4 / 36
第一章「あなたの妻です」
第四話「戦士ロンゴ、もう櫛はいらない」
しおりを挟む
夜の通りをしばらく走って、まだ窓からの灯が明るい、宿屋街を抜ける。
そこから更に、ふたつほど角を曲がった。
静まり返った市場に辿り着く。
もはや女主人の野獣のような雄叫びも聞こえない。
「ふう……ここまで逃げれば……」
嫌な汗をかいてしまった。
しかし隣の少女は、息ひとつ切れてはいない。
「こうして並んで歩くとちゃんと夫婦に見えますね」
「ちゃんと夫婦になった覚えがないんだけど」
「まーた照れちゃって! 旦那さまったら!」
そう言ってクレイはフィンの腕に、細い腕を回した。
「旦那さまー、わたくしの旦那さまー!」
クレイは腕にきゅっと掴まって、楽しそうに靴を鳴らす。
フィンはため息をついた。
「しかし君は、なんで俺のところへ来たんだ?」
「なに言ってるんですか。“恩返し”ですよ! ご恩を返しにきたんです!」
「それはわかった。けどそれがどうして“旦那さま”になるんだ」
「ではお話ししましょう!」
ぴんと人さし指を立てて、クレイは話し始めた。
それは遠く東の国に古くから伝わる伝承らしい。
むかしむかしのこと、とある狩人が、罠にかかったあわれな鳥を助けてやった。
助けられた鳥は、それはそれは美しい乙女に姿を変えて狩人の家を訪れたという。
そして正体を隠して恩を返し、最後には狩人の妻になったということだった。
「美しい乙女ってところ、大事なポイントですよ?」
クレイは頬に手を当てて、首をかしげてみせた。
「いや、もっと大事なポイントがある。まず君は正体を隠してない」
「努力はしました!」
銀色の髪をはためかせ、クレイは自信満々に答える。
どうしても彼女の努力を思い出せないのは、なぜだろう。
「それともうひとつ。さっきも言ったけど、俺は君と結婚した覚えはない」
「ショートカットです。スピードSSSなので!」
「スピードSSS便利すぎない?」
そんな話をしているうちに、ふたりは繁華街に入った。
酒場が軒を連ねている、明るい道だ。
そこで、不意に呼び止められた。
「おいなんだァ……フィンじゃねえかよォ!」
よりによってこのタイミングで、会いたくない相手に会ってしまった。
パーティーメンバーの戦士、あの生意気で粗暴なロンゴだった。
鎧も脱がずに、ひとりで飲み歩いているらしい。
ロンゴはおぼつかない手で、髪に櫛を通した。
「しかもォ、女連れときたもんだァ……」
「ああ、たまにはそういうこともある」
「そいつァ聞き捨てならねえなァ」
おおかた飲み歩くついでにナンパでもしていたのだろう。
しかし戦果は芳しくなかったらしい。
「女ァ連れて歩ける身分だとでも思ってんのかよォ、えェ?」
フィンにとって、ロンゴに絡まれるのはいつものことだ。
しかしロンゴがクレイに興味を抱くのは都合が悪い。
いや、誰にもクレイの正体を知られるわけにはいかないのだ。
災害級の魔王を街に引き込んだ、などということになれば、フィンは処刑を免れないだろう。
「それにしてもォ、へへっ、イイ女だなァ、ギヘヘヘヘ!」
ロンゴはいやらしい目つきで、クレイの体をなめ回すように見た。
「なあフィン、その女抱かせろやァ」
クレイの眉がピクッと動いた。
「旦那さま。いまコレはわたくしとの交尾を求めたのですか?」
フィンは困った顔で頭を掻いた。
「まあ、そういうことになるんだけど、でもこいつ酔ってるし……」
「誰が酔ってるだってェ……? フィンてめぇ死にてぇのかァ? おおん!?」
ロンゴは鎧をガチャつかせて威嚇する。
そして背負った斧を、ゆっくりと引き抜いた。
「生意気なんだよてめェ……え?」
銀色の光がきらめいたかと思うと、ロンゴの手元にあったはずの斧が壁に突き刺さっていた。
幅広の刃は、鋭い剣に貫かれ、縫い止められている。
「え、なに……なに……えェ?」
ぽかんと口を開いたロンゴ。
その間抜けな顔を、ルビー色の鋭い瞳が見据えた。
「コレは人間の分際で、穢れを知らないわたくしの貞操を狙い、さらに旦那さまを侮辱したと。なるほどなるほど……」
