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僕と君の蜜月旅行
5.チェックイン
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指輪を購入した後、同行スタッフと合流して食事は済ませた。
大分待たせてしまったのに、弟たちを心配する兄みたいな態度で優しく接してくれて、僕たちの間の微妙な空気を読み、そろそろホテルのチェックインの時間だから移動して休んだらどうかと提案してくれた。
ミンジェとちゃんと話したかったので、今二人きりにしてもらえるのは助かる。
ミンジェは、洋服も見たそうにしていたけど、後で表参道に行こうと誘ったら嬉しそうにしていた。
ホテルに着いてフロントでチェックインした後、同行スタッフとは15時に待ち合わせして別れた。
送っておいた荷物を受け取り、ロビーのソファーで待っているミンジェの所へ行った。
今日泊まる部屋の番号が、僕たちの付き合い始めた記念日だと気がついて、ミンジェはとても驚いていた。
「ヨング凄い。こんな細かいとこまで…」
ミンジェは鍵を開けて、荷物を持った僕を中に入れてドアを閉めた。
僕が入ってすぐのクローゼットにスーツケースを片付けていると、奥の部屋まで見てきたミンジェが慌てたように戻ってきた。
「ヨング!あの、部屋間違えてるかも」
「え?誰か居たんですか?」
「そうじゃなくて、ベッドがひとつしかないんだけど」
「え?小さいベッド?」
「や、ベッドは大きいかな。それであの、お風呂とトイレがガラス張りで……つまり、あの……」
「スケスケ?」
「そうスケ……透けてるんだけど!」
「合ってますよ?ベッドもダブルでひとつ。お風呂とトイレはガラス張りです」
ミンジェは息を飲んで、両手で口元を隠してしまった。顔が赤くなって、心なしか目が潤んでいる。
「ヨング、知ってたの!?え?あぁ予約する時画像見たんだ?うわぁー……二人だからって、なんて恥ずかしい部屋を……」
改めて指摘されたら、こっちも急に恥かしくなってガシガシと頭をかいた。
「恥ずかしい?恥ずかしいですか?別にいいでしょ、二人きりなんだから」
はあ、とため息をついたら、ミンジェが僕の肩をぽんぽんと叩いて笑いだした。
「ふ、ふふっ。もしかして、こういうの憧れてた?」
「こういうのって?」
「カップル仕様のちょっとえっちな?」
「……っ。だって、ミンジェとじゃないとこういう部屋には泊まれな……」
「そうそう。僕以外となんて絶対に駄目」
声がワントーン下がったと思ったら、ミンジェは眼鏡を外しながら一歩で僕に身を寄せた。
甘い吐息とともに僕の唇が、柔らかくて温かいミンジェの唇に包まれた。
一瞬で理性が燃やされるような刺激。
胸の奥と、下腹の奥が、どくっと脈打った。
ミンジェの唇は、僕が舌を差し入れる前に離れてしまった。
素早く温もりを追いかけて腰を抱き寄せ、抵抗される前に深くキスをする。何時間振りかのその感触を、夢中で貪り安堵する。
心の中に出来た隙間を埋めるにはまだ足りなかったけれど、旅行は始まったばかりだ。熱を持って色付く唇を名残惜しく離すと、吐息混じりにミンジェが呟いた。
「ヨング、さっきはごめんね」
そんなに悲しそうな顔をしないで欲しい。僕の機嫌は直っていたけど、少しだけ意地悪しちゃおうかな。
「ミンジェ、さっきすごくわがままでしたね?ペアリング、やだぁって」
「……うん」
「結婚するんだからペアリングじゃなくて結婚指輪じゃなくちゃやだぁって」
「そ、そんな事言った ?!」
「そういう意味だと思ったんですけど、違いました?」
「違……い、ません」
僕はミンジェを抱き締めた。身体がぴったりくっつくと、ミンジェの胸がドキドキしているのを感じた。
「凄く嬉しい」
「……っ」
耳元でわざと腰にクるような、言い方をした。ミンジェは掠れた声を洩らして、僕の身体に縋りつく。
僕がミンジェの指へ先に付けておいた指輪は、本来のサプライズにはならなかったけれど、危機的な状況を救ってくれた。
あの指輪は、内側に細工がしてあって着けておくと指に文字が残る。
ミンジェが移動中指輪を見るために、時々小さな手を少し広げ目の前にかざし嬉しそうにしていたのが可愛かった。
そしてなにより、結婚指輪に対するミンジェの本心がわかった。
サプライズが成功して指輪を購入していたら、知らなかったであろうミンジェの『覚悟』を。
「ミンジェ、愛してます」
もう一度キスしたくて、桜色の頬をしたミンジェの瞳を覗き込んだ。
「ヨング、大好きだよ」
微笑みながら囁いて、ゆっくりと瞼が閉じられた。
