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22.★絶対に離してあげない
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しがみつくミルカの右足を持ち上げた蒼真は笑っているのに、瞳は仄暗い。
さっきの行為は他でもない蒼真の命令だからなのに。
使い魔にしてくれるなら、側にいられるなら何でも言うことを聞く。
自分が発したその言葉をミルカは忘れていない。
「違わないよね? 気持ちいーことが大好きなミルカに、ご褒美あげないとね」
コートを無造作に脱ぎ捨て、ベルトを外す金属音がカチャカチャ響く。
間を置かず、ショーツの隙間からぐちゅりと押し当てられた熱く硬い感触。
正直な体は嬉しく震え、しがみつく指はきゅっと白いシャツを握りしめた。
ミルカの体を知り尽くした杭は的確に反応する場所をぐりぐり押し上げる。
奥に打ち込まれるたびに甘い声が響いて、細い腰は勝手に揺れる。
名前を呼びながら喘ぐ姿に、蒼真は皮肉っぽい笑顔を見せた。浮かぶ汗も漏れる吐息も熱いのに、囁く声だけは冷たく響く。
「淫乱……って、こういう時に使うのかな。ミルカにぴったりだよね。誰とでも寝ちゃうもんね。食糧の俺に喘がされて、だらしないね。ミルカ」
「や、あっ……! あ、あ、ちが……っ!」
話しながらも彼は抽送を止めないし、心に反して体は貪欲に快楽を求める。
蒼真の吐息にも切ない声が混じるのに、甘い囁きが聞こえない。
「酷いこと言われても気持ちい? すっげー締めるよ。それとも、罵られるほうがよかったりするのかな。ミルカ、ドMだもんね」
「やだぁっ……あっ! そーま様っ、やなこと、いわない、で……っ」
蒼真はいつも意地悪だけどそこには愛情があるし、酷いことなんかしない。なのに今日の彼はいつもと違う。
触れ合う体は熱いのに纏う空気はひやりと冷たい。
匂いも声も体温も、全部彼に違いないけど、まるで知らない人のようだ。
ずり落ちそうな背は壁に密着して、蒼真の手が強く腰を抱いている。
それでも小柄なミルカにはつらい体勢だった。助けを求めるよう、必死に目の前の体へしがみつく。
「やだ、やだ……っ、そーま様、こんなのやだ……っ」
痛くしても、自分勝手な欲望をぶつけられてもいい。でも嘲笑するような冷たい声と、冷めた感情で凌辱されることは耐えられない。
ふるふる首を振るミルカに、すっと目を細くした蒼真は一層深く腰を押し上げた。
ぞくんと走る快感に持ち上げられた足がぴんと伸びる。
「やっ……! いやぁっ、あ、や、やあ……っ」
「嫌? とろっとろの顔でよく言う……。ミルカの中、すっごいよ」
「やだ、あっ! いつもみたいに、して……っ」
可愛いって、好きって言って、愛しそうに目を細めてほしい。
泣きながら喘ぐのはいつものことだけど、悲しい涙の中で揺さぶられるのは初めてのことだった。
「いつもみたいに……ね。いいよ。部屋行こっか」
零れる雫を舐め取った蒼真は、冷たい笑いで軽く提案する。
下された足はふらついて、解放された体は壁に力なくもたれる。
滲んだ視界を細い指で拭い、見上げた先にある月色の瞳はやっぱり泣きそうだと思った。
「ソウマ様……泣いてるの?」
伸ばした手で頬に触れると蒼真の肩が微かに震えた。
「俺が? 泣いてるのはミルカでしょ。俺のこと嫌いになった? 契約解いて欲しい?」
そんなこと思うわけない。答える前にくちびるは強引に塞がれる。
ねじ伏せるようなキスには愛情なんか感じない。
ただ、送られる唾液を素直に飲み込んだミルカを嘲笑する蒼真の目には、怖いほどの執着が感じ取れる。
「絶対に解放してあげないけど」
歪んだ笑みを浮かべた彼は戸惑うミルカの腕を強く引いた。
ベッドに乱暴に押し倒され、早急に腰をねじ込まれる。既に蕩けた体は抵抗なく彼を受け入れ、強い刺激で反る背中に蒼真はまた薄く笑う。
「やっば……、マジですぐ出そう……。力抜いてよ」
「だめぇ……っ! ぎゅって、なっちゃう……、あっ! あ、そぉま様……っ」
「淫魔ってほんと、やっばいよね……。すっげー気持ちいし、存在自体が魅了魔法なんだからさ。イラつくくらい可愛いね、ミルカ。あいつと何回したの? その甘ったるい声で何度名前を呼んだ? 言ってみなよ」
契約上、蒼真に嘘はつけない。
ナツもミルカも主な対象は人間だ。意味もなく求め合ったことなどない。
だけどナツとは長い付き合いになる。一度や二度ではなかったのも事実で、返答に困るミルカに蒼真の声が低く響いた。
さっきの行為は他でもない蒼真の命令だからなのに。
使い魔にしてくれるなら、側にいられるなら何でも言うことを聞く。
自分が発したその言葉をミルカは忘れていない。
「違わないよね? 気持ちいーことが大好きなミルカに、ご褒美あげないとね」
コートを無造作に脱ぎ捨て、ベルトを外す金属音がカチャカチャ響く。
間を置かず、ショーツの隙間からぐちゅりと押し当てられた熱く硬い感触。
正直な体は嬉しく震え、しがみつく指はきゅっと白いシャツを握りしめた。
ミルカの体を知り尽くした杭は的確に反応する場所をぐりぐり押し上げる。
奥に打ち込まれるたびに甘い声が響いて、細い腰は勝手に揺れる。
名前を呼びながら喘ぐ姿に、蒼真は皮肉っぽい笑顔を見せた。浮かぶ汗も漏れる吐息も熱いのに、囁く声だけは冷たく響く。
「淫乱……って、こういう時に使うのかな。ミルカにぴったりだよね。誰とでも寝ちゃうもんね。食糧の俺に喘がされて、だらしないね。ミルカ」
「や、あっ……! あ、あ、ちが……っ!」
話しながらも彼は抽送を止めないし、心に反して体は貪欲に快楽を求める。
蒼真の吐息にも切ない声が混じるのに、甘い囁きが聞こえない。
「酷いこと言われても気持ちい? すっげー締めるよ。それとも、罵られるほうがよかったりするのかな。ミルカ、ドMだもんね」
「やだぁっ……あっ! そーま様っ、やなこと、いわない、で……っ」
蒼真はいつも意地悪だけどそこには愛情があるし、酷いことなんかしない。なのに今日の彼はいつもと違う。
触れ合う体は熱いのに纏う空気はひやりと冷たい。
匂いも声も体温も、全部彼に違いないけど、まるで知らない人のようだ。
ずり落ちそうな背は壁に密着して、蒼真の手が強く腰を抱いている。
それでも小柄なミルカにはつらい体勢だった。助けを求めるよう、必死に目の前の体へしがみつく。
「やだ、やだ……っ、そーま様、こんなのやだ……っ」
痛くしても、自分勝手な欲望をぶつけられてもいい。でも嘲笑するような冷たい声と、冷めた感情で凌辱されることは耐えられない。
ふるふる首を振るミルカに、すっと目を細くした蒼真は一層深く腰を押し上げた。
ぞくんと走る快感に持ち上げられた足がぴんと伸びる。
「やっ……! いやぁっ、あ、や、やあ……っ」
「嫌? とろっとろの顔でよく言う……。ミルカの中、すっごいよ」
「やだ、あっ! いつもみたいに、して……っ」
可愛いって、好きって言って、愛しそうに目を細めてほしい。
泣きながら喘ぐのはいつものことだけど、悲しい涙の中で揺さぶられるのは初めてのことだった。
「いつもみたいに……ね。いいよ。部屋行こっか」
零れる雫を舐め取った蒼真は、冷たい笑いで軽く提案する。
下された足はふらついて、解放された体は壁に力なくもたれる。
滲んだ視界を細い指で拭い、見上げた先にある月色の瞳はやっぱり泣きそうだと思った。
「ソウマ様……泣いてるの?」
伸ばした手で頬に触れると蒼真の肩が微かに震えた。
「俺が? 泣いてるのはミルカでしょ。俺のこと嫌いになった? 契約解いて欲しい?」
そんなこと思うわけない。答える前にくちびるは強引に塞がれる。
ねじ伏せるようなキスには愛情なんか感じない。
ただ、送られる唾液を素直に飲み込んだミルカを嘲笑する蒼真の目には、怖いほどの執着が感じ取れる。
「絶対に解放してあげないけど」
歪んだ笑みを浮かべた彼は戸惑うミルカの腕を強く引いた。
ベッドに乱暴に押し倒され、早急に腰をねじ込まれる。既に蕩けた体は抵抗なく彼を受け入れ、強い刺激で反る背中に蒼真はまた薄く笑う。
「やっば……、マジですぐ出そう……。力抜いてよ」
「だめぇ……っ! ぎゅって、なっちゃう……、あっ! あ、そぉま様……っ」
「淫魔ってほんと、やっばいよね……。すっげー気持ちいし、存在自体が魅了魔法なんだからさ。イラつくくらい可愛いね、ミルカ。あいつと何回したの? その甘ったるい声で何度名前を呼んだ? 言ってみなよ」
契約上、蒼真に嘘はつけない。
ナツもミルカも主な対象は人間だ。意味もなく求め合ったことなどない。
だけどナツとは長い付き合いになる。一度や二度ではなかったのも事実で、返答に困るミルカに蒼真の声が低く響いた。
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