神様のミスで死んでしまった少女、お詫びに異世界転生しました!

鏡矢 蓮

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第一章 腐樹の森と呼ばれた地

第十五話 完全に止まった世界

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「《完全時間掌握パーフェクトタイム》」
 私はそう小声で呟く。その瞬間、全てのものは動きを止めた。…一人を除いて動いていなかった。
「……なにをしたの?」
 そう聞いてくる。私以外の止まっていない人物が…私は一言…
「…時間を掌握した。貴女以外の時を止めた。理解できるかしら?」
「…いつから気づいていたの…?」
「最初から、貴女を殺す為にここに来たんだから…強欲の王」
 私は目の前にいる黒髪の女性に話しかける。女性はすこし不機嫌な声で…
「強欲の王って呼ばないでくれないかしら?私は強欲なる者であって強欲の王じゃないの…まぁ、自己紹介してあげるわ。私の名前は…「ル・フテル・アーバインド・ロストヒァ・ガルラ・ソファ…でしょ?」……正解、すごいわね。私の名前を一言も間違えずに言い切るなんて、まっ、長いからルファって呼びなさい。…まぁ、貴女は…ここで死ぬんだけどね」
「……殺せるなら殺してみなさいよ」
「ふ、ふっ、ふふっ!あはは!貴女は他人の実力も分からないの?…ふふっ、その発言が出てくるなんて分からないみたいね。憐れなしょう…」
 私はルファの後ろに立っている。話してる隙で接近したのだ。私は腰に刺さっている鞘から刀を引き抜き、ルファを一閃…こんなんで殺れるほど楽ならどれだけ良かっただろうか。お腹に強い衝撃を感じた。…気づいた時には私の体は空を飛んでいた。…いや、飛ばされていた。
「慣れない。まだ慣れてない。しっかりとまだ見れてない……。いや、慣れてないは関係ない…。無理矢理にでも慣らす!」
「何をぶつぶつと言ってるのかしら?と、言うか喋ってる最中に攻撃するのは卑怯じゃないかしら?」
「…はっ、貴女に卑怯呼ばわりされるのは嫌だよ。貴女の方がよっぽど卑怯じゃない…の!」
 私は御札をルファに向かって投げた。しかし、ルファは避けて、一言。
「あら、どこを狙ってるの……なっ!?」
 私の投げた御札は突如として飛んでいく方向を変え、ルファの方向へ、向かっていく。
「……危ないわね。その御札」
「それはどうも、煽り文句として受け取っておくね」
「あらあら、褒め言葉として受け取ってほしかったわね。残念だわ」
 …次は…後ろ!私は後ろに向かって刀を振るう。そこには驚いた顔のルファがいた。
「……貴女、まるで私の動きを知ってるような動きを…!?」
「どうだろうね。貴女の動きが分かりやすいのが悪いよ」
「…そっ…ならこれはどうかしら!《影移動》……なっ、使えない…!?」
 私の目の前からルファの姿が消える。…わけがない。時が止まっているのだから影が動くわけがない。だから影に入って移動する《影移動》は使えない。使えるわけがない。
「…消し炭にしてあげるわ!《ファイヤーアロー》!……これも!?」
 ルファの手のひらから火が出てくる。しかし、その魔法が私の方に飛んでくるわけがなく、止まっていた。
「…時は静止している。私が干渉したもの以外は動く事すらできない。……時空の巫女と呼ばれる私だけが使える…スキルだよ」
「……いや、違うわね。繰り返して試行錯誤したんでしょ?分かるわ。これは完璧な世界じゃない。私が使う魔術式を封じる術式を感じるわ」
 気づいたんだ。…いや、やっぱり気づくか。ル・フテン・アーバインド・ロストヒァ・ガルナ・ソファ…二つ名は強欲な王。通り名は…強き欲の魔女…強欲の魔女…。とか呼ばれている。ユニークスキル【強欲】による解析でバレたか。…想定よりも早くバレたけど、想定内…。…ルファの言う通りだ。私の空間はルファの魔法を止めるほどじゃない…。だからこそ、封じた。封じないと止めることすらできないから…完全には封じれないけど、止めることができるまで低下させれてる。それで…大丈夫だ。
「……ふふっ、面白いわ。全部、私の物にしてあげる。貴女の力…全部よ!」
