4 / 14
結界の境まで歩いてみることにした
しおりを挟む
12歳に若返った体は軽く、家を片付けたり、広い庭を探検するくらいなら疲れなど感じない。だからだろうか、さくらは調子に乗ってしまった。
目を覚ましてから3日間は、指示通りタブレットとスマホ、スマートウォッチを同期したり、家や庭の探索、何より魔力の流し方をマスターするのに時間を要し、それなりに忙しかった。ただ3日目の午後には時間を持て余し始め、ソファにゴロゴロと転がりながらタブレットを見る時間も増えた。人間、暇だと余計なことを考えるものである。そう、さくらは結界のことを思い出したのだ。そして思った「半径500メートルなら楽に行けるんじゃない?」と…。
翌日の朝、朝食を終え、簡単に身支度を済ませると軽食と飲み物をスマートウォッチ収納に入れ、家の探索で見つけたリュックを背負い玄関を出た。
「とりあえず、真っ直ぐ進んでみようかな」
足下は朝露に濡れた雑草、落ち葉で覆われていて、体が小さくなっているさくらには歩きづらい。まぁ、小さくなっているとはいうが、12才のさくらも34才のさくらも身長にはそれほど違いは無かったのだが…。
意気揚々と前に進む。辺りには、ザッザッと枯葉を踏みしめる音が響き、気分は益々高揚する。
「自然がいっぱいな場所を歩くなんて、子どもの時以来だなぁ~。」
目の前には見たこともない草や木、所々に木々の隙間から木漏れ日が差し、幻想的な雰囲気をよりいっそう演出する。
結界に守られているから危険な魔物なども出てくる心配もないから、軽いピクニック気分である。
「あっ、そうだ。写真を撮っとこう」
さくらは収納からスマホを取り出し、試し撮りとばかりに足下に自生する草にレンズを向ける。すると画面に写る被写体の横に文字が出てきた。
植物名: ケラケラ草
効 能: 適切な処理をして食せば美味しい薬草。憂鬱な気分も吹き飛ぶよ。ただ、そのまま食べたら笑いが止まらなくなるから要注意!
「何これ…。鑑定機能が付いてるの?それに『ケラケラ草』って…。ケラケラ笑うから?何、そのネーミングセンス…。」
こちらの世界に来てから、おかしなことばかり続いたせいか、冷静にツッコミを入れることを覚えた彼女は、ちょっとのことでは驚かなくなってしまった。
実は、アプリを使ったのは今回が初めてだった。この3日間、便利アプリを使う必要もないくらい物が充実していたこともあるが、単純に怖かったのだ。下手にアプリを使うことで不用意にこの世界に関わることになるのではと…。
しかしながら、さくらは気づいてしまった。どんなに気をつけていても、普通に「日本」にいた時の生活をしてしまうと嫌でもこちらの世界に関わってしまうことを。
「よしっ!せっかくだから採取しよう。」
色々と諦めたさくらは、見たことも聞いたこともない薬草や果実に興奮し、写真を撮ってから採取するというサイクルで夢中になって採取した。
「そろそろ良いかなぁ。」
採ったそばから収納されるので、どれだけの量になったかは分からないが、写真フォルダの中には、かなりの数の植物の写真が入っているのが分かる。
そして冷静になった彼女は青褪める。
時間の経過も忘れ、ついでにどちらの方向から来たかも分からなくなったことに、ここに来てようやき気付いたのだ。
辺りを見回しても同じような景色、目印などもちろん付けている訳がない。
「どうしよう…。本気で迷子なんだけど…」
食べ物も飲み物もあるからと安心できるのは、家に帰れる保証があるからだ。今のさくらには家に帰れる保証がない…。
ダラダラと冷や汗が流れる。
さくらは呆然とし、そして思う。
「途方に暮れる」って、こう言うことかと…。
目を覚ましてから3日間は、指示通りタブレットとスマホ、スマートウォッチを同期したり、家や庭の探索、何より魔力の流し方をマスターするのに時間を要し、それなりに忙しかった。ただ3日目の午後には時間を持て余し始め、ソファにゴロゴロと転がりながらタブレットを見る時間も増えた。人間、暇だと余計なことを考えるものである。そう、さくらは結界のことを思い出したのだ。そして思った「半径500メートルなら楽に行けるんじゃない?」と…。
翌日の朝、朝食を終え、簡単に身支度を済ませると軽食と飲み物をスマートウォッチ収納に入れ、家の探索で見つけたリュックを背負い玄関を出た。
「とりあえず、真っ直ぐ進んでみようかな」
足下は朝露に濡れた雑草、落ち葉で覆われていて、体が小さくなっているさくらには歩きづらい。まぁ、小さくなっているとはいうが、12才のさくらも34才のさくらも身長にはそれほど違いは無かったのだが…。
意気揚々と前に進む。辺りには、ザッザッと枯葉を踏みしめる音が響き、気分は益々高揚する。
「自然がいっぱいな場所を歩くなんて、子どもの時以来だなぁ~。」
目の前には見たこともない草や木、所々に木々の隙間から木漏れ日が差し、幻想的な雰囲気をよりいっそう演出する。
結界に守られているから危険な魔物なども出てくる心配もないから、軽いピクニック気分である。
「あっ、そうだ。写真を撮っとこう」
さくらは収納からスマホを取り出し、試し撮りとばかりに足下に自生する草にレンズを向ける。すると画面に写る被写体の横に文字が出てきた。
植物名: ケラケラ草
効 能: 適切な処理をして食せば美味しい薬草。憂鬱な気分も吹き飛ぶよ。ただ、そのまま食べたら笑いが止まらなくなるから要注意!
「何これ…。鑑定機能が付いてるの?それに『ケラケラ草』って…。ケラケラ笑うから?何、そのネーミングセンス…。」
こちらの世界に来てから、おかしなことばかり続いたせいか、冷静にツッコミを入れることを覚えた彼女は、ちょっとのことでは驚かなくなってしまった。
実は、アプリを使ったのは今回が初めてだった。この3日間、便利アプリを使う必要もないくらい物が充実していたこともあるが、単純に怖かったのだ。下手にアプリを使うことで不用意にこの世界に関わることになるのではと…。
しかしながら、さくらは気づいてしまった。どんなに気をつけていても、普通に「日本」にいた時の生活をしてしまうと嫌でもこちらの世界に関わってしまうことを。
「よしっ!せっかくだから採取しよう。」
色々と諦めたさくらは、見たことも聞いたこともない薬草や果実に興奮し、写真を撮ってから採取するというサイクルで夢中になって採取した。
「そろそろ良いかなぁ。」
採ったそばから収納されるので、どれだけの量になったかは分からないが、写真フォルダの中には、かなりの数の植物の写真が入っているのが分かる。
そして冷静になった彼女は青褪める。
時間の経過も忘れ、ついでにどちらの方向から来たかも分からなくなったことに、ここに来てようやき気付いたのだ。
辺りを見回しても同じような景色、目印などもちろん付けている訳がない。
「どうしよう…。本気で迷子なんだけど…」
食べ物も飲み物もあるからと安心できるのは、家に帰れる保証があるからだ。今のさくらには家に帰れる保証がない…。
ダラダラと冷や汗が流れる。
さくらは呆然とし、そして思う。
「途方に暮れる」って、こう言うことかと…。
20
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。
あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる