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僕たちのこじれた関係②
23. side M ❶
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呼び出されたミーティングルームに、ヨングと2人で行ってみると、僕たちのマネージャーと確か営業統括の…上の方の役職の男性が待っていた。席に着くように言われて、並んで座る。
テーブルの下で、無意識にヨングの膝の上の手に自分の手を重ねたら、逆に握り込まれてしまい思った通り安心する。
何を言われるのか嫌な予感がするけれど、僕は年上のメンバーとして、ヨングの事はどんなことになっても守らなければならない……。
「君たちに話したいのは……」
おもむろに言われた事は、最近の僕とヨングの関係は親密で、とてもファンが喜んでいるけれど、それを良く思っていないファンやメディアを刺激しないで欲しい、ということ。
活動していく過程で、もしも大事になったらマイナスにしかならない。たとえ知名度が上がったとしても……。
芸能活動に、恋愛が妨げになることは理解している。それが、男女でなければ尚更。あっという間に世界中に拡散してしまう。
僕とヨングの関係は、今の段階では皆に祝福をされるわけではない。
それが理解出来るから、自分たちが良ければそれでいいとは思わないから。
事務所の方針に従う覚悟は、とっくに出来ている。僕は、ヨングと隔離される事だけが怖いのだから。
話し合いの結果、僕とヨングは公の場で距離を置いて接する事になった。
僕たちの態度が素直な姿勢だったからか、事務所も残酷な仕打ちを強いてはこなかった事に安堵する。
「不自然じゃない程度に距離を置く、過剰なスキンシップや匂わせを控える……って難しいね」
「……そうですね」
「とりあえず、気をつけよ?隣に立つとどうしても触りたくなるから、ナムジュさんに間に立ってもらおっか」
「………」
「元気出せよ!別れろって言われた訳じゃないし、僕たちの関係は変わらない……でしょ?」
「2人きりの時は、甘えてくれますか?」
「……///、ど、どうかなぁ」
大きな目で覗き込まれ、肩を抱くように腕を回されてドキドキしてしまう。ほらほら、こういう事するから、ああいう事言われるんだ……。
それから、歌番組やインタビューで隣に立たないように気をつけたけれど、なんとなくヨングの視線を感じる事が多い。
その日の歌謡祭でも、それを感じる事が度々あって気になっていた。
“ 少しぐらい、見てもいいよね? ”
ナムジュさん越しに、更に間にスヒョンがいる。その向こう、ちょうどヨングも顔を上げて僕を見ている。まるで想いが通じたような気がして嬉しくて、僕はにっこり笑った……。
「ミンジェさん!」
突然、背後から声をかけられてビクッとしてしまった。振り返ると背の高い男が立っていて、賑やかに僕を誉め称える。
何故だろう……声がいいとか、ダンスがカッコいいって言われて嬉しいはずなのに、その勢いが、怖いと思ってしまった。
気持ちは有り難いと思うけど、今ナーバスになっている僕は身構えてしまい、ナムジュさんが肩を抱いて牽制してくれなかったら、不機嫌な態度をとってしまったかもしれない。
“ 今の、ヨングに見られてたかな……”
ヨングの方を恐る恐る見ると、とても楽しそうにスヒョンと話していた。スヒョンなんて、爆笑している。
安心したような、そうでないような。
凄くモヤモヤして、一気に不安になって、顔に出さないようにするのが精一杯。
“ 距離を置くってこういうこと……!”
今感じていた事を、直ぐに共有出来ない。
嫌だと思った事を、直ぐに吐き出せない。
不安になった時に、直ぐに手の届く距離にいない。
ヨングの、そばにいたい…。
こんな気持ちが積み重なったら、僕はどうなってしまうのだろう。
付き合う前は、こんなじゃなかった。周りなんか、見えてなかった。
僕はヨングに、恋してたから。
ヨング!ヨング!って、それだけで楽しくて幸せで……。
拒否される事は辛かったけど、もっとそばにいられたような気がするのに……。
付き合い始めたら、今までしてた手を繋ぐ事もバックハグする事も、ぽっぽする事も、我慢しなくちゃならないなんて!
「ミンジェ?大丈夫か?」
「……うん」
ナムジュさんが、虚ろになった僕を心配して声をかけてくれたけれど、どうしたらこの『心の隙間』を埋められるんだろうか。そう思った時だった。
「もたもたしてたら、誰かに取られちゃうんだから!」
不意にかん高い声が、他の音をかき分けるようにして僕の耳に届いた。不自然じゃないように声がした方を振り返ると、さっきヨングに話し掛けていた女の子がいて。もう一人の女の子と、何か喋っている…。
“ もたもたしてたら……、誰かに……?僕が
もたもたしてたら、ヨングは……?”
