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第一章
10.
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冷蔵庫を開けて食材を確認すると、玉子が3つ、チーズとレタス。あとは、1個だけ残っていたトマト。
ジミルはサラダや果物だけと言っていたけれど、あんなに痩せていたら昨日みたいに倒れてしまわないか心配だ。
筋肉は付いているが、成人している男性にしては華奢だ。……抱いたら壊れてしまいそうなくらい。
果物はグレープフルーツと林檎があった。どっちが好きかなぁ。訊いてみるか。
ジミルがいる方を見ると、彼は裸足のまま、音も立てずに窓際に歩いて行く所だった。
「何か見える?」
僕は後ろからそっと声をかけた。ジミルは振り返って、ニコッと笑った。
「昨日の夜、雪が降ってたから。積もってるかと思ったんですけど……」
僕も同じように外を見てみたが、雪の痕跡は無かった。きっと夜中にでも雨に変わってしまったのだろう。
それよりも、昨夜の雪と聞いてはっとした。
「そういえば……ジミル!昨日が初雪だったんだ!僕たちは初雪の夜に出逢ったんだよ!」
ジミルは『それがなにか?』とでも言いたそうな全くピンと来ていない表情だったので、一人で浮かれた自分を反省した。
そうだ……まだ恋人でもなんでもない関係では、この国のジンクスには適用されないのだろう。
「来年は初雪を一緒に見よう?」
「はい……」
「ジミルぅ、僕を『恋人』にしてよ」
「はい?!」
甘えるように、後ろから彼の腰に腕を絡ませた。身長は僕の方が少し高いくらいで、覆い被さればすっぽりと包み込めそう。
「やっぱり細いなぁ……」
「……ジョン様?」
「見ないから。触るだけ……」
Tシャツの上から身体をなぞる。指先に伝わる感触で、服の上からでも腹筋が割れているとわかる。
不思議だ。ジミルは男性なのに、初対面で一目惚れをしてしまった。こうして抱き締めても、嫌悪感どころか違和感もない。
むしろ、もっと触れたいと思うし、そうする事で性的な欲求も湧いてくる。
さらに指先を胸へとなぞっていくと、寒さのせいでTシャツの薄い生地を押し上げる、プツリとした乳首へ辿り着いた。
円を描くように触ると、ジミルは小さな声で啼いて、身体を捩った。
僕が触れた事で緊張しているのか、背筋をピンとしたまま固まっている。僕は肩越しに彼を覗き込み、耳元で疑問を口にした。
「ジミルは僕に抱き締められても平気?」
「………ドキドキ、します」
「うん……僕もドキドキする」
あぁ、なんかくすぐったい。
くすぐったくて、気持ちいい。
僕は着ていたフリースを脱いで、長袖Tシャツしか着ていないジミルに羽織らせた。
「これじゃジョン様が寒いですよ」
「いいのいいの。あ、そうだ。グレープフルーツと林檎、どっち食べる?」
「……グレープフルーツにします」
グレープフルーツの外皮だけ包丁で剥いて、ジミルの前に置く。
「わぁ…凄くいい匂いがする!」
ジミルが薄皮を剥こうと戦ってるのを見ながら、トマトとチーズでスクランブルエッグを作り、レタスを添えてテーブルに並べる。
グレープフルーツを取り上げて、え?という顔のジミルの口元に、スプーンでスクランブルエッグを持って行った。
「食べて。ちょっと痩せ過ぎだから」
「……わかりました」
なんだか野良猫を拾って、餌付けしているようだ。
ジミルが食べている間に、グレープフルーツの薄皮を剥いてまた口元に持っていく。今度は素直に口を開き、僕の指に柔らか唇の感触を残して離れた。
果汁のせいで濡れて艶めいたそれが、咀嚼しながら動く様に見惚れて僕の手は止まっていた。
「そんなに見ないで下さい……恥ずかしいです」
可愛いなぁ。頬を染め俯くジミルをどんどん好きになる。
外はまだ冬なのに、僕の周りにだけ春が来てしまったのかもしれない。なんだか暑い……。
