黄金のガイア

ハルカ

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世界会議②

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 最後に残すのは、未だに謎多き南の鎖国大国ビルゴだ。かつての歴史を遡ってみてもビルゴの実態は計り知れない。そんな中でその未知なる大国へ出向いた数少ない猛者が口々に言う内容は千差万別である。ある冒険家が言うには、『ビルゴほど恐ろしい国はない、二度と訪れないと誓うよ』。一方で国境付近を往来する商人が口にすることには、『あそこには金銀財宝がごまんとある、皆がその事実を知らないで損しているだけさ』。うむ、どちらも正反対な証言をしている。これでは何が真実なんぞか分からぬよ。


 しかしそんな開拓されてもない未到の地に、四国は困り果てていた。レングランドが一体となって統制を固めることが、王国間の強い願望だったからだ。


 何百年も前に遡る大昔のある時まで、レングランドの五国は、南のビルゴも交えて平穏な世界の均衡を保ち続けていた。当初はビルゴも鎖国という政策に踏み切ってはおらず、四国との積極的な交易を繰り返していたのだ。今よりも大層華やかで豊かな世界。人間の想い描く理想のユートピアがそこには確かに存在していた。争いがなく、飢饉も発生することがない。その時代に生きた人間と動物たちは夢のような生活の日々に、さぞかし満ち足りる思いであったろう。


 ところが、平和な世は永遠には維持することができなかった。言わずもがな、それまで結託し合っていた五国の間で大規模な世界大戦が勃発したのだ。当時の事の詳細は極めて禁忌に属する内容のため、ここでの証言は憚れるが過去に刻まれた戦況は相当に無惨なものであったと、先賢たちは口を揃える。


 前代未聞の戦争の果てに、大国の中でも多くの兵を動員し極めて大勢の戦死者を出した南の国は、自国が二度として愚かな戦いに手を染めぬことを誓い、犯した大罪の戒めとして、今後いかなる情勢に波風が立とうとも周辺国との関係には中立である立場を主張した。その結果から、現在に至るまでビルゴは一貫として鎖国を保っている。
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