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11歳の少女シャティーラは、平民の母セレーネアに育てられた。
11歳にしては少しだけ小柄で痩せっぽっちだが、それはセレーネアが未婚の母で女手ひとつでシャティーラを育てたからだ。
若いだけの女が子育てと仕事の両立、ましてや生活も維持しなくてはならないのだ。
シャティーラを優先的に食べさせたとしても満足にはしてやれなかった。
そして、頑張って頑張ったあげくに『おやすみ』後、寝床に入り目を閉じ、そのまま早朝には冷たくなっていたのだった。
セレーネアの葬儀は住んでいた町の教会で簡素に行われ、薄い木箱の様な棺に入ったセレーネアは、墓地の片隅に埋められた。
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