僕は誤魔化すように残りのグレープフルーツを剥き、味のわからないスクランブルエッグを食べた。
ジミルはサラダや果物だけと言っていたけれど、あんなに痩せていたら昨日みたいに倒れてしまわないか心配だ。
筋肉は付いているが、成人している男性にしては華奢だ。……抱いたら壊れてしまいそうなくらい。
果物はグレープフルーツと林檎があった。どっちが好きかなぁ。訊いてみるか。
ジミルがいる方を見ると、彼は裸足のまま、音も立てずに窓際に歩いて行く所だった。
「何か見える?」
僕は後ろからそっと声をかけた。ジミルは振り返って、ニコッと笑った。
「昨日の夜、雪が降ってたから。積もってるかと思ったんですけど……」
僕も同じように外を見てみたが、雪の痕跡は無かった。きっと夜中にでも雨に変わってしまったのだろう。
それよりも、昨夜の雪と聞いてはっとした。
「そういえば……ジミル!昨日が初雪だったんだ!僕たちは初雪の夜に出逢ったんだよ!」
ジミルは『それがなにか?』とでも言いたそうな全くピンと来ていない表情だったので、一人で浮かれた自分を反省した。
そうだ……まだ恋人でもなんでもない関係では、この国のジンクスには適用されないのだろう。
「来年は初雪を一緒に見よう?」
「はい……」
「ジミルぅ、僕を『恋人』にしてよ」
「はい?!」
甘えるように、後ろから彼の腰に腕を絡ませた。身長は僕の方が少し高いくらいで、覆い被さればすっぽりと包み込めそう。
「やっぱり細いなぁ……」
「……ジョン様?」
「見ないから。触るだけ……」
Tシャツの上から身体をなぞる。指先に伝わる感触で、服の上からでも腹筋が割れているとわかる。
不思議だ。ジミルは男性なのに、初対面で一目惚れをしてしまった。こうして抱き締めても、嫌悪感どころか違和感もない。
むしろ、もっと触れたいと思うし、そうする事で性的な欲求も湧いてくる。
さらに指先を胸へとなぞっていくと、寒さのせいでTシャツの薄い生地を押し上げる、プツリとした乳首へ辿り着いた。
円を描くように触ると、ジミルは小さな声で啼いて、身体を捩った。
僕が触れた事で緊張しているのか、背筋をピンとしたまま固まっている。僕は肩越しに彼を覗き込み、耳元で疑問を口にした。
「ジミルは僕に抱き締められても平気?」
「………ドキドキ、します」
「うん……僕もドキドキする」
あぁ、なんかくすぐったい。
くすぐったくて、気持ちいい。
僕は着ていたフリースを脱いで、長袖Tシャツしか着ていないジミルに羽織らせた。
「これじゃジョン様が寒いですよ」
「いいのいいの。あ、そうだ。グレープフルーツと林檎、どっち食べる?」
「……グレープフルーツにします」
グレープフルーツの外皮だけ包丁で剥いて、ジミルの前に置く。
「わぁ…凄くいい匂いがする!」
ジミルが薄皮を剥こうと戦ってるのを見ながら、トマトとチーズでスクランブルエッグを作り、レタスを添えてテーブルに並べる。
グレープフルーツを取り上げて、え?という顔のジミルの口元に、スプーンでスクランブルエッグを持って行った。
「食べて。ちょっと痩せ過ぎだから」
「……わかりました」
なんだか野良猫を拾って、餌付けしているようだ。
ジミルが食べている間に、グレープフルーツの薄皮を剥いてまた口元に持っていく。今度は素直に口を開き、僕の指に柔らか唇の感触を残して離れた。
果汁のせいで濡れて艶めいたそれが、咀嚼しながら動く様に見惚れて僕の手は止まっていた。
「そんなに見ないで下さい……恥ずかしいです」
可愛いなぁ。頬を染め俯くジミルをどんどん好きになる。
外はまだ冬なのに、僕の周りにだけ春が来てしまったのかもしれない。なんだか暑い……。
僕は誤魔化すように残りのグレープフルーツを剥き、味のわからないスクランブルエッグを食べた。
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