………………。
「あんでぇっ!!」
「うわ、何。ミンジェ、どうした?」
「何でもない、です!」
テーブルの下で、無意識にヨングの膝の上の手に自分の手を重ねたら、逆に握り込まれてしまい思った通り安心する。
何を言われるのか嫌な予感がするけれど、僕は年上のメンバーとして、ヨングの事はどんなことになっても守らなければならない……。
「君たちに話したいのは……」
おもむろに言われた事は、最近の僕とヨングの関係は親密で、とてもファンが喜んでいるけれど、それを良く思っていないファンやメディアを刺激しないで欲しい、ということ。
活動していく過程で、もしも大事になったらマイナスにしかならない。たとえ知名度が上がったとしても……。
芸能活動に、恋愛が妨げになることは理解している。それが、男女でなければ尚更。あっという間に世界中に拡散してしまう。
僕とヨングの関係は、今の段階では皆に祝福をされるわけではない。
それが理解出来るから、自分たちが良ければそれでいいとは思わないから。
事務所の方針に従う覚悟は、とっくに出来ている。僕は、ヨングと隔離される事だけが怖いのだから。
話し合いの結果、僕とヨングは公の場で距離を置いて接する事になった。
僕たちの態度が素直な姿勢だったからか、事務所も残酷な仕打ちを強いてはこなかった事に安堵する。
「不自然じゃない程度に距離を置く、過剰なスキンシップや匂わせを控える……って難しいね」
「……そうですね」
「とりあえず、気をつけよ?隣に立つとどうしても触りたくなるから、ナムジュさんに間に立ってもらおっか」
「………」
「元気出せよ!別れろって言われた訳じゃないし、僕たちの関係は変わらない……でしょ?」
「2人きりの時は、甘えてくれますか?」
「……///、ど、どうかなぁ」
大きな目で覗き込まれ、肩を抱くように腕を回されてドキドキしてしまう。ほらほら、こういう事するから、ああいう事言われるんだ……。
それから、歌番組やインタビューで隣に立たないように気をつけたけれど、なんとなくヨングの視線を感じる事が多い。
その日の歌謡祭でも、それを感じる事が度々あって気になっていた。
“ 少しぐらい、見てもいいよね? ”
ナムジュさん越しに、更に間にスヒョンがいる。その向こう、ちょうどヨングも顔を上げて僕を見ている。まるで想いが通じたような気がして嬉しくて、僕はにっこり笑った……。
「ミンジェさん!」
突然、背後から声をかけられてビクッとしてしまった。振り返ると背の高い男が立っていて、賑やかに僕を誉め称える。
何故だろう……声がいいとか、ダンスがカッコいいって言われて嬉しいはずなのに、その勢いが、怖いと思ってしまった。
気持ちは有り難いと思うけど、今ナーバスになっている僕は身構えてしまい、ナムジュさんが肩を抱いて牽制してくれなかったら、不機嫌な態度をとってしまったかもしれない。
“ 今の、ヨングに見られてたかな……”
ヨングの方を恐る恐る見ると、とても楽しそうにスヒョンと話していた。スヒョンなんて、爆笑している。
安心したような、そうでないような。
凄くモヤモヤして、一気に不安になって、顔に出さないようにするのが精一杯。
“ 距離を置くってこういうこと……!”
今感じていた事を、直ぐに共有出来ない。
嫌だと思った事を、直ぐに吐き出せない。
不安になった時に、直ぐに手の届く距離にいない。
ヨングの、そばにいたい…。
こんな気持ちが積み重なったら、僕はどうなってしまうのだろう。
付き合う前は、こんなじゃなかった。周りなんか、見えてなかった。
僕はヨングに、恋してたから。
ヨング!ヨング!って、それだけで楽しくて幸せで……。
拒否される事は辛かったけど、もっとそばにいられたような気がするのに……。
付き合い始めたら、今までしてた手を繋ぐ事もバックハグする事も、ぽっぽする事も、我慢しなくちゃならないなんて!
「ミンジェ?大丈夫か?」
「……うん」
ナムジュさんが、虚ろになった僕を心配して声をかけてくれたけれど、どうしたらこの『心の隙間』を埋められるんだろうか。そう思った時だった。
「もたもたしてたら、誰かに取られちゃうんだから!」
不意にかん高い声が、他の音をかき分けるようにして僕の耳に届いた。不自然じゃないように声がした方を振り返ると、さっきヨングに話し掛けていた女の子がいて。もう一人の女の子と、何か喋っている…。
“ もたもたしてたら……、誰かに……?僕が
もたもたしてたら、ヨングは……?”
………………。
「あんでぇっ!!」
「うわ、何。ミンジェ、どうした?」
「何でもない、です!」
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