新しい付き人が天使のように可愛い人だったので一目惚れしてしまいました!

柏葉 結月

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第一章

12.

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    公務も無いのに大学をサボり、ジミルと買い物デートをするのはとても楽しかった。
    買い物デートと言っても、ジミルにとっては初めての実地訓練だ。僕を護るため、キョロキョロと周りに目を走らせ危険予測をしている緊張感が、ビシビシ伝わってくる。まるで、尻尾がブワッと膨らんだ猫みたいだ。
    そんな状態ではこの先もたないので、タイミングをみて業務解除してやらなくてはならない。それには、今着ている付き人用の堅苦しいスーツを脱がさなきゃ。脱がすと言っても裸にするわけじゃないよ?
    裸にしたいけど。



    つまりこれは、ジミルが気を楽にして買い物出来るように、という配慮からで。
    決して僕が選んだ服をジミルに着せたくて、邪な想像をしている訳ではない。


「ジョ、ジョン様!あの……僕、こういうデザインの服は初めてなので、とても恥ずかしいのですが!」

    試着室からもじもじと出てきたジミルは、膝が出る位の丈のグレンチェックのハーフパンツに、優しいアイボリーのざっくりしたニット。インナーにアンティークラベンダーのシャツを着て、仕上げにDr.マーチンのブーツを履かせたら、お忍びのリアル王子様みたいだ。

"かっ!可愛いっ!似合いそうだと思ったけどこんなに可愛いなんて!"

    ヤバい、鼻血出そう。……おちつけ。
    僕はジミルを直視出来ず、すぐにベージュのコートを羽織らせた。しかしジミルは段々と俯いて、かと思うと急に泣きそうな作り笑いをして僕を見上げた。

「僕、全然似合ってませんよね……。やっぱり、元のスーツに着替えます!」

「えぇ?いや!違っ!」

    口を開けばニヤついてしまいそうなので、無言のままだったのが誤解されたらしい。店員に服に付いているタグを着たまま取ってもらい、ジミルが着ていたスーツは綺麗に畳んでもらった。
    その間もオロオロ、僕をチラチラ見たかと思ったら、しゅ~んとなっていて目まぐるしく表情が変わる。そんなジミルに僕は、もうメロメロなのに。

「あまりの可愛さに!口もきけなくなってるんだ!会計してくるから!絶対に脱がないでっ!」

「え?あ、はい……」

    ジミルはぱぁ!と嬉しそうに笑って、大人しく待っていた。しかし戻ると不安そうに、何ともシラケる事を言われた。

「あの、服代の給料天引きは何回でしょうか?」  

    プレゼントだというのに、そんな台詞は聞きたくない。けれども、とてもいいことを思いついた。

「返済はおはようとおやすみなさいのキスを無期限だからね?」

「えぇっ!キ、キス?!」

「あと、その服とても似合ってる。スーツ姿も素敵なんだけど、せっかく異国にいるんだからさ?もっと自由に、着たい服を着て食べたい物を食べて、行きたい所へ行けばいいんだよ……」

「…………次はどちらに行きますか?」

「そうだ。僕ジミルとお揃いのマグカップが欲しいな」

「では、この先の紅茶のセレクトショップで、良さそうなカップがあったら買いましょう」

    そこでジミルは服のお礼だと、マグカップを2つとブレックファーストブレンドの紅茶を買った。
    
    これで僕は『付き人以上恋人未満』の彼から、朝はキスで起こしてもらって、美味しい紅茶をお揃いのカップで飲むという時間を手に入れたんだ。

    想像するだけで幸せ過ぎる。
    明日の朝が楽しみだ。おっと。今夜のおやすみなさいのキスを忘れないようにしなきゃ。
    キスだけで眠れるか自信ないけど。



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