11 / 54
僕たちのこじれた関係①
11. side M ⑥
しおりを挟む
僕は頭に被っていたタオルを、ヨングの頭に乗せた。前髪からポタポタと水滴が落ちて、こんな雨の中……いったいどれくらい僕を探し回ったのだろう。
ヨングの目元は赤くて、頬は涙と雨が混じって濡れている。
「ミンジェヒョン~!」
そしてそんなびしょびしょの身体で僕に抱きつくから、僕だってびしょびしょになった。
「ヨングゥ?なんで泣いてるの」
「ミン、ジェ、、ヒョンがっ、僕のそばに、居てくれないと…!」
「そばに?」
「ぼ、僕は…ミンジェヒョンの、ことが、好きに…なってしまってっ」
「……え?」
「ミンジェ、ヒョンに……、裏切られたと、思ってっ」
真っ赤になってポロポロと涙を零す。思えば、僕から拒絶したのは今回が初めてかもしれない。
僕がヨングを構うのは『営業』なんだと誤解して、今まで僕が君にしてきたこと、全て嘘なんじゃないかって思った?
それで急に不安になって?
自分の気持ちに気がついて?
それでこんなにぐずぐずしてるの?
何それ、可愛い過ぎる。
ヨングの話は支離滅裂で、とりあえずシャワーでも浴びてもらって落ち着かせるしかない。
あぁ~僕もシャワー浴びなきゃだった。
ヨングが『一緒に浴びるのは恥ずかしい』と言うので、交替で浴びてから、とりあえず僕の部屋に行く事になった。
「ち、散らかってるけど…///」
僕は、朝ベッドから出て乱れたままのシーツを手で伸ばし、いくつかあるクッションをヨングに渡した。
さっき『ヒョンの部屋に行きたい』と言い出されて、『は?何で?』って聞いたら『行った事ないから』
考えてみれば、僕だってヨングの部屋には行った事がなかった。
改めて二人きりで部屋に居ると、今まで感じたことのない緊張感で、吐きそうになった。そしてそれはヨングにも伝わったようで、「そんなに緊張しないで下さい」と悲しそうな顔で言われてしまった。
クッションを受け取ってベッドに上がったヨングは、二歳も年下なのに僕より身体が大きくて、急にベッドが狭く感じた。
「なんか…大きくなった?」
「ミンジェヒョンは小さくなりましたね」
「………。この間まで子どもだったのに」
十代の成長は早くて、ヨングとはもちろん仕事で毎日会っていたけれど、こうして見ると大人の身体に近くなっている。
いつまでも可愛い弟のままでいて欲しかった気持ちと、ヨングがどんな大人になっていくのか楽しみな気持ちと。
その時、僕は君の隣で笑っているのかな。
笑って、いたいな。
「僕は子どもだけど、すぐ大人になります。手だって、ミンジェヒョンより大きいし…。
腕だって筋肉がついて、ヒョンを抱き上げられる。身長だって、ヒョンよりも……」
僕はヨングがそれ以上話せないように、クッションを投げつけた。
「……僕の身長の話はしないで。抱き上げるってなに。赤ちゃんだとでも思ってるの!?」
「ふふっ。ミンジェヒョン、口唇尖ってる」
ヨングはクッションを抱き締めて、ころんと横になった。明日も学校だ。朝は早い。
僕はヨングに布団を掛けて、部屋の灯りをサイドランプに切り換えた。
「おやすみ、ヨング……」
「…まだ…、眠りたくない…」
「明日も部屋に来ていいから」
「……う…ん、」
すぐにスースーと寝息が聞こえる。
もう深夜になるのに今日の出来事が衝撃的だった所為で、ヨングの言葉を借りれば、
『まだ眠りたくない』
僕とヨングは、出逢った頃から、なんだか心の距離が近くなったり遠くなったりで。
ここ最近も、二人でしていた練習は僕ひとりになって。理由はわからないけど、嫌われたのかな…と思って寂しかった。
ヒョンたちに、二人で話し合う機会を作って貰い、色々と胸の内を吐き出し合った結果。
さらにこじれて、このままメンバーとしても上手く付き合っていけるか不安になり、途方に暮れたけれど。……僕たちは、お互い好意を持っていた。
ヨングの『ミンジェヒョンが好き』という言葉を聞いて、
『あはは! なぁんだ、そうだったんだ!』
と笑い出したいほど嬉しくて仕方ない。
隣ですやすやと眠るヨングを見つめる。
雨の中、僕を探し回って疲れて寝ちゃうなんて。子どもか!話だって…シャワー浴びて、すぐに部屋に来たから中途半端なのに。
ヨングと一緒に眠るのは初めてだった。どうしたって、寝顔を見つめてしまう。
大きくて、綺麗な眼を縁取る長い睫毛。
高くてまっすぐに通った鼻梁や、寝てる間は開いている口唇。
身体が成長しても、幼い寝顔。
初めて会った時、ヨングは可愛い弟だった。それも、ずっとスヒョンにくっついてるから『親友の弟』みたいな距離感で。
二人で可愛がっているうちに芽生えた感情を、スヒョンは『恋みたい』と言う。
けれど同性だから、どうにかなろうなんて思っていなかった。まさか両想いになる日がくるなんて、思ってなかった。
なんだかフワフワ、ソワソワ、落ち着かない。
明日から仕事になるのかな。ニヤニヤが止まらない気がする。
「ふふっ!」
僕はヨングにくっついて、やがて体温の高さに気持ち良くなって深い眠りに沈んでいった。
ヨングの目元は赤くて、頬は涙と雨が混じって濡れている。
「ミンジェヒョン~!」
そしてそんなびしょびしょの身体で僕に抱きつくから、僕だってびしょびしょになった。
「ヨングゥ?なんで泣いてるの」
「ミン、ジェ、、ヒョンがっ、僕のそばに、居てくれないと…!」
「そばに?」
「ぼ、僕は…ミンジェヒョンの、ことが、好きに…なってしまってっ」
「……え?」
「ミンジェ、ヒョンに……、裏切られたと、思ってっ」
真っ赤になってポロポロと涙を零す。思えば、僕から拒絶したのは今回が初めてかもしれない。
僕がヨングを構うのは『営業』なんだと誤解して、今まで僕が君にしてきたこと、全て嘘なんじゃないかって思った?
