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僕と君のリング
5.嫉妬
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ミンジェは、スヒョンに肩を抱かれて部屋に入っていった。信じられない物を見た心境で、ドアの前に立ち尽くす。
踏み込むべきか、見て見ぬ振りをして立ち去るべきか……迷った。
ミンジェとスヒョン。二人の関係は、いつも僕を揺さぶってきた。
二人の以心伝心やその行動は、お互いを思い合ってるからこそ叶うものなのだろう。そこに恋愛感情がなくても、理屈ではない何かがあるのだろう。
だからこそ諦めている部分も多いけど、納得出来ない点もある。ミンジェの身体を二人で共有するなんて論外だ。
絶対に、譲れない。
『嫉妬』と『独占欲』
ミンジェと二人きりなら感じる事の無い感情だけれど、スヒョンの存在とその感情が僕たちを成長させていく事も確かだ。
僕がスヒョンに負けたくないからと、ミンジェに執着するわけではないはず。三人が出会った頃なんて、僕はミンジェとスヒョンのどちらに嫉妬しているのかわからなかったくらいなのだから。
僕にとって二人は、家族であり友人であり、恋人であり……。生涯を共にしたいと思う大切な人達だ。
『ミンジェがスヒョンを選ぶ権利だってある』
だけど、もし。もしもミンジェがスヒョンを選んだとしたら……、僕は二人の傍にいることが出来るだろうか。
二人のことを見守りながら、笑顔で居続けられるだろうか。
この期に及んでも、僕の足はまだ動かなかった。僕たちは、互いに拘束出来る確固たる関係ではない。
だからこそ、結婚したいなんて口走ってしまったけど、本当はお互いの気持ちだけが頼りだ。
ドアの向こうから、少しだけ聞こえてくるミンジェの声。上擦ったような、泣いてるような。その声は、ある瞬間の声を連想させる。
ミンジェが僕の愛撫に応えて啼く声に、似ている気がする。
どうか、どうか、僕だけが知っていると信じたい、あの時の声ではありませんように。そう願った時、
「やだ、やめて!スヒョンア!」
はっきりと拒絶の声が聞こえて、僕の背中を強く押す。そして体当りするかのように、ドアノブを回した。
どうか、間に合って……!
部屋に入るなり、僕の目に飛び込んできた光景。
ベッドの上で、スヒョンに腕を掴まれたミンジェ。二人はキスをする寸前のように見えた。
『嫌だっ、ミンジェ!』
僕は夢中でミンジェの身体を抱き上げて、スヒョンから引き離した!
「 はぁ、はぁ、はぁ。な、何をしてるんですか?僕のミンジェに何をしようと?」
「……来るのが遅いよ。ほんとにキスマーク付けるとこだった」
僕にしがみついて、震えながら肩口に顔を埋めるミンジェをぎゅっと抱き直し、僕は訳がわからずスヒョンの顔を見た。
焦る僕を見詰め、口元は苦笑の形に歪んだ。
「俺はユギさんと一緒だったの」
スヒョンが幸せそうにユギの話を始めた。ミンジェの腕にキスをしようとしたのは、ヤラセだという。何となく合点がいった僕は拍子抜けしてしまい……。
「……ふ、ふはは!」
安堵もあって、改めて自分の空回りさ加減に笑いが込み上げてきた。
"なんだぁ、そうだったんだ……"
ずっとしがみついたままのミンジェを、僕の部屋に連れて行こうと思ったけれど、それより先にスヒョンが出て行ってしまった。
ミンジェの背中に手を回し、そっと擦る。
「……ミンジェ。さっきは、怒鳴ってしまってごめんなさい」
「うん。僕も誤解させるような行動して、ごめんね」
肩口でもごもごと言われて、くすぐったくて、でも嬉しくて。
「………顔、見せて下さいよ」
「今ちょっと無理」
「え?何で」
「多分、眼が」
「眼が?」
「腫れてる」
「ぶはっ!」
「わ、笑うなよぉ。泣いたから、腫れちゃっ……んんっ」
「可愛い」
「可愛くないだろ!」
「可愛いです」
「………ふっ、……ぅ」
さっきまでの苦くて、でも吐き出せない様々な感情が、全てミンジェの甘くて柔らかい唇と舌先で溶かされていった。
ケンカして、仲直りして。
まるで、ウロボロスのリングだ。
相手の尾を噛んでるうちは再生していくのに、離すと崩壊が始まる。