その瞬間、クレイの周囲に銀色の羽根が舞い散った。
羽根はまたたく間に鋭い“剣”へと姿を変える。
「ちょっと“摂理”教えますね」
無数の切っ先が、ロンゴを捉えた。
「待て! 殺すな!」
「手足はどうしますか?」
「それも残しておいてあげて!」
「かしこまりました、では参りましょう――
――【剣の舞】ッッッ!!」
空を舞い踊る剣が、一斉にロンゴへと襲いかかる。
「おい待てよォ! な、なんなんだよォ!!」
串刺しになったロンゴの血しぶきが舞う――
かと思われたが、そうはならなかった。
「………………ほェ?」
獲物を追い詰めるサメのように、剣たちはロンゴの周囲を高速で旋回する。
ロンゴが間抜けな声をあげて薄目を開いたとき、すでに彼の体は剣のうずの中心に閉じ込められてしまっていた。
「おいなんだこれェ!? 意味わかんねェってェ! た、助けッ……!」
次の瞬間、ロンゴの眼前で銀色の刃が交差した。
ロンゴの鎧を、次々と襲い掛かる無数の剣が引き裂き、なぶるように上着を剥ぎ取っていく。
「なァ!? え? あァ? あああああァ!! やめっ、オギャッ!!」
剣の群れはシャツを破り、ベルトを切断し、ズボンを下ろした。
ズボンも細切れにされ、下着が真っぷたつになって空に舞い上がる。
役目を終えた剣はきらめきとなってクレイの背中に収束し。
すべての光が消えたころ、あわれな囚人はようやく剣のうずから解放された。
ロンゴは、毛を抜かれたアヒルみたいになった。
「……なんてこった」
「ギヒィィィィ! 見るな! 見るなァアアアア!!」
ロンゴは生まれたままの姿で、その場にうずくまる。
「誰も見たくねえよ……」
「きゃあああああああああああ!!」
見るなと言ったところで、ここは夜の繁華街。
一部始終を目撃したらしい女性の悲鳴があがった。
「違うゥ! 違うんだァ! 剣でェ! 服がなくなってェ!」
「誰か憲兵さん呼んでぇええええ!!」
「やめろォオオオオオオオ!! 違うんだァアアアア!!」
弁明のために立ち上がったロンゴを見て、女性が更に悲鳴を上げる。
近くの酒場の客からも、好奇の視線が突き刺さった。
「なんだアレ」
「さあ、肉体美見せたい、的なやつじゃない?」
「いや美はねえよ。普通に汚い」
「まあ、暖かくなってきたからねえ……」
「やだわー、ぶふふふ、かわいい剣だこと」
股間でぷるぷる震えているものを見て、笑っているおばさんもいる。
「見ないでェエエエエエエエエ!!」
ロンゴは慌てて、両手で股間を押さえる。
明日からは、まともに街を歩けないだろう。
やがて憲兵隊が到着する。
ということは、街を歩くどうこう以前に、牢屋で1週間ほど反省させられるに違いない。
「なにやってるんだお前!」
「汚いものを市民に見せるんじゃない!」
「汚くないもん! きれいだもん! ギヒィィィィ!」
全裸で憲兵隊に取り押さえられているロンゴから、フィンは隣のクレイへと視線を移した。
「……あまり、余計なことはしないほうがいい。街の中では」
凶鳳イビルデスクレインの正体がバレることだけは、どうしても避けなければならない。
それを考えると、いまの騒ぎは、かなりリスクが高かった。
「そうですか?」
暴れるロンゴの頭から、ファサリとなにかが落ちる。
「ちなみに体毛はすべて剃っておきました」
「それはね、本当に余計なことだと思う」
「あれ!? おああ俺の毛がぁああああああ!!」
クレイは満面の笑みを浮かべた。
「ちなみに下の毛も」
「聞きたくない」
フィンはクレイの腕を引いて、目立たない裏路地へと入った。
「やだ、旦那さまったらこんなところで……」
「なにもしません」
どこか、安宿でも探すことになりそうだ。
しかし部屋をふたつも借りる手持ちがあるかどうか――。
「あ、人間の分際っていうのに旦那さまは入ってませんからね!」
「気にしてないよ」
「交尾が必要ならいつでも言ってください! 卵を産む準備はできてますから!」
ルビー色の目を輝かせるクレイを見て、フィンはまたため息をついた。