それで急に不安になって?
自分の気持ちに気がついて?
それでこんなにぐずぐずしてるの?
何それ、可愛い過ぎる。
ヨングの話は支離滅裂で、とりあえずシャワーでも浴びてもらって落ち着かせるしかない。
あぁ~僕もシャワー浴びなきゃだった。
ヨングが『一緒に浴びるのは恥ずかしい』と言うので、交替で浴びてから、とりあえず僕の部屋に行く事になった。
「ち、散らかってるけど…///」
僕は、朝ベッドから出て乱れたままのシーツを手で伸ばし、いくつかあるクッションをヨングに渡した。
さっき『ヒョンの部屋に行きたい』と言い出されて、『は?何で?』って聞いたら『行った事ないから』
考えてみれば、僕だってヨングの部屋には行った事がなかった。
改めて二人きりで部屋に居ると、今まで感じたことのない緊張感で、吐きそうになった。そしてそれはヨングにも伝わったようで、「そんなに緊張しないで下さい」と悲しそうな顔で言われてしまった。
クッションを受け取ってベッドに上がったヨングは、二歳も年下なのに僕より身体が大きくて、急にベッドが狭く感じた。
「なんか…大きくなった?」
「ミンジェヒョンは小さくなりましたね」
「………。この間まで子どもだったのに」
十代の成長は早くて、ヨングとはもちろん仕事で毎日会っていたけれど、こうして見ると大人の身体に近くなっている。
いつまでも可愛い弟のままでいて欲しかった気持ちと、ヨングがどんな大人になっていくのか楽しみな気持ちと。
その時、僕は君の隣で笑っているのかな。
笑って、いたいな。
「僕は子どもだけど、すぐ大人になります。手だって、ミンジェヒョンより大きいし…。
腕だって筋肉がついて、ヒョンを抱き上げられる。身長だって、ヒョンよりも……」
僕はヨングがそれ以上話せないように、クッションを投げつけた。
「……僕の身長の話はしないで。抱き上げるってなに。赤ちゃんだとでも思ってるの!?」
「ふふっ。ミンジェヒョン、口唇尖ってる」
ヨングはクッションを抱き締めて、ころんと横になった。明日も学校だ。朝は早い。
僕はヨングに布団を掛けて、部屋の灯りをサイドランプに切り換えた。
「おやすみ、ヨング……」
「…まだ…、眠りたくない…」
「明日も部屋に来ていいから」
「……う…ん、」
すぐにスースーと寝息が聞こえる。
もう深夜になるのに今日の出来事が衝撃的だった所為で、ヨングの言葉を借りれば、
『まだ眠りたくない』
僕とヨングは、出逢った頃から、なんだか心の距離が近くなったり遠くなったりで。
ここ最近も、二人でしていた練習は僕ひとりになって。理由はわからないけど、嫌われたのかな…と思って寂しかった。
ヒョンたちに、二人で話し合う機会を作って貰い、色々と胸の内を吐き出し合った結果。
さらにこじれて、このままメンバーとしても上手く付き合っていけるか不安になり、途方に暮れたけれど。……僕たちは、お互い好意を持っていた。
ヨングの『ミンジェヒョンが好き』という言葉を聞いて、
『あはは! なぁんだ、そうだったんだ!』
と笑い出したいほど嬉しくて仕方ない。
隣ですやすやと眠るヨングを見つめる。
雨の中、僕を探し回って疲れて寝ちゃうなんて。子どもか!話だって…シャワー浴びて、すぐに部屋に来たから中途半端なのに。
ヨングと一緒に眠るのは初めてだった。どうしたって、寝顔を見つめてしまう。
大きくて、綺麗な眼を縁取る長い睫毛。
高くてまっすぐに通った鼻梁や、寝てる間は開いている口唇。
身体が成長しても、幼い寝顔。
初めて会った時、ヨングは可愛い弟だった。それも、ずっとスヒョンにくっついてるから『親友の弟』みたいな距離感で。
二人で可愛がっているうちに芽生えた感情を、スヒョンは『恋みたい』と言う。
けれど同性だから、どうにかなろうなんて思っていなかった。まさか両想いになる日がくるなんて、思ってなかった。
なんだかフワフワ、ソワソワ、落ち着かない。
明日から仕事になるのかな。ニヤニヤが止まらない気がする。
「ふふっ!」
僕はヨングにくっついて、やがて体温の高さに気持ち良くなって深い眠りに沈んでいった。
5
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる