最強の男ギルドから引退勧告を受ける

たぬまる

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第二章 自重を知らない回り

料理対決

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 ある日の午後その事件は起きた。

「ブ、ブラウン久しぶり・・・」

「お?レオナじゃないか、元気か?」

 ドラゴニアの酒場で久しぶりにレオナと再会したブラウンは、レオナの向かいに腰を下ろすとエールをたのむ。

「ああ、元気だよ、ブラウンは元気だった?」

「おう、元気だ、今日は釣りに行ってきたぞ、大漁だ」

 ブラウンは床に置いた篭を指差しレオナはつられて篭を見ると、篭のフタから魚の尾鰭がいくつも飛び出ていた。
 クスリとレオナは笑うと軽く考えるように指を顎に当てる。

「これだけ有ると食べきれないね、よ、良かったら何か作ろうか?」

「おお、いいな、前に作ってくれた南蛮?だっけか、あれが良いな」

「わかったよ、早速作るとするかね」

 レオナが篭に手を伸ばした所で爆弾が投下された。
 もしここが持ち込み調理可能な酒場でなければ、レオナが気楽に料理すると言わなければ、ここで龍姫達が入ってこなければこの騒ぎは起こらなかっただろう。

「料理が上手い嫁さんが居たら幸せだよな、レオナは良い嫁になるな」

 入ってきた龍姫達は目を見開き、レオナは顔を赤くして固まる。

「あれ?どうした」

「・・・・・・いやなんでもない」

 力なく返事を返すレオナだがブラウンは気にせずエールを一口飲むと、子供のような笑顔をレオナに向けて。

「楽しみだ、エールに良く合うんだよな」

「ブラウン様、料理が上手な方は良いお嫁さんになりますか?」

「そうだな、俺は料理上手な嫁が欲しいな」

「実は私も料理は出来るんだ、作って良いかな?」

「わたくしも出来ますのよ」

 3人の龍姫が迫ると、ブラウンは楽しそうに笑いながら「かなり魚はあるから皆で作って食べたら良いと思うぞ」と言ったとたんレオナをふくむ四人は無言で火花を散らした。
 そして、猛ダッシュで調理場に駆け込み、見ていた客達も楽しそうに誰が勝つのか賭けを始めた。

 そんな中、ブラウンは二杯目のエールに口をつけて、テーブルの上の枝豆を食べながら女性同士仲が良いなと思っていた。

 トッポは王都からバンテリンとジャマーを引き連れてドラゴニアまであと少しの所に来ていた。
 ジャマーはドラゴニアの開拓従事の罰を受けて、バンテリンはその監視役としてトッポに連れられていた。
 捕縛された後、何が悪くてそして、教義に対しての間違いをモンブランに聞かされ、自分の罪を知ったジャマーは時折考え込む時間が出来た、バンテリンと何度も話し合いを重ねた結果、素直に刑に服した。

「もう直ぐドラゴニアの門が見えてくるっすよ」

「ほぉ、かなりの道であったが、ここまで来ると感慨深い物があるのう」

 バンテリンが振り返ると山の中腹とはいえ高い位置にあるため遠くまで見渡せる、その絶景だけでもここに来た意味があるように感じていた。

 ジャマーは黙ったままバンテリンのまねをして振り返った時頬に一筋の涙が流れた、それはいったい何故流れたのか解らない、だが、心からの涙だとトッポもバンテリンも感じていた。

 その日の夕方にはトッポのキャラバンはドラゴニアの門をくぐった。


 トッポたちはブラウンが居ると聞いて持ち込み酒場にやってきたが、中から恐ろしい異臭がする。
 恐る恐る扉を開けて中を覗くと死屍累々の中、ブラウンはテーブルに突っ伏して眠っていた。

「こ、これはいったい?」

「あら?トッポ丁度良かったわ、私達の料理の判定をしてもらいたい」

 奥から四人が出てくるが、3人の手にはなぞの物体が・・・唯一の救いはレオナの手には美味しそうな魚の南蛮が見えることだろうか?

「え?いや、あの、」

 チラリとバンテリンやジャマーに目を向けるが、バンテリンは「年寄りには刺激物は」などと言って目を合わせてくれない。
 ジャマーが軽くため息をつくと、ズイっと前に出て呆れたように

「たかが料理だろう、二人とも何をしり込みしてやがる」

 そう言うとヒョイッとミネルバの皿の黒いなぞの物体を口に入れると、青を通り越して紫の顔色をして

「どうよ、自信作よ」

「な、生臭くて油っぽくて苦い」

 その一言に膝を付きうな垂れるミネルバ
 ジャマーは誰も居ないテーブルの上にあったエールを煽ると、続いてニンニルの皿の蠢く物体に手を伸ばすと一気に口に入れた。

「新鮮だからその生命力を生かしてみたの、美味しいと思いますわ」

「ゴフ、ぅ動いて食いずらい、あじがない・・・」

 「うそ」と残りに手を伸ばそうとすると、料理は猛スピードで逃げ出していった。
 さらに震えつつヘーラの更に手を伸ばすといきなり鋭い牙に指を噛み付かれた。

「痛っ」
 
 そのままかぶりつくと噛み合いになり暫く後に食べ終わった。
 
「どうじゃ?攻撃力を上げて生命力を強化したのじゃ」

「も、もう料理じゃねぇ、甘臭くて痛くて・・・」

 今にも倒れそうなジャマーは、最後の気力を振り絞ってレオナの皿に手を伸ばす、その瞬間目を見開いて最後まで食べきる。
 ジャマーはあまりの異次元のま不味さに、この苦行は自身への罰の一環だと思っていた、しかし次の料理はまさに至福の味で皿を持つレオナを見つめた

「め、女神だ、う、旨い」

 あまりの美味さにジャマーの心はレオナに奪われてしまった。
 惚れやすい、いや地獄で至福の味を味わえば惚れるのも無理がないのかもしてない。

 レオナを見つめる熱を篭った目をさらりと交わすと

「やはり私の勝ちだな」

 と、勝ち誇ったように笑い、三人は悔しそうに下を向く。
 その間にトッポは必死にブラウンを起こしにかかっていた。
 そのかいあって、ブラウンは寝ぼけ眼で起き上がると「はらへった」と言ってキッチンに向かい、鍋に残っていた全員の料理をたいらげると、「ご馳走さん」と四人の頭を撫でて出て行ってしまった。

 四人ともぼーっと見送る中、倒れていたその場に居た者の思いは重なっていた。

「「「何故食って平気なんだ」」」

 こうして第一回料理対決?は引き分け?に終ったのだった 
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