神の娘が行く月の教会創世記

たぬまる

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冒険者の町

第一ボス突破と修行開始

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 フルティ鉱山BF15ボスの間の前でアルテミス達は装備を確認していた。

「俺の方は異常無し、ポーションも5本あります」

「私も問題なし、マナポーションも7本あるよ」

「ワシも大丈夫ですじゃ、状態異常回復薬も12本ありますのう」

「では、行きましょう」

 巨大な扉を開き中に入ると、扉が閉まり、部屋の中央部分に筋骨隆々なミノラットキングが現れた。

「なんと!情報では出てくるのはジェネラルのはず・・・」

「やるしかない!行くぞ!」

 ケインがそう叫ぶと、仕方ないと3人が頷き、一斉に構えを取る。

「うじゅう!」

 思い切り身体を一回転させ、ミノラットキングは手に持ったバトルアックスを振りぬいた。

「リフレクトプロテクション、プロテクション」

 危険を察知したアルテミスが防御魔法を重ね掛けした途端、目に見えない衝撃が襲い、プロテクションは砕け散ったが、辛うじて反射に成功した。ミノラットキングが壁際まで吹き飛ばされ、若干の時間差で残り3つに真空波がミノラットキングへ襲い掛かる。

「うそだろ・・・あのプロテクションを破壊するなんて」

「ほほほ、少し気合を入れなおさないといけませんな」

「う~フィフスファイアボール」

 涙目のリリーが5つのファイアボールを生み出し、壁にもたれるように倒れているミノラットキングに殺到させる。
 轟音を立てて爆発し、土煙が舞い上がる。

「どら、追撃でもするかのう」

 マチェットは炎の矢を番えると連射で5本打ち込んで誘爆し、さらに爆炎を強力にした。

「たしか、こうだったよな」

 ケインがミノラットキングの真似をして刃に魔力を纏わせ、身体を一回転させて一気に振りぬいた。
 刃から真空の刃が生まれ、爆炎を切り裂いてミノラットキングの鎧を切り裂き、大ダメージを与えた。
 
 爆炎が収まり、姿を現したミノラットキングはボロボロで満身創痍だった。

「意表をつかれたけど、思ったよりいけそうだ」

「油断はダメですよ」

 アルテミスが注意すると、行き成りミノラットキングの体が膨張して一回り大きな姿になる。

「ちぃ、じゅじゅ」

「ルナティックミラージュ」

 ミノラットキングは得物を捨てて拳を振りかぶり、一気にアルテミスとの距離を詰め、拳を振り下ろした。

「アルテミス様!」

 思わずマチェットが声を上げるが、吹き飛ばされたはずのアルテミスが少し離れた場所に立っていた。

「ミノラットキング、月は出ていますか?」

「じゅぁ!」

 アルテミスが錫杖で地面を叩くと、ミノラットキングの足元に光の魔法陣が生み出された。

「ルナティックカノン」

 強烈な光がミノラットキングを包み、その存在が消滅してしまった。

「や、やっぱすげぇ・・・次は絶対俺達で勝ってみせる」

 その凄い光景を焼き付けるように見つめるケインは、アルテミスを真剣な目で見つめ

「アルテミス様、俺は出来れば俺だけでもミノラットキングを討伐できるようになりたい。
だから暫く俺はこの上の階で修行したい」

「ワシももう少し強くならねば、この先アルテミス様の従者として恥ずかしい」

「私だけサボれないか」

 三人の真剣な目を見てアルテミスも真剣な目をして頷き

「解りました、私は暫く採取でもしています。
 皆さんが納得できるようになったらまた挑戦していきましょう」

 月の光のように穏やかに微笑むアルテミスに、三人は静かに頷き、この日の探索は終了した。

”しかし、ミノラットキングの急な変化はなんだったんじゃ?
 話に聞いた事も無い”

 マチェットはあの光景が不思議で仕方なかった。
 これはきっと何かが起こる前触れかもしれないと、気を引き締めて行こうと決めていた。

 因みにミノラットキングのドロップアイテムは、パワーブレスバンドとハイミスリルの戦斧、ミノラットキングの毛皮だった。
 パワーブレスバンドはケインに、ハイミスリルの戦斧と毛皮はギルドに売ることになった。


2日後

 ケイン達はフルティ鉱山に向かい、アルテミスはオリーブトレントの所へ採取と剪定に向かっていた。
 
「ケインや、前回覚えた真空刃飛ばしをもっとコンパクトに出来るように練習せねばならん、リリーは属性防御の習得、ワシは矢の数と破壊力の向上を目指そうかの」

「了解、やってやるぜ!」

「防御は苦手なんだよね、でも覚えないとね、最初は土に絞ってみるか」

 こうして、ミノラットを狩る事にした三人は、最初に4匹のミノラットと遭遇した。

「ケイン、先ずはワシが3匹を牽制するから、残りをしとめてくれ。リリーは土壁を作って動きを阻害するんじゃ」

「OK]

「は~い」

 マチェットが3匹の足に向けて魔力矢を放つと、矢は確りと太腿を貫き、地面に縫いつけた。
 その上でリリーがミノラットの足元を隆起させて動きを阻害。ケインが横一文字に剣を振りぬくと真空刃が生まれ、2匹のミノラットを仕留める事に成功した。
 次いでマチェットが風の矢を放つと2匹の眉間に突き刺さり、仕留める事に成功した。

「うん、もう少し威力が欲しいな・・・あれ以上魔力を込められないし・・・」

「そうじゃな、ワシはも少し効率的な足止めをせんとなぁ」

「ねね、ケインはさ、魔力を込める時自分から切り離してるの?」

 リリーの問いかけにケインは首を捻った。

「??普通そうだろう?」

「実はね、アルテミス様に聞いたんだけど、魔力を繋げたままの方が色々と便利だし威力が上がるんだよ」

 リリーの説明だと、魔法が相手に当たる直前まで魔力を繋げておけば避けられても少しなら角度を変えられるし、魔力が散らないので威力が上がるとの事だった。

「そうか!やってみるよ」

 暫く探索を続けると、再び4匹のミノラットに遭遇した。

「先ほどの事を踏まえて同じ様にやるぞい」

「「OK」」

 マチェットがミノラットの影に魔力矢を打ち込むと、ミノラットが動かなくなりケインの真空刃は3匹仕留め、それを見たリリーは氷の矢を心臓部分に打ち込み、仕留める事に成功した。

「今の何?」

 リリーは驚いたようにマチェットを見ると、少し照れたように。

「影縫いとでも呼ぶかのう、魔力で影を縫いつけたら暫く動けなく出来ると思ってな」

「凄い!新技じゃない!聞いた事も無いよ」

「ほほほ、我ながら上手く行ったのう」

「俺も威力が上がったぞ」

 ケインがすかさず自分の事も訴えるが、リリーは聞いていない。

「あれさ、状態異常付与したらどうなるんだろう?」

「実験じゃな」

「ぐ、俺を無視するな!」

「「あはははは」」

「ケインは真空刃の制度をもっと上げていけたら必殺技にもなりそうじゃな」

「確かに、ケインにしては良い技よね」

「ちぇ、もっと褒めてくれても良いのにさ」

 そう言って唇を尖らせるケインを二人は楽しそうに見つめて、「次の獲物を探すぞ」と、声をかけてさらに奥へと進んで行った。

 この日は実に25匹のミノラットを狩ることが出来たが、まだまだケインの真空刃の完成度が低く、状態異常を付けた影縫いも完成と言いがたかったため、明日も潜ることにしたのだった。


 その日アルテミスはオリーブトレントの剪定や要らないオリーブでリーの収穫をして、エンシェントオリーブトレントの蜜を分けてもらい、町に帰ろうとした時、空から炎の翼の美丈夫が降りてきた。

「おひさ~アルちゃん元気~」

「アポロンお兄様お久しぶりです、私は元気ですよ。
 お兄様はお元気そうですね」

 筋骨隆々なアポロンは腰をくねらせながら、頬に両手を当てて。

「いやぁん♪お姉さまと呼んでよ~☆」

「ではお姉さま、今日はどうされたんですか?
 何時も太陽の宮にいらっしゃるのに」

「じ・つ・は☆
 貴方の従者のマチェットにね、私の加護をあげたくて、許可を貰いにね♪」

「ありがとうございます、是非与えてあげてください。
 しかし、行き成りですね」

 アポロンが何処からともなく白いロココ調の机とイスを出し、アルテミスにも座るように言うと、黒光りするマッチョの天使が紅茶を入れてくれた。

「ありがとう、あら?冷たいのですね」

「今日は暑いでしょ~冷たい方が美味しいわよ」

 そう言って暫くお茶を楽しむと

「実はね、マチェットがね、私の技影縫いを身につけたのよ、しかも状態異常縫いも後ちょっとの所に来ててね」

「なるほど、お姉さまの加護なら今のマチェットにピッタリですし、よろしくお願いします」

「は~い♪、よろしくしちゃうわ☆」

 身体をくねくねと揺らすアポロンを微笑ましく見守るアルテミスは心の中で

「お姉さまの見る目は確かですね、流石です」と思う一方で

「何処までよろしくするのでしょうか?
 マチェットがおかしな趣味に目覚めたら困りますね」
 
 とも思っていた。

 この世界では神の加護を得るには、神の定めた技術や魔法を取得する必要がある。
 誰かに聞いてもそれを身につけるには気が遠くなるような鍛錬が必要であり、直ぐには身につけることは出来ない。

「そうそう、最近ツクヨミの御爺が不穏な動きをしてるらしいの↓
 テンション下がるわよね」

「そうですね、兄弟全員苦手ですものね」

 ツクヨミは月と知恵の神として創造神クロスの弟として有名だった。
 また、嫉妬深く、月の神としてのプライドが死ぬほど高いため、他の神とよく衝突していたのだった。

「アルちゃんも念のため注意しておいてね☆」

「ありがとうございます」

 アポロンは家具を収納すると、翼をはためかせて太陽の宮に帰って行った。

「うふふ、マチェット達が頑張ってくれているのは解っていましたが、お姉さまに認められるほどだと嬉しいものですね」

 日が落ち始めた空を見上げて、機嫌よく微笑んでいた。
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