最強の男ギルドから引退勧告を受ける

たぬまる

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第二章 自重を知らない回り

左側の戦闘、その頃ブラウンは

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 左翼のマサナオ キノシタは、マツナリが出すぎて陣を崩していることに驚きを覚えつつも堅実に円方を組、防御特化がたの陣で慎重に行軍し始める。

 朝のワイバーンの事件以降キノシタは慎重な動きを見せていた。
 他の将がうかつに動く中でキノシタはあらゆる可能性を考えて行動していた、無論負けるなどと考えることは無かったが、あらゆる可能性を模索することはやめなかった。

「マサナオ様、前方に敵陣発見!罠等の存在は確認できず」

「そうか、伏兵も確認しておるか?」

「は!ここより20キロに伏兵は確認できておりません」

「よろしい」

 マサナオは陣の中央に立つと、兵士に向け大声を上げる。

「諸君!将マサナオ キノシタである!敵は策も無く我らが前に居る!そう、無策なのである!我らが帝国兵の攻撃力は世界一であり!勇猛さも世界一である!
我らが力を世に見せつけ、楽しい蹂躙劇を始めようではないか!!!!!」

「「「おおお!!!」」」

「全軍!!横陣に展開!!!展開後左翼より随時突撃!!!!」

 迫ってくるクラウス傭兵団に対し弓のけん制をしつつ素早く陣変をし、左翼より突撃を開始する。

「父上!敵が突撃を開始しました、我らをそこから包囲するつもりでしょう」

「フェルマ!少し遊んでくる、お前たちは中央の薄い部分を抜けよ!後は任せる」

 ブラグニアはそういい残すと騎兵を率いて勢いが出始めた左翼に突撃を開始する。
 予想外のクラウス傭兵団の動きに一瞬戸惑う帝国兵だが、付いた勢いは止まらず正面からぶつかり合う。
 勢いはブラグニア率いる騎兵が強く、その場からやや押し込む形になり、中央部分が膨らむ形にさせらた帝国軍は薄い中央部分を徐々に突破され始める。

「ははは、左翼の隊長は何処だ?」

 馬の機動力を生かしヒットアンドウェイを繰り返しつつも、敵隊長を探し続けるブラグニアの用兵は的確で視野が広いことを実証していた。

「さて、後はあそこだけだが、流石にガードが硬いな」

 ついにターゲットのあたりをつけたブラグニアは、矛を上げて合図をすると一気に速度を上げ敵をなぎ払っていく。

「敵騎兵こちらに向かって来ております」

「仕方ない、一時後退するぞ!法螺を鳴らせ」

 副官が法螺貝を吹くと、波が引くように後退を始める、それを見て一瞬追撃を考えるが、日も暮れ始めたのを見てクラウス傭兵団も元の位置まで戻り、負傷者の治療などをはじめた。

「敵ながら見事な引き際だな」

「そうですね、時間も時間でありましたので、後退も織り込み済みだったかと」

 確実な用兵をするマサナオを評価する二人だが、今回の衝突で用兵団の死者0、負傷者14とあまりにも軽微な物であった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

マサナオ キノシタの場合

 初戦は完敗といえただろう、初戦にもかかわらず死者こそ居ないが重軽傷者5600人を超えており、予想よりもかなりのダメージだった。

「軍師将軍と鬼神・・・思いのほか手ごわい」

「ですが、兵数では此方のほうが上です、このまま押しつぶしてしまえば?」

「考えてみろ、この後も戦があるのだ、兵は損なわないほうが良い。
 今は守りを固め、魔法兵と弓兵で様子を見つつ次の手を打つとしよう」

 この決定が後に尾を引くダメージになるのだが、今は知らない。

「しかし・・・ワイバーンには動きは無かったのだな?」

「は!中央軍はワイバーンの襲撃ありと連絡はありますが、監視の話では一匹たりとも動きは無かったと」

「ふむ・・・他にもワイバーンがいて、遊撃をしていると捉えるしかないな」

 この日中央軍にワイバーンの襲撃があり、陣を大きく後退させる事になったとの報告が齎されていた。
 帝国軍全体で言えば、マサナオ以外の軍は大きな損害を受けていた。
 マツナリの軍と大きく後退した中央軍に対して不信があり、自分自身も軽微とはいえ手痛いダメージを受け、この戦の先行きが見ない状態になっていた。
 
 本能の部分で、この戦は何かがおかしい、そう訴えていたがそこに耳を傾けることは無かった。
 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 ブラウンの場合

 ブラウンはパンダヌキに翼タヌキモードになってもらい、上空を進んでいた。
 翼タヌキは巨馬ほどの大きさで翼の生えたタヌキで穏行にも優れた存在であり、その速度は時速60キロを超えるとされる。

「すまんな」

「もきゅ」

 満月を見上げ目的の場所に少しでも早く着くために、休憩もそこそこに空を進んでいた。
 空を行くブラウンの顔は心なしか怒りを含んでいる様に感じているパンダヌキであった。
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