上 下
2 / 4
-2- 俺には 分かる

旅は道連れ世は情けて(懇願

しおりを挟む
 ルシスの旅に従ってはや5ヵ月。

 レナリ と ルシス の二人パーティだが猛烈な快進撃で各地方のモンスターを討伐を完了していっている。比べられる存在が特に思いつかないので私の感想になるのだけど、
 例えば大型の魔物が現れたという情報をもとに捜索して見つけたとして。

 でそのあとややあってルシスの“試してみるか”って何か呟いた後なんだかんだバーンって。
 バコーンってなって、 大体終わる。
 多分魔法か何か。わかんない。いつそんな技習得してたんだ?てかそんな強いなら先言って?  “???”のまま旅は順調に進んでいる。

 旅の理由がご存知の通りああだったから、そんなふらっと店に立ち寄ってとりあえずコーヒーで、とかビール生で、とか超激軽な気持ちで世界救うとか上手くいくわけないって敵に分からせられて一回痛い目に合ったらいいんじゃないか、て思ってたんだけどお察しの通りそれはムリそうである。

 もうこの世の終わりみたいな変態じみた強さで
手の付けようがない。彼は天才だ。私は何なんだ!?

 複雑な心境のまま一旦骨休め的に私たちは川に沿った辺境の村イルギに来ていた。基本的には単体でも成り立つ村だけど王都との交易もあって贅沢ではないが穏やかでのどかな村だ。だがそれも魔族の影によって脅かされているらしい。

 直接的な襲撃はないもののここしばらくのうちにで交易路に面した森にハイドラが住み着いてキャラバン隊が襲われ困っていたという。自給自足が可能なために優先度も低い。

 で今そのハイドラ討伐を完了して再び村に帰りついたところだ。わーって、ばーってやって終わりである。

 村人たちからたいそう感謝されつつ私なんかはあんまり喜ばれてるものだから恥ずかしがりながらも心地よく受け入れつつ報酬を渡されているときだった。

「妙だな」

 とルシスが大真面目な顔で呟いた。

「え?な、なにが?」

 賛辞の言葉をこれだけ浴びせられて平然としているルシスの方が妙じゃないかと内心思うが。

「いや…」

 何か宣言するかのように村人たちの前に一歩進み出て片手を上げる。

「あの、もし」

「は、どうされましたかな勇者さま」

 村長が怪訝そうに応答する。

「この村には癒し手さまがおられますよね。依頼を受けた時はただ出会わなかっただけかと思ったんですが…」

「ええ、僧侶さまがおられましたが、ここしばらく行方知れずで…」

「下手な嘘はつかない方がいいですね」

「はっ?」

 村長はドキリとした様子で狼狽した。
しおりを挟む

処理中です...