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嫌な予感、二人の関係4
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いつもに増して情緒不安定な義兄に、あおいはツッコミを入れながらも冷えた額を親指でそっと撫でつけた。
「流歌、布団足りるか?」
口元まで布を手繰り寄せた兄は、泣き腫らした顔のままにへらと表情を崩す。その些細な無自覚の仕草に、不覚にもきゅんと胸が疼くのを感じた。
「あぉ、あーとうねぇ。ぽかぽかしゃんっ」
「暖かいな。もう寒くないだろ?」
「あい」
目に掛かりそうな淡く細い前髪を避けると、流歌はくすぐったそうにくすくす笑いながら身を捩らせる。
────まっじで、可愛いしか出てこねぇんだけど。
内心、あおいはとても焦っていた。
兄のあまりの天使級なピュアさには叶わない。
今日は彼の様子に何かあった時、すぐに守ってあげられる為に直感的な判断で大学を休んできたのにも関わらず、これでは本末転倒かもしれない。
なんせ、俺は今とても満たされているからだ。
「・・・・・・あぉ、きょう、あめいぱいかなぁ?」
二枚の布団の暖かさで段々と眠気が出てきた様子の流歌は、隣に座る弟の顔を遠慮がちに確認する。
その問いにあおいは一瞬だけ目を見開き。
それから、何ともないような調子で答えた。
「まあ、どうだろうな。でもよ、お前は余計な心配しなくていい。何かあっても今は俺がいるだろ?」
自信あり気に伝えれば、流歌は布団から左手を出し、弟の人差し指を弱い力で掴む。
骨ばった細い指の感触に、あおいは咄嗟に息を呑んだ。
「あーと。あぉあーとねぇ。るぅ、寂しくないねぇ」
「流歌、布団足りるか?」
口元まで布を手繰り寄せた兄は、泣き腫らした顔のままにへらと表情を崩す。その些細な無自覚の仕草に、不覚にもきゅんと胸が疼くのを感じた。
「あぉ、あーとうねぇ。ぽかぽかしゃんっ」
「暖かいな。もう寒くないだろ?」
「あい」
目に掛かりそうな淡く細い前髪を避けると、流歌はくすぐったそうにくすくす笑いながら身を捩らせる。
────まっじで、可愛いしか出てこねぇんだけど。
内心、あおいはとても焦っていた。
兄のあまりの天使級なピュアさには叶わない。
今日は彼の様子に何かあった時、すぐに守ってあげられる為に直感的な判断で大学を休んできたのにも関わらず、これでは本末転倒かもしれない。
なんせ、俺は今とても満たされているからだ。
「・・・・・・あぉ、きょう、あめいぱいかなぁ?」
二枚の布団の暖かさで段々と眠気が出てきた様子の流歌は、隣に座る弟の顔を遠慮がちに確認する。
その問いにあおいは一瞬だけ目を見開き。
それから、何ともないような調子で答えた。
「まあ、どうだろうな。でもよ、お前は余計な心配しなくていい。何かあっても今は俺がいるだろ?」
自信あり気に伝えれば、流歌は布団から左手を出し、弟の人差し指を弱い力で掴む。
骨ばった細い指の感触に、あおいは咄嗟に息を呑んだ。
「あーと。あぉあーとねぇ。るぅ、寂しくないねぇ」
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