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冒険の始まり!
7話 見える、見えるぞ!
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夢を見た。
ここはどこかの山だろうか。
大きな荷物を背負って数人で歩いている。
彼らは一様に迷彩柄の服を着ていた──
朝、目が覚める。見慣れない木の天井、石の壁、地に這いつくばる崇一郎。彼はどうやら寝相が絶望的に悪いようだ。それなりに大きいベッドなのに落ちるとは…。
午前中で昨日の残りの説明として、この世界の一般常識を教えてもらい、身分証も作った。
昼食をとった後、夕飯までに帰ってくる条件で街を散策できるようになった。案内してくれるのはマテューさんだ。
ぐるっと街を一周して地理を把握した後、ブローベル武具店にお邪魔することにした。
ここも例に漏れず石造りで、屋根や扉が木材で出来ている。
「お邪魔しまーす」
はーいという声とともにキャロルさんが中から出てきた。
「おおっ!来てくれたんだね!ささっ、入って入って」
中の広さは学校の教室くらいで、部屋中に所狭しと武器が並べられていた。剣や杖、斧、バカでっかいモーニングスターなんて使える人がいるのか疑問なものまである。
正面に木製のカウンター。さらに奥にも部屋があるようだが、いわゆるスタッフオンリーというやつみたいだ。
部屋の隅にテーブルと椅子があり、僕らはそこに案内された。
「そこの2人は初めましてだね。私はキャロル・ブローベル。ここで働いてるんだ。といっても武器を売ったり素材を集めたりしてるだけで、実際に作ってるのはお父さんなんだけどねー。普段は奥の部屋にいるよ」
崇一郎と三戸さんも挨拶をする。
「いやあ、合流できたみたいで良かったよ。皆をここに呼んだのはね、お店の宣伝のためなんだ」
「宣伝?」
志摩さんが聞き返す。
「そう。異世界から来た人たちは大抵ここでの仕事に冒険者を選ぶんだ。冒険者といったら武器でしょ?」
流石、商売をやってるだけある。客集めに余念がない。実際に後々武器は必要になりそうだ。
「うーん…。私、戦うのは…嫌かも」
そう言ったのは三戸さんだ。
「ん?なにも剣じゃなくたって杖とかあるよ?冒険者になるなら皆に最初の一本はプレゼントしちゃう!」
この世界で魔物と戦うのは割と常識のようだ。三戸さんと会話が噛み合っていない。
「ユーキくんにはこれもあげちゃうんだから」
そう言って取り出したのは乳白色の石だった。手に取ってみても特に何も起きない。
おもむろにキャロルさんがそこに手をかざすと、石が溶けるように消えていった。するとなんと目が見えるようになったのだ!
「ほう…視力の魔石ですか」
マテューさんが感心したように言う。翻訳のそれと言い、魔石ってそんなことまで出来るのか。
「魔石って、そもそも何なんですか?」
そう聞いたのは崇一郎だ。すかさずマテューさんが解説する。
魔石は魔力が固形化したもので、魔物を倒した際に手に入ることがあるという。そこに魔力を流し込めば、魔石の種類によって様々な効果を発揮するようだ。最近では目的の魔石を人工的に生み出す研究もされているらしい。
「機械の動力にもなるんだよ!あの時計とかもそう!」
キャロルさんが付け足す。今気がついたけど時計もあるんだな。文字盤は読めないけどアナログだから時刻は分かる。今は大体午後4時だ。
「まあそんなわけで、ブローベル武具店をよろしくってことです!」
キャロルさんがそう締めくくる。
せっかく目を見えるようにしてもらったのだ。その恩には報いたいな。
「分かりました。冒険者になったときには是非利用させていただきます」
そう言うと、彼女は分かりやすく喜んだ。反対に三戸さんは納得いかない様子だ。するとキャロルさんがある提案をした。
「そうだ、武器は触ったことないでしょ?ちょっと振ってかない?」
そんなジュース買いにいかない?みたいなノリで言われてもね。
「冒険者になるにはギルドの試験官と戦わなきゃいけないんだよ」
一瞬驚いたがよく考えれば実技があるのも当たり前か。じゃあ物は試し、やってみるか。
「私もやってみていいかな?」
そう名乗り出たのは意外にも志摩さんだった。
「よし!じゃあそこの練習用の武器から選んでね。怪我しない魔法がかかってるから。私が試験官役で相手になるよ!」
そう言ってキャロルさんは上機嫌で奥の部屋に進んでいった。もしかしたら戦闘狂なのかもしれない。
ここはどこかの山だろうか。
大きな荷物を背負って数人で歩いている。
彼らは一様に迷彩柄の服を着ていた──
朝、目が覚める。見慣れない木の天井、石の壁、地に這いつくばる崇一郎。彼はどうやら寝相が絶望的に悪いようだ。それなりに大きいベッドなのに落ちるとは…。
午前中で昨日の残りの説明として、この世界の一般常識を教えてもらい、身分証も作った。
昼食をとった後、夕飯までに帰ってくる条件で街を散策できるようになった。案内してくれるのはマテューさんだ。
ぐるっと街を一周して地理を把握した後、ブローベル武具店にお邪魔することにした。
ここも例に漏れず石造りで、屋根や扉が木材で出来ている。
「お邪魔しまーす」
はーいという声とともにキャロルさんが中から出てきた。
「おおっ!来てくれたんだね!ささっ、入って入って」
中の広さは学校の教室くらいで、部屋中に所狭しと武器が並べられていた。剣や杖、斧、バカでっかいモーニングスターなんて使える人がいるのか疑問なものまである。
正面に木製のカウンター。さらに奥にも部屋があるようだが、いわゆるスタッフオンリーというやつみたいだ。
部屋の隅にテーブルと椅子があり、僕らはそこに案内された。
「そこの2人は初めましてだね。私はキャロル・ブローベル。ここで働いてるんだ。といっても武器を売ったり素材を集めたりしてるだけで、実際に作ってるのはお父さんなんだけどねー。普段は奥の部屋にいるよ」
崇一郎と三戸さんも挨拶をする。
「いやあ、合流できたみたいで良かったよ。皆をここに呼んだのはね、お店の宣伝のためなんだ」
「宣伝?」
志摩さんが聞き返す。
「そう。異世界から来た人たちは大抵ここでの仕事に冒険者を選ぶんだ。冒険者といったら武器でしょ?」
流石、商売をやってるだけある。客集めに余念がない。実際に後々武器は必要になりそうだ。
「うーん…。私、戦うのは…嫌かも」
そう言ったのは三戸さんだ。
「ん?なにも剣じゃなくたって杖とかあるよ?冒険者になるなら皆に最初の一本はプレゼントしちゃう!」
この世界で魔物と戦うのは割と常識のようだ。三戸さんと会話が噛み合っていない。
「ユーキくんにはこれもあげちゃうんだから」
そう言って取り出したのは乳白色の石だった。手に取ってみても特に何も起きない。
おもむろにキャロルさんがそこに手をかざすと、石が溶けるように消えていった。するとなんと目が見えるようになったのだ!
「ほう…視力の魔石ですか」
マテューさんが感心したように言う。翻訳のそれと言い、魔石ってそんなことまで出来るのか。
「魔石って、そもそも何なんですか?」
そう聞いたのは崇一郎だ。すかさずマテューさんが解説する。
魔石は魔力が固形化したもので、魔物を倒した際に手に入ることがあるという。そこに魔力を流し込めば、魔石の種類によって様々な効果を発揮するようだ。最近では目的の魔石を人工的に生み出す研究もされているらしい。
「機械の動力にもなるんだよ!あの時計とかもそう!」
キャロルさんが付け足す。今気がついたけど時計もあるんだな。文字盤は読めないけどアナログだから時刻は分かる。今は大体午後4時だ。
「まあそんなわけで、ブローベル武具店をよろしくってことです!」
キャロルさんがそう締めくくる。
せっかく目を見えるようにしてもらったのだ。その恩には報いたいな。
「分かりました。冒険者になったときには是非利用させていただきます」
そう言うと、彼女は分かりやすく喜んだ。反対に三戸さんは納得いかない様子だ。するとキャロルさんがある提案をした。
「そうだ、武器は触ったことないでしょ?ちょっと振ってかない?」
そんなジュース買いにいかない?みたいなノリで言われてもね。
「冒険者になるにはギルドの試験官と戦わなきゃいけないんだよ」
一瞬驚いたがよく考えれば実技があるのも当たり前か。じゃあ物は試し、やってみるか。
「私もやってみていいかな?」
そう名乗り出たのは意外にも志摩さんだった。
「よし!じゃあそこの練習用の武器から選んでね。怪我しない魔法がかかってるから。私が試験官役で相手になるよ!」
そう言ってキャロルさんは上機嫌で奥の部屋に進んでいった。もしかしたら戦闘狂なのかもしれない。
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