8 / 9
冒険者の町
ケインとルーの出会い
しおりを挟む
アルテミスが眠りに付いて2日目、ケインは冒険者ギルドでその日取ったモンスターの換金に来ていた。
「ケイン様、本日の換金分でございます」
「サンキュウ、マチェット達は未だか・・・」
そう言って辺りを見渡すと
「そうですね、未だ此方には来られていないですね」
名簿表を見ながら答えを返してくれるコスタリカに笑顔を向けると。
「今日の仕事もう直ぐ終る?
何時ものお礼に飯でも行かねぇ?」
「あら?軟派ですか?
今日は閉門までですから、お二人がお戻りになられなければお付き合いいたしましょうか?」
そう言って、チシャ猫の様に笑うコスタリカを見て慌てて
「あ!・・・一人で飯を食うのがあれで、いやお礼もほんとで」
ケインが慌ててフォローしようとして更にわけのわからない言葉を吐いてしまう。
「うふふ、解っていますよ。
今日もかなり頑張られたので、ご一緒しましょう」
「チェ、もてあそばれた・・・」
楽しそうに笑いあう二人を、数人の男性冒険者が血の涙を流さんばかりの目で見ていたのはまた別の話。
「あら?」
結局二人はその日帰ってこず、コスタリカに引きずられるようにギルドに併設された酒場に連行された。
「今日のおススメはケインさんが取ってきた、ホーンタウロスンのステーキとタウロスンシチューだな」
「じゃあ、両方お願いするよ、コスタリカさんは?」
「私はタウロスンシチューを」
ホーンタウロスンは牛が二足歩行になった150cmほどのモンスターであり、突進力がありゴブリン族に属される中では頭一つ上の攻撃力があり、中々出回らない一品だった。
「ケイン様に感謝しないとですね」
「いや~たまたまホーンタウロスンの巣を見つけたんで」
「繁殖力はゴブリンに劣っても、巣が出来ると男性獣人さんが攫われちゃいますから・・・」
注文の品が運ばれて来て肉にフォークを突き刺して、
「あれがこんなに美味くなるんだから世の中不思議だよな」
「ですね」
「あ、俺にはタメ口で良いよ。アルテミス様やマチェットの爺ちゃんは別だろうけど、歳もそんなに違わないだろう?」
そう言って笑うと、コスタリカもクスリと笑って
「ありがとう、でも私の方が年上かもよ?」
「なら、なおさらだよ」
「ちょっと、そこは否定してよね」
穏やかな空気で楽しそうに喋る二人を、鬼の形相で男性冒険者達が見ており、また、嫉妬に狂った表情でコスタリカを見つめていた。
「コスタリカさんと食事だけでも許せないのに・・・」
「ケインはモテるからな・・・」
「弟属性のケイン君に手を出したら殺してやる・・・」
「でも、あの破壊鎚のコスタリカだよ・・・」
そんな声がヒソヒソと聞こえる中、ボロボロの服を着た紫髪の少女が入ってきた。
「おまぇ、また来たのか!
金のねぇ奴に食わせ・・・グボ」
酒場の主人が少女の顔の間近まで顔を突き出し威嚇したが、何処からかハンマーを取り出したコスタリカに吹き飛ばされて壁際まで吹き飛んだ。
「ごめんなさいね、良かったら私達と一緒に食べない?
