名前を決めてーコノキモチニー

鏡恭二

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結菜の戦い

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朝7時スマホのアラームが鳴る。それを消し起床する。

結菜は仕事に行くための準備を始める。

職場用のナースシューズ、制服、筆記用具、聴診器などをバッグに入れる。

椅子に座ると、恭二が朝ごはんの目玉焼きとトーストを机の上に置いた。



結菜はこの時間がいつも憂鬱だ、仕事でやらなければいけないことへのプレッシャー、

昨日できなかった仕事の謝罪、一緒に働く職員の性格上の不一致、

患者さん患者さんによって演じなければならない・・・

いろいろなものが胸に迫る。それを打ち消すかのようにいつも朝はマシンガントークだ。

「今日は雨降るかな?」「ああ。今日の仕事はこの人とかぁー」

「あ。一ノ瀬 涼このドラマ出るんだー。」

言葉が流れては、いつもその話の呼吸を合わせるのに必死な様子の恭二に

結菜はイライラする場面もあった。



結菜は徒歩通勤だ。勤務先の病院が家から近いのだ。

結菜「行ってきまーす。」手を振る結菜。

恭二「ああ。じゃあな。」

玄関先まで見送り、窓を開け手を振ってくるのも見えた。

だが、彼女はそれすらもプレッシャーに感じてしまう。

結菜「私が働かなければ・・・この家族は・・・・」

そう強い決意を足にこめ、踏みしめ懸命に勤務先の病院まで歩いた。



病院につく結菜。更衣室にてナース服に着替える。聴診器やメモ帳を持ち病棟に行く。

結菜「お疲れ様でーす。」

しかし、すでに病棟は動いている。急変患者への対応、鳴り響くナースコール

何やら医師と打ち合わせている看護師、朝食を片付けている看護助手、

看護師A「お疲れ様でーす。ああ。昨日急変患者の対応一緒にしたでしょ。その時あなた報告書書くの忘れてたでしょ。私代わりに書いておいたから。」

結菜は思い出した。

昨日退勤前に転倒した人がいてそれを一緒にこの人と対応したのだった。

患者が急変した際は、報告書を書くのが義務だ。

しかし、連と恭二のことが頭に浮かび即座に退勤してしまったのだ。

結菜「ああ。ありがとうございます。」

頭を下げるも申し訳なさがこみ上げるその後もいろいろな報告が耳に入る。すでに病棟は回っている。

その様子を見て、そんなはずはないのに自分だけ取り残されているのを感じた。

------「私個々の病院にいて大丈夫なのかな・・・・」ーーーーー

弱気になる結菜がいる。」でも家には恭二と蓮がいる。

--------「私が働かなきゃ・・・ね・・・」--------

必死に弱気な気持ちを押し殺してしまう。

それが彼女にとってとても見えないプレッシャーとなっていた。

そんな気持ちとは裏腹にいろいろなことが起こる。

患者さん「ねえ。看護師さん。」結菜は話しかけられたので振り向き対応する。

結菜「どうしました。」

患者さん「あそこに誰かいるんです。

立っています。しかもすごい悪口を言っているんです。怖いです。助けてください。」

患者さんの中にはいろいろな妄想にとらわれていないはずのものが存在しているかのように見えると訴える人がいる。ほんとは誰もいないのだが。結菜は優しく言う。

結菜「大丈夫。周りは安全ですから。安心してください。」

いないものに共感するのは大変なのだがそれに合わせなければならないのでとてもストレスだ。

このような対応が次から次へと入る。身体的負荷は少ないが精神的な負荷が大きい。

結菜「(患者対応・・・疲れちゃう・・・)」休む間もなく、ナースコールがなる。患者さんの部屋に結菜が赴く