「なっ!?」
 ルファは私の目の前に一瞬で移動してきた。私は咄嗟に後ろに下がった瞬間…足に激痛が走った。
「…っ…ぅ……!あ、足…が…ぁぁ…!」
 確実に折れた。…やば…い、想定外…。…いや、まだ…だ…。せめて相討ちにでもしないと!
「…やぁ!…消し飛べぇ!《黄金火》!……あっ…」
 しまった…。やっちゃった…怒りに身を任せ過ぎた…。この魔術式は停止対象だった…!
 私は目の前に止まった黄金色の炎が止まっているところからルファが出てきて、私の首を掴む。
「……あ……ぐぅ……は…なさ、せ…!」
「ふふっ、このまま首を折れば貴女は死ぬわね。どう?いくら繰り返しても絶対に勝てない相手と戦うのは?」
 ……かかった。…私の視界には私の首元を掴んだルファの姿があった。自分の分身を掴ませ、油断させる。これが私の作戦だ。足を激痛が走った瞬間、分身を残して後ろに下がったのだ。……駄目かな…この足、これ以上…無茶させたら動かなくなるだろうなぁ…。でも、いいんだ。自分が生きれるならそれで…問題ないから…。
「……はぁ!」
 私は強く踏み出す、足に激痛が走る。…でも止まれない、止まるわけにはいかない…の!
「なっ!?」
「やぁぁぁぁぁ!」
 私の刀はルファの首を触れ…そして、刀は滑るように、ルファの首を…切った。
「……はぁ…はぁ…ふぅ…よ…し……っ!?」
「あまりにふざけるなよ。たかが子狐から天狐に進化した雑魚の分際が…」
「あ…ぐ…」
 私は首元を掴まれていた。これは分身ではなく…自分が…掴まれていた。……そんな…馬鹿な…確かに首を切った。しっかりと刀にも血はついてる。手応えもあった。……なのに、なんで…動けてるの…?
 えっ…!?そんな…馬鹿な…ルファは自分の首を手で持っていた。
「……舐めてるわ。本当に舐めてる。殺す気でやってあげる。痛めつけるのも…やめよ。【強欲】」
 まずっ…!くっ!首を掴まれてて【咆哮】が使用できない…!
 ルファは首を元の位置に持っていった。その瞬間は首が治された。……ふざけないでよ。流石に…想定外…過ぎる…。
「……死になさい。時空の巫女…さようなら。もう二度と繰り返さないように全部…貰ってあげ……なっ!?」
「…えっ…?」
 突然、私は地面に落ちた。…なに…が?
 そこには黒いフードを被った白髪ショートの女性が立っていた。…その手には薙刀…?が握られていた。
「………」
「…貴女…何者!?…【強欲】!……ははっ、でもいくら腕を切ろうが私には関係ないわよ。憐れね。勝てない勝負をするなんてね!」
「………」
 しかし、再度、ルファの腕は切られる。次は両腕を…切り取られていた。そして、その腕は、黒フードが持っていた。…そして、少女の口が動いたのが見えた。その瞬間、周囲の風景が白く変化した。これって…リナの【幻想具現化空間】!?
「……あはは…忌々しい、あの娘の空間を思い出すわ。貴女…そうか…なら、あの時の仕返しよ!」
「………」
 しかし、気づいた時にはルファの体はたくさんの剣、槍が突き刺さっていた。黒フードが指を鳴らすと、さらにルファの体にさらに剣、槍が突き刺さっていた。…強い、強すぎる…。
「……お前…違っ…」
 ルファが何が喋ろうとしたが…黒フードは指を鳴らして…顔を潰した。剣と槍が顔面に大量に刺さる姿は…グロかった。
「………」
 黒フードは私を見ていた。…私は身構える…しかし、立てないので、座った状態でできる構えをした。
「………」
「えっ…?」
 黒フードが何かを手渡してきた。それは袋に包まれた石だった。そしたら黒フードがカンペを…えっ?カンペ?なんでカンペなんて持ってんの?えっと…「これは魔法無効化の石、クレアに渡してほしい。そしてこう言ってほしい、貴女が絶対に勝てなくて魔法すら無効化できない場合のみ、使ってほしい」って…これをクレアちゃんに渡せばいいのかな?
「……貴女は?…何者なの?」
「………」
 私は…その言葉を聞いた。そっか…分かった…。…その約束、守ります。…任せてください。これでも…約束は守る主義ですから…。
 そして…私の意識は黒く…暗転した…。
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