そこから更に、ふたつほど角を曲がった。
静まり返った市場に辿り着く。
もはや女主人の野獣のような雄叫びも聞こえない。
「ふう……ここまで逃げれば……」
嫌な汗をかいてしまった。
しかし隣の少女は、息ひとつ切れてはいない。
「こうして並んで歩くとちゃんと夫婦に見えますね」
「ちゃんと夫婦になった覚えがないんだけど」
「まーた照れちゃって! 旦那さまったら!」
そう言ってクレイはフィンの腕に、細い腕を回した。
「旦那さまー、わたくしの旦那さまー!」
クレイは腕にきゅっと掴まって、楽しそうに靴を鳴らす。
フィンはため息をついた。
「しかし君は、なんで俺のところへ来たんだ?」
「なに言ってるんですか。“恩返し”ですよ! ご恩を返しにきたんです!」
「それはわかった。けどそれがどうして“旦那さま”になるんだ」
「ではお話ししましょう!」
ぴんと人さし指を立てて、クレイは話し始めた。
それは遠く東の国に古くから伝わる伝承らしい。
むかしむかしのこと、とある狩人が、罠にかかったあわれな鳥を助けてやった。
助けられた鳥は、それはそれは美しい乙女に姿を変えて狩人の家を訪れたという。
そして正体を隠して恩を返し、最後には狩人の妻になったということだった。
「美しい乙女ってところ、大事なポイントですよ?」
クレイは頬に手を当てて、首をかしげてみせた。
「いや、もっと大事なポイントがある。まず君は正体を隠してない」
「努力はしました!」
銀色の髪をはためかせ、クレイは自信満々に答える。
どうしても彼女の努力を思い出せないのは、なぜだろう。
「それともうひとつ。さっきも言ったけど、俺は君と結婚した覚えはない」
「ショートカットです。スピードSSSなので!」
「スピードSSS便利すぎない?」
そんな話をしているうちに、ふたりは繁華街に入った。
酒場が軒を連ねている、明るい道だ。
そこで、不意に呼び止められた。
「おいなんだァ……フィンじゃねえかよォ!」
よりによってこのタイミングで、会いたくない相手に会ってしまった。
パーティーメンバーの戦士、あの生意気で粗暴なロンゴだった。
鎧も脱がずに、ひとりで飲み歩いているらしい。
ロンゴはおぼつかない手で、髪に櫛を通した。
「しかもォ、女連れときたもんだァ……」
「ああ、たまにはそういうこともある」
「そいつァ聞き捨てならねえなァ」
おおかた飲み歩くついでにナンパでもしていたのだろう。
しかし戦果は芳しくなかったらしい。
「女ァ連れて歩ける身分だとでも思ってんのかよォ、えェ?」
フィンにとって、ロンゴに絡まれるのはいつものことだ。
しかしロンゴがクレイに興味を抱くのは都合が悪い。
いや、誰にもクレイの正体を知られるわけにはいかないのだ。
災害級の魔王を街に引き込んだ、などということになれば、フィンは処刑を免れないだろう。
「それにしてもォ、へへっ、イイ女だなァ、ギヘヘヘヘ!」
ロンゴはいやらしい目つきで、クレイの体をなめ回すように見た。
「なあフィン、その女抱かせろやァ」
クレイの眉がピクッと動いた。
「旦那さま。いまコレはわたくしとの交尾を求めたのですか?」
フィンは困った顔で頭を掻いた。
「まあ、そういうことになるんだけど、でもこいつ酔ってるし……」
「誰が酔ってるだってェ……? フィンてめぇ死にてぇのかァ? おおん!?」
ロンゴは鎧をガチャつかせて威嚇する。
そして背負った斧を、ゆっくりと引き抜いた。
「生意気なんだよてめェ……え?」
銀色の光がきらめいたかと思うと、ロンゴの手元にあったはずの斧が壁に突き刺さっていた。
幅広の刃は、鋭い剣に貫かれ、縫い止められている。
「え、なに……なに……えェ?」
ぽかんと口を開いたロンゴ。
その間抜けな顔を、ルビー色の鋭い瞳が見据えた。
「コレは人間の分際で、穢れを知らないわたくしの貞操を狙い、さらに旦那さまを侮辱したと。なるほどなるほど……」
その瞬間、クレイの周囲に銀色の羽根が舞い散った。
羽根はまたたく間に鋭い“剣”へと姿を変える。
