異世界人にバレたらヤバい⁉︎魔女はタブレットを愛用する(タイトル変更しました)

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精神衛生上、深く考えないことにした

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 扉の先には広めのキッチンがあり、左に進むとダイニングルームとリビングルーム。誰かが居るかもしれないと、恐る恐る足を進めるが人の気配はなく、シーンと静まり返り、たださくらの足音だけが響く。

 見たところ生活に必要な家具なんかは全て揃っているようだ。むしろ贅沢なくらい生活環境が整っている。

 リビングルームに配置されたソファに腰を下ろし、再びタブレットに手を触れる。ホーム画面にするとSNSアプリに新着の表示が出ていたのでタップし、内容に目を通した。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
「アヴェリタ大森林の魔女就任のお知らせ」

 藤島 さくら様
 
 この度、500年に亘りアヴェリタ大森林の管理をしておりましたリーナ殿が天寿を全うされ、神界へと昇られました。
 
 リーナ殿話生前、次の候補者をご自分でお選びになり、その方がこちらで苦労することが無きよう、元の世界とほぼ同じ生活かそれ以上に快適になるよう環境を整えらました。

 そうです。その選ばれた幸運な方は、藤島さくら様、あなたでございます。 

 リーナ殿は、さくら様の世界の技術に感銘を受けたご様子で、それはそれは念入りに準備をし、リーナ様の命が尽きる2日前にさくら様を召喚されました。

 さくら様は気を失っておられましたので、その間に様々な対応を取らせていただきましたが、中でもリーナ様の魔力をあなたに移すことが非常に難しかった様でございます。

 どうやらリーナ殿は、さくら様の世界には魔法がないことを失念していたとのこと。本来ならば元の世界と同じ年齢でこちらへ渡っていただいたのですが、魔力の受け皿を新たに作り、魔力を移すとなると大人の体では大変な負担となり、命を落としかねませんので、申し訳ないのですが、ギリギリ耐えられる12才頃の体への若返りと、こちらの生活に馴染みやすい容姿へと変化させていただきました。

 また、アヴェリタ大森林の魔女への就任に際しましては、特別、何かをしていただくことはございません。
 お好きに生活されてください。

 まだお済みでないタブレットへの魔力登録、スマートフォン、スマートウォッチの同期をおすすめしむす。なおスマートウォッチには収納機能がついておりますので同期をするとタブレットもスマートフォンも収納できて便利です。 

 さくら様がご利用のアプリは、こちらの世界、トレディシェン仕様でお使いいただけます。仕組みは、いわゆる「ご都合主義」と言うものですので深く考えないことをお伝えしておきます。

 本文が長くなりましたが、末永くアヴェリタ大森林をお守りいただきますよう心よりお願い申し上げます。

            トレディシェンの管理者

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 再び頭を抱えることとなったさくら。
 やはり異世界転移だと言うことは分かったが、聞きたいことは山ほどある。一方的な通知に腹が立たないわけでもないが、こちらに転移した以上、どんなに喚いたところで日本に戻ることは無理なのだろう。リーナと言う魔女が用意周到に計画したことなら尚更だ。
500年もアヴェリタ大森林なるものを管理していたのなら随分と長生きだし、力もあったのだろう。

 あまりにも想像を超えた話だった。

 そして思った。このまま理解することは無理なのではないか?何もしなくて良いと言うのなら、日本では出来なかった「のんびりまったり」「スローライフ」をやってみても良いのではないかと。

 考えない。これが正解な気がする。

 そう割り切ってしまえば、人間はお腹が空くものである。

 「また分からないことは、SNSに返信すれば何とかなるかなぁ」と考えながら、食べ物を探すべくキッチンに向かう。

 さくらは楽観視していた。

 「スローライフって、時間も十分にあるし、魔力も貰えたみたいだし、楽勝じゃない?」と。

 さくらは近い将来、身をもって知るだろう。いくらアプリが充実していても、グー○ル先生が色々教えてくれたとしても、魔力をふんだんに持っていたとしても、結局は経験に勝るものはないのだということに。
 
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