抽選で選ばれたので勇者のお供になりました ~僕は普通の暮らしがしたいだけのに、天然勇者に振り回されています~

風音

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第一章 謎の天然勇者降臨!

第二話 当選です!

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 ……………………………………。
 …………………………………………。
 ……………………………………………………は?
 意味不明なんですけど。
 あぜんする僕をムシして彼女は話を進めてく。

「わたし、勇者なんですよー」

 え? どういうこと?
 勇者ってあの勇者? 魔物を退治して世界を救うっていう………。
 ……え? つまり、このぴんぽん犯が勇者ってこと?
 え? え? え? え?
 もう、脳が疑問で渋滞してるよ!

「それで、わたし旅に出るんです!」

 旅? ……旅行ってこと? いきなり話がぶっ飛んでませんか?

「その旅にレンさん、あなたについてきてもらいます!」

 は?

「なんで?」

「なんでって、レンさんはわたしのお供だからですよー」

 おかしいこと言うなぁ、と彼女は笑う。
 どういうこと? どういうこと? 意味不明すぎる。

「なんでキミのお供になんなきゃならないの?」

「レンさーん、人の話をちゃーんと聞いてますかー?」

「僕が話を聞いていないんじゃなくって、キミの説明不足じゃないのかな」

「むぐぅ……。まぁ、いいです。さっきも言いましたけど、抽選でレンさんがわたしのお供に選ばれたんです。抽選で選ばれたので絶対やんなきゃダメですよ」

 彼女はまっすぐ僕を見る。
 嘘はついてなさそうだけど……。やっぱり信用できないなぁ。 

「残念だけど、僕はそんな抽選応募してないよ」

「そりゃそうですよ。地球人全員が強制参加の抽選なので」

 ……あぁ、そうですか。
 っていうか、地球人全員参加の抽選ってなに?

「……なにか言いたそうですけど、話を進めますね。さっきも言いましたが、わたしたちは世界を救う旅に出ます」

「え、ちょっまっ、旅ってそっちの!? 世界を救うって聞いてないんだけど」

 えぇっ? 急なとんでも発言に思わず動揺する。
 僕、てっきりハワイ旅行とかそっちの旅をだと思ってたんだけど……。
 世界を救う??? 僕とぴんぽん犯で???

「言ってませんでした? まぁ、いいです。とにかく! レンさんはわたしと世界を救う旅に出るのです! 絶対の絶対のぜぇぇぇぇったいですよ!」

 ……まいったな。僕は厨二病患者にからまれているらしい。そうだとしか説明がつかない。

「レンさん、あなた疑ってますね? じゃあこれを見てください」

 膨れた顔の彼女から1枚の紙を突き付けられた。
 その紙には

(当選! 千葉連

  そなたを勇者のお供とし、世界を救う旅にでてもらう。

  拒否権はない。          

                国王より)

 と書いてあった。
 ……うそでしょ。


「キミの手作りじゃないよね?」

「はい! もちろんです。国王様のお書きになられたものですよ!」

 満面の笑みで答えるぴんぽん犯。やっぱり嘘はついてないみたいだけど……。
 あれ、国王?

「日本って国王じゃなくて天皇だよね?」

「そうですよ?」

「キミ、日本人だよね?」

「いえ、ドルーゴーリマ人です」

 ……ドルーゴーリマ人? 平然と聞いたことない単語を口にする。
 まさかだけど……

「キミ、地球人じゃないかんじ……?」

 こんな奇妙喜天烈な人、地球人な訳がない。

「はい、そうですねー。異世界のものと言えばレンさんも通じますかね?」

 異世界? この人、異世界の住人なんですか!?
 にわかに信じがたいんだけど……。でも、地球人がこんなヤバイ言動をする方が信じられないかも。

「キミの言っていることは真実なんだね?」

 僕は彼女を見つめた。
 女子と……いや、誰かとこんなに真面目に向き合ったことは今日が初めてかもしれない。
 その初めての相手が勇者だなんて思いもしなかったよ。

「はい! 神に誓って!」

 ぴんぽん犯は相変わらず元気に首をたてにふった。
 ……はぁ。ここはもう信じるしかないか。
 よし、話を整理しよう。
 まず、このぴんぽん犯は異世界出身の勇者。
 それで、世界を救う旅をしなくてはならない。
 僕はその旅のお供になったのね。
 ……で、そのお供の決め方が、抽選。
 いやいやいやいやいや……。

「世界平和なめてんのかーっ!」


「どうしたんですか、急に。」

「どうしたじゃないよ! 世界の平和がかかってるのに、抽選でお供を選ぶなんておかしいよ! 僕なんて取り柄ないし、世界平和の責任なんて、もてないよ!」

「レンさん……」

「悪いけど、キミと旅はできないんだ」

 僕は言って後悔した。
 彼女は初めて悲しそうな姿を僕に見せている。
 僕が傷つけたんだっ……!
 自分がやったことがひどいことだと気づいて胸がズキンと痛む。

  バタンッッッッッッ

 もう、いたたまれなくて勢いよく扉を閉めた。
 扉の向こうから、レンさんレンさんと僕の名前を連呼されてるのは幻聴だと思いたい。
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