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第六章
69:魔王城にて
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伝説の剣のおかげで、かなり強くなっている自信があった。
現れた敵を、手当たり次第に薙ぎ倒して進む。前までのボロ剣なんかとは全然切れ味が違い、一撃でどんな相手をも引き裂いた。
「さすがあの銀髪女。鋭利なのも当然ってわけだな」
この剣が人となって喋っていたことを思い出すと、なんだか不思議な感覚だ。
この剣は腰の鞘の中で、一体何を思っているのだろう。カレジャスのことを愚かだと言っているような気がした。
そう考えているうちに翼の生えた黒い小人――悪魔というらしい――がまたも姿を現す。
「しつこいぜ」と言って五匹の悪魔を斬り殺すと、勇者は先を急いだ。
* * * * * * * * * * * * * * *
大穴から落ちた先、そこは静かな廊下だった。
ここは一体どこなのか。そんな疑問を胸に抱きつつ歩いていると、突然廊下に面した部屋の扉が開き、変な小男が飛び出して来たのだ。
体が真っ黒で翼が生えており、手には刺股を持っている。見たこともない変な魔物だった。
「お前誰だよ」
「お、おれは悪魔様だっ! き、キサマこそ何者だぁっ」
もう少し話を聞き出して、ここが『魔王城』という場所であること、そして悪魔という存在が魔王の手下であることを知った。
そしてお役ごめんとばかりに斬り捨てる。罪悪感がなかったわけではないが、相手は魔物かつ魔王の手下だ。油断できるはずもない。
きっとこの城の中に魔王がいるはずだ。
そう思って城の中を徘徊するうち、なるべく気配を殺しているのに軽く三十匹以上の悪魔と出会してしまった。その度、剣にお世話になっている。
「悪魔は軽い魔法も使って来やがるから面倒臭え。ま、ほとんど効かねえけどな」
「キキキ、魔王様のお城の中で蠢くやつめ、抹消してやる!」
顔を出すなり闇の球を投げつけてくる悪魔。魔球を剣で撃ち落とし、勇者は大きくため息を漏らす。
「また悪魔かよ……。俺は勇者カレジャス。お前を地獄に送る者だ」
直後、悪魔の首がごと、と音を立てて落ちた。
どうやら悪魔には血がないようで、もくもくと黒煙が上がった後その姿は掻き消える。
まあ死体を発見されて大騒ぎになると困るので、消えてくれるのはありがたかった。
そんなこんなで城を徘徊するうち、カレジャスはやっと有力情報を掴んだ。
殺さないでくれと命乞いした悪魔に聞いたのだが、魔王は城の最上階にいるとのこと。
剣を突きつけて「連れて行け」と言うと、悪魔は素直に道案内をしてくれた。
悪魔は全員凶暴なのかと思っていたから意外だった。
薄暗い城内を走り抜け、螺旋階段を登っていく。
途中で遭遇した悪魔を全員斬り殺して進んだ先、黒い穴があった。
「なんだ?」
「これは魔王様のお部屋へゆく扉のようなものでございます。では参ります……キキキ」
黒穴の前に立った悪魔、それがこちらを振り返ってニタリと笑う。
そして、何かを呟こうとした。
「やっぱりそういう腹づもりだったか。させるわけねえだろ、馬鹿」
しかし悪魔が何かの魔法を詠唱してしまう前に、その首が断たれていた。
隙あらばこちらの命を狙ってくるのではないかと思い、警戒していたのだ。そして愚かな悪魔はそれを実行に移し、死んで消えていく。
「でも案内はありがとよ。助かったぜ。……さあて、魔王とご対面といこうじゃねえか」
そう言ってカレジャスは唇を軽く結ぶ。
そのまま、体を真っ暗闇の中へ滑り込ませたのだった。
現れた敵を、手当たり次第に薙ぎ倒して進む。前までのボロ剣なんかとは全然切れ味が違い、一撃でどんな相手をも引き裂いた。
「さすがあの銀髪女。鋭利なのも当然ってわけだな」
この剣が人となって喋っていたことを思い出すと、なんだか不思議な感覚だ。
この剣は腰の鞘の中で、一体何を思っているのだろう。カレジャスのことを愚かだと言っているような気がした。
そう考えているうちに翼の生えた黒い小人――悪魔というらしい――がまたも姿を現す。
「しつこいぜ」と言って五匹の悪魔を斬り殺すと、勇者は先を急いだ。
* * * * * * * * * * * * * * *
大穴から落ちた先、そこは静かな廊下だった。
ここは一体どこなのか。そんな疑問を胸に抱きつつ歩いていると、突然廊下に面した部屋の扉が開き、変な小男が飛び出して来たのだ。
体が真っ黒で翼が生えており、手には刺股を持っている。見たこともない変な魔物だった。
「お前誰だよ」
「お、おれは悪魔様だっ! き、キサマこそ何者だぁっ」
もう少し話を聞き出して、ここが『魔王城』という場所であること、そして悪魔という存在が魔王の手下であることを知った。
そしてお役ごめんとばかりに斬り捨てる。罪悪感がなかったわけではないが、相手は魔物かつ魔王の手下だ。油断できるはずもない。
きっとこの城の中に魔王がいるはずだ。
そう思って城の中を徘徊するうち、なるべく気配を殺しているのに軽く三十匹以上の悪魔と出会してしまった。その度、剣にお世話になっている。
「悪魔は軽い魔法も使って来やがるから面倒臭え。ま、ほとんど効かねえけどな」
「キキキ、魔王様のお城の中で蠢くやつめ、抹消してやる!」
顔を出すなり闇の球を投げつけてくる悪魔。魔球を剣で撃ち落とし、勇者は大きくため息を漏らす。
「また悪魔かよ……。俺は勇者カレジャス。お前を地獄に送る者だ」
直後、悪魔の首がごと、と音を立てて落ちた。
どうやら悪魔には血がないようで、もくもくと黒煙が上がった後その姿は掻き消える。
まあ死体を発見されて大騒ぎになると困るので、消えてくれるのはありがたかった。
そんなこんなで城を徘徊するうち、カレジャスはやっと有力情報を掴んだ。
殺さないでくれと命乞いした悪魔に聞いたのだが、魔王は城の最上階にいるとのこと。
剣を突きつけて「連れて行け」と言うと、悪魔は素直に道案内をしてくれた。
悪魔は全員凶暴なのかと思っていたから意外だった。
薄暗い城内を走り抜け、螺旋階段を登っていく。
途中で遭遇した悪魔を全員斬り殺して進んだ先、黒い穴があった。
「なんだ?」
「これは魔王様のお部屋へゆく扉のようなものでございます。では参ります……キキキ」
黒穴の前に立った悪魔、それがこちらを振り返ってニタリと笑う。
そして、何かを呟こうとした。
「やっぱりそういう腹づもりだったか。させるわけねえだろ、馬鹿」
しかし悪魔が何かの魔法を詠唱してしまう前に、その首が断たれていた。
隙あらばこちらの命を狙ってくるのではないかと思い、警戒していたのだ。そして愚かな悪魔はそれを実行に移し、死んで消えていく。
「でも案内はありがとよ。助かったぜ。……さあて、魔王とご対面といこうじゃねえか」
そう言ってカレジャスは唇を軽く結ぶ。
そのまま、体を真っ暗闇の中へ滑り込ませたのだった。
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