異世界冒険譚

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冒険の始まり!

16話 冒険の始まり…?

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    あれから数日が経った。3人が街のどこかにワープしているのだとすれば、夜になればギルドに帰ってくるものだと思っていた。しかし、待てど暮らせど彼らの姿が見えることはなかった。

「これは…街の外にテレポートした可能性が高いですね…」

    マテューさんが心配そうに言う。僕はギルド受付のカウンターに寄りかかりながら話を聞いている。

    人探しの依頼としてギルドの掲示板にも張り出されているのだが、情報は一向に集まらない。

「街の外、といっても数日で帰ってこれない距離ってことだよね」

    ニネットさんも頭を抱えている。

    このままでは最悪の事態になりかねない。そこで僕はある決心をしていた。



「おまたせ!」

    ギルドの入口から元気な声が聞こえる。そちらを向くと、大きな荷物を背負ったペトロが立っていた。

    そう、僕はペトロと一緒にこの街を出ることにしたのだ。

    元々僕ら4人は冒険者になったら、まず隣街、ロンメルを目指すことにしていた。フィオリの街以外で3人が向かいそうな場所といえばそこしかない。

    いなかったとしても、情報収集のためにまず向かうべきはそこだろう。

    幸いペトロもロンメルに用事があるようなので、一緒に行く運びとなったのだ。

「よし、じゃあ行くか」

    荷物をまとめた僕はマテューさんとニネットさんにお礼を言い、また皆でここを訪れると約束を交わしてギルドを出た。



「街を出る前に、キャロルさんの所に寄っても良いかな」

「ん?私は構わないよ」

    街の出口へ向かって大通りを歩く僕とペトロ。ふとブローベル武具店が目に入ったので寄っていくことにした。

    キャロルさんには初日からお世話になったからね。一言挨拶をしておきたい。



「こんにちはー」

    営業中の看板を確認してから、ドアをノックして中に入る。この世界の文字もほんの少しだけ読めるようになってきた。

「あ!ユーキくん、ペトロちゃん、
いらっしゃい!今お客さんをおもてなししてるんだ。ちょっと待っててね!」

    そう言うキャロルさんの隣を見ると、ポニーテールの女の子が杖を物色していた。

    僕らに気が付いた女の子は手に持っている杖から目を離し、こちらを向いた。僕を見ると驚いた顔をして話しかけてきた。

「あれ…ごっちゃん?」

    なんとその子はあやさん、もとい谷崎 彩夏であった。異世界に来る前日に数学の補習で一緒だったあの子だ。

「あやさん!?どうしてここに?」

「そりゃあこっちの台詞なのよさ!」

    急な展開にキャロルさんもペトロもついていけていない。よく考えたらペトロにいたっては僕が異世界人だということすら知らないんだった。

    ややこしくなりそうだったので2人には昔からの友人だと説明しておいた。

「このお店に来るということは、ごっちゃんも冒険者なのかな?」

    驚いたことにあやさんも冒険者になっているらしい。しかもロンメルのギルドで試験を受けたという。

「ああ。今日お店に寄ったのは…」

    そうだ、ここに来た目的を一瞬忘れていた。キャロルさんに挨拶をしに来たんだった。



「キャロルさん、僕はしばらくこの街を離れます。今までお世話になりました」

    別れを告げると、キャロルさんは分かっていたかのようにニッと笑った。

「じっとしていられるたちじゃないもんね。ユーリちゃんたちが早く見つかるように私も全力で協力するよ!」

「ありがとうございます」

    僕とキャロルさんは握手を交わす。ペトロも軽く会釈をする。あやさんはというと

「…今優莉ちゃんと聞こえたのだが?」

    その反応を見る限り、彼女も会ってはいないようだ。僕はことの顛末をあやさんに話すことにした。



「なんだって!?それで、いつ出発するの?」

「今日」

「よし、私もついてく!」

    即決だな。

「元々ロンメルを中心に活動してるからね。フィオリにはギルドの依頼で来てたのよさ」

    ギルドの依頼、つまりクエストである。

    そんなこんなであやさんも一緒に行くことになった。

「私としても早く地球に帰りたいからねぇ」

    そう呟きながら1本の杖を選び、キャロルさんの所まで持っていくあやさん。

「大銀貨5枚でーす」

    勘定を済ませたあやさんがこちらへやってくる。一緒に行くことにペトロも異存はないようだ。



    改めてキャロルさんにお礼を言い、店を出る。

    大通りを再び歩いていると、程なくしてあやさんが声をかけてきた。

「結局どこでも学ランは着るのね」

    そりゃあ、ね?好きですから。学ラン。



    僕らは街の入口、門の前までやってきた。 

    門番の人に会釈をして、身分証を見せる。

    ここを出れば次の街まで数日かかる。魔物も出てくるだろう。でも不思議となんとかなるんじゃないかって気がしてきた。

    志摩さん、三戸さん、崇一郎。必ず見つけ出して元の世界に帰るんだ。



「それじゃあ、行きますかね」

    こうして冒険の第一歩は、全員が揃わないという意図しない形で踏み出すこととなったのである。
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