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冒険の始まり!
14話 謎の力
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僕は今、崇一郎、志摩さん、三戸さんの実技試験を観客席から応援している。
前もって立てていた作戦通り、志摩さんが先陣を切り、崇一郎がそれに合わせる。三戸さんは離れたところから隙を見て魔法を飛ばしている。
「へえ、見事な連携じゃないか。数週間で仕上げたとは思えないな」
隣に座っているペトロが称賛する。
僕は頷き、これなら合格間違いないと思いながら、のほほんとバトルフィールドを見つめていた。
するとやはりライマルさんは途中でスイッチを入れ、攻撃の手が激しくなる。
崇一郎の槍を躱し、三戸さんの魔法をぶった斬り、身を翻すと志摩さんに向かって大きく袈裟斬りを放った。
「あれでも手は抜いてるよね」
そうペトロに尋ねてみた。
「そうだね。攻撃が大振りで、受け止めるなり避けるなり対処はしやすい」
冒険者はお遊びじゃないと伝えるために、殺気だけばりばり飛ばしてるんだと思う。彼女はそう付け加えた。
志摩さんは一瞬怯むが、すぐに真剣な顔に戻る。
もちろん彼女も特訓をしてきたのだ。あのような分かりやすい斬撃など、きっと盾でいなすのだろう。
そう思っていたのだが。
志摩さんの体が黒く光った気がした。
次の瞬間、彼女の剣はライマルさんの袈裟斬りとは逆方向に、斜め下からものすごい力で斬り上げていたのだ。
少し間が空いた後、爆風。
ごうんという空気を揺する音に僕とペトロは思わず客席から立ち上がる。
ライマルさんは小銀級。冒険者の中でも腕が立つ部類の人だ。
力では敵うはずがないのに、志摩さんは打ち合いであっさりと競り勝ってしまったのだ。
「そ…そこまで!」
ここで試験終了である。
しかし誰もがしばらく動くことが出来なかった。結末が予想外過ぎたのだ。
当の本人までもが何が起こったか理解できていない様子だ。後日問い詰めても、分からないの一点張りであった。
あの力はいったい何だったのだろうか…。
とにもかくにも試験はこれで全て終わりである。結果は翌日にギルド受付にて教えてもらえる。
夜、僕は崇一郎と自分たちの部屋で今日のことを話し合っていた。
「試験、受かったかな?」
ベッドに寝転がりながら崇一郎に聞いてみる。
「感触は良かったな。まあ明日になれば分かることだ」
彼は椅子に座り、本を読みながらそう言った。明日になれば分かると言いつつも、自信ありげな様子だ。
「それよりも」
崇一郎は急に立ち上がり、僕の隣のベッドまでやってきた。ボスッという音を立ててベッドに体を投げ出すと、顔だけこっちを向けて
「志摩さんのあれ、心当たりあるか?」
そう聞いてきた。
「あるわけないだろう。なんで僕に聞くんだよ?」
「彼女、最近様子がおかしいじゃないか。自分から好きこのんで戦うような柄じゃなかっただろう?夕樹、何か知ってそうだったからさ」
それは…。僕は返答に詰まる。
「ほら。何か知っているんだろう。話せよ。あれは何なんだ?害はないのか?」
崇一郎にしては珍しく感情的になっている。それだけ心配しているのだろうが、あの黒い光については本当に何も分からない。
「志摩さんの最近の様子は…、ごめん。僕から話していいのか分からないんだ。でも、今日のことについては本当に知らないんだ!信じてくれ」
すると彼はしばらく黙った。
その後に、分かった、と呟いた。
「よく考えれば志摩さん本人が分からないのに夕樹が分かるわけないよな。…すまないな」
急に謝られても困る。志摩さんの事情は三戸さんには話しちゃったしなぁ。気まずくなった僕は、ベッドに横になって取り敢えず何か話そうとした。
「…明日冒険者になったらやることがいっぱいだよね」
「…そうだな。まあ金が稼げるようになったら生活も安定するし、異世界人探しの旅も出来るようになるだろうさ」
「先ずは隣街だな。名前何ていったっけ。さっき地図で見たばっかりなんだけど」
…返事がない。もう寝てしまったようだ。
よくそんなに早く寝付けるなぁと変に感心しながらロウソクを消して布団に潜り込む。
ドタドタと転げ落ちる音がした。相変わらず寝相が絶望的に悪い男だ。
前もって立てていた作戦通り、志摩さんが先陣を切り、崇一郎がそれに合わせる。三戸さんは離れたところから隙を見て魔法を飛ばしている。
「へえ、見事な連携じゃないか。数週間で仕上げたとは思えないな」
隣に座っているペトロが称賛する。
僕は頷き、これなら合格間違いないと思いながら、のほほんとバトルフィールドを見つめていた。
するとやはりライマルさんは途中でスイッチを入れ、攻撃の手が激しくなる。
崇一郎の槍を躱し、三戸さんの魔法をぶった斬り、身を翻すと志摩さんに向かって大きく袈裟斬りを放った。
「あれでも手は抜いてるよね」
そうペトロに尋ねてみた。
「そうだね。攻撃が大振りで、受け止めるなり避けるなり対処はしやすい」
冒険者はお遊びじゃないと伝えるために、殺気だけばりばり飛ばしてるんだと思う。彼女はそう付け加えた。
志摩さんは一瞬怯むが、すぐに真剣な顔に戻る。
もちろん彼女も特訓をしてきたのだ。あのような分かりやすい斬撃など、きっと盾でいなすのだろう。
そう思っていたのだが。
志摩さんの体が黒く光った気がした。
次の瞬間、彼女の剣はライマルさんの袈裟斬りとは逆方向に、斜め下からものすごい力で斬り上げていたのだ。
少し間が空いた後、爆風。
ごうんという空気を揺する音に僕とペトロは思わず客席から立ち上がる。
ライマルさんは小銀級。冒険者の中でも腕が立つ部類の人だ。
力では敵うはずがないのに、志摩さんは打ち合いであっさりと競り勝ってしまったのだ。
「そ…そこまで!」
ここで試験終了である。
しかし誰もがしばらく動くことが出来なかった。結末が予想外過ぎたのだ。
当の本人までもが何が起こったか理解できていない様子だ。後日問い詰めても、分からないの一点張りであった。
あの力はいったい何だったのだろうか…。
とにもかくにも試験はこれで全て終わりである。結果は翌日にギルド受付にて教えてもらえる。
夜、僕は崇一郎と自分たちの部屋で今日のことを話し合っていた。
「試験、受かったかな?」
ベッドに寝転がりながら崇一郎に聞いてみる。
「感触は良かったな。まあ明日になれば分かることだ」
彼は椅子に座り、本を読みながらそう言った。明日になれば分かると言いつつも、自信ありげな様子だ。
「それよりも」
崇一郎は急に立ち上がり、僕の隣のベッドまでやってきた。ボスッという音を立ててベッドに体を投げ出すと、顔だけこっちを向けて
「志摩さんのあれ、心当たりあるか?」
そう聞いてきた。
「あるわけないだろう。なんで僕に聞くんだよ?」
「彼女、最近様子がおかしいじゃないか。自分から好きこのんで戦うような柄じゃなかっただろう?夕樹、何か知ってそうだったからさ」
それは…。僕は返答に詰まる。
「ほら。何か知っているんだろう。話せよ。あれは何なんだ?害はないのか?」
崇一郎にしては珍しく感情的になっている。それだけ心配しているのだろうが、あの黒い光については本当に何も分からない。
「志摩さんの最近の様子は…、ごめん。僕から話していいのか分からないんだ。でも、今日のことについては本当に知らないんだ!信じてくれ」
すると彼はしばらく黙った。
その後に、分かった、と呟いた。
「よく考えれば志摩さん本人が分からないのに夕樹が分かるわけないよな。…すまないな」
急に謝られても困る。志摩さんの事情は三戸さんには話しちゃったしなぁ。気まずくなった僕は、ベッドに横になって取り敢えず何か話そうとした。
「…明日冒険者になったらやることがいっぱいだよね」
「…そうだな。まあ金が稼げるようになったら生活も安定するし、異世界人探しの旅も出来るようになるだろうさ」
「先ずは隣街だな。名前何ていったっけ。さっき地図で見たばっかりなんだけど」
…返事がない。もう寝てしまったようだ。
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ドタドタと転げ落ちる音がした。相変わらず寝相が絶望的に悪い男だ。
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