デュアルワールド

たぬまる

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アテネポリスの騒乱

VSミケーネ帝国開始

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 アネモイがジキルドをボコボコにした次の日の朝。中央広場の真ん中に鋼の理の3人が柱に縛り付けられ、猿轡をはめられた姿でそこに居た。
 多くの市民が集まる中、執刑官の男が3人の前に立ち、両腕を広げて広場に響き渡る声をあげた。

「静粛に!!これより冒険者ギルド所属!鋼の理モロス!キキモネ!モゼリ!の奴隷の首輪の刑の執行及び鉱山労働送りを行なう!
 なお!この度は国王陛下がご臨席くださっている!!
 まず!!検察官より、罪状の読み上げがある!!
 検察官!前へ!!!」

 執刑官が一歩下がり、グリーンの官服を着た初老の男が前に出ると、羊皮紙を開き読み上げる。

 市民はあまりの罪状の多さに唖然としていた。

「……以上がこの者達の罪状であり、刑罰は然るべく執行される事が望ましいと言わざるをえない!
 しかし!10罪も1善により救われることがあるのも我が国の司法である!
 この者達の刑執行に反対の者は拍手を持って答えよ!」

 モロスとキキモネは少し期待をしたような顔で群集を見るが、誰一人反対の拍手をする者は居なかった。

 「この刑罰に賛成の者は拍手せよ」と検察官が声を上げると、割れんばかりの拍手が巻き起こり、刑の執行が決まった。

 執刑官がモロスに手を向け、呪文を唱えるとモロスの首に黒い霧がかかり、モロスが暴れる間もなく首に黒い首輪状の刺青が浮かび出た。

 続いてモゼリの首にも刺青が出た。

 最後にキキモネの番になったが、キキモネは首を振り必死に逃れようとしていた。
 あまりに暴れすぎて猿轡が取れ、無様な叫び声を上げ始めた。

「私は伯爵の娘なのよ!!!こんな事してただで済むと思ってるの!!!
 離せ!はなせぇぇぇ!!!」

 皆に見えないようにニヤリと笑った執刑官は芝居がかったように。

「おやおや、これだけの大罪を犯しておいて逃げれるとでも?
 皆さんを御覧なさい!皆、貴方に対し怒りの念しか見えませんよ!!」

 集まった市民からキキモネに視線で人が殺せるんじゃないかというほどの目を向けられた。

「だから何よ!私は貴族よ!そして魔道具の発展のためには小さな犠牲よ!!」

「ふざけんな」

 キキモネの叫びに市民の中から小さいが声が上がる。

「そうだ!ふざけんな!てめぇのせいで俺の娘が死んだんだぞ!」

「家を燃やされて小さな犠牲だと!許せねぇ」

 最初の小さな声が渦巻くようにだんだん大きくなり、暴動が起きそうな勢いで広がっていく。
 流石に自分本位なキキモネも身の危険を感じ震え始めるが、火がついた民衆は納まらない。
 座っていた各町の代表まで立ち上がり、怒りの声をあげキキモネに向かって石を投げ出す。

「あ、あんた早く私に刑を執行しなさい!!じゃないと私殺されるわ!!」

 慌てて刑の執行を望む声を上げるキキモネに、執刑官はそしらぬ顔でキキモネを見つめ

「そうですか?ワタクシはそれも良いと思いますがね?」

「な、何言ってんのよ!早くしなさいよ!奴隷になれば国の物、それを傷つける事は罪になるのよ!罪を認める気はないけど、命が惜しいのよ!早くしなさい!」

 必死のキキモネに執刑官はそっけない視線を送る。

「はて?今までご自身が行なったことに対する結果ですな……おや?失礼、少し席を外します」

 執刑官が舞台を降りると同時に一斉に石を投げられ、キキモネは悲鳴を上げて助けを求めるが、舞台下で部下と話しこんでいる執刑官は聞こえないのか、キキモネに目を向けることはない。