私がご馳走するわ。
ケイン君ごめんね、事後承諾だけどいいかしら?」
そう言って顔の前で手を合わせるコスタリカに
「良いよ。コスタリカさんが動かなければ俺が行ってたし、今日の飯は俺が出すから気にしなくていいよ」
頬をかきながらそう言うケインにクスリと笑って「だって、行こう」と少女の手を取って席に行く。
「ありがとう」
二人の前に座ると、小さくそう呟く少女を微笑ましそうに見つめる二人はさっさと注文をする。
ウェイターはのびたマスターを放置して料理を運んできてくれた。
「ごゆっくりどうぞ」
「あ、あのオブジェ倉庫にでも入れておいて」
「かしこまりました」
そう言ってウェイターはマスターの足を使い捨てのスライム手袋を2重にして掴んで、倉庫へ引きずっていった。
その間に少女はガツガツと食事を食べていた。
「で?お前孤児院に行かないのか?」
「わたし、獣人とエルフのハーフだから・・・」
この世界において獣人とエルフは不倶戴天の敵であり、無理やり以外子供は出来る事は無い。もしハーフが生まれても養えば両種族を敵に回すことになり、誰も受け入れなかった。
「そっか、じゃあ暫く俺のポーターをしてくれよ。
分け前もちゃんと出すし、仲間も多分良いと言うと思うけど、許可が出たら正式に雇うよ」
「いいの?わたしハーフだよ?」
「関係ねぇよ、アルテミス様もそう言うと思うし」
「そうですね・・・私からもお願いします」
「OK、俺はケイン」
「私はルー」
こうしてルーはケインと一緒に暫く依頼をこなす事になった。
獣人は力が強く、エルフは手先が器用で解体が得意。そんな両方の特性を持っていたルーは雑なケインより丁寧な仕事で、ケインに喜ばれていた。
ルーの告白
私はルー。おかあさんが死んで3年が経ったの。
おかあさんは獣人族の偉い人の娘だったらしいの、死ぬ前に言ってたの。
おかあさんは孤児院に行ってって言ってたけど、獣人とエルフのハーフの私は何処に行っても追い払われる事が続いて、オルフェの町に着いたの。
そして出会ったの。ハーフでも気にしないって言ってくれる人に。
その人はケインって言ったの。ケインのお部屋に泊めてもらって、次の日に一緒に狩りに出かけたの。
ケインの解体は適当すぎて驚くほど雑なの。
驚きすぎてわたしは思わずホーンタウロスンを奪い取ってしまったの。
「は~すげぇな、おれじゃ、関節外して引っこ抜くのがせいぜいだったぞ」
「ケインは適当すぎ・・・」
川の近くでわたしは陣取って、ケインが持ってきたモンスターを頑張って解体していったの。
その日わたしは7体解体出来たの、ケインはわたしの頭を乱暴になでてくれて
「ありがとよ」
って笑ってくれたの。
おかあさん以外初めて笑いかけてくれて、お礼言ってくれたの、なんだか幸せ。
その頃のソクナハ村
あちらこちらから煙が上がり、数人の男達の死体が所々に見える。
「貴様!何故あんなモンスターに手を出した!」
「は?大きい方が一回で済むだろう」
村長の家で村人達が避難する中、若い狩人に村長が詰め寄っていた。
「何をバカな!しかもしとめ損なって逃げ帰ってくるとは!何を考えている、な・に・を!」
「そりゃ、安全な所に逃げるだろう?それに村の壁が薄いのが悪い」
村長は頭を抱えると、外を指差して
「今すぐ!今すぐモンスターを外に誘導して来い!それが出来ないなら出て行け!その代わり迷惑料を確り払ってもらうからな、払えないなら奴隷に落としてやる!」
「はぁ?無理に決まってるだろう!ってかそんなルール聞いたことねぇし」
「お前の身分証に書き込んでやる!」
村人達が怒り、狩人を取り押さえて、村長が賞罰の所に現状を書き込むと簡易裁判の魔法陣が浮かび上がり、有罪が認められた。
しかし、村長とその息子と取り巻きも有罪になり、全員奴隷落ちになる。
「なぜだ!我らが何をしたと・・・」
”狩人マチェットに対するモンスターを使ったリンチ及び詐欺、元来マチェットが受け取るはずだった金銭の不正取得による刑罰。
また、その年数の長さ40年と長いため、一族郎党及びそのお金を使った者全てが連帯責任です”
「うそだろう!!!」
そう叫ぶと村長は両手を地面について呆然とした。
ショックのためか、一気に老け込む村長と、取り巻きに詰め寄られる息子。
狩人も呆然として動かなくなると、村人に無理やり外に出される。
この日レッサーインフェルノウルフは村を壊滅に追い込むまで暴れ回り、村長とその取り巻き達は当然として、数人の女性達をオルフェの町の奴隷商館に売り、村の建て直しを計るのだった。
「ケイン様、本日の換金分でございます」
「サンキュウ、マチェット達は未だか・・・」
そう言って辺りを見渡すと
「そうですね、未だ此方には来られていないですね」
名簿表を見ながら答えを返してくれるコスタリカに笑顔を向けると。
「今日の仕事もう直ぐ終る?
