2 / 54
僕たちのこじれた関係①
2. side M ②
しおりを挟む
夜、スヒョンの部屋のベッドでゴロゴロしていて、自分の部屋へ帰るのは面倒になっていた。
ヨングとチームとしての付き合いがギクシャクし始め、このままではよくないとスヒョンに相談してみる。
「ねぇ、スヒョン。ヨングは、僕のこと嫌いなのかなぁ」
「まるで恋をしてるみたいだな?」
「恋?」
「なんか、好きとか嫌いとかを気にしてさ」
「うん、ヨングの事好きだし、仲良くなれたらいいなと思う」
確かにこの気持ちは、スヒョンに対する『好き』とは違う。
けれど『片想い』だし?
同性だから進展なんて、あるはずがない。
と、思っている。
壁やら山やら溝やら難関が沢山あって、僕はもう『推し』という便利な言葉でヨングを括って、それで満足なのだ。
「ミンジェのこと、嫌ってはいないと思う。 ヨングは思春期だから、色々とあるんじゃないの。反抗期とか?」
「うん、そうだね。少しそっとしておいてあげた方が…いいのかもね」
何となく滲んできた涙を、スヒョンが指で拭ってくれた。そっと抱き締められる。
「俺はミンジェが大好き」
「スヒョナ~、僕も大好きだよ」
背中を擦る大きな手。
スヒョンの手は、凄くホッとする。手を繋いで目を閉じればすぐに眠くなって、やがて朝が来る。
朝になれば、ヨングに会える。目覚ましのアラームにも気がつかずにぐっすり眠っているあの子を、僕が起こしてあげないと……。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、なんでぇ~? どうして合わないのぉ~!」
次の日も、僕は踊り疲れて床に倒れ荒い呼吸を調えていた。
汗なのか、涙なのか。
多分両方が僕の目を濡らしていく。
「…っ、」
暫く溢れるものをそのままに。
きっと流さないと思い通りにならない自分の身体を詰って、先に進めなくなりそうだったから。
けれど、明日の仕事が撮影だったら瞼が腫れて迷惑がかかる!と慌てて起き上がった。
すると、背後でバタバタッと音がしてドアがバタン…と閉まる。
まるで、起き上がった僕に驚いて逃げるかのように去っていった。
その一部始終を、鏡越しに見ていた。
スヒョンが言った通り、ヨングの後ろ姿だった…。
“…ヨングだった…。あの優しい手は本当にヨングだったの…?”
僕は減量と焦りで体調を崩していたけれど、踊る事を止めなかった。ヨングは昨日の事でもう練習室には来ないと思っていたのに、バレて開き直ったのか、行動が日に日に大胆さと謎を増していった。
いつものように倒れた僕は、優しくマッサージされたあと、頭を持ち上げられヨングの膝に乗せられた。
気配で、上から覗き込まれていることがわかる。そのうちに、『カシャ』と携帯のカメラの音がした。
ヨングは映像にも興味があって、写真も良く撮る。だから、何かを撮影するのは珍しい事ではない。けれど、今のは僕を撮った…?
「…どうして?」
小さな声で呟いたら、膝がビクッと揺れた。そのまま逃げてしまうかと思い、僕は目を開けて上げるのもやっとな腕を伸ばして、上から覗き込んで泣きそうな顔をしているヨングの頬に触れた。
何故そんな表情で僕を見るの?
しばらく無言で見詰め合ったけれどヨングは逃げる事を諦めたのか「ふぅ…」と、ため息を吐いた。
「今まで、僕が練習で疲れた時マッサージしてくれたの…ヨングァ…だったんだよね?
その、ありがとう。お前のおかげで僕は頑張る事が出来た」
知らなかったよ。おまえの手が大きくて、そんなに優しいなんて。あぁ、やっとお礼が伝えられた…。
ヨングに伸ばした手が、頬に触れたかどうかの所で突然握られる。怒っているような、泣きそうな表情で。
そして僕の頭を膝に乗せたまま、しゃべり始めた内容に、びっくりしてしまった。
「ミンジェニヒョン。どうして一人で練習するんですか?いつも倒れるまで踊ってますよね」
「僕の音取りが皆と合わなくて。迷惑かけちゃうからね」
「だからなんで皆と合わせたいのに、一人で練習するの?」
「それは…、皆には皆のやることが…」
「僕が付き合います!!」
「…え?」
「明日からの練習!僕も一緒にやりますから!」
「ほんとに?」
あんなに僕を避けていたヨングが、どういうことだろう?
