デュアルワールド

たぬまる

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アレス編 1日目

アーリアの家族

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-アーリア サイド-

 あは♥あはははは、アレス様はとても私などでは計り知れない方だった。
 あの戦闘一つとってもそう、美しく的確にナイフを敵に当てる技術、あの素早い動きも洗練されてとても美しいお姿をしていましたわ。

 そして、私の薬指に付けた美しい造形美の指輪、はぁなんて美しいのかしら。

 婚約の証の美しいグラス。
 これにも魔法が付与されていて、しかも1つ付いてるだけでも恐ろしい価値があるのに2つも、特に解毒効果は私の事を思っての事……なんと喜ばしいのでしょう!

 私ははやる気持ちを抑えながらお父様のいらっしゃる執務室へ向かったのです。
 
 執務室には第一王子であるジキルドお兄様と、宰相であるオルキド叔父様がいらっしゃいました。
 ジキルドお兄様はお父様の特徴を色濃く次いでいて、彫りが深く眉毛も濃いチリチリの癖毛体格も2mと大きくて暑苦しいのです。

 オルキド叔父様はお父様と似ても似つかない小柄で、印象に残らないお顔で、髪は私が物心付いた時にはもはや無かったので鏡のようにつるつるです。

 そしてお父様はチリチリの癖毛で、かなりお顔が濃いのに顎鬚を伸ばしているのでお顔の濃さが増して、とても暑苦しいので、実は私苦手なんですよね。

 なので、私が成人したときにキプロス・ポリスを領土にいただいた時は嬉しくて、次の日に旅立ったくらいです。

 社交界の時期に戻ってきましたが、本来ならあまり帰りたくない理由の大部分ですわ。
 ま、今回はアレス様と出会えましたから良しとしましょう。

「おお~アーリアちゃん。来客があったそうだがもう終ったのかい?
 パパはもう少しかかりそうだよ~」

 デレデレ顔のお父様は更に暑苦しいのですが……ああ、早くアレス様と結婚して、あのお美しいお顔を見て過ごしたいわ。

「ええ、それに関しまして2つほどご報告が……」

「なんだい?大抵の事ならパパ聞いちゃうよ~」

「ゴホン、父上話が進みません。確かにアーリアは可愛いですが、今はご自重を」

「お兄様ありがとうございます。
 先ずはミノス伯爵の娘、キキモネの事なのですが」

「はて?ミノス伯爵に娘など居たかな?」

「資料によりますと、庶流の子らしいのですが、マイセンが調べた資料が此方です」

 お父様が資料を読み勧め、お兄様は横から覗き込んでいます。

「な、なんじゃ!こりゃ!!!!」

「これは酷い……で?俺達にこれをどうにかしろと言う事か?」

 お父様は衝撃に口をパクパクさせているので、お兄様が代わりに聞いてくださいました。

「それは私を、そう私を助けてくださったアレス様が証拠付きで捕えて、明日広場で奴隷の首輪の儀式を行なうそうなのです。
 その儀式にお父様かお兄様のご臨席頂きたいのですが……」

 お兄様は少し顎に手を当てて考えるようなしぐさをされていますが、もう結論が出ていますよね?
 だって、王族の臨席で王族がこの裁きを認めていると言う証を付ける事で、ミノス伯爵が横槍を入れて首輪を外させないための布石となるのです。

「うむ、では、パパが出席するとしよう。
 それで後一つは何かな~」

 お父様……ぶれないですね……

「ええ、私アレス様と結婚いたしますわ」

「そうか、そうか……え~!!ダメだよ、パパは認めないよ」

「そうだぞ、王族が降嫁するには婚姻物は最低でも白金貨10枚のグラスが必要だ。
 平民なんぞに準備出来ると思わん」

 私はお兄様にニッコリ笑ってアレス様からいただいたグラスを机の上において

「お兄様、このグラスをアレス様から頂きましたの」

「?!」

 あまりの美しさにお父様は息を飲み、唖然として見つめられてます。
 当然ですわね。

「こ、こんな物!」

 お兄様が剣を振り思い切りグラスに叩きつけますが、グラスは傷一つ付く事無く、机の上にその美しい姿を保っています。
 これが強度強化?バカ力のお兄様の一撃……何度もやっていますね……あ、机が壊れました。

「は~は~なんなんだ!これはぁ!!」

「これは強度強化の付与と毒分解の魔法が付与されているのですよ、ほらこのように」

 そう言って私は自害用の毒をグラスに入れて一気に飲み干すと、お父様達は驚いて固まっていましたが、私がけろっとしているのを見ると慌て出しましたわ。

「な!何だその常識を超えたアーティファクトは!」

「凄すぎる……流石アーリアちゃんが認めた男だね~
 でもまだ婚約は早いような気がするよ」

 私は更に畳み掛けるために、薬指に嵌めた指輪を自慢げに見せつけるように出しました。

「これは……」

「アレス様と3分間お話出来るマジックアイテムですわ」

 そう、身につけるアクセサリーを送るのは王族の中では娶る意思の表れ。
 私が受け取った以上、お二人とも反対は出来ないはず。

「ちょ、ちょっと見せてくれるかい?勿論返すから」

「え?はい」

 私がそう言って指輪をお父様に手渡すと、お父様は鑑定の魔法がかかったアーティファクトのメガネでマジマジと見つめ、暫くするとメガネを外して両手で頭を抱えてしまわれました。

「は~……アレスと言う男はどれだけのアーティファクトを持っているんだろうか?」

「父上、それではこれも?」

 お兄様の言葉にお父様は大きく頷くと

「これは伝説のミスリルで出来ていて、しかも、ジュエルマンタの希少石に魔法陣を書いておる」

「な!それは国宝級、いや……それすら超えているではないですか!
 もし、アレスと言う輩が更にアーティファクトを持っているようであれば、それを全て国が巻き上げれば今よりも強靭な国に成ります!!
 早速呼び出し奪い取りましょう!」

 はぁ!お兄様は相も変わらず脳みそまで筋肉のようです、……殺しますか

「ジキルド……お前はバカなのか?
 これほどのアーティファクトを簡単に渡すほどの男だぞ。強力なマジックアイテムでかつて都市が消滅した話もある、その事を踏まえると友好的にしておく方が良いと思うけどな~」

「何をぬるい事を!俺は兵を率いて奪ってまいります!」

「待たぬか!」

 お兄様はそう言って執務室を出て行かれてしまいました。

”アレス様”

”アーリアどうした?”

”実は私の兄であるジキルドが、アレス様のアーティファクトを狙って今出て行ってしまいました。
 申しわけありません”

”何、気にしなくても良いよ……ただ王子様だからな~”

「お父様、お兄様は生死問わずでアレス様に持ってきてもらってもいいですか?」

 ボーっとしていた私がいきなり声を上げた事で、驚いたお顔をされていましたが

「い、いや流石に生死問わず……だなんてちょっと困るかな~
 出来れば穏便に……ね?」

「あら?お父様は私の未来の夫に迷惑をかけるような事をされて、無事に帰せと?」

「だからって……」

 そう言ってお父様は何か言いたげですが……私は許しませんよ。

”話をしにそっちに行くな”

 そう言って青い光が執務室にあふれ出して、その光の中からアレス様が現れました。
 流石アレス様ですわ!
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