【R18】突然サキュバスになったので大好きな義兄を誘惑します

ドゴイエちまき

文字の大きさ
9 / 9

9.★一生の印

しおりを挟む
 一瞬呼吸が止まり、体がひくひくと痙攣する。汗が吹き出して体に力が入らない。 

 なにが起きたのかわからなかった。自分ですることはあってもこんなに深い絶頂感は初めてだ。

 

「おにぃ……、あたし……、ひゃあっ!」

 

 余韻に浸る間もなくずるりと一度引き抜かれた腰が再びねじ込まれ、すぐに抽送が開始される。

 大きく響く水音と高い嬌声。さっきよりも早く激しい腰使いは、絶えずまぶたの奥を瞬かせる。

 

「ひっ、あ、やだ、おにぃ、待って……っ」

「待たない。好きにしていいんだろ? 全部ぐちゃぐちゃで、すっげー可愛いよ、遥花」

「や、あっ、も、あたまおかしくなっちゃう……っ」



 初めてなのに、こんなに何度も絶頂を味わうことになるなんて。止まない快感はいっそ恐怖を感じるほどだった。

 許してと泣きじゃくっても奏多は三日月のように目を細めるだけ。いつもならケンカをしてもすぐに許してくれるのに。こんな顔も初めて見るものだ。



 それでも、名前を呼ばれたり可愛いと囁く声はあまりにも艶っぽくて、同時に幸せも覚える。

 こんなに近い距離で奏多の体温を感じられる今が夢のようだ。

 

「は……、あっ、遥花……っ」

「ひうっ! あ、ああっ!」

 

 何度目かの絶頂と共に体の最奥で熱い飛沫が弾けた。温かなものが体に染み渡る不思議な感覚。

 強くしがみつく遥花を、奏多の腕が抱き止めてくれる。

 熱くて、整わない呼吸は苦しいのに、それを上回る多幸感で全身が満たされる。

 同じく息の荒い奏多の肩にこつんと額をくっつけると、優しく髪を撫でられた。

 

「はあ……、おにぃ……好き。あたし嬉しくて死んじゃう」

「はいはい、俺も好きだから生きろ」

「うう、好き。一生生きるぅ」

「遥花はアホの子で可愛いなぁ」 



 よしよしと撫でる手のひらはまだ熱いけど、優しい手は昔から変わらない義兄のもの。

 

「そうなの。あたし、可愛いでしょ。お兄ちゃんに可愛いって言ってほしくて毎日がんばってるんだもん」

「お前の頑張りは推しのためだろうが」

「それはもちろんだけど、お兄ちゃんにとって一番可愛くありたいの! なのによそ見ばっかり……」

 

 不満げに膨れた口はすぐに塞がれてしまった。

 さっきの荒々しい交わりが嘘のような優しく労わるようなキス。

 ほんの短い口づけは、胸をふわふわする多幸感で満たしてしまう。ついでにいつの間にか空腹も満たされている。

 機嫌を直した遥花はでれっと緩む頬が落ちないように、目の前にある逞しい胸板にぴたりと寄せた。

 

「仕方ないだろ。よそ見しなきゃお前に手を出してしまいそうだったから……まあ、結局こうなったわけだが」



 手を出してくれてよかったのに。なんて遠回りをする人だろう。ぷうっと膨れた遥花はぐりぐりと額を擦り付ける。

 

「許せないけど、許してあげる。だから一生お世話してね。お兄ちゃんがいないとあたし死んじゃうもん。お兄ちゃんじゃなきゃ無理」

 

 お腹が満たされたのはきっと精気や精力といったものを取り込めたからだろう。詳しくは知らないが、遥花が持つ偏った知識ではそうなのだ。

 好きでもない男からそんなものを摂取するなんておぞましくて仕方がない。想像するだけで嘔吐を催してしまいそうになる。

 
「遥花が飽きるほど世話してやるよ。可愛い妹の面倒を見るのは兄の役目だからな。お前は一生、俺だけ見とけ」



 そこで、一度区切った奏多は「そうだ」と思いついたように呟く。

 

「ちゃんと印付けておくか。よし、午後から買いに行くぞ」



 そう言って目を細める顔は昨日までは見れなかった特別な表情。与えられるキスも甘くて優しい。

 

「印?」

 

 こてんと首を傾げる遥花の左手を掬った奏多は薬指に軽く噛み付く。

 そこに銀のリングが光るまであと数時間。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

社長に拾われた貧困女子、契約なのに溺愛されてます―現代シンデレラの逆転劇―

砂原紗藍
恋愛
――これは、CEOに愛された貧困女子、現代版シンデレラのラブストーリー。 両親を亡くし、継母と義姉の冷遇から逃れて家を出た深月カヤは、メイドカフェとお弁当屋のダブルワークで必死に生きる二十一歳。 日々を支えるのは、愛するペットのシマリス・シンちゃんだけだった。 ある深夜、酔客に絡まれたカヤを救ったのは、名前も知らないのに不思議と安心できる男性。 数日後、偶然バイト先のお弁当屋で再会したその男性は、若くして大企業を率いる社長・桐島柊也だった。 生活も心もぎりぎりまで追い詰められたカヤに、柊也からの突然の提案は―― 「期間限定で、俺の恋人にならないか」 逃げ場を求めるカヤと、何かを抱える柊也。思惑の違う二人は、契約という形で同じ屋根の下で暮らし始める。 過保護な優しさ、困ったときに現れる温もりに、カヤの胸には小さな灯がともりはじめる。 だが、契約の先にある“本当の理由”はまだ霧の中。 落とした小さなガラスのヘアピンが導くのは——灰かぶり姫だった彼女の、新しい運命。

泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。

待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

罰ゲームで告白されたはずなのに、再会した元カレがヤンデレ化していたのですが

星咲ユキノ
恋愛
三原菜々香(25)は、初恋相手に罰ゲームで告白されたトラウマのせいで、恋愛に消極的になっていた。ある日、職場の先輩に連れていかれた合コンで、その初恋相手の吉川遥希(25)と再会するが、何故かヤンデレ化していて…。 1話完結です。 遥希視点、追記しました。(2025.1.20) ムーンライトノベルズにも掲載しています。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

処理中です...