指輪を購入した後、同行スタッフと合流して食事は済ませた。
大分待たせてしまったのに、弟たちを心配する兄みたいな態度で優しく接してくれて、僕たちの間の微妙な空気を読み、そろそろホテルのチェックインの時間だから移動して休んだらどうかと提案してくれた。
ミンジェとちゃんと話したかったので、今二人きりにしてもらえるのは助かる。
ミンジェは、洋服も見たそうにしていたけど、後で表参道に行こうと誘ったら嬉しそうにしていた。
ホテルに着いてフロントでチェックインした後、同行スタッフとは15時に待ち合わせして別れた。
送っておいた荷物を受け取り、ロビーのソファーで待っているミンジェの所へ行った。
今日泊まる部屋の番号が、僕たちの付き合い始めた記念日だと気がついて、ミンジェはとても驚いていた。
「ヨング凄い。こんな細かいとこまで…」
ミンジェは鍵を開けて、荷物を持った僕を中に入れてドアを閉めた。
僕が入ってすぐのクローゼットにスーツケースを片付けていると、奥の部屋まで見てきたミンジェが慌てたように戻ってきた。
「ヨング!あの、部屋間違えてるかも」
「え?誰か居たんですか?」
「そうじゃなくて、ベッドがひとつしかないんだけど」
「え?小さいベッド?」
「や、ベッドは大きいかな。それであの、お風呂とトイレがガラス張りで……つまり、あの……」
「スケスケ?」
「そうスケ……透けてるんだけど!」
「合ってますよ?ベッドもダブルでひとつ。お風呂とトイレはガラス張りです」
ミンジェは息を飲んで、両手で口元を隠してしまった。顔が赤くなって、心なしか目が潤んでいる。
「ヨング、知ってたの!?え?あぁ予約する時画像見たんだ?うわぁー……二人だからって、なんて恥ずかしい部屋を……」
改めて指摘されたら、こっちも急に恥かしくなってガシガシと頭をかいた。
「恥ずかしい?恥ずかしいですか?別にいいでしょ、二人きりなんだから」
はあ、とため息をついたら、ミンジェが僕の肩をぽんぽんと叩いて笑いだした。
「ふ、ふふっ。もしかして、こういうの憧れてた?」
「こういうのって?」
「カップル仕様のちょっとえっちな?」
「……っ。だって、ミンジェとじゃないとこういう部屋には泊まれな……」
「そうそう。僕以外となんて絶対に駄目」
声がワントーン下がったと思ったら、ミンジェは眼鏡を外しながら一歩で僕に身を寄せた。
甘い吐息とともに僕の唇が、柔らかくて温かいミンジェの唇に包まれた。
一瞬で理性が燃やされるような刺激。
胸の奥と、下腹の奥が、どくっと脈打った。
ミンジェの唇は、僕が舌を差し入れる前に離れてしまった。
素早く温もりを追いかけて腰を抱き寄せ、抵抗される前に深くキスをする。何時間振りかのその感触を、夢中で貪り安堵する。
心の中に出来た隙間を埋めるにはまだ足りなかったけれど、旅行は始まったばかりだ。熱を持って色付く唇を名残惜しく離すと、吐息混じりにミンジェが呟いた。
「ヨング、さっきはごめんね」
そんなに悲しそうな顔をしないで欲しい。僕の機嫌は直っていたけど、少しだけ意地悪しちゃおうかな。
「ミンジェ、さっきすごくわがままでしたね?ペアリング、やだぁって」
「……うん」
「結婚するんだからペアリングじゃなくて結婚指輪じゃなくちゃやだぁって」
「そ、そんな事言った ?!」
「そういう意味だと思ったんですけど、違いました?」
「違……い、ません」
僕はミンジェを抱き締めた。身体がぴったりくっつくと、ミンジェの胸がドキドキしているのを感じた。
「凄く嬉しい」
「……っ」
耳元でわざと腰にクるような、言い方をした。ミンジェは掠れた声を洩らして、僕の身体に縋りつく。
僕がミンジェの指へ先に付けておいた指輪は、本来のサプライズにはならなかったけれど、危機的な状況を救ってくれた。
あの指輪は、内側に細工がしてあって着けておくと指に文字が残る。
ミンジェが移動中指輪を見るために、時々小さな手を少し広げ目の前にかざし嬉しそうにしていたのが可愛かった。
そしてなにより、結婚指輪に対するミンジェの本心がわかった。
サプライズが成功して指輪を購入していたら、知らなかったであろうミンジェの『覚悟』を。
「ミンジェ、愛してます」
もう一度キスしたくて、桜色の頬をしたミンジェの瞳を覗き込んだ。
「ヨング、大好きだよ」
微笑みながら囁いて、ゆっくりと瞼が閉じられた。
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こんばんは。
どう表現したら良いんでしょう?求める感じがゾクゾクします。ミンジェとヨングとはまた違う、大人の不器用ってこんな感じなのかな😅
どの話も大好きです。
更新楽しみにしています。