患者さんがぐったりして、嘔吐している。顔色が真っ青だ。

結菜「(これはまずい。吐瀉物が喉に詰まっている。このままのどに詰まり続けると死んでしまう)」

結菜は周囲の職員に頼む

「すぐに吸引機もってきて!!早く!!」吸引機が運ばれる。

結菜「すいませんね。苦しいけど。ちょっと吸引しましょうね。」

そういいながらも心拍数は高い。

早くしないと命にかかわる。

吸引機を喉に入れる苦しそうだなかなか取れない。

このまま自分の判断で行うのも良くない。結菜は即座に判断し、近くの職員に言った。

結菜「先生を呼びましょう。もう自分たちだけで判断できる状態じゃない。」

職員は箸って先生を呼びに行く、結菜は必死に吸引する。少しづつ呼吸が戻ってきた。

顔色が戻り、通常の呼吸状態になる。その後医師が到着。

医師「どうかしましたか。」

結菜「嘔吐したものを喉に詰まらせたみたいで。吸引して通常の状態に戻ったので大丈夫です。」

医師「そう。わかりました。以後は気を付けるようにしましょう。」

結菜は医師に平然とした顔で報告し、ホッとする。

結菜「ああーーっ。よかったー」

看護は命の現場だ。このような状態が毎日続く。

休憩時間になった。

職員食堂で結菜が一人で昼食を食べているとほかの2,3人の看護師も近くに座ってきた。

看護師A「お疲れ様でーす。」結菜は挨拶を返す。

結菜「お疲れ様でーす。」

こうなると気を使わなければならないので休憩にならないなと感じながらも、

会話が始まるとその輪に入らなければならないと感じた結菜はうわべだけの気持ちで会話に入る。

会話は他の職員の悪口や、病院体制の文句など、

どう答えればよいのかわからない会話が流れては消えていく、その会話は続いた。

看護師A「あの患者さん。昼間と夜だと顔が違うのよー。」

結菜「ああ。そうなんですね。」

看護師A「ああ。そうか。結菜さんは子供がいるから夜勤今してないのか、夜勤してない人にはこの気持ちはわからないわよねー。」

少し傷ついた。彼女は強い。恭二と連の顔を思い浮かべそれを飲み込み言った。

結菜「夜勤やっている皆さんには本当に頭が上がらないです。....でも昼間は昼間できついんですよ。」

なんでそんなこと言われなければならないのだろう。しかも5日間連続して働くのと、夜勤して次の日一日自由時間があるのも違うし、夜勤帯は職員数も少なく、自分のペースで仕事ができるメリットもあるだろという気持ちもこみあげてきた。

結菜「(どうして仕事の重さを比べられなきゃならないんだろう

恭二みたいに私もはっきり言える人間だったらどんなに楽なんだろうな。)」

恭二だったら昼間だろうと夜だろうといのちまもってんのはかわらねえだろとか言うんだろうなとか感じたりしていた。でもそういう彼をいつもフォローしている私だった。でもそれがうらやましく感じるときもあった。結菜「(もっと自由になりたい)」休憩時間が終わった。

休憩後も患者対応やナースコール対応に追われる。会話がかみ合わない人、何度も物をなくしたと訴えては探す人、同じことを何回も聞く人、それぞれの人に笑顔でいるが精神的にどんどん疲弊していった。

結菜「なんだか。疲れちゃうな。」そんな時、病棟の窓の外から病院の入り口が見えてそこに

見慣れた金髪頭がいた。結菜は驚きを隠せない。周囲の人も驚く。しかもその金髪頭は小さい子供と病院の前でスマホで写真を撮っている。

なんだあの宇宙人はと思って目を凝らしてみるとああ。とため息が出た。



結菜「うちの・・・夫じゃない・・・」



結菜はあきれた。しかしあきれる暇もない。患者対応やナースコール対応、おむつ交換などの仕事は山ほどある中戸惑いながら思い、少し憤りに近い気持ちも感じた。結菜「なにやってんだ。あいつ」