「ちょっと“摂理”教えますね」
無数の切っ先が、ロンゴを捉えた。
「待て! 殺すな!」
「手足はどうしますか?」
「それも残しておいてあげて!」
「かしこまりました、では参りましょう――
――【剣の舞】ッッッ!!」
空を舞い踊る剣が、一斉にロンゴへと襲いかかる。
「おい待てよォ! な、なんなんだよォ!!」
串刺しになったロンゴの血しぶきが舞う――
かと思われたが、そうはならなかった。
「………………ほェ?」
獲物を追い詰めるサメのように、剣たちはロンゴの周囲を高速で旋回する。
ロンゴが間抜けな声をあげて薄目を開いたとき、すでに彼の体は剣のうずの中心に閉じ込められてしまっていた。
「おいなんだこれェ!? 意味わかんねェってェ! た、助けッ……!」
次の瞬間、ロンゴの眼前で銀色の刃が交差した。
ロンゴの鎧を、次々と襲い掛かる無数の剣が引き裂き、なぶるように上着を剥ぎ取っていく。
「なァ!? え? あァ? あああああァ!! やめっ、オギャッ!!」
剣の群れはシャツを破り、ベルトを切断し、ズボンを下ろした。
ズボンも細切れにされ、下着が真っぷたつになって空に舞い上がる。
役目を終えた剣はきらめきとなってクレイの背中に収束し。
すべての光が消えたころ、あわれな囚人はようやく剣のうずから解放された。
ロンゴは、毛を抜かれたアヒルみたいになった。
「……なんてこった」
「ギヒィィィィ! 見るな! 見るなァアアアア!!」
ロンゴは生まれたままの姿で、その場にうずくまる。
「誰も見たくねえよ……」
「きゃあああああああああああ!!」
見るなと言ったところで、ここは夜の繁華街。
一部始終を目撃したらしい女性の悲鳴があがった。
「違うゥ! 違うんだァ! 剣でェ! 服がなくなってェ!」
「誰か憲兵さん呼んでぇええええ!!」
「やめろォオオオオオオオ!! 違うんだァアアアア!!」
弁明のために立ち上がったロンゴを見て、女性が更に悲鳴を上げる。
近くの酒場の客からも、好奇の視線が突き刺さった。
「なんだアレ」
「さあ、肉体美見せたい、的なやつじゃない?」
「いや美はねえよ。普通に汚い」
「まあ、暖かくなってきたからねえ……」
「やだわー、ぶふふふ、かわいい剣だこと」
股間でぷるぷる震えているものを見て、笑っているおばさんもいる。
「見ないでェエエエエエエエエ!!」
ロンゴは慌てて、両手で股間を押さえる。
明日からは、まともに街を歩けないだろう。
やがて憲兵隊が到着する。
ということは、街を歩くどうこう以前に、牢屋で1週間ほど反省させられるに違いない。
「なにやってるんだお前!」
「汚いものを市民に見せるんじゃない!」
「汚くないもん! きれいだもん! ギヒィィィィ!」
全裸で憲兵隊に取り押さえられているロンゴから、フィンは隣のクレイへと視線を移した。
「……あまり、余計なことはしないほうがいい。街の中では」
凶鳳イビルデスクレインの正体がバレることだけは、どうしても避けなければならない。
それを考えると、いまの騒ぎは、かなりリスクが高かった。
「そうですか?」
暴れるロンゴの頭から、ファサリとなにかが落ちる。
「ちなみに体毛はすべて剃っておきました」
「それはね、本当に余計なことだと思う」
「あれ!? おああ俺の毛がぁああああああ!!」
クレイは満面の笑みを浮かべた。
「ちなみに下の毛も」
「聞きたくない」
フィンはクレイの腕を引いて、目立たない裏路地へと入った。
「やだ、旦那さまったらこんなところで……」
「なにもしません」
どこか、安宿でも探すことになりそうだ。
しかし部屋をふたつも借りる手持ちがあるかどうか――。
「あ、人間の分際っていうのに旦那さまは入ってませんからね!」
「気にしてないよ」
「交尾が必要ならいつでも言ってください! 卵を産む準備はできてますから!」
ルビー色の目を輝かせるクレイを見て、フィンはまたため息をついた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる