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仲間をさがして
19話 怖い?
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初めての戦闘から数時間は歩いたと思う。
日が暮れてきたので、開けた場所にテントを張ることにした。今日はここで野宿である。
「焚き火は重要だよ。この辺の魔物は火を嫌うからね」
僕とあやさんで集めた木の枝に、ペトロが自慢の炎で点火しながら言う。
「夜は魔物が活発になるってよく聞くのよさ」
そう言うあやさんに、火があれば心配いらないとペトロが答える。
「…あいつらが夜になるといっぱい出てくるのか?」
先程の戦闘が脳裏に浮かぶ。
焚き火程度でどうにかなるとは思えないんだが…。
するとペトロは真剣な顔になる。
「あんな魔物は見たことがないよ。この辺に出てくるのはこっちから攻撃しない限り襲ってこないような奴らばかりだからね」
そうなのか。それを聞いて少し安心した。
「でも注意するに越したことはないね。かわりばんこで見張りをすることにしようか」
そう言ってペトロは剣を携え、焚き火の横に座った。僕たちは一足先にテントで眠らせてもらおう。
体は想像していた以上に疲れていたようで、横になるとすぐに寝てしまったようだ。
体が揺すられる感覚。目を開けると隣にあやさんがいた。
「交代なのよさ。あとは日が昇るまでお願いね~」
そう言ってもぞもぞと寝袋にくるまるあやさん。
「よく真夜中に起きていられるなぁ…」
僕は今まで毎日8時間は睡眠時間を取っていた。正直ものすごく眠い。
ちょっと文句を呟きながらテントから出る。
テントの中から、そりゃ2ヶ月もこっちで暮らしていたらなれちゃうのよさ~と声が聞こえた。
外はまだまだ暗い。しっかり燃えている焚き火の横にどかっと座り込む。
…ん?2ヶ月だって?
僕はバッと立ち上がりテントに入ろうとしたが、すんでのところでやめた。せっかく寝たのに今起こすのはよろしくない。
だがこれは後で聞かなければいけないな。
僕はこの世界に来てまだ1ヶ月も経っていない。
あやさんが2ヶ月前にこっちに来たと言うのなら、放課後に一緒に補習を受けたことの説明がつかない。
それ以外の日だって会話こそしなくても会ってはいたはずだ。
どういうことだろう…。考えているうちにうとうとしてしまった。
次に意識が戻ったのは後ろの方でパキッという音がしたときだった。
おそるおそる振り返ると…そこには何かがいた。
暗くて姿は見えないが、おそらく魔物であろう。1体だけのようである。
いつもの僕なら、短剣を抜刀して待ち構えるはずだ。
だが、今の僕にはそれが出来なかった。
僕は今までに短剣、というより刃物を持ったことがなかった。料理は出来ないので、包丁すらも握ったことはない。
だから言葉では分かっていても、それを持つことの意味を理解していなかった。
だが、昼間の戦闘で知ってしまったのだ。この短剣を持つことで、本当に死ぬかもしれないという恐怖を。あんなにあっさりと追い詰められる僕の実力も。
それから今に至るまで、腰の鞘にしまった短剣に触れることはしなかった。
なんとなくだが、もう触ることが出来ない。そんな気がしていたのだ。
現に僕は武器を構えることが出来ず、その場から立ち上がりもせず固まっている。
ふと辺りを見ると、もうぼんやりと明るくなっていた。
もうすぐ日が昇る。
草むらの向こうの魔物はいつの間にかいなくなっていた。
日が暮れてきたので、開けた場所にテントを張ることにした。今日はここで野宿である。
「焚き火は重要だよ。この辺の魔物は火を嫌うからね」
僕とあやさんで集めた木の枝に、ペトロが自慢の炎で点火しながら言う。
「夜は魔物が活発になるってよく聞くのよさ」
そう言うあやさんに、火があれば心配いらないとペトロが答える。
「…あいつらが夜になるといっぱい出てくるのか?」
先程の戦闘が脳裏に浮かぶ。
焚き火程度でどうにかなるとは思えないんだが…。
するとペトロは真剣な顔になる。
「あんな魔物は見たことがないよ。この辺に出てくるのはこっちから攻撃しない限り襲ってこないような奴らばかりだからね」
そうなのか。それを聞いて少し安心した。
「でも注意するに越したことはないね。かわりばんこで見張りをすることにしようか」
そう言ってペトロは剣を携え、焚き火の横に座った。僕たちは一足先にテントで眠らせてもらおう。
体は想像していた以上に疲れていたようで、横になるとすぐに寝てしまったようだ。
体が揺すられる感覚。目を開けると隣にあやさんがいた。
「交代なのよさ。あとは日が昇るまでお願いね~」
そう言ってもぞもぞと寝袋にくるまるあやさん。
「よく真夜中に起きていられるなぁ…」
僕は今まで毎日8時間は睡眠時間を取っていた。正直ものすごく眠い。
ちょっと文句を呟きながらテントから出る。
テントの中から、そりゃ2ヶ月もこっちで暮らしていたらなれちゃうのよさ~と声が聞こえた。
外はまだまだ暗い。しっかり燃えている焚き火の横にどかっと座り込む。
…ん?2ヶ月だって?
僕はバッと立ち上がりテントに入ろうとしたが、すんでのところでやめた。せっかく寝たのに今起こすのはよろしくない。
だがこれは後で聞かなければいけないな。
僕はこの世界に来てまだ1ヶ月も経っていない。
あやさんが2ヶ月前にこっちに来たと言うのなら、放課後に一緒に補習を受けたことの説明がつかない。
それ以外の日だって会話こそしなくても会ってはいたはずだ。
どういうことだろう…。考えているうちにうとうとしてしまった。
次に意識が戻ったのは後ろの方でパキッという音がしたときだった。
おそるおそる振り返ると…そこには何かがいた。
暗くて姿は見えないが、おそらく魔物であろう。1体だけのようである。
いつもの僕なら、短剣を抜刀して待ち構えるはずだ。
だが、今の僕にはそれが出来なかった。
僕は今までに短剣、というより刃物を持ったことがなかった。料理は出来ないので、包丁すらも握ったことはない。
だから言葉では分かっていても、それを持つことの意味を理解していなかった。
だが、昼間の戦闘で知ってしまったのだ。この短剣を持つことで、本当に死ぬかもしれないという恐怖を。あんなにあっさりと追い詰められる僕の実力も。
それから今に至るまで、腰の鞘にしまった短剣に触れることはしなかった。
なんとなくだが、もう触ることが出来ない。そんな気がしていたのだ。
現に僕は武器を構えることが出来ず、その場から立ち上がりもせず固まっている。
ふと辺りを見ると、もうぼんやりと明るくなっていた。
もうすぐ日が昇る。
草むらの向こうの魔物はいつの間にかいなくなっていた。
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