 キキモネの悲鳴が小さくなり、投げられる石の数も減ってきたタイミングで執刑官が舞台に戻り、ニコリと民衆に笑いかけた。

「そろそろ奴隷の首輪を着けるのでこれ以上は石を投げないで下さいね」

 石が投げられるのが収まると、ボロボロのキキモネに手を向け、呪文を唱えた。黒い霧がキキモネの首にかかり首輪状の刺青が産まれた。

「これをもって刑罰執行を終了します。
 みなさんお疲れ様でした」

 この日ミノス伯爵家の令嬢キキモネを含む鋼の理は奴隷落ちした。
 なお、キキモネは重症のまま地下牢へと運ばれていった。



「執刑官、何時もながら見事な刑の執行であった。」

 国王の執務室で執刑官を労う国王に対して、執刑官は膝をついて頭を垂れる。

「ありがとうございます、国民の不満の捌け口には丁度いい悪党でしたからね。
 しかも、陛下はたとえ貴族であろうと処断すると貴族にも良いアピールに成りましたな」

「うむ、これで少しは貴族どもも気を引き締めるであろう」

 この判断が後にこの国を大きく揺らす事件に繋がる。


1ヵ月後

 夜遅くに起こされ、私は不機嫌さを隠さずドドリーゴさんを従え、お父様の執務室の扉を開き足を踏み入れましたの。

「お父様、いったい何事ですの?」

「あぁ、アーリアちゃん。ミノス伯爵がミケーネ帝国軍と、この王都へ攻め込んできたんだよぉ~
 早速アーリアちゃんの領地のシチリアに逃げようよぉ」

 机の上で頭を抱えるお父様の情けない姿が、私の決意に火をつけました。

「あ、貴方の深いのは顔の彫りだけですか!お母様は常々おっしゃっていました、王族とは民に深い愛を注ぎ常に民を守ることを心がけよと。
 私は最後まで民を守るために戦いますわ!!
 ドドリーゴさん私の鎧の準備を、戦仕度が終わればアレス様に連絡をしますわ」

「了解、姫。絶対守るから安心してくれ」

 そう言って踵返し執務室を出て行くドドリーゴは、やはり私の認めた騎士ですわ。
 それに比べて……

「お父様貴方はすでに王でなくただの顔の濃い人ですわ。
 私は死ぬかもしれません、故にさようなら」

 私はそう言って呆然とするお父様を残し執務室を出て自室に戻り、鎧に着せ替えてもらいました。
 剣を腰に着ける時に気が付きました。私、震えておりました。

「あはは、私おかしいですね、王族であり……領主となった時に戦の時は常に先陣に立ち、民を守ると決めたのに震えているなんて」

「姫、しかたねぇよ、敵10万に対してこっちは2万5千絶望的さ。
 なら姫が逃げても誰も文句……アブネェ」

 私の腕を引っ張りドドリーゴが入れ替わるように私が居た場所に割り込むと、ボロボロで血走った目のキキモネが何かを呟いていました。
 キキモネの首には魔法の奴隷の首輪が無く、何かしらの方法で消したのかもしれません。
 視線を入り口の奥に向けると、ミケーネ人特有の灰色の髪の男が此方をうかがっていました。

「この……腐れ女が!!」

 口から血を流しながらドドリーゴさんが素手でキキモネの右腕を折り、更に左膝を砕くとそのまま床に倒れてしまいました。

「ドドリーゴさん」

 私はへたり込むようにドドリーゴさんの横に座り込んでしまいました。
 私は震えながらアレス様にいただいた指輪を使い、アレス様に助けを求めました。

”アレス様!ドドリーゴが……ドドリーゴが!お願いです、お助けください!!!”

”解った直ぐ行く!アネモイも来い”

 アレス様とメイドの女性が光をまとって私の部屋に現れましたの。

「あら?こんな所にゴミが……失礼いたします」

「ひぃ!!く、来るな!来るなぁ……こないでよぉ」

 アネモイはキキモネにサッと猿轡を噛ませると、両手足の関節を流れるようにはずして縛り上げました。

 私は祈るような気持ちでアレス様を見上げました。

「 ハイ・メディカル・ケア」

 緑色の柔らかな光がドドリーゴを包み込みました。
 どうか助かってください、私は祈るような気持ちでその神秘的な光景を見ていました。
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