな」
そう言った男の声は少し震えていた。イヌは男たちに抱えあげられ、何かに乗せられた。
固い、ベッドのようなもの。しかし曲がった背骨は仰向けで寝ることに慣れていない。横を向き体を丸める。
(怖い、今度はどこに連れていかれるの)
きっと主のもとへ連れ戻される。そしたらどんな目に遭わされるのか。殺されずにいたぶられるのか。
そういえば、去勢してやる、と言われたことがある。去勢がどういうものなのかはわからないけれど、そのときは玉を足で踏まれていたのでそういうことなのかもしれない。
痛いのは嫌だ。こわい。助けて、助けて。
イヌは暴れた。
熱のせいでぼやけた視界で、それでもどうにか逃げようともがく。
水色の服を着た男が見えた。紺色の服も見えた。顔はよく見えないけれど、もしかしたら主が言っていた「貸し出し」の相手なのかもしれない。
いや、いやーー。
でも自分一人では逃げられない。怖い、そう思ったときだった。
ベッドが揺れた。
「うわっ!おい!」
「来るな!おい、やめろ、来るな!」
男達がなにやら騒いでいる。逃げるチャンスかもしれないとイヌは必死に暴れた。
ぐらっ
落ちた、と思ったけれど衝撃は少ない。すぐに狼の上にいるのだと気がついた。運よくうつ伏せに落ちたようで、手探りで狼にしがみつく。その途端、頬が風をきった。
走っている、と気づいたときには男たちの戸惑う声が遠くから聞こえた。
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