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世界会議
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魔法が飛び交う世界――――――通称、『レングランド』
広大な面積を誇るレングランドは、五つの王国に分割されていた。四方から取り囲まれるようにして存在している最も強大な魔法大国『エストレラ』に始まり、北に位置する自然大国『ピスシス』、東の商業大国『トルメンタ』に続き西に構える宗教大国『レフォマ』、最後には南に鎮座する謎多き鎖国大国『ビルゴ』。
南のビルゴを除く四つの王国は、互いに親交のある国と交易を結び、長期に渡り自国の安定した営みを図っていた。
自然の恩恵を享受して初めて誕生する魔法。中央のエストレラは永い年月の間において、北のピスシスと和平な親睦を深めている。一方で、魔法の力を生活の基盤に置いているエストレラにとって、人類の手における文明の力というものは抽象的な造形で作られる魔法とは対極に位置する存在だ。それは無論、相手側も同じ想いを抱えているため、エストレラとトルメンタは敵対国なのである。双方、自国の力量を競い合っては明確な決着がつかずに次回へと引き延ばされる。そんな収集がつかない関係がここ何十年も進行されていた。
西のレフォマは、数多の宗教信仰者が暮らしている。国内で信仰する宗教の違いにより、民の間で度々争いの火花が飛び散ることはあるものの、対の国であるトルメンタとは一番仲が良い。種類に富んだ宗教と、多くの大衆に向けて栄える商業は相性が抜群であるため、二国は健全な取引を行っている。これからもその均衡が保てれば問題はないのだが。
それらの国の中で一見して目立った悪い印象がないのが自然国ピスシスであるが、この国が唯一毛嫌いしている相手国がある。それがレフォマだ。神への信仰心が強い民が集まるレフォマには、極端な自然崇拝をする者がいる逆手、原形をとどめない自然崇拝に対して過激な反論を唱える者が一定数いるのだ。平穏な日常を求むピスシスにとって、それらの行動は迷惑極まりない。
広大な面積を誇るレングランドは、五つの王国に分割されていた。四方から取り囲まれるようにして存在している最も強大な魔法大国『エストレラ』に始まり、北に位置する自然大国『ピスシス』、東の商業大国『トルメンタ』に続き西に構える宗教大国『レフォマ』、最後には南に鎮座する謎多き鎖国大国『ビルゴ』。
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西のレフォマは、数多の宗教信仰者が暮らしている。国内で信仰する宗教の違いにより、民の間で度々争いの火花が飛び散ることはあるものの、対の国であるトルメンタとは一番仲が良い。種類に富んだ宗教と、多くの大衆に向けて栄える商業は相性が抜群であるため、二国は健全な取引を行っている。これからもその均衡が保てれば問題はないのだが。
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