何時ものお礼に飯でも行かねぇ?」
「あら?軟派ですか?
今日は閉門までですから、お二人がお戻りになられなければお付き合いいたしましょうか?」
そう言って、チシャ猫の様に笑うコスタリカを見て慌てて
「あ!・・・一人で飯を食うのがあれで、いやお礼もほんとで」
ケインが慌ててフォローしようとして更にわけのわからない言葉を吐いてしまう。
「うふふ、解っていますよ。
今日もかなり頑張られたので、ご一緒しましょう」
「チェ、もてあそばれた・・・」
楽しそうに笑いあう二人を、数人の男性冒険者が血の涙を流さんばかりの目で見ていたのはまた別の話。
「あら?」
結局二人はその日帰ってこず、コスタリカに引きずられるようにギルドに併設された酒場に連行された。
「今日のおススメはケインさんが取ってきた、ホーンタウロスンのステーキとタウロスンシチューだな」
「じゃあ、両方お願いするよ、コスタリカさんは?」
「私はタウロスンシチューを」
ホーンタウロスンは牛が二足歩行になった150cmほどのモンスターであり、突進力がありゴブリン族に属される中では頭一つ上の攻撃力があり、中々出回らない一品だった。
「ケイン様に感謝しないとですね」
「いや~たまたまホーンタウロスンの巣を見つけたんで」
「繁殖力はゴブリンに劣っても、巣が出来ると男性獣人さんが攫われちゃいますから・・・」
注文の品が運ばれて来て肉にフォークを突き刺して、
「あれがこんなに美味くなるんだから世の中不思議だよな」
「ですね」
「あ、俺にはタメ口で良いよ。アルテミス様やマチェットの爺ちゃんは別だろうけど、歳もそんなに違わないだろう?」
そう言って笑うと、コスタリカもクスリと笑って
「ありがとう、でも私の方が年上かもよ?」
「なら、なおさらだよ」
「ちょっと、そこは否定してよね」
穏やかな空気で楽しそうに喋る二人を、鬼の形相で男性冒険者達が見ており、また、嫉妬に狂った表情でコスタリカを見つめていた。
「コスタリカさんと食事だけでも許せないのに・・・」
「ケインはモテるからな・・・」
「弟属性のケイン君に手を出したら殺してやる・・・」
「でも、あの破壊鎚のコスタリカだよ・・・」
そんな声がヒソヒソと聞こえる中、ボロボロの服を着た紫髪の少女が入ってきた。
「おまぇ、また来たのか!
金のねぇ奴に食わせ・・・グボ」
酒場の主人が少女の顔の間近まで顔を突き出し威嚇したが、何処からかハンマーを取り出したコスタリカに吹き飛ばされて壁際まで吹き飛んだ。
「ごめんなさいね、良かったら私達と一緒に食べない?
