8 / 23
冒険の始まり!
8話 志摩さんの思い
しおりを挟む
お店の奥の部屋は鍛冶をするための部屋のようだ。炉や金床、ハンマーなど色々ある。キャロルさんのお父さんは今はいないようだ。さらに奥の扉を開けると裏庭だった。
「じゃ、始めよっか」
そう言ってキャロルさんは木剣を構える。裏庭の真ん中にキャロルさん、向かい合うように僕と志摩さん。その他は建物の壁際で見守っている。
僕が選んだのは短剣だ。昔、体育で剣道をやったとき竹刀が重くて全然振れなかったのを思い出し、一番軽そうなのにした。志摩さんは槍だ。どちらも木で出来ている。
「ギルドの試験では実戦のように自由に戦って頂き、審判役の試験官が内容を評価します」
マテューさんが説明を入れる。今回は彼が審判をやるようだ。
「やめ、と言われるまでやるんだよ。先手は譲ってあげるから2人でかかってきなさい!」
そう言ってキャロルさんは木剣を上段に構え直す。攻撃的な構えだ。志摩さんは槍を固く握りしめており、僕はというとだらりと両手を下げ、自然体だ。構えとか分からないしね。
マテューさんが右手を高くあげ、
「それでは…始め!」
試合開始を宣言した。
その合図と同時に、僕は棒立ちのまま右手の短剣をおもいっきりアンダースローで投げつけた。
「!?」
間一髪で木剣を使いはたき落としたキャロルさん。よろけた隙に一気に距離を詰め、下段、中段と2発左で蹴りを放つ。
下段はステップで避け、中段は剣でガードしつつ後ろへ下がるキャロルさん。そういえば足が速くなっている理由も聞かなきゃな。そう思いながら落ちている短剣を回収した。
志摩さんも素早くキャロルさんの隣に回り込み、僕に反撃しようとした彼女に向かって槍を突き出す。がむしゃらに出しただけの攻撃は全部躱されるが、リーチの差でカウンターは食らわない。
「優莉ちゃんも郷くんもなんであんなに速く動けるの…!?」
驚愕する三戸さんに再びマテューさんが説明をする。
「人の体に眠る魔力は魔法を使うためだけのものではありません。魔力はそのまま持ち主の体力にも直結します。そして、鍛えることでその保有量を増やすことが出来るのです」
戦いながら聞いていたが、そういうことか。心なしかパワーも上がっている気がする。…でも魔力を使うのは始めてだぞ?例えて言うならレベル1でこの速さということか?
考えている間に一発食らってしまった。だが全く痛くない。衝撃を感じるだけだ。
一旦距離を取り、お互い最初の立ち位置に戻る。そのとき、同じことを考えていた崇一郎が何かに気が付いたらしい。
「もしかしたら…地球にも魔力はあるのかもしれない。ここと条件が違うから発動しないだけで」
お前、天才か?そういえば天才だったわ。じゃあ小さい頃から使い道のない魔力を体育とかで鍛えていたわけか。バスで行けるのに敢えて歩いて下校していた帰宅部の僕はスタミナも上がっているかもしれない。
「2人ともやるじゃん!それならこれはどう?」
笑いながらそう言い放ち、キャロルさんは真っ直ぐ突っ込んできた。僕は右に、志摩さんは左に躱した、筈だったが。
何故かどちらも攻撃を食らっていた。状況が読み込めないでいると、僕の方へ上段切りが来たので短剣を振り上げて合わせると胴が切られている。速すぎて見えないのだ。そう気付いたときにはさらに3回ほど切られていた。
とどめと言わんばかりに剣を振りかぶるキャロルさんの前に志摩さんが立ちはだかった。その隙に逃げるが、志摩さんを跳ね除けこちらに向かってきた。
また切られる、と思ったそのとき、再び志摩さんが槍をぶつけてそれを防ぐ。
「何やってるんだ?わざわざ危ないとこに突っ込んでこなくても!」
そう叫ぶと、槍で剣を押さえ込みながら志摩さんが小さい声で呟いた。
「…私のせいで帰れなくなっちゃったんだ…。私が…皆を守れるようにならないと」
剣をくるっと回して槍を躱し、僕らの2人の間に割って入るキャロルさん。そのまま剣を横に振りかぶって…
「やめ!」
僕らに当たる直前で止まった。
僕は志摩さんにどう声をかければ良いか分からなかった。
「じゃ、始めよっか」
そう言ってキャロルさんは木剣を構える。裏庭の真ん中にキャロルさん、向かい合うように僕と志摩さん。その他は建物の壁際で見守っている。
僕が選んだのは短剣だ。昔、体育で剣道をやったとき竹刀が重くて全然振れなかったのを思い出し、一番軽そうなのにした。志摩さんは槍だ。どちらも木で出来ている。
「ギルドの試験では実戦のように自由に戦って頂き、審判役の試験官が内容を評価します」
マテューさんが説明を入れる。今回は彼が審判をやるようだ。
「やめ、と言われるまでやるんだよ。先手は譲ってあげるから2人でかかってきなさい!」
そう言ってキャロルさんは木剣を上段に構え直す。攻撃的な構えだ。志摩さんは槍を固く握りしめており、僕はというとだらりと両手を下げ、自然体だ。構えとか分からないしね。
マテューさんが右手を高くあげ、
「それでは…始め!」
試合開始を宣言した。
その合図と同時に、僕は棒立ちのまま右手の短剣をおもいっきりアンダースローで投げつけた。
「!?」
間一髪で木剣を使いはたき落としたキャロルさん。よろけた隙に一気に距離を詰め、下段、中段と2発左で蹴りを放つ。
下段はステップで避け、中段は剣でガードしつつ後ろへ下がるキャロルさん。そういえば足が速くなっている理由も聞かなきゃな。そう思いながら落ちている短剣を回収した。
志摩さんも素早くキャロルさんの隣に回り込み、僕に反撃しようとした彼女に向かって槍を突き出す。がむしゃらに出しただけの攻撃は全部躱されるが、リーチの差でカウンターは食らわない。
「優莉ちゃんも郷くんもなんであんなに速く動けるの…!?」
驚愕する三戸さんに再びマテューさんが説明をする。
「人の体に眠る魔力は魔法を使うためだけのものではありません。魔力はそのまま持ち主の体力にも直結します。そして、鍛えることでその保有量を増やすことが出来るのです」
戦いながら聞いていたが、そういうことか。心なしかパワーも上がっている気がする。…でも魔力を使うのは始めてだぞ?例えて言うならレベル1でこの速さということか?
考えている間に一発食らってしまった。だが全く痛くない。衝撃を感じるだけだ。
一旦距離を取り、お互い最初の立ち位置に戻る。そのとき、同じことを考えていた崇一郎が何かに気が付いたらしい。
「もしかしたら…地球にも魔力はあるのかもしれない。ここと条件が違うから発動しないだけで」
お前、天才か?そういえば天才だったわ。じゃあ小さい頃から使い道のない魔力を体育とかで鍛えていたわけか。バスで行けるのに敢えて歩いて下校していた帰宅部の僕はスタミナも上がっているかもしれない。
「2人ともやるじゃん!それならこれはどう?」
笑いながらそう言い放ち、キャロルさんは真っ直ぐ突っ込んできた。僕は右に、志摩さんは左に躱した、筈だったが。
何故かどちらも攻撃を食らっていた。状況が読み込めないでいると、僕の方へ上段切りが来たので短剣を振り上げて合わせると胴が切られている。速すぎて見えないのだ。そう気付いたときにはさらに3回ほど切られていた。
とどめと言わんばかりに剣を振りかぶるキャロルさんの前に志摩さんが立ちはだかった。その隙に逃げるが、志摩さんを跳ね除けこちらに向かってきた。
また切られる、と思ったそのとき、再び志摩さんが槍をぶつけてそれを防ぐ。
「何やってるんだ?わざわざ危ないとこに突っ込んでこなくても!」
そう叫ぶと、槍で剣を押さえ込みながら志摩さんが小さい声で呟いた。
「…私のせいで帰れなくなっちゃったんだ…。私が…皆を守れるようにならないと」
剣をくるっと回して槍を躱し、僕らの2人の間に割って入るキャロルさん。そのまま剣を横に振りかぶって…
「やめ!」
僕らに当たる直前で止まった。
僕は志摩さんにどう声をかければ良いか分からなかった。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる