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54.束縛されたいの!
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「ご主人様に一緒に死ねって? さすが悪魔は恐ろしいこと考えるよね。でもいいよ、俺も賛成」
「ああん最高! 大好き!」
期待通りの答えに体をくねらせて歓喜するミルカを蒼真は手招きで呼ぶ。
正面から横へ移動すると、ぎゅっと両手を握られた。
椅子に座ったままの蒼真は笑みを浮かべたままミルカを仰ぐ。
いつもは見上げる位置にある月の瞳はとても静かで、ミルカはじっと見つめ返した。
「あのさ、改めて言うと照れるけど……俺のこと好きでいてくれてありがと。俺こんなだから、本当にミルカには感謝してるんだ」
こんなとはどんな? 彼はいつも最高なのに。
疑問符を浮かべるミルカは目をパチクリさせる。
その様子に蒼真は困ったよう、一度目線を逸らした。
「全部適当だし。軽いフリしてるけど、めっちゃ重いし独占欲強いしすっげー心狭いし。しかも落ちこぼれだし。なんかもう全部ダサいんだよね」
「ソウマ様がダサいなんてあり得ないですぅ♡ それに落ちこぼれなんて絶対に嘘! だって全部世界一なんだもん♡」
蕩けた笑顔のミルカはむぎゅっと蒼真の頭を抱え込んだ。
彼女にとって蒼真は恋人であり、未来の夫であり、ご主人様であり、もはや崇拝対象である。側にいるだけで心を満たしてくれる彼は何より尊い存在だ。
しかし感情のままぎゅうぎゅう抱きしめるミルカの乳圧から逃れるよう、蒼真は頭を振って空気を確保する。
純粋な抱擁だったが酸素を遮断された彼としては命懸けだ。
「ああん、抱きしめさせてほしいのにぃ」
「いや、フツーに死ぬって……。死因がおっぱいとかマジで笑えないから」
呼吸を落ち着かせる蒼真の髪は乱れていて、そんなことすらミルカのチョロい乙女心を簡単に疼かせる。
蒼真が側にいてくれるならなんだっていい。
何をしようが、何を言おうがハイパーポジティブなミルカには何の問題もありはしない。
今度は緩く抱きしめたまま、青みが混じった彼の髪を手櫛で整える。
「ソウマ様大好き♡ 」
「ありがと。ミルカといると悩んでるのが馬鹿らしくなるよね……。自己肯定感エグいくらい上がる」
「嬉しい! ミルカもソウマ様といると幸せなの。ずっと雁字搦めに束縛してね♡ 一生ソウマ様に支配されたいの♡」
身も心も縛る魔法陣は既に解除の出来ない呪いをかけてある。
条件などの上書きは可能だが、ミルカが解呪しない限り蒼真にも魔法陣を消すことは不可能だ。いわば術の主導権はミルカにある。
どちらかといえば縛り付けているのはきっと……。
そんなことを考えるミルカのツインテールを、蒼真はくるくる指に巻きつけた。
「縛られてるのは俺なのかもね。こんな沼、抜け出せないよ」
降参したように呟かれた声と穏やかに細められた月の瞳。
その表情は満ち足りて見える。
これからもミルカは毎日同じ言葉を繰り返すし、きっと蒼真も飽きずに受け止めてくれる。
長い未来を想像したミルカもまた、最上級の愛らしい笑顔を浮かべた。もちろんこの微笑みを知っているのはこの先もずっと蒼真だけ。
「ああん最高! 大好き!」
期待通りの答えに体をくねらせて歓喜するミルカを蒼真は手招きで呼ぶ。
正面から横へ移動すると、ぎゅっと両手を握られた。
椅子に座ったままの蒼真は笑みを浮かべたままミルカを仰ぐ。
いつもは見上げる位置にある月の瞳はとても静かで、ミルカはじっと見つめ返した。
「あのさ、改めて言うと照れるけど……俺のこと好きでいてくれてありがと。俺こんなだから、本当にミルカには感謝してるんだ」
こんなとはどんな? 彼はいつも最高なのに。
疑問符を浮かべるミルカは目をパチクリさせる。
その様子に蒼真は困ったよう、一度目線を逸らした。
「全部適当だし。軽いフリしてるけど、めっちゃ重いし独占欲強いしすっげー心狭いし。しかも落ちこぼれだし。なんかもう全部ダサいんだよね」
「ソウマ様がダサいなんてあり得ないですぅ♡ それに落ちこぼれなんて絶対に嘘! だって全部世界一なんだもん♡」
蕩けた笑顔のミルカはむぎゅっと蒼真の頭を抱え込んだ。
彼女にとって蒼真は恋人であり、未来の夫であり、ご主人様であり、もはや崇拝対象である。側にいるだけで心を満たしてくれる彼は何より尊い存在だ。
しかし感情のままぎゅうぎゅう抱きしめるミルカの乳圧から逃れるよう、蒼真は頭を振って空気を確保する。
純粋な抱擁だったが酸素を遮断された彼としては命懸けだ。
「ああん、抱きしめさせてほしいのにぃ」
「いや、フツーに死ぬって……。死因がおっぱいとかマジで笑えないから」
呼吸を落ち着かせる蒼真の髪は乱れていて、そんなことすらミルカのチョロい乙女心を簡単に疼かせる。
蒼真が側にいてくれるならなんだっていい。
何をしようが、何を言おうがハイパーポジティブなミルカには何の問題もありはしない。
今度は緩く抱きしめたまま、青みが混じった彼の髪を手櫛で整える。
「ソウマ様大好き♡ 」
「ありがと。ミルカといると悩んでるのが馬鹿らしくなるよね……。自己肯定感エグいくらい上がる」
「嬉しい! ミルカもソウマ様といると幸せなの。ずっと雁字搦めに束縛してね♡ 一生ソウマ様に支配されたいの♡」
身も心も縛る魔法陣は既に解除の出来ない呪いをかけてある。
条件などの上書きは可能だが、ミルカが解呪しない限り蒼真にも魔法陣を消すことは不可能だ。いわば術の主導権はミルカにある。
どちらかといえば縛り付けているのはきっと……。
そんなことを考えるミルカのツインテールを、蒼真はくるくる指に巻きつけた。
「縛られてるのは俺なのかもね。こんな沼、抜け出せないよ」
降参したように呟かれた声と穏やかに細められた月の瞳。
その表情は満ち足りて見える。
これからもミルカは毎日同じ言葉を繰り返すし、きっと蒼真も飽きずに受け止めてくれる。
長い未来を想像したミルカもまた、最上級の愛らしい笑顔を浮かべた。もちろんこの微笑みを知っているのはこの先もずっと蒼真だけ。
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