私がご馳走するわ。
ケイン君ごめんね、事後承諾だけどいいかしら?」
そう言って顔の前で手を合わせるコスタリカに
「良いよ。コスタリカさんが動かなければ俺が行ってたし、今日の飯は俺が出すから気にしなくていいよ」
頬をかきながらそう言うケインにクスリと笑って「だって、行こう」と少女の手を取って席に行く。
「ありがとう」
二人の前に座ると、小さくそう呟く少女を微笑ましそうに見つめる二人はさっさと注文をする。
ウェイターはのびたマスターを放置して料理を運んできてくれた。
「ごゆっくりどうぞ」
「あ、あのオブジェ倉庫にでも入れておいて」
「かしこまりました」
そう言ってウェイターはマスターの足を使い捨てのスライム手袋を2重にして掴んで、倉庫へ引きずっていった。
その間に少女はガツガツと食事を食べていた。
「で?お前孤児院に行かないのか?」
「わたし、獣人とエルフのハーフだから・・・」
この世界において獣人とエルフは不倶戴天の敵であり、無理やり以外子供は出来る事は無い。もしハーフが生まれても養えば両種族を敵に回すことになり、誰も受け入れなかった。
「そっか、じゃあ暫く俺のポーターをしてくれよ。
分け前もちゃんと出すし、仲間も多分良いと言うと思うけど、許可が出たら正式に雇うよ」
「いいの?わたしハーフだよ?」
「関係ねぇよ、アルテミス様もそう言うと思うし」
「そうですね・・・私からもお願いします」
「OK、俺はケイン」
「私はルー」
こうしてルーはケインと一緒に暫く依頼をこなす事になった。
獣人は力が強く、エルフは手先が器用で解体が得意。そんな両方の特性を持っていたルーは雑なケインより丁寧な仕事で、ケインに喜ばれていた。
ルーの告白
私はルー。おかあさんが死んで3年が経ったの。
おかあさんは獣人族の偉い人の娘だったらしいの、死ぬ前に言ってたの。
おかあさんは孤児院に行ってって言ってたけど、獣人とエルフのハーフの私は何処に行っても追い払われる事が続いて、オルフェの町に着いたの。
そして出会ったの。ハーフでも気にしないって言ってくれる人に。
その人はケインって言ったの。ケインのお部屋に泊めてもらって、次の日に一緒に狩りに出かけたの。
ケインの解体は適当すぎて驚くほど雑なの。
驚きすぎてわたしは思わずホーンタウロスンを奪い取ってしまったの。
「は~すげぇな、おれじゃ、関節外して引っこ抜くのがせいぜいだったぞ」
「ケインは適当すぎ・・・」
川の近くでわたしは陣取って、ケインが持ってきたモンスターを頑張って解体していったの。
その日わたしは7体解体出来たの、ケインはわたしの頭を乱暴になでてくれて
「ありがとよ」
って笑ってくれたの。
おかあさん以外初めて笑いかけてくれて、お礼言ってくれたの、なんだか幸せ。
その頃のソクナハ村
あちらこちらから煙が上がり、数人の男達の死体が所々に見える。
「貴様!何故あんなモンスターに手を出した!」
「は?大きい方が一回で済むだろう」
村長の家で村人達が避難する中、若い狩人に村長が詰め寄っていた。
「何をバカな!しかもしとめ損なって逃げ帰ってくるとは!何を考えている、な・に・を!」
「そりゃ、安全な所に逃げるだろう?それに村の壁が薄いのが悪い」
村長は頭を抱えると、外を指差して
「今すぐ!今すぐモンスターを外に誘導して来い!それが出来ないなら出て行け!その代わり迷惑料を確り払ってもらうからな、払えないなら奴隷に落としてやる!」
「はぁ?無理に決まってるだろう!ってかそんなルール聞いたことねぇし」
「お前の身分証に書き込んでやる!」
村人達が怒り、狩人を取り押さえて、村長が賞罰の所に現状を書き込むと簡易裁判の魔法陣が浮かび上がり、有罪が認められた。
しかし、村長とその息子と取り巻きも有罪になり、全員奴隷落ちになる。
「なぜだ!我らが何をしたと・・・」
”狩人マチェットに対するモンスターを使ったリンチ及び詐欺、元来マチェットが受け取るはずだった金銭の不正取得による刑罰。
また、その年数の長さ40年と長いため、一族郎党及びそのお金を使った者全てが連帯責任です”
「うそだろう!!!」
そう叫ぶと村長は両手を地面について呆然とした。
ショックのためか、一気に老け込む村長と、取り巻きに詰め寄られる息子。
狩人も呆然として動かなくなると、村人に無理やり外に出される。
この日レッサーインフェルノウルフは村を壊滅に追い込むまで暴れ回り、村長とその取り巻き達は当然として、数人の女性達をオルフェの町の奴隷商館に売り、村の建て直しを計るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
遊鷹太
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる