異世界冒険譚

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冒険の始まり!

12話 冒険者認定試験!

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    6月14日、ついにその日が訪れた。

    今日、ギルド隣接の闘技場で冒険者認定試験が行われるのだ。

    僕はというと、現在筆記試験の真っ最中である。



    闘技場は真ん中のバトルフィールドをぐるっと囲むように長い廊下があり、そこには点々と部屋がある。それはここを利用する人たちの控え室になったり更衣室になったり、はたまた筆記試験の会場になったりするのだ。不正がないように各部屋には受験者と試験官1人だけが入る。

    僕はその中の一室にいるのだが、少し、いやかなり困ったことが起きた。


問12.火の玉を生み出す呪文を書き記せ


    これはあれだ。魔導書に書いてある呪文の例を書けということだ。

    だが僕はこの国の呪文なんて知らない。

    呪文はなんでもいいのだが、数学の公式みたいに取り敢えず覚えとけといった誰もが知ってる決まり文句があるのだ。

    呪文を唱えなくても火の玉が出せるということは、公式を使わなくても別解で解けるということだ。ただここでは公式を書けときている。

    魔法が使えればいいやという考えの僕にはもう手も足も出なかった。これは捨て問題だな。うん。



    読み書きの出来ない僕は当然問題用紙を読めない。そこで試験官に翻訳の魔石を介してそれを読み上げてもらってる。僕が答えたら、今度はそれを解答用紙に書き込んでもらうのだ。

    火の玉の問題以外でさほど難しいものはなかった。魔法の創始者は誰とかギルド本部はどことかそんな感じだ。創始者はゴルゲスで、本部はもちろんトルベックだ。フィオリに来たばっかりの頃にキャロルさんに教えてもらっていた。

    あとはギルドの規則云々だったが、これもちゃんと勉強してたので問題なし。まあ、8割は取れただろう。



「なあ問12さ、皆どうした?」

    午前の筆記が終わった後、ギルドの1階で昼飯を食べながら皆に聞いてみた。

「そのまま【火の玉よ】じゃなかったっけ?」

「それであってるわよ」

「因みにこっちの言葉だと【イァス】だな。」

    なんで分かるんだよ。

「まさか夕樹、分からなかったのか?」

    崇一郎、そんな目で僕を見ないでくれ。そこの2人もどうせバルサミコ酢ビームとか言ってるからこんなことになるんだよって思ってるんだろチクショー。



    午後、闘技場のバトルフィールドに集まった僕たちは採点係のニネットさんから試験の説明を受ける。

    ここでようやく気がついたのだが、試験を受けるのは僕らの他になんともう1人いるようだ。

    茶髪の同い年くらいの女の子だ。長い髪を後ろでひとつに束ねている。

「…以上で説明を終わります!実戦形式の試験では最大4人で試験官に挑めますが、今回の受験者は5人なので3人と2人に分かれていただきますね!」

    なんですと…!?それでは立てた作戦が水の泡ではないか。あ、でも僕は遊撃だから外れてもいいのか。なんだこの仲間外れ感…。



    1人で落ち込んでる間にメンバー分けが終わり、準備は万端。だが実技試験は魔法と実戦の2つだ。最初は魔法の方である。

    順番に思い思いの魔法を放っていく。なんでもいいから魔法が使えればここは合格だ。茶髪の子は火の玉を空高く放った。ちゃんと【火の玉よ】って言ってた。

    僕はやけになってバルサミコ酢ビームをフルパワーで撃ってやった。

    意外と魔法が苦手なのが崇一郎だ。彼も火の玉を出すことには出したのだが、さっきの女の子のそれよりもずっと小さく、なんとか燃えてるって感じだ。まあ合格だろうけど。



    さて、残るは実戦だけである。
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