17:00だ退勤の時間。今日一日の経過を報告書に書く、夜勤帯の人も来た。

申し送りをしている。するとその時、看護助手が割って話しかけてきた

看護助手「すいません。302号室の人がベッドから転倒しました。」

結菜はこれから退勤なのにという気持ちを押し殺しつつ夜勤帯の人と二人で対応する。

ベッドわきに患者が倒れている。右足が青黒く腫れている骨折しているのだろうか。

結菜「骨折しているも知れない。主治医呼んで確認してみましょう。」

職員が主治医を呼ぶ。

主治医「骨折しているからレントゲンまず取ろうか。ベッド持ってきて」

結菜と夜勤帯職員で対応することになった。

結菜「(恭二と蓮いるのにな・・・・)」

あの非常識金髪頭はどうでも良いのだが、母親としては連が心配だ。

しかし、病院にいる限り看護師でいなければならない。

結菜「(疲れちゃうな。こんなところで働き続けなければならないのかな.....)」

そう思いながらも決して口には出さず懸命にその患者の対応をした。



家に帰る。

結菜「ただいまー。」看護師という仕事は身体的にも精神的にもとてもする疲労する仕事だ。

結菜はそのままソファに倒れこむ。

恭二「おう。おかえり。」恭二はそれだけ言うだけだ。

これだけの疲労感をねぎらう夫がいてもいいものだが、

やはり宇宙人として生きている恭二にその気持ちは届かない。

恭二「ほい」

恭二はカレーライスとサラダを置くも、疲労からか食べる気が起きない。

とりあえず一口だけ食べて言った。

結菜「そういえば。受付で金髪の人見たけどあれ恭二?蓮と写真撮ってたみたいだけど」

恭二「ああ。」

結菜「なんで写真なんかとってんのよ。病棟でも噂になってたわよ。」

恭二はカレーを食べながら結菜の目を目を見て少し肩を落としていった。

恭二「俺の父親一応警察官僚みたいだったけど、家にいなかったから、何の仕事しているのか蓮の年ぐらいん時はわからなかったんだよなぁー。

仕事で子供の役に立つって言っても子供には見えずらいだろ。

だから病院の近くに行ったときはいつも寄るようにしているのさ。」

結菜はその言葉にようやくそういうことだったのかと真意に気づいた。

この人のやさしさは不器用で分かりにくい。

恭二「連も言ってたよ。ママここで働いてるのってだから答えてやったんだ・・・・」



恭二「・・・ここがママの戦場だ・・・ママここで看護師さんやって頑張ってんだよって・・・」



結菜はその言葉を聞いて思った。

結菜「(本当にこの人は不器用で宇宙バカだな・・・優しさがわかりずらいのよ・・・・)」

カレーを食べていた。しかし結菜はカレーのルーとご飯をバランスよく食べれない。

ほんとは素直になりたい自分もいたが、恭二に言った。

結菜「もっとカレーのルーくれる?」

恭二は了解し、席を立ちカレーのルーを入れる。

この人はこの人なりに考えて行動してんだなと思い少し心が温まる一日だった。

【ありがとう結菜・・・でもやっぱり主役は・・・・】



まどか「今日は結菜さんが主役なんですね。」



結菜「おお。今日は私が主役ねーーー。ついに私の時代がきたな。」



恭二「おお。よかったな。」



結菜「やっぱり家族は働いているほうが主役じゃないとね。



よし。今日からこの物語も変更しましょう。題名は「結菜のお仕事」」



恭二「なんか聞いたことある名前だ。怒られるからやめろ。それでは医療小説だ。」



結菜「だってこんだけ私頑張ってるじゃない。私が主役になっていい時もあるんじゃない。」



まどか「え?そしたら私の出番がどんどんなくなって・・・・」



結菜「ヒロイン交代ね。」



まどか「・・・結菜さん私決めました・・・・」



結菜「へ?」



まどか「今から医者になります。.......そして.....この物語のタイトルは「まど・・・・・」」



恭二「それ以上言うな!!!物語が終わる!!」





まどか「ここまで。読んで下さり本当にありがとうございました。

今回は私は背景キャラでしたね。残念。でも主役は私よ。大丈夫。

恭二と皆さんにきゅんを届けるのは私よ。期待しててね。」



これからも「まどかの憂鬱と金髪専業主夫一家のおかしな毎日」よろしくねー。
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