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第六章
67:死地へ赴く
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――なんて愚かなんだろうと、自分を嘲笑いたくなる。
他人に迷惑ばかりかけて、挙句の果て一人で飛び出してきた。
思えば、帝国城を出た時もそうだったなとカレジャスは思い出す。止めるやつらなんて全員無視して、勝手に出てきたに等しいのだ。
「俺は何も変わってねえな……」
呟く彼の脳裏に浮かぶのは、一人の少女の顔。
金髪に茶色の瞳の少女――ダーム・コールマン。
たった一人だけ、自分を好きだと言ってくれた彼女。だからこそきっとカレジャスは強く当たってしまったのだろう。
「メンヒに取られるのが嫌なんてクソガキみてえだ。俺はずっと昔から、ガキのままなのかも知れねえな」
伝説の剣を手に入れる時だって、ちょっといい気になって軽率な行動を取り、彼女たちに迷惑をかけた。
ある程度仕方のないだったことかも知れない。そもそもあの銀髪女、呪いの剣のことも話さなかったわけだから。
でもそれはきっと言い訳なのだ。なんて情けないんだろうか。
荒廃した地面を思い切り踏み締める。
徒歩だから魔王城まであとどれくらいかかるだろう。補助魔法で足を速くはしているものの、やはり馬車よりずっと遅いのは事実。
――どうしてあの仲間たちを置いてきてしまったんだろうと、後悔に似た感情が湧き上がってきた。
自分で決めたことなのに、と思い、思わず自嘲の笑みが漏れる。
この胸の中のやるせなさをどこへぶつけたらいいのか。彼にはわからなかった。
* * * * * * * * * * * * * * *
カレジャスは、一人で魔王城へ向かっている。
地図は置いてきてしまったが、世界の中心の大穴の場所は大体は把握していた。記憶と旅先で会う人々の話を頼りに世界の中心を目指していた。
たった一人で魔王を打ち倒せるのだろうか。魔王の力は強大と聞く。
考えても考えても「できない」という答えが胸の内側から返ってくる。
「できるさ。きっとできる。俺は勇者なんだから、俺一人でなんとでも。……なんとでも」
本当にそうなのか? 本当に一人でなんとでもできるなんてはずがないことくらい自分でも知っている。
のに、心まで嘘で塗り固めようとするなんてとんだ馬鹿者だ。罰当たりだ。
カレジャスは今、きっと死地へ赴いているのだ。
もしここにダームがいてくれたら、と、ありもしない考えを浮かべて、彼は大きくため息を吐いた。
孤独のままで、勇者は進んでいく。
他人に迷惑ばかりかけて、挙句の果て一人で飛び出してきた。
思えば、帝国城を出た時もそうだったなとカレジャスは思い出す。止めるやつらなんて全員無視して、勝手に出てきたに等しいのだ。
「俺は何も変わってねえな……」
呟く彼の脳裏に浮かぶのは、一人の少女の顔。
金髪に茶色の瞳の少女――ダーム・コールマン。
たった一人だけ、自分を好きだと言ってくれた彼女。だからこそきっとカレジャスは強く当たってしまったのだろう。
「メンヒに取られるのが嫌なんてクソガキみてえだ。俺はずっと昔から、ガキのままなのかも知れねえな」
伝説の剣を手に入れる時だって、ちょっといい気になって軽率な行動を取り、彼女たちに迷惑をかけた。
ある程度仕方のないだったことかも知れない。そもそもあの銀髪女、呪いの剣のことも話さなかったわけだから。
でもそれはきっと言い訳なのだ。なんて情けないんだろうか。
荒廃した地面を思い切り踏み締める。
徒歩だから魔王城まであとどれくらいかかるだろう。補助魔法で足を速くはしているものの、やはり馬車よりずっと遅いのは事実。
――どうしてあの仲間たちを置いてきてしまったんだろうと、後悔に似た感情が湧き上がってきた。
自分で決めたことなのに、と思い、思わず自嘲の笑みが漏れる。
この胸の中のやるせなさをどこへぶつけたらいいのか。彼にはわからなかった。
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カレジャスは、一人で魔王城へ向かっている。
地図は置いてきてしまったが、世界の中心の大穴の場所は大体は把握していた。記憶と旅先で会う人々の話を頼りに世界の中心を目指していた。
たった一人で魔王を打ち倒せるのだろうか。魔王の力は強大と聞く。
考えても考えても「できない」という答えが胸の内側から返ってくる。
「できるさ。きっとできる。俺は勇者なんだから、俺一人でなんとでも。……なんとでも」
本当にそうなのか? 本当に一人でなんとでもできるなんてはずがないことくらい自分でも知っている。
のに、心まで嘘で塗り固めようとするなんてとんだ馬鹿者だ。罰当たりだ。
カレジャスは今、きっと死地へ赴いているのだ。
もしここにダームがいてくれたら、と、ありもしない考えを浮かべて、彼は大きくため息を吐いた。
孤独のままで、勇者は進んでいく。
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