異世界冒険譚

文字の大きさ
4 / 23
冒険の始まり!

4話 小さな街、フィオリ

しおりを挟む
    馬車に乗っている間、この世界について色々と聞くことが出来た。

    まず、この世界には魔法が存在する。人間には元々魔力なるものが体内に存在し、それを駆使することで大抵のことは出来るそうだ。

    デメリットは、強い負の感情をもって魔法が発動された場合、その魔力は行き場を失い、魔物になることがあるということ。

    魔物は人を襲うため、人間にとって安全な"街"と魔物が跋扈する"外"に世界は二分された。

    各国は魔物がいない世界を目指して協力体制を敷き、冒険者ギルドという制度を作った。魔物を討つ者を冒険者と呼び、それを統率する制度だ。

    しかし、人間の中に魔力が存在する以上問題は解決されず、魔物がいるからこそ人間同士の戦争が起きないというある意味安定した世界が誕生したのである。



    冒険者のお陰で魔物の数は一定以下に押さえられていたのだが、数年前からその均衡が崩れだした。

    魔物の中に強大な力を持つものが現れたのだ。特に力の強いものを人は魔王と呼んだ。



「んで、その魔王さんが時空を歪めてるんじゃないかっていうのが定説よ」

    そう言うとキャロルさんは前を指差した。

「森の出口が見えてきたわね。あっちの草原を少し進んだ先にあるのが目的地、フィオリよ。小さいけど、もう見えるでしょ?」

    見えないんだな、それが。これは早急に何とかしないといけない問題だ。

「志摩さんは見えてる?」

「うん。あ、そっか。郷くんは眼鏡なくしちゃったんだよね」

    それを聞いたキャロルさんは今まで何も見えていなかったのかと驚きつつも、すぐに今後の方針を立ててくれた。

「えーと、シマサンだっけ?腕の傷は応急処置はしたけど街に着いたら一応お医者さんに見てもらおう。ついでに眼鏡のことも聞いておこうか。ゴークン?だったっけ?」

    そういえば自己紹介をしていなかった。

    僕らは自分たちの名前や、学生だったこと、ここに来た経緯などを話した。

「ユーキくんにユーリちゃんね!え…名前似てるなぁ…。どっちがどっちか覚えられないかも…」

「名字で良いですよ」

    そう言うとキャロルさんは首をかしげた。

「この国では人を呼ぶときは名前で呼ぶのが普通なんだよねー。名字はなんか、こう、すごーく堅苦しいのよ」

    そういうものなのか。

「まあ覚えられるでしょ!とにかく!治療所に寄ったあとはギルドだね。異世界人は一先ずそこで保護されるんだよ」



    それから小一時間程度で街にたどり着いた。街と言っても少し小さめで都会とまでは言えない。だが村ほど小さくもなく、発展しているのが分かる。

    入り口には石造りの大きな門があり、街全体が同じく石で出来た高い塀で囲まれていた。

    キャロルさんが門番に取り次いでくれたお陰で、すんなりと街に入ることが出来た。中は真っ直ぐに大通りが延びており活気づいていて、突き当たりに大きな建物が見える。石やレンガで出来た街並みは、さながら中世という感じがする。

「あのでっかい建物がギルド!その手前に並んでいるのが宿屋とか雑貨店とか。その隣がブローベル武具店!んで向かいにあるのが治療所だよ。冒険者は格安で治療を受けられるの。君たちは違うけど、私が説得してあげるよ」

    キャロルさんはテキパキと説明してくれると、治療所の前で馬車を止めて建物のなかに入っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...