だからね、ミンジェ。
僕は貴方を離したくないよ。
ずっとずっと、抱き締めていたいんだ。
ミンジェは、スヒョンに肩を抱かれて部屋に入っていった。信じられない物を見た心境で、ドアの前に立ち尽くす。
踏み込むべきか、見て見ぬ振りをして立ち去るべきか……迷った。
ミンジェとスヒョン。二人の関係は、いつも僕を揺さぶってきた。
二人の以心伝心やその行動は、お互いを思い合ってるからこそ叶うものなのだろう。そこに恋愛感情がなくても、理屈ではない何かがあるのだろう。
だからこそ諦めている部分も多いけど、納得出来ない点もある。ミンジェの身体を二人で共有するなんて論外だ。
絶対に、譲れない。
『嫉妬』と『独占欲』
ミンジェと二人きりなら感じる事の無い感情だけれど、スヒョンの存在とその感情が僕たちを成長させていく事も確かだ。
僕がスヒョンに負けたくないからと、ミンジェに執着するわけではないはず。三人が出会った頃なんて、僕はミンジェとスヒョンのどちらに嫉妬しているのかわからなかったくらいなのだから。
僕にとって二人は、家族であり友人であり、恋人であり……。生涯を共にしたいと思う大切な人達だ。
『ミンジェがスヒョンを選ぶ権利だってある』
だけど、もし。もしもミンジェがスヒョンを選んだとしたら……、僕は二人の傍にいることが出来るだろうか。
二人のことを見守りながら、笑顔で居続けられるだろうか。
この期に及んでも、僕の足はまだ動かなかった。僕たちは、互いに拘束出来る確固たる関係ではない。
だからこそ、結婚したいなんて口走ってしまったけど、本当はお互いの気持ちだけが頼りだ。
ドアの向こうから、少しだけ聞こえてくるミンジェの声。上擦ったような、泣いてるような。その声は、ある瞬間の声を連想させる。
ミンジェが僕の愛撫に応えて啼く声に、似ている気がする。
どうか、どうか、僕だけが知っていると信じたい、あの時の声ではありませんように。そう願った時、
「やだ、やめて!スヒョンア!」
はっきりと拒絶の声が聞こえて、僕の背中を強く押す。そして体当りするかのように、ドアノブを回した。
どうか、間に合って……!
部屋に入るなり、僕の目に飛び込んできた光景。
ベッドの上で、スヒョンに腕を掴まれたミンジェ。二人はキスをする寸前のように見えた。
『嫌だっ、ミンジェ!』
僕は夢中でミンジェの身体を抱き上げて、スヒョンから引き離した!
「 はぁ、はぁ、はぁ。な、何をしてるんですか?僕のミンジェに何をしようと?」
「……来るのが遅いよ。ほんとにキスマーク付けるとこだった」
僕にしがみついて、震えながら肩口に顔を埋めるミンジェをぎゅっと抱き直し、僕は訳がわからずスヒョンの顔を見た。
焦る僕を見詰め、口元は苦笑の形に歪んだ。
「俺はユギさんと一緒だったの」
スヒョンが幸せそうにユギの話を始めた。ミンジェの腕にキスをしようとしたのは、ヤラセだという。何となく合点がいった僕は拍子抜けしてしまい……。
「……ふ、ふはは!」
安堵もあって、改めて自分の空回りさ加減に笑いが込み上げてきた。
"なんだぁ、そうだったんだ……"
ずっとしがみついたままのミンジェを、僕の部屋に連れて行こうと思ったけれど、それより先にスヒョンが出て行ってしまった。
ミンジェの背中に手を回し、そっと擦る。
「……ミンジェ。さっきは、怒鳴ってしまってごめんなさい」
「うん。僕も誤解させるような行動して、ごめんね」
肩口でもごもごと言われて、くすぐったくて、でも嬉しくて。
「………顔、見せて下さいよ」
「今ちょっと無理」
「え?何で」
「多分、眼が」
「眼が?」
「腫れてる」
「ぶはっ!」
「わ、笑うなよぉ。泣いたから、腫れちゃっ……んんっ」
「可愛い」
「可愛くないだろ!」
「可愛いです」
「………ふっ、……ぅ」
さっきまでの苦くて、でも吐き出せない様々な感情が、全てミンジェの甘くて柔らかい唇と舌先で溶かされていった。
ケンカして、仲直りして。
まるで、ウロボロスのリングだ。
相手の尾を噛んでるうちは再生していくのに、離すと崩壊が始まる。
だからね、ミンジェ。
僕は貴方を離したくないよ。
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