僕たちのこじれた関係

柏葉 結月

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僕たちのこじれた関係①

15. side Y ⑦

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「好きだよ」

「可愛い」

「大好き」

「一緒にいよ?」

「幸せになろ?」

沢山の甘い言葉を、優しい笑顔と共に少し高めの声で伝えてくる。

付き合い始める前は恥ずかしかったその言葉は、この頃ではそれほど恥ずかしいと思うこともなく何処かくすぐったくて…僕を自然と笑顔にさせる。


「ヨングゥ…大好き…」

けれど、ベッドの上で至近距離。好きな人に目の前で囁かれて平気な男はいない。

宿舎のベッドでのルーティーン。
僕が寝落ちしてしまう僅かな時間の中で、他愛のない囁き、触れるだけのキス、手を握り指を絡めるという、稚拙で穏やかな愛撫で愛し合う。
毎日を忙しく過ごす僕たちにとって、その時間はとても貴重なものだった。



コンセプトに合わせて、どこかジェンダレスで綺麗になっていくミンジェに、周囲の評価は目に見えて上がり始めた。

とても嬉しいことであるはずなのに、僕の心の中には黒いシミのようなものが出現し、そこからぽたぽたと黒い液体が滴り落ちる事がある。

その正体が、『嫉妬』という感情であるということを、この時の僕はまだ気がついていない。何故なら、ミンジェに触れることによってシミが薄くなるので、僕は積極的にミンジェに触れては満たされた日々を送っていた。

撮影や、食事の合間に。
シミの存在を強く感じる時は、夜のルーティーンも執拗になった。

ミンジェは何か気がついているようで、僕のしたいようにさせてくれた。
恥ずかしそうにしながらも、時々見せる戸惑った表情に、『今日はここまで』と言って離れようとすると『やだっ』と言ってしがみついてくる。

「大丈夫、だから。もっとグゥの…好きなように触って?」

「いいんですか?」

「うん、いいんだよ?」

「僕の…好きなようにって、ぐちゃぐちゃになりますよ」

「ぐちゃぐちゃ…って、そんな…どんな?」

また振り出しに戻って、表情が曇る。えー?とか、うー?とか顔も赤くなって。
そんな可愛い顔をされたら『ぐちゃぐちゃ』になんて出来ません!

それでも、少しずつ触れ合いの密度を濃くしたくて、ミンジェの下着の中に手を入れた。

「嫌なら嫌だって言って?」

柔らかい茎に指先を這わせると、徐々に固くなっていく。僕の耳元で細い声が「恥ずかしい」と言った。

僕はもうそれだけで下半身に熱が集まり、こっちが恥ずかしい状態に。途中で「トイレに行ってきます」と逃げ出してしまう。



二人の間で、僕が成人するまでは身体を繋がないという約束をした。
倫理的なことが一番の理由だけど、ミンジェは『ヨングの思春期が落ち着いて、女性が好きだと思ったら僕との関係は解消しよう』なんて言うんだ。

身近で好意を寄せてくる相手には、どうしても情が湧くから、自分が気がつかないうちに恋愛だと錯覚を起こしているかもしれないんだよ、と。

「僕は生涯愛する人は1人って決めてるんだ。心も身体も、全部その人のもの。だからヨングが女性を好きになる可能性があるうちは、僕の身体はあげられない」

どうしてだろう?ミンジェは『ヨングを生涯愛する』って決めてるも同然なのに、僕にはその答えはまだ早いと言う。僕にミンジェを愛する資格が、まだ無いのだと。

『成人』という境界線。
成人すると、何かが激変するとも思えないのに。この気持ちはずっと変わらないという自信があるのに、ミンジェは許してくれない。

それがもどかしくても、僕はミンジェを大事に思っていたから無理強いなんてしなかった。どうせあと数ヶ月で成人するのだ。楽しみはとっておいてもいい。
その数ヶ月を楽しく過ごせば、僕たちはお互いが唯一無二の存在になるのだから。

もう決めた事だから。


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