僕は嬉しくなってがばっと起きると、ヨングに抱きついた。
「ありがとう!」
僕が抱きついた所為で、顔を真っ赤にしたヨングが可愛くて、朝30分以上かけてヘアセットする髪をぐしゃぐしゃにした。
ヨングとチームとしての付き合いがギクシャクし始め、このままではよくないとスヒョンに相談してみる。
「ねぇ、スヒョン。ヨングは、僕のこと嫌いなのかなぁ」
「まるで恋をしてるみたいだな?」
「恋?」
「なんか、好きとか嫌いとかを気にしてさ」
「うん、ヨングの事好きだし、仲良くなれたらいいなと思う」
確かにこの気持ちは、スヒョンに対する『好き』とは違う。
けれど『片想い』だし?
同性だから進展なんて、あるはずがない。
と、思っている。
壁やら山やら溝やら難関が沢山あって、僕はもう『推し』という便利な言葉でヨングを括って、それで満足なのだ。
「ミンジェのこと、嫌ってはいないと思う。 ヨングは思春期だから、色々とあるんじゃないの。反抗期とか?」
「うん、そうだね。少しそっとしておいてあげた方が…いいのかもね」
何となく滲んできた涙を、スヒョンが指で拭ってくれた。そっと抱き締められる。
「俺はミンジェが大好き」
「スヒョナ~、僕も大好きだよ」
背中を擦る大きな手。
スヒョンの手は、凄くホッとする。手を繋いで目を閉じればすぐに眠くなって、やがて朝が来る。
朝になれば、ヨングに会える。目覚ましのアラームにも気がつかずにぐっすり眠っているあの子を、僕が起こしてあげないと……。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、なんでぇ~? どうして合わないのぉ~!」
次の日も、僕は踊り疲れて床に倒れ荒い呼吸を調えていた。
汗なのか、涙なのか。
多分両方が僕の目を濡らしていく。
「…っ、」
暫く溢れるものをそのままに。
きっと流さないと思い通りにならない自分の身体を詰って、先に進めなくなりそうだったから。
けれど、明日の仕事が撮影だったら瞼が腫れて迷惑がかかる!と慌てて起き上がった。
すると、背後でバタバタッと音がしてドアがバタン…と閉まる。
まるで、起き上がった僕に驚いて逃げるかのように去っていった。
その一部始終を、鏡越しに見ていた。
スヒョンが言った通り、ヨングの後ろ姿だった…。
“…ヨングだった…。あの優しい手は本当にヨングだったの…?”
僕は減量と焦りで体調を崩していたけれど、踊る事を止めなかった。ヨングは昨日の事でもう練習室には来ないと思っていたのに、バレて開き直ったのか、行動が日に日に大胆さと謎を増していった。
いつものように倒れた僕は、優しくマッサージされたあと、頭を持ち上げられヨングの膝に乗せられた。
気配で、上から覗き込まれていることがわかる。そのうちに、『カシャ』と携帯のカメラの音がした。
ヨングは映像にも興味があって、写真も良く撮る。だから、何かを撮影するのは珍しい事ではない。けれど、今のは僕を撮った…?
「…どうして?」
小さな声で呟いたら、膝がビクッと揺れた。そのまま逃げてしまうかと思い、僕は目を開けて上げるのもやっとな腕を伸ばして、上から覗き込んで泣きそうな顔をしているヨングの頬に触れた。
何故そんな表情で僕を見るの?
しばらく無言で見詰め合ったけれどヨングは逃げる事を諦めたのか「ふぅ…」と、ため息を吐いた。
「今まで、僕が練習で疲れた時マッサージしてくれたの…ヨングァ…だったんだよね?
その、ありがとう。お前のおかげで僕は頑張る事が出来た」
知らなかったよ。おまえの手が大きくて、そんなに優しいなんて。あぁ、やっとお礼が伝えられた…。
ヨングに伸ばした手が、頬に触れたかどうかの所で突然握られる。怒っているような、泣きそうな表情で。
そして僕の頭を膝に乗せたまま、しゃべり始めた内容に、びっくりしてしまった。
「ミンジェニヒョン。どうして一人で練習するんですか?いつも倒れるまで踊ってますよね」
「僕の音取りが皆と合わなくて。迷惑かけちゃうからね」
「だからなんで皆と合わせたいのに、一人で練習するの?」
「それは…、皆には皆のやることが…」
「僕が付き合います!!」
「…え?」
「明日からの練習!僕も一緒にやりますから!」
「ほんとに?」
あんなに僕を避けていたヨングが、どういうことだろう?
僕は嬉しくなってがばっと起きると、ヨングに抱きついた。
「ありがとう!」
僕が抱きついた所為で、顔を真っ赤にしたヨングが可愛くて、朝30分以上かけてヘアセットする髪をぐしゃぐしゃにした。
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる